食事が進む中、
クリス「食べながらでいいから聞いてくれ。ジルからの報告でわかった点がいくつかある」
そう、ここにジルさんはいなかった。彼女はSTARSの内部調査の為に本部へ向かったのだ。
クリスさん曰く一番スパイに向いていると言うことらしい。一回私に変装してもらった時は鏡を見ている様だったのを覚えている。
クリス「ジルの話だとこのアルファチームはバイオハザードの救援活動にて全員死亡扱いとされている。」
ざわ……ざわ……
クリス「そして街の生存者
リストもなし、つまり唯や澪も死んだとされている。つまり俺達はゴーストなわけだ」
クリス「で、これからどうするかだが……俺はバイオテロ……今は打倒アンブレラの為に新しい組織を作ろうと思っている。名はBSAA。」
レベッカ「BSAA……」
クリス「抜けたいものは抜けてくれて構わない、ただ奴等に殺された者の為……平和な世の中を作り出したいと言うやつは俺と来い」
しばらく沈黙が続いた、みな困惑していると言う感じだ
だがその沈黙を打ち破ったのはやはり彼との絆が強いバリーだった。
バリー「お前とは腐れ縁だからな…、どこまでもついて行くぜ相棒。」
クリス「バリー…」
レベッカ「私も行きます。クリス一人じゃ心配だから」
クリス「ありがとうレベッカ」
ブラッド「ヘリの操縦士は必要だろ?それに洋館での借りを返さねぇとな!」
クリス「ブラッド…。」
和「……。せっかくの良い流れなんだけど私は遠慮しとくわ。クリスやみんなの為になってあげたいのは山々だけれど…私には他の目標があるから」
クリス「あぁ、お前はそう言うと思ったよ。戻るんだろ?S.T.A.R.S.に」
和「えぇ。だからここでお別れね、みんな」
バリー「今まで楽しかったぜ嬢ちゃん」
レベッカ「またいつかお会いしましょう」
ブラッド「お前さんの両親によろしくな!」
唯「和ちゃん…」
和「自分で決めた道なの、ごめんね唯。そうだ、唯もS.T.A.R.S.に来ない?澪も」
唯「わっわたしが?!」
澪「えぇっ?!」
和「えぇ。あなた達素質あると思うわ。それに唯達には危ないクリス達とあまり一緒にいてほしくないのよね」
クリス「おいおい」
唯「私は……、私も自分の足で歩きたい」
和「唯……」
澪「私も唯と同じ意見だよ。確かにもう普通の生活に戻るのは難しいのかもしれないけど…だからって夢まで諦めたくない」
まだ、みんなとライブする夢は諦めたくなかった
和「……そ、わかったわ。お互い自分の目標の為に頑張りましょう」
和「じゃあそろそろ行くわね。」
バリー「近くの駅まで送ろう」
和「ありがとう、バリーさん」
クリス「大丈夫か?」
和「私は元々そこにいたから大丈夫よ。普通に脱出したって言えば復職出来るでしょ」
クリス「まあS.T.A.R.S.の狼がそう簡単にくたばるとは上も思ってないだろうがな。」
和「やめてよその呼び方。それを言えばあたなも同じでしょ?」
クリス「あぁ、死んだ扱いにしたいだけだろうな。だからこそ復職するなら気を付けろよ…和」
和「えぇ」
唯「またね!和ちゃん!きっとまた会おうね!今度遊びにいくから!」
和「ふふ、唯も元気でね」
澪「本当に色々助けてもらってありがとう、和」
和「こちらこそよ澪。律と会えるといいわね」
澪「うん!」
彼女に伝えるべきか、それを迷いに迷って結局伝えられなかった。私は弱い人間だから…ごめんなさい、澪
和とバリーが別荘を出て話題は唯達のこれからに移る
クリス「自分の足で…と言ったが具体的にはどうするつもりだ?あの街にはもう戻れない…それにあまり目立った行動をすれば…」
アンブレラに捕まる、と言う意味だろう。クリスは二人には自分の側にいてほしいと思っていた。
あの惨劇を生き延びたと言っても彼女らはまだ子供だ、意思のないゾンビならともかく意思のある人に狙われれば逃げられないだろう
アンブレラの工作員はプロだ、人一人誘拐するなど容易い
もう赤の他人ではない、クリスにとって唯と澪も立派な仲間なのだ
澪「私は……律を探します。家族のこともどうなったかとか気になるけど…あの中じゃ多分生きて…。」
それから先は口を紡ぐ。敢えて言わなかったが皆わかっていたことだった。
恐らく自分の家族はみんなゾンビになり今頃は爆撃によりこの世にいないだろうと…。
澪「でも私律のことは諦めてません!約束したから…必ず生きて会うって。」
クリス「そうか、まあ澪はしっかりしてるからな。大丈夫だろう。」
唯「えっとー私は~」
クリス「唯、お前は駄目だ」
唯「えっ!?」
クリス「1ヶ月色々見てきたが危なかっしいにも程がある。」
唯「え~」
レベッカ「言い過ぎよクリス!確かに唯はなかなか起きないしすぐこけるしアイスばっかり食べてるけど…」
ブラッド「おいおいレベッカも相当言ってるぞ…」
クリス「唯、お前はどうしたいんだ?」
唯「私は……もうあんな悲しい事を起こしたくないから…」
澪「唯……」
唯「憂や他のみんなみたいなことはもう嫌だから。誰かを守る為に誰かが死ぬなんておかしいよ…」
澪「……」
クリス「なら、俺達と来い、唯。それが一番の近道になる筈だ」
唯「私は…一人で、自分でやってみたい。このままみんなに甘えたら…憂や…みんなに助けてもらった意味がないから」
澪「……唯」
クリス「そう…か。そこまで言うなら無理強いはしない。自分の思う通りやってみろ。でも困ったことがあったらすぐ言えよ」
唯「ありがとうクリスさん!」
澪「また色々落ち着いたら連絡するから」
唯「私も~」
クリス「あぁ。二人とも気を付けてな」
唯「あ、でも!」
クリス「ん?」
唯「夜ご飯は食べて行くよ~」
レベッカ「クス、唯らしいわね」
クリス「はあ…全くだ」
多分これから私達は後悔し、苦労をするだろう。今までは家族に支えられ、仲間に支えられ……一人で生きて行くのはこれが初めてなのだから
でも雛鳥はいずれ一人で飛び立たなくてはならない、そして今がその時、私達は今、巣を飛び出して行く───────
闇の大海へと、
ただ、とめどなく
あれから2ヶ月経った、けれど…私の骨は全くくっつかないらしくいつまでもギブスは外れないままでいた。
律先輩達はアンブレラ…あの惨劇を引き起こした張本人を倒す為にこの街を出ていった。
律先輩はこう言ってくれた
律『梓はゆっくり怪我を治して…それからは自分のやりたいように生きるんだ。梓に…危ないことは似合わない』
ただ、安全に暮らせ…と
私も俺さんの敵を討ちたかったのに…しかし今の状況では足手まといにしかならないのはわかっていた
そんなある日、医者の人に言われたのだった。
医者「どう言うわけか君は人より何倍も再生力が落ちてるみたいなんだ…原因はわからない。この骨折も普通成長期ならもう治ってもいいくらいなのに…」
梓「えっ…ってことは……私…治らないんですか?ずっとこのままで…」
医者「いや…治らないわけじゃないんだが……このままだと何年かかるか…。それにこれからは怪我をするだけでも命に関わるんだ。」
医者「例えばカッターで手を切るだけでも……傷の塞がるのが遅いために致命傷になりかねない。君の体は今それぐらい危ういんだよ……」
梓「そ……んな…」
目の前が霞む…。
せっかく俺さんやクレアさんや和さんに助けてもらった命なのに…このまま…何も出来ない終わるなんて…絶対嫌っ…
──────なら、アナタは健康になりたいんデスネ?
梓「えっ……?」
医者「あっ……あなたはまさか!」
「ワタシにまかせなサーイ」
「ギョギョギョ」
医者「ダイジョーブ博士!とその謎の助手!」
ダイジョーブ博士「君はどうなりターイのデスカ?」
梓「えっ…あの…」
あの光景が思い浮かぶ──────。
俺『あぁ、必ず迎えに行くよ────』
梓「っ…………」
俺『このタイラント…別に倒してしまっても構わんのだろう?』
俺『妹の分もお前は生きろっ!』
俺さんはどんな時でも強く生きてた…だから!
梓「私も!私を強くしてください!」
強くなって俺さんの敵をとるんだ
ダイジョーブ「グーーーレイトォォォォォ!!!スバラシイ!私が必ずやアナタを強くシマース!」
助手「ギョギョギョ!」
医者「大丈夫何だろうか……」
こうして梓はダイジョーブ博士の手術を受けることとなった…。
ちなみにダイジョーブ博士の手術成功確率は、6割だった
私は強くなる…死んでしまったあの人の為にも…生きて戦っている…あの人の為にも。
紬「……」
ピッ……ピッ……
無機質な心電図だけが響く部屋のベッドに紬は横たわっている。
周りには何もなくただ白を基調としたがらんどうな部屋
その部屋に一点の黒い姿があった。
「お嬢様……」
紬「……」
ピッ……ピッ……
「私はいつまでもお嬢様を待っております……。紬家……いえ、お嬢様の家臣として」
白く冷えた紬の手を握る。
嘗てはあれほどに暖かさを保っていた手がこうも冷たくなってしまう……
斎藤「お嬢様……」
アンブレラを潰すと決めた日から、クレアと別口でアンブレラの事を調べつつそれはもう毎日毎日レオンと拳銃の訓練に明け暮れていた。
レオン「リコイルの強い銃を片手で扱いたいならまずその衝撃に慣れろ。体で覚えるんだ」
律「でもも~肘がパンパンだよ……やっぱりコルトを片手ってのは無茶があるのかなぁ~」
以前律は紬邸で軽々とコルトを片手で乱射していたがあの時以来そんな荒業は出来ず……
律「んー……」
パァン!!!
律「…っつ!」
片手で撃つとどうしても軸がぶれ狙い通りの所へ撃てないでいた。
そもそもコルトパイソンやデザートイーグルの様なマグナムは片手で撃つ代物ではなかった。
リコイル(反動)が大きく狙いもつけにくい、威力は高いものの命中精度は低い為に実用で使う人は少なかった。
大の大人でも片手で撃てば腕を痛める代物を女子高生の律が扱うのは端から見れば無謀としか見られない
律が片手撃ちにこだわるのはもう片方に更にS&Wを持つという馬鹿げた発案の為だった。
レオン「(聞いた時は何を考えてると思ったが…どうやら素質はあるらしい。あの舘での狙撃は確かに凄かったからな。今は見る影もないが…)」
レオンはモチベーションによる変化くらいなものだと思ってこの変化を気にも止めなかった。
律「うぉぉぉぉ!」
パァン!パァン!パァン!パァン!
────────。
銃を教えアンブレラの情報を集め……そんな毎日の繰り返し……。
そんなある日の一日だった。
レオン「律、ちょっと買い物付き合ってくれ。」
律「別にいいけど何買うんだ?」
レオン「何をって弾薬と食料以外何があるんだ?」
律「ですよね~」
レオン「日本で弾薬を手に入れるのは苦労するんだからさっさと上手くなることだな律」
律「嫌みか!」
確かにレオンは何でも出来た。射撃から料理炊事まで何でもござれだった。
あっ、洗濯は別々だよん
街中─────。
レオン「在庫が余ってたのか安く買い叩けたな。まあ年落ちのコルトなんかみんな使わないだろうな」
律「いいんだよこれで。むぎからもらったこの銃は…私の大切な宝物なんだから」
レオン「そうか…。」
ドンッ
レオン「っと、すまない」
少しよそ見をしていたレオンにガラの悪そうな男がぶつかって来た。
ガラの悪い男「あぁん?ごめんだぁ?謝る前に出すもんあんだろ?コラ」
レオン「何だ?ぶつかったぐらいで金でも取る気か?」
ガラの悪い男「金はこちとら腐るほどあんだよ!」
男の左右には派手そうな女もおり鬱陶しそうにレオンを睨んでいる。
女A「ねぇこんな奴ほっときましょうよ「男」~」
ガラの悪い男「いや、このいけすかねぇ野郎を一発ぶん殴らなきゃ気がすまねぇな!」
女B「あら~でもいい男じゃない彼。顔も私好み…」
ガラの悪い男「けっ、こんなヒョロイガキのどこが!見ろよこいつの女www胸も全くねぇただのガキじゃねぇかwwwモテねぇやつは可哀想だな本当www 」
律「イラッ☆」
律「このブ男言わせておけ─────」
すっ──とレオンが手で静止する。
レオン「(こっちは拳銃持ってるんだ…見つかって下手に騒がれたら警察行きだぞ)」
律「(でも……!)」
レオン「(まあ俺に任せな)」
そういうとレオンは、
ぐっ……ぎゅっ
律「えっ」
律の肩に手を回し自分の胸に引き寄せる。
レオン「いくら胸がでかかろうがお前さんの女は顔がお粗末過ぎるんじゃないか?俺はこいつみたいな美人が好きなんでな生憎。まあ量じゃ質には勝てないぜ?」
ガラの悪い「なん(ry」
女A.B「ですってぇぇぇぇ?!」
ガラの悪い「え?あの…俺のセリフ……」
女A「ムキー腹が立つわねこの男!」
女B「もう行きましょっ!こいつの顔見てるだけでイライラしてきたわ!」
そう言って先に歩いて行く二人
ガラの悪い男「ま、待てよー!」
タッタッタッタッ……
レオン「ふぅ、何とかなったな」
律「…………あの」ドキドキ
レオン「ん?あぁすまなかったな」
腕を外す前にレオンが律の肩をポンポンと叩く
律「……あの…さ…さっき言ったことって…冗談…だよな?」アセアセ
レオン「冗談?何のことだ?」
律「……さっきの…好きとか何とか…」モジモジ
レオン「俺は世辞や冗談は好きじゃないんでな。さっき言ったことは本当さ」
律「……えっ?」ボンッ
一気に顔が赤くなるのが分かる。いや駄目だ駄目だ私には律が…じゃない澪が……
レオン「もう少し自分に自信を持ったらどうだ?髪下ろして女らしくしたら似合ってると思うが」
男の人にそんなことを言われたのは初めてだった。
いつもそんなポディションからかけ離れてて…前髪上げて男らしく振る舞って…
可愛い、とか、綺麗、とかは澪や唯やむぎに当てはまってて…私は…羨ましかったのだろうか
律「……似合ってねーし…」
レオンには聞こえないように小さくそう呟いた
今までは全く意識していなかったレオンを意識し始めたのはこの時からだった。
確かにレオンはかっこよく頼もしいし優し…いかは微妙だけど
律「(フラグ立ちまくりなやつだよな~)」
でも何となく自分には相応しくないと思っていた。レオンにはもっと大人の女の人…エイダがぴったりだ!
美男美女!丁度いい!
でも何だろう…この気持ちは
妙に意識してしまう…。
でも…何だかしっくりこない
最終更新:2010年03月05日 02:22