梓「大丈夫ですか皆さん?私は第七救援隊所属の中野梓……って……律先輩?それに唯先輩に澪先輩まで……!」

律「梓……か?」

唯「あずにゃん……あずにゃんだー!!!」

澪「梓……やっぱり生きてたんだ……!」

「ハアアアアア……」

蹴り飛ばしされたピンク色の化物が起き上がろうと……

律&澪&唯「ちょっと「少し」「邪魔だから」黙ってろ「て」「ね」」

三人が容赦なく引き金を引くと起き上がったばかりのピンク色の怪物はまた地へ伏した。

唯「あ~ず~にゃ~~~ん!」

大好物を見つけた猫の様に容赦なく梓の小さな体に抱きつく唯

梓「ちょ、唯先輩っ!やめてください」

澪「今日は最悪な日だけど最高の日だ!」

律「しかしまさか梓だなんて……ん?」

梓「……」

梓はみんなから左手が見えない様に背を向ける。義手、義足なのを一番見られたくなかった人達に見られた……

梓「こんなの……気持ち悪いですよね。人間じゃないですよね…。」

軽蔑されるだろう、何でこんなことにって

聞かれるだろう、何があったかって

そして可哀想な目でみんなに見られるのだろう

唯「おかえり……あずにゃん」

唯は泣きながら……

澪「おかえりなさい、梓」

澪は目に涙を溜め

律「おかえり、梓」

律は笑顔で

まず彼女の帰りを祝福してくれた────。

梓「何……いっ…て…るんですか?…ここは家でも……ましてや部室でも……ないのに…」

でもそう言われた時…本当に私は帰って来たんだと思えた。

帰れるところは家、場所、思い出だけじゃない。

人そのものが帰る場所にも成りうるんだと……梓はこの時身に染みて理解した。


梓「皆さんも無事で本当に良かったです。律さんとは1年10ヶ月振り、唯先輩達は二年ぶりですね。」

唯「あずにゃんは相変わらず小さくて可愛いねぇ!このこのぉ」ぎゅうぎゅう

梓「……いいんですよ、気にせず言ってください。逆に気を遣われた方が辛いです」

律「梓は聞いて欲しいのか?」

梓「えっ」

澪「梓、大体の理由は言わなくてもわかる…。でもそれについてこの中で責める人はいないよ。」

律「んだ!」

唯「あずにゃんはあずにゃんだよ!」

梓「皆さん……」


しかし梓はこの体のことを話すことにした。体の治癒力が落ち骨と骨が引っ付かなくなったことやダイジョーブ博士のこと。
それから辛いリハビリをしようやく動かせるようになったこと。
見えないけれど肋などにもボルトで固定してる部分があり自分半ばサイボーグだと言うことも全て全て話した。話したかった。
この人達なら自分の全て受け止めてくれると確信していたからだ。

澪「梓……辛かったな」

律「(梓にはそう言う形で発現したのかもな……一体原因は何だろうか…)」

唯「あずにゃん……」

梓「唯先輩さっきから泣いてばっかりです」

唯「一人であずにゃん耐えて泣けなかった分私が泣くの……。その時側で支えられなくてごめんね…あずにゃん」

梓「その言葉だけで十分です…。」

唯先輩は昔も今もやっぱり暖かかった。

律「さて、そろそろ行くか。私達の置かれた立場を考えるとあまりグズグズしてられない。この街の状況がどれぐらい知られているのかはわからないがまた爆撃とかされたらたまらないからな」

澪「そうだな」

梓「?あれ?皆さん脱出しないんですか?」

澪「律がここに用事があるんだってさ。それを私は手伝ってる。唯は警察署内の生存者を助ける為に、だから一緒に動いてるんだ」

梓「なるほどです…。と言いますかそもそも何で皆さんがここにいるのかとか色々聞きたいですけど…そうも言ってられませんね。私も協力します。話は追々に」

澪「ありがとう梓」

律「梓が入れば百人力だぜ!」

唯「あずにゃんがいれば萌え度もアップだぜぃ!アンドロイド萌え~」

梓「変わってませんね唯先輩」

澪「あ、やっぱりそう思うよね」



ファイル02 激突

ラクーンシティ上空

STARS隊員A「本当に一人で行くんですか少佐?」

少佐「あなた達じゃ足手まといにしかならないもの。」

隊員A「すみません……」
隊員B「申し訳ない……」
隊員C「もっと罵ってください」

少佐「冗談よ。でも本隊が来るまでは空中で待機してた方がいいわ。今回は今までとレベルが違うから」

隊員A「はっ!」

少佐「本隊が来たら合流して。じゃあ」

隊員A「気をつけてください、和少佐」

和「えぇ。」

そう言うと和はヘリを飛び出した

隊員B「ってパラシュートもなしに飛んでったぞ!?」

隊員C「少佐アアアアアアアア!!!今自分が助けに行きますから!!」

隊員B「バカか!今更追い付けるわけないだろ!今頃きっと地面にぶつかって御陀仏さ」

隊員C「S.T.A.R.S.Xチームもこれで解体か……まだアメリカに来て一回目の任務なのに…」

隊員A「あぁ、お前ら最近入ったんだっけ。大丈夫だよ、あの人の刀は特殊なんだ」

隊員B「あのマイケル13号とか言う刀が?」

隊員C「実は俺マイケルって名前なんだ!つまり俺と和少佐は常に一緒…」

隊員B「お前病院いけ」


地面まで残り1000mくらいね……高そうな建物は……あれね。

ラクーンシティで一番高い建物、ラクーンタワーに目をつけ角度を調節する。

残り800……。そろそろか

和は腰に携えている刀を抜くと柄に裏側についているボタンを押す。

勢い良く飛んで行った剣先、それはラクーンタワーの外壁に突き刺さる
その剣先からは鎖が伸びておりそれは柄と繋がっている。

それで落下の衝撃を落とす、が、その程度でこの落下の勢いを殺せるわけがなく剣先がタワーから抜け落ちまた落下を開始する。
少し勢いを殺したに過ぎない。


和「……」

和は柄のボタンをもう一度押すと鎖が柄に引っ張られ剣先が戻ってくる。

そして戻ってきた剣先をもう一度飛ばす

さっきよりタワーに根強く刺さりこみ地面残り5Mで……和の体は宙に浮いた。

和「いくらパラシュートがないからって無茶し過ぎたかしら…」

鎖を徐々に伸ばしつつラクーンシティに降り立つ。

柄のボタンを押し剣先を回収し、剣を鞘にしまう

和「死ぬかと思ったわ……」

まずはここのS.T.A.R.S.と合流を目指しつつ人命救助に当たる…


和「律…あなたはまた来てるの…この死地に」

────────。

律「やっぱり誰もいないな」

唯「みんなやっぱりゾンビになっちゃったのかな……」

澪「わからない……。」

梓「これは…」

作戦報告書──────

警察署内にてバイオハザードが発生、それに対し我々はバリケードを作り対応するも突破される。
ピンク色の怪物に何人も同胞を殺された

我々はあの怪物をリッカーと名付けることとした。

これをもし読んでいるやつがいるのならこれだけは言っておく

ここは、地獄だ

地下の下水道から脱出を試みたやつが何人かいたが無事脱出出来ただろうか
───────。

梓「みんな地下から脱出を試みたみたいですね…。さっきの怪物はリッカーと言うらしいです」

律「地下もあるんだな。広そうな警察署だ」

澪「みんな何か飲む?ちょうど自動販売機もあるし少し休憩にしよう。お金なら少しあるから」

律「ドル札か?」

澪「そうだけど?」

律「それ札使えないってよ。札入れるところが故障中って書いてる」

澪「嘘ぉ!?はあ……不幸だわ」

梓「ジュースが飲みたいんですか?なら……」

梓が自動販売機の前に立ち左手で掴んだ後軽く引く。

ガタン!

鍵も使わず自動販売機が開きそこからジュースを数本取る梓

梓「コーラで良かったですか?アメリカの飲み物ってどれが美味しいのか知らなくて」

澪「あ、うん。ありがとう」

律「その小さな体のどこにそんな力が……」

唯「あずにゃん!!」

唯が真面目な顔をしながら梓に歩み寄る。

澪「あっ…(そうか現行の警察官がいたんだった…。)」

律「おっ、お説教か~?」

梓「あ、あの……」

唯「めっ!わかった?」

梓「ごめんなさい…」

唯「じゃあ私もコーラ♪」

澪「甘い警察官だな~」

律「全くだ」

律「で~どうする?頼みの綱の作戦会議室がもぬけの殻とはな」

梓「地下へ行きましょう。下水道から逃げたとありますし途中で生存者の方と会えるかもしれません」

澪「こうやってても仕方ないからな。行こう」

唯「そだね。」

澪「唯、地下へ行く道はわかる?」

唯「う~ん…確か地下駐車場から犬舎を通った所のマンホールから下水道に繋がっていたと思う!」

澪「よく覚えてるな…。で、その地下駐車場の場所は?」

唯「……、忘れちゃった」

律「肝心なところをまた……」

梓「大丈夫ですよ。ここに署内案内がありますから」


作戦会議室を出て地下駐車場を目指す。その間出会うのはゾンビやリッカーばかりで一向に生きた人間と出会えずにいた。

ガチャン、鍵がかかっているようだ。
───鍵穴の上にハートのマークが描かれている───

律「また鍵かよ~。ここ本当に警察署か?」

澪「スペードにダイアにハートか……この分だとクラブもあるのかな」

唯「う~……つ~かれた~…」

梓「皆さんはここで休んでてください。私が探して来ます」

唯「あずにゃん疲れないの~?」

梓「はい、歩いてないので」

律「今ほどそのスケート靴を羨ましく思った」


澪「もう二時間は歩きっぱなしだからな…」

律「じゃあ私と梓で手分けして探すか」

梓「わかりました。じゃあ先行きますね」

そう言うと梓は地面を滑り扉の向こうへ消えて行った。

律「次クラブが見つかったら唯達が探すんだぞ~?」

唯「は~い……」

澪「わかった。ごめんな律…私が体力ないばっかりに…」

律「こんなのレオンの訓練に比べたら朝飯前さ。じゃあ行ってくる。ここらにはもう来ないとは思うけどゾンビには気をつけてな」

澪「うん」


───────。

律「は~見つからないな。スペードやダイヤは意外とすぐ見つかったんだけど…。鍵がありそうな所…」

そう言えば初め入った部屋に鍵が沢山掛けてあったな…。

律「行ってみるか」

───────。
ロッカールーム

初めマービンがいた部屋に戻って来た律
エントランスホールからは鍵がかかっていたので、ダイヤの鍵を使い押収室を通りここへ戻って来たのだ。

律「マップ見てもしかしたらと思ったらここに繋がってたんだなぁ~。」

ビービービー

腰につけている無線機が鳴る。対バイオハザード様の特注品だ

律「はいよ~」

レオン『目的の品は見つかったか?』

律「いーや。でも澪達と会った」

レオン『澪?あぁお前の友達か。良かったな』

律「別に…ただの足手まといだよ。」

レオン『おいおい酷い言い種だな』

律「さっさとGウイルスを回収してこことおさらばしようぜ。」

レオン『わかった。また連絡する』


律「はあ……」

「ウォァ……」

律「ん?あぁ、マービンか。ゾンビになっちゃったんだな」

「ウォォ!」


パァン!!

律「ゾンビなんかに用はない……」

頭が痛い…。

破壊…殺戮…この沸き上がる気持ちは…何だろう。

律の目が紅くなる……。

律「うぅ……」


バタン……

律はその場に倒れ込み気を失った。

──────。
唯「みんな戻って来て良かったね…澪ちゃん」

澪「後むぎが戻って来れば軽音部復活だな。律の言ってたライブが現実を帯びて来たよ」

唯「あずにゃんギターひけるかな」

澪「大丈夫、梓はがんばり屋さんだから」

唯「澪ちゃん…りっちゃんのことどう思ってる?」

澪「律のこと?昔からの友達…かな」

唯「本当にそれだけ?」

澪「どう言うこと?」

唯「私はりっちゃんのこと大好きだよ。」

澪「それってまさか……」


唯「でも……今のりっちゃんは嫌い」

澪「唯?」

唯「前はあんな風に合わせて笑ったりする人じゃなかった。自然に本当に楽しいから笑ってた。でも今は合わせて笑ったり冗談言ったり…あんなのりっちゃんじゃないよ」

澪「そう…なんだ…」

そんなこと全くわからなかった。一番律を近くで見ていた自信があったのに

私にはそんな気配すら感じられなかった


唯「りっちゃんどうしちゃったんだろ……」

違う……律は変わってない。いつもみたいに私を気遣ってくれて…笑いかけてくれて

違うのは、お前だ

澪「変なのは唯の方じゃないか」

その一言を告げてしまった─────。

唯「えっ……」

澪「律は私達を気遣ってこうやって私達を休ませて自分は鍵を探しに行ってくれたんだぞ?それを何だ…嫌いだとか好き勝手に!」

唯「澪ちゃん落ちつ(ry」

澪「落ち着いてなんかいられるか!」

違う……悪いのは唯でもない…わかっているのに

唯「澪ちゃんにはわからないんだ…じゃあいいよ。この話はおしまいにしよ」

澪「おしまいにしよ?ふざけないで!あれだけ好き勝手言って分が悪くなったら逃げるの?律は悪くない!悪くない……」

唯「……私…聞いちゃったの。トイレに行くときに…澪ちゃんのこと鬱陶しいって呟いてたの…。りっちゃんが大好きな澪ちゃんのことをそんな風に言うと思う…?」

澪「!!!」

パシッン──────


ついに私は唯に手を出してしまった。
今までどんだけ喧嘩しても手だけはあげたことなかったのに…
あっさりと破られた


頬を抑えたまま止まっている唯、何があったかわからないと言った表情をしている。

澪「あ……ごめ……」

唯「いいの……私が言い過ぎたから。気にしないで澪ちゃん」

そうニコリと微笑んだ唯。私はその笑顔の本当の意味も知らずにただ安堵していた。

上辺だけの謝り、上辺だけの心配や優しさ…世の中にはそれしか溢れていない

今はそんなことばかり考えてしまう─────


怒らないの…?

怒らないよ

なんで?

澪ちゃんは私の大切な友達だから

でもあなたを叩くようなやつだよ?

それは私が怒らせるようなこと言ったから

でもそれは本当のことだよね。

本当のことでも……


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最終更新:2010年03月05日 02:33