言えばいいじゃない、全部。不満も、苦しみも、悲しみも、彼女にぶつけてすっきりしようよ?
うるさい……
叩き返してやりないよ?
うるさい……!
殺したいって、思ってんでしょ?
思ってない!!!
梓「鍵ありましたよ~!クラブですけど。あれどうかしました?」
唯「……何でもないよぉあずにゃん」
澪「……別に」
梓「そうですか……ならいいんですけど」
律「お~い鍵あったぞ~」
梓「お疲れさまです律先輩。でもどうしましょうか……私のクラブの方も気になりますね。」
唯「あずにゃん!」
澪「律」
唯「一緒に行かない?」
澪「一緒に行こう」
梓「え?」
律「へ?」
唯「私はあずにゃんとクラブの鍵の方へ行くの」
澪「律は私と地下駐車場を目指そう」
梓「まあ……確かに効率はいいですね。またあっちに鍵とかあったら困りますし。私は構いませんけど律もいいですか?」
律「嫌も何もないさ。どっちみち行くのはこっちだから私はこっちへ行くよ」
梓「わかりました。じゃあ行きましょうか唯先輩」
唯「よろしくねぇ~あずにゃん!」
そうして唯が澪に通り過ぎる時
唯「──────ね」
澪「えっ……」
そうして二人は歩いて行った。
律「こっちも行くぞ、澪」
澪「う、うん……」
唯はこう言った
ごめんねと
ここから梓&唯パート、律&澪パートに別れます。
A、梓&唯パート
梓「唯先輩澪先輩と何かあったんですか?行った時と帰って来たときで雰囲気がだいぶ違いましたよ?」
唯「あはは……ちょっと澪ちゃんと喧嘩しちゃって。でも私が悪いの、りっちゃんを嫌いだとか言うから」
梓「唯先輩も気づいてたんですね。確かに律先輩は昔と全然違います…。昔はもっと心から楽しんで物事と行う人だったのに今じゃ全部他人事みたい…」
唯「梓も感じてたんだ…じゃあ気のせいじゃないんだね…」
梓「人間は良くも悪くも変わります。特に律先輩はアンブレラにレオンさんと一緒に敵対して叩き回ってるって噂ですし…きっと辛いことがあったんですよ。この二年間に」
唯「あずにゃん……」
梓「はい?」
唯「大人だ……。」
梓「私ももう19ですから」
唯「お酒もタバコもできない未成年のくせにぃ」
梓「どっちもしないので関係ないです」
唯「あずにゃんは……優しいね。私もそんな考え方が出来てたら…澪ちゃんと喧嘩になったりしなかったんだろうな…」
梓「今はみんなカリカリしてるんですよ。あまり気にしないでください」
クラブの鍵を使う緑のドアが近づく……
カチャリ……キィ……
梓「この部屋は……なんでしょうね」
床には用紙が散乱し部屋の奥の壁には三つオブジェがある。
唯「この部屋は知らないかなぁ……。何するところなんだろ」
梓「この絵に何かハマってますね…歯車?ん~力ずくで取ったら歯車の形変えちゃいそうです。やっぱりあの仕掛けが…」
唯「あずにゃ~んこの種火にを灯せばいいみた~い」
梓「ライター持って…」
唯「あるよ!何かの役に立つかなって思って借りてきた」
梓「借りたと言うより完全パクリですよね。」
唯「ちゃんと返すもん!」
種火に火をつける
どうやらこれで右のオブジェに火が行くらしい。
梓「どうすればいいんだろ…」
唯「ナイトは姫を守り、そして最後に王を討つ…。って書いてる」
梓「ってことはジャック、クイーン、キングの順に火をつければ…」
全てのオブジェに火が灯り後ろでカランカランと乾いた音がした。
きっと歯車が外れたのだろう。
梓「早く帰りましょう。二人が心配です」
唯「そう…だね!」
そうして二人が歩いて行き歯車を拾いあげたその時───────。
ドゴォォン!!!
「スターズ……」
唯「……あぁ…」
唯は思わず尻餅をついてしまった。
黒っぽいコート着ており首から背中にかけて紫の触手の様なものが覆っている。
頭を一回割った様に切れ目が入っておりそれを無理矢理縫い付けている。
唯「駄目だ……殺されるよ……」
レベルが違う、これに比べればタイラントなんてまだ生ぬるいものかもしれない……
梓「……くっ。」
震えながら尻餅をついている唯と歯車を見る梓。
梓「(同時に回収して逃げるなら……やるしかない!)」
「スターズ……」
尻餅をついている唯に殴りかかろうとしたその刹那────。
梓「゛トランザム!゛」
梓『トランザム?』
博士『そう!まあこれは私の趣味でつけた機能なのだがネ。いつか使わなければならない日がくるデショウ』
梓『どう言う機能なんですか?』
博士『君の身体能力を一時的に5倍に引き上げるんダ』
梓『5倍?!それは凄いですね』
博士『だがこれは君への負担も大きい。無理矢理繋ぎ止めている体だからね、一日限界は三回までデース』
梓『三回ですか……』
博士『くれぐれも多様しない様にお願いしますよ梓サン』
梓の体が熱を帯び過ぎたせいか赤く発光する
黒いコートの大男が振りかぶり、振り下ろした所までは確かに唯はいた─────。
ここからはコンマ0秒で時が進む
唯に拳が当たる1.2秒前に梓は唯を抱える。
それから0.2秒で歯車を拾いあげ
更にそこから0.6秒後にはその部屋にはいなかった。
ぶんっ!
「!?」
さっきまでいたものが一瞬にしていなくなり大男も混乱していた。
梓「っつぅ……」ビクン……ビクン……
たった5秒発動させただけで体が言うことを聞かない。
手も足もプルプル震えて立つことも出来なかった。
プシャアアアァァァ
オートで義手と義足が開き熱を一気に外へだす。
博士のやつ何て機能をつけたんだ……
唯「あ…あれ?ここは……エントランスホール?あずにゃん?!大丈夫?大男は?!」
ようやく状況把握を開始した唯に介抱される梓。唯にはまさしく時が止まったと思っただろう
梓「多分……しばらく大丈夫だと……思います。」
だが追跡者の異名は伊達じゃないことを思い知らされることとなる
「スターズ……!」
リッカーがいた部屋とは反対方向のドアを吹っ飛ばしエントランスホールにまで現れる追跡者。
梓「……嘘…」
唯「…うぅ」ガタガタ
怖いけど……
唯「あずにゃんは私が守る!」
追跡者に拳銃を向けながら奮い立つ唯
今度は守るって何回も何回も何回も何回も言って来たじゃない!
さっきは何があったかわからなかったけどきっとまた助けられた、あずにゃんに。
だから今度は私が守るから、あずにゃん
唯「さあ来い!」
「スターズ……」ドス…ドス…ドス…
追跡者「スターズ!」
猛ダッシュで唯との距離を積める追跡者。
唯「くらえっ!」
パァン!パァン!
二発確実に体に直撃するも……
通常の警察官が装備している様なベレッタごときでその勢いは全く止まらなかった。
追跡者「ウォォォ!」
ぶんっ!
拳を横にスイングし唯に叩きつける
ゴキッ……
唯「あ……ぁ……」
その余りの威力に何mか吹っ飛ばされる唯
梓「唯先輩!!!この!゛トランザム゛!」
もう一度使おうとするも発動しない
梓「何で……トランザム!トランザム!トランザム!お願い!動いてよ私!」
追跡者「スターズ……」
動けない梓は危険がないと認識したのか構いもせず倒れ込んでいる唯に向かって歩き出す追跡者
梓「トランザムトランザムトランザムトランザムトランザムトランザムトランザムトランザムトランザム!」
何度も何度も言うが発動しない……体も動かない……
梓「やめろ……ぉ……」
這ってでも止めようと何とか唯のところへいこうとする梓
追跡者「……」
追跡者は倒れている唯の首を掴み片手で持ち上げる
唯「うっ……ゲホッ……ヤメテ……」
苦しそうに両手で何とか手を外そうとするも全くびくともしない
追跡者「スターズ……」
追跡者は更に唯腹をその拳で思い切り打ちつける─────。
唯はまた紙の様に吹っ飛ぶ……。次はもう動いていない、ピクリとも
梓「ゆい……せんぱ……い?」
唯「」
梓「ゆ……い、ゆいぃぃぃ!」
追跡者は更に歩き出す。唯向かって───
梓「殺してやる殺してやる殺してやる……」
追跡者に持ち上げられた唯はぐったりしており手もダランとぶら下がっている。
追跡者はそんな唯に自らの首辺りに渦巻いている触手を動かし、それを唯の肩に突き刺した─────
ドォォォォォン!
だが次の瞬間にはその巨体は吹っ飛びエントランスホールの壁にめり込む
梓「それ以上汚い手で唯先輩に触るな」
梓の体はまた赤く発光していた
追跡者「ウォ……」
梓「早く来なよ、来ないならこっちから行きますよ?」
そのセリフを言い終わると同時に消える────。
加速した一撃が追跡者の鳩尾に決まる。
余りの衝撃に音が遅れて来る様に感じる
梓「まだまだぁ!」
拳に力を入れる……
梓「これは唯先輩のぶんっ!」
顔を殴り付ける、その衝撃で追跡者の顎の辺りが陥没する
梓「これも唯先輩の分っ!」
更に殴ると顎辺りの肉が吹っ飛ぶ
梓「これも……唯先輩の分!!!」
最後にまた顔を殴り付ける────
だが最後の一発は、トランザムが強制的に切れた力のない一発だった……。
終わった……。
何もかも、結局私は誰も守れず死んでいくんだ……体をこんなに改造しても結果は同じ、こう言う強さじゃなかったんだ。
じゃあどうすれば良かったのだろうか……
どうすれば……唯先輩を救うことが出来たのだろうか……
今の私にはわからない。
ただ、瞼が重くなる……
諦めるには少し早いな梓───────
声が聞こえた
勝てる勝てないの問題じゃない、戦いは負けを認めた時点で負けとなる─────
懐かしい
ならば負けを認めず何度でも立ち上がり相手が諦めた時、それもまた勝利となる─────
俺さんの…声……?
その声に急かされゆっくりと瞼を開く梓。
そこには誰よりも高く、誰よりも大きい、誰よりも強い背中があった
俺「待たせたな!梓!」
梓「え……」
何事もなかったように彼はまたそこへ立っている。
俺さんの特注のスターズの制服が風もないのに靡く
俺「今はただ寝ていればいい、奴は任せろ。自分で撒いた種は自分で刈り取る」
梓「俺……さん……約束……守って……くれ……た」
また瞼が重くなる、念願の人に会えたのに…どうして……
でも、不思議と恐怖はなかった
だって今私の目の前に立っている人は、誰にも負けないのだから──────
B
律&澪編
澪「この階段を降りれば地下駐車場みたいだ」
律「あぁ」
澪「暗いからちょっと怖い……」
律「そうか」
澪「……。」
唯の言ってたことが気になった。
唯『澪ちゃんのこと鬱陶しいって……』
律がそんな風に私のこと思ってるわけがない……。
きっと唯の思い違いなんだ…そうに決まってる。
澪「律、そう言えば…」
律「澪……ちょっとうるさい…。今は考え事してるから黙ってくれない?」
澪「うん……ごめん……」
そのまま無言で地下への階段を降りて行く二人
トサ、トサ、トサ、
地下へ降りた瞬間何かが歩くような音がする。
律「澪、ケルベロスだ。銃を」
澪は黙って頷きデニムの腰の辺りに無理矢理ねじ込んでいたデザートイーグルを取り出す。
道は左右に別れており道端も狭く、また地下の為に明かりも暗い。
最終更新:2010年03月05日 02:36