澪「へ!?な、な、な、何を言ってるんだ梓!」

梓「ですから、処女なんですか?って」

梓「澪センパイは綺麗なんですから、彼氏くらい居るでしょう?
  もう三年生なんですし、カマトトぶんなくても良いですよ」

澪「そ、そんなんじゃ…」

梓「で、処女なんですか?」

澪「わ、私は…」

梓「ど う な ん で す か !」

澪「う~…」

梓「じ~…」

澪「しょ…処女では…無い」

梓「!」

梓「それは何時の事ですか!?
  あ、相手は誰なんですか!?
  やっぱり初めては痛いんですか!?」

澪「あ、梓!顔近い!」

梓「あっ、すみません…
  じゃあ、一つずつ質問に答えて下さい」

澪「…私が処女を散らしたのは去年のことだ」

梓「去年?」

澪「梓が入部してちょっと経った頃だったはず」

梓「そ、そのお相手は…?」

澪「…」

澪「…り」

梓「り?」

澪「…り、律だよ」

梓「!!」

梓「お二人の仲の良さは知ってましたけど
  そんな関係だったんですか…」

澪「そ、そんなんじゃない!
  あれは黒歴史っていうか…」

澪「若さ故の過ちっていうか…」

梓「はぁ…?」

澪「あれは確か…」


~~~~

律「みーお、澪は彼氏って欲しくないの?」

澪「テスト勉強放り出して何を言うかと思ったら…」

律「だってあたしら、青春真っ盛りの高2よ?
  恋バナしよーぜ!恋バナ!」

澪「そんな余裕のあるのか?今回は範囲広いぞ」

律「だって飽きたんだもん☆」

澪「…もうノート見せてやんない」

律「お慈悲を下さい、澪様!いや澪代官!」

澪「だったら真面目に…」

律「で、彼氏欲しい?」

澪「お前なぁ」

律「コレ聞いたらりっちゃん頑張る」

澪「…本当だな?」

律「ズームにでもなんでもしてあたしの目を見てくれ!
  これが嘘を付いてる人間の目か!?」

澪「いつもの目だな」

律「ですよねぇ」

澪「…」

澪「…彼氏は欲しくない。要らない」

律「へ?なんで?」

澪「…だって男の人をそういう目でっていうか、そんな対象にしたこと無いし」

澪「…ちょっと怖いし」

律「今時のじょしこーせーのセリフじゃないなそれは」

澪「な、なんだよソレ!
  こ、怖いものは怖いんだ!」

律「ヘタレにも程がありますぜ、みおしゃん
  今はそれで良いかもしんないけど」

律「大人になってもそのまんまじゃ幸せな家庭なんて築けないぞ?」

澪「だって!」

律「いずれ行かず後家になんてなっちゃって寂しい晩年を迎える事になるんだぞ?」

澪「ひ、ひとりぼっちは嫌だ…!」

澪「…」

澪「でも…無理だよやっぱり…
  どうしても男の人を好きに思えないんだ…」

澪「私がヘタレなのは重々承知してるよ…」

律「…」

律「…まだ、チャンスはあるってことなのかな」

澪「…え?」

律「特訓だ澪!」

澪「律?」

律「第一回、澪を男好きにしよう特訓だ!」

澪「その言い方は色々ダメだ!
  というか、特訓ってなんだ!?」

律「もちろん、澪のヘタレを克服する特訓です!」

律「これから澪には一日、仮想男とデートしてもらいます
  そうすれば澪の男嫌いは直るはず!」

澪「な!私は嫌だ!」

澪「それに仮想男って誰にする気だ!
  言っておくが聡なら無駄だぞ?
  聡だけは弟のように思ってるから練習にならない!」

律「おおう…急に饒舌になったな
  そんなに男が嫌か」

澪「(男の人の隣に居る自分なんて想像…出来ないよ)」

律「ちなみに相手は聡じゃないぞー」

澪「じゃあ誰が…」

律「あたしです
  ほら、カチューシャ外せばそれっぽく見えるじゃん」

澪「!!!」

澪「(前髪おろした律、久しぶりに見た…)」

律「どーよ!」

澪「うん…かっこいい」

律「!」

律「…だ、だろ?
  じゃあ早速出かけるぞ!」

澪「わ、急に手を引っ張るな!」

律「という訳でやってきました映画館!」

澪「なんかいつも通りだな」

律「だが今回は違うぜ?
  なんたって今日観るのはラブストーリーだからな」

澪「…珍しいな、いつもの律なら背中がカユイとか言って観ないのに」

律「今日は愛する恋人とのデートだからな
  澪のために道中、色々考えてきたんだ」

澪「こっ、恋人…///」

律「そう、今のあたし…じゃないや
  今のオレは澪の恋人だ!」

澪「律が…恋人…」

律「ほーら、始まっちゃうから入るぞ」

澪「う、うん(なんか新鮮だな///)」

律「良い席取ろーぜ」

澪「休みなのに人が居ないな」

律「うーん、映画外れ引いちゃったかな」

澪「…律と一緒ならなんでも良いよ」

律「(お…ちょっと積極的に///)」

律「じゃあ折角だし一番前に座ろう」

澪「うん」

~~~~~~~~~~

律「(やっぱラブストーリーは苦手だぁ…!集中して観れない…)」

律「(澪は…真剣に観てるな…光に照らされた横顔が可愛い)」

澪「…」

律「(もう辛抱たまらん…手…握るくらいなら良いよな)」

律「(よしっ)」

澪「!!!!」

澪「(り、律が私の手を握ってきた!)」

澪「(なんか本当に恋人みたい…
  ドキドキする…映画に集中できない…)」

律「(なんか澪の手…震えてる…嫌だったかな)」

澪「…!///」

律「(と思ったら、強く握り返してきた!?)」

律「(暗いのに澪の顔が赤くなってるのがハッキリ分かる)」

律「(澪の大きい手…)」

律「(小っちゃくて律の可愛い手…)」

律澪「(あったかいな…)」

~~~~~~~~~~

律「終わった…」

澪「あまり頭に入らなかった…」

澪「いきなり手を…握ってくるなんて」

律「だって澪が可愛すぎるんだもん」

澪「よ、よくそんな恥ずかしいこと言えるな!」

律「本当のことだよ
  澪、すげー可愛かった」

澪「か、可愛…///」

律「ははっ、さぁ次はご飯でも食べようか」


―――

律「ファミレスにやって来ました!」

澪「デートって言う割には所帯染みてるな
  てっきりフレンチレストランとかそういうのかと」

律「今月ピンチでして…」

澪「…冗談だよ
  律と一緒ならなんだって良いって言ったろ?」

律「お、おう(なんかあたしが押されてる?)」

店員「ご注文はお決まりですか?」

澪「この冷製パスタを」

律「オレはハンバーグとライスとポテトと…
  お、たこ焼きなんてのもあるのか」

律「じゃあたこ焼きにデザートにイチゴパフェを!」

澪「頼みすぎだ!」

律「いーの、いーの
  やってみたいことあるんだー」

澪「何をする気だ…」

~~~~~~~~~~

店員「ではごゆっくりどうぞ」

律「いっただきまーす」

澪「いただきます、残しても知らないからな」

澪「(ん、このパスタ美味しい)」

律「みお、みーお、ほらたこ焼き」

澪「なんだ?」

律「あーん、して?」

澪「!!!!!」

澪「あ、あ、あ、あーんて!?」

律「恋人なんだし良いだろ?」

律「…ダメか?」

澪「(う、上目遣い!可愛いやらかっこいいやら!)」

澪「た、食べる!」

律「よしゃ!はい、あーん…」

澪「あ、あーん…むぐっ」

律「美味しい?」

澪「…美味しい///」

律「だろー?じゃあ今度は澪がオレに食べさせて」

澪「わ、私もやるのか?」

律「だからたくさん頼んだのさ!」

澪「そういうことか…」

律「澪早く、早く、あーん」

澪「(周りの目が恥ずかしい…///)」

澪「ほ、ほら!」

律「んぐっ!熱!あっつい!らにもハンバーグりゃなくても!」

澪「わー!ごめん律!み、水!

澪「お、美味しかったなーはは」

律「口の中ひりひりする…」

澪「本当ごめん…」

律「別にいーよ、気にすんな」

澪「でも…」

律「そんな顔しない!澪には笑ってて欲しいの」

律「オレはどんな澪の顔も好きだけど
  やっぱり澪の笑顔が一番、好きだよ」

律「だからさ、笑ってくれよ」

澪「…ありがと律、ふふっ」

律「あ、歯に青のり付いてる」

澪「っ!馬鹿律!!!」

律「お次はショッピングだ!」

澪「あそこのデパートの三階の服屋、リニューアルしたらしいぞ」

律「澪がご所望とあれば行かねばなるまい…」

澪「なんだそのキャラ」

律「りっつごー!」

~~~~~~~~~~

律「あれ、あんまし変わってなくね?」

澪「そんなことないよ、ほらこの夏物のワンピースなんてどうかな?」

律「(うわ、胸元ざっくりじゃんよ…本人は意識してないんだろうなぁ)」

律「(今だけは私の中の女としての本能が嫉妬の炎で燃え上がっても許される)」

澪「…律、どこ見てるんだお前」

律「こっちのなんてどーだ?」

澪「うーん、ちょっとイメージと違うかな」

律「んじゃコレは?澪のイメージカラーであるブルーのスカート!
  似合うと思うぞー、お値段もお手ごろ!」

澪「わぁ…可愛い!」

律「今、ご注文すれば金利手数料は全てリツネット田井中がご負担致します!」

澪「どこの社長だ!」

澪「ほら貸してくれ、試着してみるから」

律「ほい、いってらっしゃい!」

律「…」

律「(なんか彼女の試着を待ってるって…良いな///)」

律「今カーテン開けたら、下着姿の澪が居るのかな…?」

澪「…もうスカート穿いたよ」

律「わぁ、澪!?こ、心を読むんじゃない!」

澪「思いっきり声に出てたぞ!恥ずかしい…」

律「これには深い訳が…って…」

律「おお…」

澪「…あまりマジマジと見るな///」

律「すげー似合ってる!」

澪「…本当?」

律「ホント、ホント!可愛いぞ澪!
  オレの目に狂いは無かった!」

澪「私、コレ買ってくる!」

律「オレが買ってあげるよ!」

澪「いーよ、そこまでしなくても
  財布がピンチじゃなかったのか?」

律「うっ」

律「確かに…い、いや!
  やっぱり買ってあげる!」

律「大切な彼女へのプレゼントだ!」

澪「た、大切…/// でも」

律「こーゆー時、男はカッコつけるもんなの!
  ほら着替えて、私に貸した貸した!」

~~~~~~~~~~

澪「律、スカートありがと
  …大切にする///」

律「へへ、澪に喜んでもらえたらそれでじゅーぶんだよ」

澪「(なんか、今日の律…本当にかっこいいな)」

澪「(律が本当に男の子だったら…)」

律「うわ、外暗くなってきたな」

律「そろそろ帰るか、澪」

澪「…」

律「澪?」

澪「はっ!な、なんだ律?」

律「ボーっとしてんなよ、家に帰るぞ?」

澪「(そっか…もうデート終わりなんだ)」

澪「(まだ帰りたくない…もっと律と居たい…)」

律「…」


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最終更新:2012年07月25日 20:16