それは注射器型になった試験管、中には先ほどの紫色の液体が入っている。

ウィリアム「ならば見せてやろう……私の研究の成果を」

その激薬を───、
自らの体に流し込んだ

ハンク「身内を殺るのは少し気がひけたが仕方ない。これも任務だからな」

USS隊員B「ハンク、もうじきヘリが着くそうだ。また死神の生還記録が伸びたな!」

ハンク「言っているのも数えているのも他の連中だろう。俺は一言も言った覚えはない」

U.S.S.のハンクと言えばアンブレラ内ではかなりの有名人だった。数多くの任務をこなし尚且つどんな難易度の任務だろうが完遂し、生きて帰って来ることからついたあだ名が「死神」

任務難易度SSSを5度も生きて完遂した男は彼しかいない。

ハンク「それに今回は生き残って当たり前の任務だ。数に入れる様なものじゃない」

隊員C「やっぱり気にしてるじゃないですか~」

ハンク「ふん……」

隊員A「無駄口はここまでにしとこうや。目標のポイントまで移動するぞ」

一同「了解」

そう、簡単な任務の筈だった……

『ウ゛オオオオオ』

あの雄叫びを聞くまでは─────。

隊員B「なんだあの声は…」

隊員C「新型のBOWじゃないっすか~?ほらウィリアム博士って悪趣味で評判だし」

隊員A「……少し見てくる。一緒に来てくれ」

隊員B「了解」

ハンク「二人で大丈夫か?」

隊員A「何、少し様子を見に行くだけさ。10分して戻って来なかったら来てくれ」

ハンク&隊員C「了解」

そう言って二人は声のした方へ行った。

隊員C「大丈夫っすかねぇ」

ハンク「問題ない。さっき俺の話を持ち上げて来たやつ、あいつもU.S.S.トップ5に入る実力者だ」

隊員C「まじっすか!?人は見かけによらないっすね」


隊員A「この辺りか…」

声のしたところについたがそれらしき姿は見えない。

隊員B「一体何だったんだ。まあいい、戻るぞ」

そう踵を返した時だった

「ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!」

隊員A「なんだこの化物は…!」

隊員B「いいから撃て!撃て!」

ババババババ!!!

「ウゴォォォ!」

カラシニコフがまるで豆鉄砲かのように突っ込んできやがる!

隊員A「ファイア!ファイアァァァ!!」

ウオオオオオ!

ぐしゃっ

隊員A「ノォォォォ」

隊員B「ちくしょぉぉぉぉ!!!」

その頃ハンク達も異変を感じとり現場へ向かっていた。

ハンク「まさかウィリアム博士のやつとんでもない置き土産を俺達にプレゼントしてくれたらしいな」

隊員C「あんの変態悪趣味やろうめ!」

声と銃声がした方へ走る二人。

隊員C「何が悲しくて下水道を走り回らなきゃならないんだっての!」

ハンク「喚く暇があるならαやγにも無線入れておけ!」

隊員C「りょーかい!」

─────。

ハンク「この辺りの筈……!」

行き止まりの壁には二人の死体……いや、もうそれは残骸に近かった

隊員C「こいつは酷い……。」

ハンク「やはりB型装備なのが祟ったか…。どうやら簡単な任務だとなめていたらしい。ウイルスの持ち帰りが最優先事項だ、目標ポイントまで走るぞ」

冷静かつ迅速に指示を出す。彼が今まで生き残ってこれたのはこの冷静さたる所以か

隊員C「はい…。でもハンクさん……妙なんすよ」

ハンク「妙?」

隊員C「αともγとも連絡が取れないんです……」

ハンク「まさか……。」


『ウ゛オオオオオ!』

隊員C「この叫び声は…!」

ハンク「奴か!」

ハンク「近いな…。恐らくαもγもあいつにやられたとみて間違いないな……」

隊員C「どうします!?」

ハンク「B型装備じゃ歯が立たないことはこの二人が証明してくれている。ここは逃げるぞ!」

隊員C「了解!逃げるのだけは得意なんすよ自分!」

ハンク「頼りにしてるぞ」

───────。

あれからどれぐらい走ったか、そろそろ後どれぐらいだ?と聞こうとした時に奴から話しかけて来た

隊員C「すいません」

ハンク「なんだ?」

隊員C「道どっちでしたっけ?」

ハンク「5.4.3……」

隊員C「発砲カウントやめてくださいwwwごめんなさいごめんなさい」

ハンク「まあ仕方ないと言えば仕方ないか…ここは迷路の様にいりくんでるからな…とにかく地上に出てみるか」

隊員C「そうっすね」

ようやくマンホールの蓋を見つけて上る。

隊員Cが先に、ハンクが後に続く

隊員C「よいしょっと……」

マンホールの蓋を開け先に地上へ出るとハンクに手を差し伸べる隊員C

隊員C「どぞ、掴まってくだせぇ。しかしここどこっすかね(ry」

喋っている途中で手を引っ込める隊員C

ハンク「どうした?」

隊員C「やっぱや~めた……」

ガリリ……

あの野郎マンホールに蓋しやがった!

ハンク「おい!何してんだ!?さっさと開けろ!」

手でマンホールを押すもどうやら踏みつけているようで開く気配がない


隊員C「残念ながら出来ないんすよハンクさん」

ハンク「貴様!いい加減に…」

『ウ゛オ゛オ゛オ゛』

ハンク「奴か!?まさかこの上に…?!おい!開けろ!死にたいのか?!」

隊員C「ここで開けて降りたらあんたが危ないでしょ……ハンクさんはウイルスを本部へ届けてくださいっす。たのんますよ……ハンクさん」

ハンク「お前……!」

新人だと思ってたらいつの間にかU.S.S.のちゃんとした隊員になりやがって……

ハンク「すまん…」

隊員C「いいっすよ!帰還記録伸ばしてくださいね!!!」

急いでウイルスを届けなくては……。

急いで階段を降りるハンク

ガキィ……

ハンク「な、なんだ…?」

ガガガ…ガシャン

ハンク「まさか」

そのまさかだった。梯子の止め金が腐っており……外れた

ハンク「ノォウ!」

まっ逆さまに落ちるハンク……。

そのまま地面に強く頭を打ち気絶してしまった……。



隊員A、B死亡地点───────。

チュウチュウ……チュウチュウ

緑の液体にネズミが群がる……それをTウイルスとも知らずに



────────。
唯「ようやくついたね~もう真っ暗だよぉ」

澪「思ったより遠かったな…。唯、警察署の場所知ってる?」

唯「知らないよ?」

澪「何でさも当たり前の様に知らないよ?って……仕方ない、あそこで聞こう。」

澪はバーらしき店の前で車を止める。

澪「唯はちょっと待ってて、すぐ戻ってくるから」

唯「わかったぁ~気を付けてね澪ちゃん!」

コクリと軽く頷いて車のドアを閉める。

澪「しかし人気のない街だな…まだそこまでの時間じゃないんだけれど」

カランカラン…

澪「Hello」

澪「誰かいませんか?」

バーは静まりかえっておりカウンターにも人はいない。

澪「店の人もいないのかな…。電気はついてるし扉も開いてたから閉まってるわけじゃないと思うんだけど…」

がさっ…

澪「ん?」

あっちの方で音がしたな…

澪「お店の方いませんか~?お~い」

ガササッ

澪「誰かいるの?」

カウンターの奥の奥へ進むと……しゃがんでる人を見つけた

澪「あっあのお店の人ですか?ちょっと聞きたいんですけど……」

「ウゥゥ……」

ぐしゃっ……ぐしゃ


まさか……ゾンビ…?!

澪「あの……?」

「ウゥゥァ!」

どうやらお食事中だったのか機嫌悪そうに澪に向かって来る。

食べていたのは、人間

澪「ゾンビ……?何で…。」

「ウゥゥ……」

じり、じり…とにじりよってくるゾンビ

澪「食事の邪魔したなら謝るから……ちょっと待って……」

澪もそれに応じて後ろへ下がる


ドンドンドン

澪「ひいぃっ」

気づかないうちに外はゾンビだらけになっている。壁がガラスなのでまるわかりだ!

澪「そんなこと言ってる場合じゃない…出口は…」

振り返ると裏口発見


一気に振り向きゾンビに背を向け裏口へと走る澪


タッタッタッタッ!

ドアノブを掴む

ガチャ

澪「はっ……!」

「Get Down」

扉を開けた先には拳銃を構えた誰かがいた。

聞き取れていないと思ったのか彼女はもう一度だけ言った───────。










「伏せろ、澪」

パァン!パァン!パァン!

「ちっ……きりがないな。こっちだ!」

澪「えっ?あの!」

手を引かれるままに走る澪

澪「あの!友達があっちの車にいて」

「わかった。」

方向を変え車の方へ走る二人、もう手は繋いでいない

澪「(唯にそっくりな人……)」


「へ~る~ぷ~み~」

澪「この声は!」

車はゾンビに囲まれており少し開いた窓から唯が助けを求めていた
しかしこう言っては悪いが本当に助けて欲しいって気持ちはあるのか……まるでそれが感じられないぬけた声だった。

「唯らしいな」


澪「?」

「銃は持ってる?」

澪「あっ…車の中…です」

「これ使って援護して」

そう言って彼女は腰にあるマシンガンのような物を澪に渡す

澪「はい……」

デザートイーグルしか撃ったことないから使い方がわからない……なんて言えない


「じゃあ行くぞ!」

両足につけているレッグホルスターから2丁の拳銃を抜く、右は銃身が少し短く左はそれよりも長い。

ダッ

一気に駆けていく──────


まず近くにいたゾンビ二体に右の拳銃で正確に頭を撃ち抜く。その二体が倒れる前に車を囲っているゾンビ達に向かって左の銃で発砲

距離があるのにも関わらず綺麗に頭を吹っ飛ばして行く───。

他のゾンビに発砲しながら接近する。
残り一体……銃で仕留めるかと思いきや彼女は銃を二つとも落とし腰から素早くナイフを抜きすれ違い気味に首を切断する……

ごろりと落ちるゾンビの首を見てようやく気がつく澪

この間何秒だろう、数えてなかった

澪「す…凄い」

でも何で最後ナイフで…


そう言えば援護するの忘れてた…

慌て彼女に駆け寄る

澪「あの…何も出来なくてごめんなさい」

「いいよ。みんな無事だったんだから。さ、車に乗って」

澪「はい!あの、気になったんですけど何で最後ナイフを?」

「両方とも装填数が6発で最後の一体の時どちらも残弾0だったんだ。一々距離を取って戦うよりナイフで戦った方が早いなって。それだけ」

澪「は…はあ……」

私とは次元が違う…きっとSTARSの人とかなんだろう…


唯「澪ちゃぁん怖かったよぉ~!」

澪「ごめんな唯…でも仮にも警察官ならもう少し頑張ろうな」

唯「うん…」

「話は後にしようぜ。早く車を出してくれ」

澪「あぁっごめんなさいっ」

ブゥゥン

急いでアクセルを踏みつけて発進する。

唯「ほえ?誰…?」

澪「私や唯を助けてくれたんだ。唯は車の中にいたから何がなんだかわからなかっただろうけど」

唯「そうなんだ!ありがとうございます!あれ?何か私にちょっと似てる!」

澪「私も思った!」

「そうかな?」


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最終更新:2010年03月05日 02:28