少し前、ガソリンスタンド──────。
「クソ!噛みつきやがった!ふざけやがって!」
噛みついて来た野郎を蹴つり飛ばしトラックへ乗り込む
「二度と来るか!」
急いでトラックを出す運転手
「くっ……」
「しかし痒い……腕が取れちまいそうだ!」
警察署だ、警察署へ行こう
噛みついたやつを訴えてたっぷり慰謝料請求してこんなトラックの運転手なんてやめてやるからな!クソ!本当に今日はついてない
───────。
「で、二人は何でここに?」
唯「私はここの警察官です!」
澪「私は知人を探しに来ました。」
「……無茶しやがって……」
唯「?」
澪「あの、あなたはSTARSか何かの人ですか?」
「違うよ。私はただの一般人」
澪「嘘だ!!!」
「……?」
澪「ごっごめんなさい……つい。」
「それで行ってもらいたいところがあるんだけど……」
プップー
澪「どうやらそうもいかないみたい」
バックミラーを見た澪が更にアクセルを吹かす
車オープンカーだった
\(^0^)/
唯オワタ
開閉式のやつで閉めてたって脳内設定よろしく
澪「みんなシートベルトをして!飛ばすから!」
唯「警察官なら着用当たり前だよ澪ちゃん!」
「いきなりどうした?」
澪「後ろから来るトラックの運転手、明らかに正気じゃない。ここは一本道で道幅もあまり広くないのに入って来るなんて……」
「なるほど…乗ってる最中に感染したのか」
唯「どんどんこっちに来るよ!」
澪「曲がるから掴まって!」
キィィィ!!!
車を横にしながら曲がり大通りに出る。
澪「上手くいった!」
「いや!追ってきてる!」
民家を壊しながら無理矢理曲がってくるトラック
唯「ターミネーター2みたい!」
澪「のんきなこと言ってる場合じゃ……あれ?!」
車がみるみる減速していく。よく見ればガソリンの貯容量を指す針がEを振り切っている。
ガス欠だ
澪「そう言えばずっと入れてなかった……」
唯「どどどどうする?!車止まっちゃったよ!?」
それを好機と見たか意識がないのか容赦なく突っ込んで来るトラック
「車を!!」
それだけで皆わかったのか即座に車を出る。左側に乗っていた運転手の澪と彼女は左側へ
助手席に乗っていた唯は右側から
その瞬間─────。
ドゴォォン
トラックが突っ込み澪の車吹っ飛ばしながら横転、中のガソリンに引火し辺り一体を巻き込み大爆発を起こした。
「間一髪か……けどこれじゃあっち側に回るのは至難だな…。」
澪「お~い!ゆい~!無事か~?」
『何とか~!そっちもも大丈夫~?』
澪「こっちは大丈夫!こっからじゃそっちに行けないからどこかで落ち合おう!」
唯『どっかって~?』
「この先に警察署がある!そこで落ち合おう、唯!」
唯「わかったぁ!気を付けてね二人とも~」
澪「それはこっちのセリフだぞ~!」
そう言えばさっきの言い方……
赤々と燃え上がる炎に照らし出されようやく顔がしっかり見えた。
前髪のせいで気づかなかったけど……もしかして……
「気づくのが遅いよ、澪」
澪「そう言えば…名前…」
一番初めに澪って呼ばれた。自然すぎて気づかなかったけど
ということはもう一人しかいない─────。
「これでわかるか?」
前髪をかきあげこっちを見る姿は、まさしく私がずっと探していた人物…
田井中律だった
唯「さっきりっちゃんに呼ばれた様な…気のせいかな?」
とりあえず警察署に行かなきゃ!
唯「それにしても澪ちゃん失礼だよね!私は市民を守る警察官なのに」
そんな頼りないかなぁ…私って。
唯「え~と拳銃拳銃…はっ!車の中だった!困った……まあ何とかなるかぁ~」
唯「とりあえずあのお店に行こう!誰かいるかもしれないし!」
唯「あのぉ…ごめんくださ」
「フリーズ!!」
唯「へ?プリーズ?」
「フリーズ!!!」
唯「(カウンターからボウガンを突きつけてくる人への対処法……対処法……なし!どうしよう…)」
「ジャパニーズか?」
唯「こうなったら……」
やるしかない!
音楽に国境は関係なーい!
唯「うんたん♪うんたん♪」
手拍子をしながら近づく
「ワァッツ?!ウンタン?」
唯「うんたん♪うんたん♪」
更ににじりよる唯
顔は満面の笑み
寧ろこの状況下ではゾンビより怖い
「ウンタン……ウンタン……」
唯「うんたん♪うんたん♪」
「オーうんたん!最高!ベリベリナイスね!」
唯「てへへ//」
─ ──────
∨
唯「(きっとこんな感じに……)」
ちらっとボウガンの方を見てみると
「ウンタン……ウンタン……」
今にも発射しそうな形相で唯を睨み付けている。
唯「これはまずい」
ので大人しく両手を上げ後ろを向く。
唯「日本語わかりますか?私はゾンビじゃありません!撃たないで!」
「……」
「少しならシャベレル。すまなかったな」
唯「わかってもらえればいいんです」キリッ
唯はボウガンの人に向き直る。
唯「あの、ここは一体どうなって…」
「待て」
カチャカチャ
しっかりと鍵をかける
「わからない、いつの間にかゾンビだらけだ。ユーは?」
唯「こほん、わたくしラクーンシティの警察官、
平沢唯と言います」
手帳…手帳…
唯「なくしちゃった…」
「警察官か、見えないな。しかし見たところ日本人みたいだが」
唯「留学研修で明日からだったんです…だから正式には違うんだぁ…じゃない違うんです」
「また大変な時にきてしまったな…。まあここなら安全だ、奥で少し休むといい。後でこれからのことについて話そう」
唯「ありがとうございます!」
とりあえず奥の椅子に腰を落ち着ける
唯「むっ!」
木箱の上にハンドガンの弾発見!
唯「今は拳銃ないけど持っておこうっと。」
仮にもここは銃を扱うお店、その商品であるハンドガンの弾を取ると言うことは盗む、と言う警察官にはあるまじき行為になるのだが…。
唯「♪」
唯は気にせず取った
ガシャンガシャン!
「な、なんだ?!やっやめろ!あっ……アーッ」
ぐしゃぐしゃぐしゃ……
唯「おじさーん!!!」
ガラスを突き破って来たゾンビ達に揉みくちゃになれながら食われて行く名も知らぬおじさん……。
誰もが思っただろう、戸締まりの前にショーウインドウを何とかしろと
「ウゥゥ…」
ぐしゃっぐしゃっ
ゾンビ達はおじさんを食べるのに夢中になっている……今はハンドガンの弾しかない…ここは悔しいけど逃げるしかない
唯「おじさん…かたきを取れなくてごめん…」
奥のドアゆっくりと近づきひっそりと開け銃SHOPを後にした。
そこから何体ものゾンビを掻い潜りようやく警察署についた。
唯「一本道で良かった…。澪ちゃん達はまだかな…。」
ここで待つのも怖いし、中にまだ生きている人がいるかもしれない。
私は警察署の中へ足を踏み入れることにした
────────。
体を包む風がこんなにも気持ちいいと思ったのは始めてだ
暗いハイウェイを人が高速で移動する
走っているわけでも何かに乗ってるわけでもない。
彼女の靴には車輪の様なものがついておりそれがこの高速移動を可能にしている。
時速にして60キロ程か、ただのスケート靴で出る速度ではない
二つに縛った髪が風で激しく揺れる。
「幸せは~歩いて来ない~♪」
ピリリ、ピリリ
「はい、こちら梓」
『ご機嫌のところ悪いネー。調子はドウカナ?』
梓「いいですよ!手足もちゃんと動きますし博士のロケットシューズも問題ないです」
ダイジョーブ博士『ソーデスか!それは良かった。外装も済まさない内に出ていくから心配してたんデスヨ?』
梓「ごめんなさい博士。でもバイオハザード起きたって聞いたら居ても立ってもいられなくて…」
ダイジョーブ博士『その為にあなたは強くなったのデショウ?なら自分が成すべきことをやりなサイ』
梓「……はい!」
ダイジョーブ博士『あぁ、後あれは一日に三回以上使わないでクダサーイ』
梓「あれですね。わかりました」
梓「間もなくラクーンシティに着きます」
ダイジョーブ博士『恐らく毎度のことジャミングがかかってるデショウ。頑張ってクダサーイアズサ』
梓「ありがとうございます博士」
もしかしたら先輩達がいるかもしれない……。
いや、それは考えすぎか。ここはアメリカの郊外だ
いるわけがない……
梓「今は人命救助が最優先…」
ラクーンシティが見えてきた。
俺さんからもらった命で、そして私の力で、今度こそみんなを守るんだ
鉄が剥き出しの左手の義手、右足の義足に目を落とす。
こうまでして守りたかった本当の人は、今はもういない
──────。
澪「りぃぃぃぃつぅぅ~!!!」
律「お、落ち着けよ澪。」
澪「律律律律りつぅ……」だきっ
律にしがみつきながら泣きじゃくる澪、律はそれを優しく撫でる
澪「心配したんだから……」
律「それはこっちもだよ澪。とにかく警察署へ行こう。唯が心配だ」
澪「うん……」
感動の再会にしてはちょっと物足りないけど…確かに唯も心配だ
私達は歩きながら話すことにした。
律「しかしまた何でアメリカに?」
パァン!
澪「…笑わない?」
パァン!
それにしてもゾンビが邪魔だ
律「笑わない笑わない」
澪「ほんとぉ…?」
律「ほ、ほんとにほんと(萌え萌え~キュン)」
澪「実は私念写が……」
律「ははは!いつからそんな冗談言うようになったんだ澪は」
澪「……律のバカっ!」
律「冗談だよ。何となくそんな気はしてた。そうか…澪は念写か…」
澪「まさか…律も?」
律「うん……。まあね」
澪「唯は予知夢みたいなこと言ってた…。これってやっぱりウイルスが関係あるのかな?」
律「さあこればっかりはわからないよ。」
澪「変な言い方だけど律はどんなことが備わったの?」
律「私は能力って言うのかな…まだよくわかんないんだよ。まあちょっとやって見せた方が早いか」
律は自分の6発式のコルトの弾を一発だけ抜き取った。
シリンダーを戻しそれを勢いよく回した後こめかみに持って来る。
澪「こらっ!危ないだろ?めっ!」
律「めっ!て…子供か私は。いーから見てろって。今このコルトには6つの弾倉の中に5発弾が入ってる。つまり弾が出る確率は5/6」
澪「律……?」
律「それを5回引き金を引く」
澪「バカっ!!何言うかと思ったらそんな危ないことさせられるわけ……」
カチ
撃鉄を下ろす
律「一回目」
カチ
澪「ひいっ」
またシリンダーを回し撃鉄を下ろす
律「二回目」
カチ
澪「やめっ」
律「三回目」
カチ
澪「えっ……」
律「四回目」
カチ
弾が……出ない
律「五回目」
カチ……
とうとう5回をやりおえてしまった
澪「……弾は?」
そう言われると律はシリンダーから弾を取り出す
1.2.3.4.5……確かに5発……
律「これが私の能力。レオンはAs possible lucky、゛可能な限りの幸運゛って呼んでた」
澪「゛可能な限りの幸運゛……?」
律「わかりやすく言えば1%でも死なない可能性があるならその確率を選択し続ける能力らしーよ。さっきのは確かに死ぬ確率の方が高い、けど死ぬ確率は5/6。死なない確率もあるから死なない」
澪「なら6発入ってれば…」
律「間違いなく死ぬよ。弾が発射される確率は100%だから。」
澪「律……変わったな」
律「そうか?」
澪「こんな怖いことを平然とやるなんて……」
律「澪達と別れてからの二年間で変わっちゃったのかもな……私も」
澪「と言うかレオンって?そこ詳しく」
律「え~と…何て言うか…兄貴的存在みたいな!」
澪「答えになってないんだけど?」
律「と言うか澪には関係ないだろー?」
澪「」ムカッ
澪「そうだな、全く関係なかったよ。さあ唯が心配だから急ごっと」
少し早足になる澪
律「何だよ澪ー!怒ってんのか?」
澪「別に?怒る理由何てないし」
律「じゃあその突っかかるような態度やめろよ」
澪「それは人それぞれ解釈の取り方じゃない?私は怒ってないから」
律「勝手に言ってろ!」
澪「……」
律「……」
さっきの感動の再会の時とは打って変わって険悪なムードが辺りを取り巻く。
澪「(何でこんなことで喧嘩してるんだろ…)」
律「(二十歳で大人になったってのにこんなことで喧嘩してちゃ駄目だな…)」
澪「あのさ…」
律「うん」
澪「ごめん」
律「私も」
澪「ふふ……」
律「はははっ」
喧嘩するのもいきなりだが仲直りするのもいきなり二人だった
律「レオンは前の時に私を助けてくれた命の恩人のことだよ。打倒アンブレラの為に今は一緒に行動してるんだ。勿論やましいことなんか一つもないぞ!」
澪「そっか…。良かった」
律「何が良かったって~?澪ちゅわん?」
澪「何でもないっ//」
そう話してるいる内にR.P.D.警察署前に到着。
距離にすると迂回した澪達の方が遅かった筈だがそこに唯はいなかった。
律「唯まだ来てないのかな?」
澪「先に中に入ってるんじゃないか?外は危険だからって」
律「そだな。とりあえず入ってみるか」
最終更新:2010年03月05日 02:29