ピンポーン♪
憂「あれ、お客さんかな?」トタトタトタ
憂「はーい・・・あっ、澪さん」
澪「あけましておめでとう、憂ちゃん」
憂「おめでとうございます!澪さん、今年もよろしくお願いします」ペコッ
澪「うん、よろしく」ニコッ
唯「澪ちゃん!? あがってあがってー!」トタトタトタ
澪「あけましておめでとう、唯。今年もよろしくな」
唯「えへへ、よろしくね、澪ちゃん」
唯「澪ちゃん、今年のお正月は親戚の田舎に旅行じゃなかったの?」
澪「それが・・・その、私だけ早めに帰ってきたんだ」
唯「ええっ。どうしてさ、もったいないよ~」
澪「あの・・・会いたかったんだ//」
唯「ふぇっ!? み、澪ちゃん・・・澪ちゃんが私のことそんなふうn」
澪「待て唯。おまえは今、大変な勘違いをしようとしている」
憂「澪さん、ひょっとして、ミニゆいちゃんたちに・・・?」
澪「う、うん。その、唯たちのところに妖精さんが来たって聞いて、居ても立ってもいられなくなったんだ」
唯「そうなんだぁ。じゃあじっくり遊んでってよ~」
憂「今、お茶煎れてきますね」トタトタ
澪「悪いな、憂ちゃん。じゃあ、あがらせてもらうね」
澪「それで、妖精さんたちは・・・」
ミニうい「ウインウイン♪」パタパタパタ・・・
唯「お、ミニうい~、よしよし。澪ちゃんだよ~」
澪「よ、妖精さんっ! 飛んでる・・・本物の妖精さんっ///」プシュ~ドサッ
澪「あっ、澪ちゃん!?」
憂「お茶が入りまs・・・澪さんっ」ドタドタ
唯「澪ちゃん、だいじょうぶ~?」
憂「お茶を飲んで、気分を落ち着けてくださいね」ススッ
澪「ふう・・・」
憂「どうかな・・・澪さん、少しは楽になりましたか?」
澪「ああ、ありがとう憂ちゃん。唯も悪いな」ズゾゾ
唯「澪ちゃんは、妖精に憧れてたんだね」
澪「うん・・・まさか、この目で見ることができるなんて、夢みたいだよ」
唯「ミニゆいちゃん、ミニういちゃん、出ておいで~」
唯「澪ちゃん、この子がミニゆいだよ~」
ミニゆい「ユインユイン♪」
憂「この子が、ミニういちゃんです」
ミニうい「ウインウイン♪」
澪「うん・・・うんっ! 初めまして妖精さん。
秋山澪ですっ」ボウッ
唯「ね、この子たち、私たちにそっくりでしょう」
澪「うん、そうだな。やっぱりツガイの妖精なんだな」
憂「ツガイって、夫婦のことですよね?」
唯「夫婦? 澪ちゃん、この子たちは女の子だよ?」
澪「うん、見た目はね。妖精たちは中性だから、人間のような男女はないんだ」
唯「えっ、そうなの?」
澪「ああ。だけど、雄と雌の違いはある。仲のいいツガイの妖精は、雄と雌が常にいっしょに行動するんだよ」
憂「澪さん、詳しいんですね」
唯「さすが澪ちゃんだよ、ムギちゃんでもそこまでは知らなかったよ!」
澪「いや・・・私は昔からそういうの好きで、本をたくさん読んでたからな」テレッ
澪「・・・」ジィッ
澪「ほら、ミニゆいとミニうい、だっけ? 羽根の形をよく見てみろ」
唯「んんー・・・同じに見えるよ?」
憂「ちょっとだけ違うよ、お姉ちゃん」
憂「ミニゆいちゃんは、輪郭が丸い感じ。ミニういちゃんは、少し角張ってるかな?」
澪「うん。たぶん、ミニゆいは雌、ミニういが雄だな」
唯「んんー、どっちも同じに見えるよぉ」
澪「まったく、唯はもうちょっと落ち着いて見ないからだ」
唯「ちぇー、澪ちゃんも憂もわかるのに、私だけぇ?」
澪「ふふっ。唯、月夜になったら、外でもう一度見てるといいよ」
澪「月光を受けて淡い桃色が滲んで見えるのが雌の羽根」
澪「銀色の小粒が浮かんで見えるのが雄の羽根だよ」
唯「へえ・・・夜空を飛ぶミニゆいたち、きれいだろうねぇ」ウットリ
澪「まだ見てないのか。もったいないな」
憂「この子たち、空を飛んだのは今日が初めてなんです」
澪「えっ・・・そうか、じゃあこの子たちはまだ若い妖精なんだな」
憂「はい、家に来た頃は言葉もほとんど喋れなかったんですけど」
唯「もうずいぶん話せるようになったし、空も飛べるもんね!」
ミニゆいうい「ユインユイン♪」「ウインウイン♪」プワーン
澪「ツガイの妖精は、何年もかけて仲良くなって、少しずつ成長するって聞いたけど」
澪「まだ若いこの子たちが、こんなに仲がいいなんてな」
唯「ふふー、この子たちの仲の良さは、私と憂譲りだもんね、憂」ダキッ
憂「う、うん//」
唯「その分きっと、この子たちの成長も早いんだよ」
澪「そうかもな。唯と憂ちゃんを見てると、そんな気がしてくるよ」
唯「ねえ澪ちゃん、このあと私たちと一緒に初詣に行かない?」
澪「初詣か、いいな。でも、お邪魔じゃないかな?」
憂「大歓迎ですよ。よかったら、ぜひ!」
澪「じゃあ、そうさせてもらおうかな」
唯「うんうん! 大勢の方がきっと楽しいよ」
□□□
□□
□
唯「マフラーあったかいなぁぁ」ポカポカァ
憂「ふふっ、良かった」
唯「ほら、ミニゆいもミニういもお入り~。憂のマフラーあったかいよぉ」
ミニゆい「ポカポカ~」
ミニうい「アッタカ~」
唯「さすがに神社は、人がいっぱいだねー」
澪「お正月は、何万人も来るからなぁ」
憂「お姉ちゃん、はぐれないように気をつけてね?」
唯「だいじょうぶだよ、憂の手しっかり握ってるから~」ギュ
憂「うん。この方があったかいしね」ギュ
澪「あったかい・・・って言うか暑いくらいだな、唯たちは」
唯「澪ちゃんも手、握ろうよ。ほら、こっちの手空いてるよ~」フリフリ
澪「いや・・・私はいいよ//」
憂「澪さんもどうぞ。お姉ちゃんの手、ぽかぽかですよ」
唯「澪ちゃーん、おいでおいでぇ♪」
澪「じゃ、じゃあ・・・//」ギュ
唯「やった!これでもう澪ちゃんも迷子にならないね」
澪「いや、迷子になるのは唯だけだろ」
憂「ふふ。でも、お姉ちゃんが増えたみたいで楽しいです」
澪「そうか・・・? 私も、憂ちゃんみたいな妹がほしかったよ」
唯「澪ちゃんが憂のお姉さんかぁ・・・」
唯「じゃあさ、憂は、私と澪ちゃんはどっちのお姉さんがいいかな!?」キラキラ
憂「えっ? そ、それは・・・えっと」
澪「何言ってるんだ。憂ちゃんにとってのお姉さんは唯だけだよ」
唯「え~。そうかな?」
憂「うんっ。私のお姉ちゃんは、お姉ちゃんだけだよ!」
唯「そっかぁ、えへへ」
憂(澪さんに、あとでお礼言わなきゃ・・・)
唯「私より澪ちゃんの方がしっかりしてるから、お姉ちゃんっぽいかなと思ったよ~」
憂「えっ?」
澪「唯・・・」
唯「でも、憂のお姉ちゃんは私なんだから、がんばらないとねっ」
憂「お姉ちゃん・・・」
澪「そうだな、偉いぞ、唯」ナデナデ
唯「えへへぇ」キラキラ
唯「でもさ、もし道に迷ったとしても、ミニゆいたちが私たちの上を飛んでくれれば、それが目印になるね」
澪「でもそれじゃ目立ちすぎて、よけいに人が集まってきちゃうかもな」
唯「ええ~、それは困るよぉ」
憂「私がお姉ちゃんのことみてるから大丈夫だよ、お姉ちゃん!」
唯「おぉ、さすが憂。頼りになる~♪」
澪(はは。これはこれで、いい姉妹だよな)
唯「やっと境内が見えてきたねー、長かったよ」
憂「人が多いから、いつもの何倍も掛かっちゃってるね」
澪「とりあえず、人の流れにのっていこう」
唯「了解しましたー」
憂「人も多いけど、出店も多いですね」
澪「うん。屋台がたくさん出てるな」
唯「あ、アレ美味しそうだよ! 蒜山焼きそばだって」ジュルリ
澪「ひるぜん・・・ってことは、岡山の焼きそばかな」
唯「この前TVでやってたB級グルメ大会で優勝したんだよ、きっと美味しいよ~」
憂「お参りすませてからだよ、お姉ちゃん」
唯「わ、わかってるよぉ」
「さあさ、いらはいいらはい~活きのいい伊勢エビだよっ!」ビチビチッ
憂「わっ、わっ、見てみて、伊勢海老が跳ねたよ、お姉ちゃん!」
唯「あはは、憂だって興味津々じゃん」
憂「目の前で急に跳ねるんだもん。びっくりしたよぉ」
唯「はいはい、あとでまた来ようね~」ナデナデ
憂「もう、お姉ちゃんのいじわるっ」
澪「ぷぷっ」
唯「けっこう歩いたよね、まだかなぁ」
憂「あ、あれが火除け橋かな。あれを渡ると手水舎があるよ」
唯「てみずしゃ?」
澪「うん、あそこで手を洗って、口を雪いで、神様に会う前に身を清めるんだ」
ミニゆい「オミズオミズ!」パタパタパタ
ミニうい「マッテ、オネーチャーン!」パタパタパタ
澪「あ、ミニゆいたちが」
憂「手水舎に飛び込んじゃだめー!」
ミニうい「ダメダヨオネーチャン」
ミニゆい「」シュン
澪「ふふ、いい子にしていようね」ナデナデ
ミニゆい「♪」ホワァ
唯「ほへー、あの水飲んじゃ駄目なんだね」
憂「お姉ちゃん、私のやるとおりやってね」
憂「まず、ひしゃくを右手に持って、左手を洗います」ジャパー
憂「次に、左手に持ち替えて右手を洗います」
憂「もう一度右手に持ち替えて、左手で水を受けて口を漱いで・・・」
憂「最後に、ひしゃくの柄の部分を水で洗うんだよ」
唯「ほほう。最後にひしゃくの柄を洗うのはどうして?」
澪「それは、次に使う人への配慮じゃないか?」
憂「そのとおりです」
唯「へえぇ」
憂「さ、ミニゆいちゃんたちも、手を洗おうね」
ミニゆい「オテテノシワトシワヲアワセテ~」
ミニうい「シアワセ~」
パチパチパチパチ
唯憂澪「え?」
「ナルホドネー!」「シラナカッタワー」「タイシタモンダ」
澪「み、みんな見てる///」カァーッ
唯「いやーどうもどうも。自慢の憂ですからぁ」ヒラヒラ
憂「お、お姉ちゃん恥ずかしいよ、早く行こっ」グイ
澪「それにしても憂ちゃんは、よく知ってたな」
憂「はい、偶然知る機会があったから」
唯「憂は、私たちの為に毎日神社にお参りしてくれてたもんねー」
澪「え・・・毎日?」
憂「もう、お姉ちゃん」
唯「私たちが全員そろって同じ大学に行けますようにって。毎日だよ」
澪「それって、お百度参り・・・?」
憂「近所の神社ですから、ほんとについでなんです」
澪「それにしたって、簡単な事じゃないよ」
ミニゆい「ウイアリガトー」チュッ
憂「ひゃっ」//
唯「ふふ。私の高校受験のときも、憂は毎日神様にお祈りしてくれたんだよ」
澪「私からもお礼を言うよ。憂ちゃん、ありがとう」
憂「いえ、私なんかぜんぜん・・・でも、お姉ちゃん頑張ってたから」
憂「お姉ちゃんに、皆さんと一緒に同じ大学へ行ってほしくて・・・」
ミニうい「オネエチャンノシアワセハ、ワタシノシアワセ!」
憂「」//
澪「憂ちゃんの気持ちに応えないとな、唯」
唯「うん。私の幸せが憂の幸せなら、私幸せになるよ!」
憂「うん!お姉ちゃん」
唯「大丈夫、任せて。憂のことも、ぜったい幸せにしてあげるからね」フンス!
澪「そうだな。自分の為だけじゃない。憂ちゃんを悲しませる訳にいかないよな」
憂「お姉ちゃん、澪さん・・・」
ミニゆいうい「・・・」ウトウト
澪「あ、ミニゆいたち、眠そうだね」
唯「ほんとだぁ、ふふ、2人くっついてしあわせそう」
憂「お昼寝の時間なんだよ、しばらく寝かせてあげよう」
唯「ふふ、憂の編んでくれたマフラー、大活躍だねぇ」
澪「じゃ、そろそろ行こうか」
憂「はい。人も増えてきましたし、急ぎましょう」
澪「そこの鳥居をくぐって階段を上れば、神楽殿だな」
唯「やっとだぁ・・・うわ、すごい行列だよ」
憂「神楽殿は、この正面の道をまっすぐ行くのが近いですね」
澪「でも、行列がすごいな」
唯「みんな、神楽殿に行くんだね。あそこの後ろに並ぶのかな?」
?「さぁさぁ本日も神楽殿は大行列、でも、真ん中は歩いちゃいけないなんでかな!?」
澪「・・・あれ? 唯、あの子もしかして」
?「真ん中の道は混雑してても、右の道、左の道は空いてるよぉ!!」ドンドン!
唯憂「!?」
?「人生真っ直ぐ進めばいいってもんじゃない! 時に横道に逸れた方が早いこともあるんだよ~!!」ドンドン!
「イイコトイウナー」
「ワカイノニナ」
「ワハハ」
唯「・・・エリちゃん?」
エリ「うぉっ!? 唯!? ゆーいー、なによこんなところで! あははっ」
澪「やっぱり、瀧さんだ。明けましておめでとう」
エリ「秋山さんも! あけましておめでと!」
唯「憂、同じクラスだった瀧エリちゃんだよ」
憂「初めまして、
平沢憂です。姉がお世話になってます!」ペコッ
エリ「初めまして、憂ちゃん。唯からいつも聞いてたよ、自慢の妹だって」ニコッ
憂「そ、そんなことないです//」
澪「えっと、瀧さんは、ここで何してるの?」
エリ「そりゃ見ての通り、ここの警備兵!・・・ってなんでやねーん。あははっ」
憂「警備兵・・・?」
唯「学園祭のとき、エリちゃんはつかさちゃんと一緒に警備兵やってたんだよ、憂~」
エリ「あちゃー、熱演だったのに、覚えてもらえてなかったかぁ」
憂「す、すみません」
唯「私は、木Gでしたっ」ふんす
憂「それは覚えてるよお姉ちゃん! すっごくかっこよかったよ」
澪「ふふ、唯のことはしっかり見てるんだな、憂ちゃんは」
憂「い、いえ、澪さんのロミオも、律さんのジュリエットもすごくすてきでした」
澪「はは、ありがと」
エリ「えぇー、私は!? ショックだよ憂ちゃん」
憂「ご、ごめんなさいっ」
エリ「あは、冗談冗談。唯はあのとき、気合い入ってたもんねー」
唯「地球の息吹を感じ取るのです!」木G~!
憂「それで、エリさんはここでガイドをされてるんですか?」
エリ「そそ。私って、昔から仏像が趣味でさ。それが高じて、日本古来の寺社仏閣に興味が出てきちゃって」
木G「・・・」
エリ「年始の間だけ、ここでバイト兼実益を得てるってワケ」
澪「でも、正月にバイトなんて大変じゃない?」
エリ「いやいやぁ。正月だからこそ、だよ。楽しいよ?」
木G「・・・」
澪「そっか・・・そうかもな」
憂「あ、でもアルバイト中なら、ここで話してるとまずいんじゃ・・・」
エリ「んーっと・・・」チラリ
木G「・・・」
エリ「うん、まだ休憩の時間だから平気だよ。良かったら少し案内させてくれないかな?」
憂「でも、休憩時間なら、休まないと・・・」
澪「・・・ん? 唯?」
木G「・・・」
澪「・・・木になりきってる」
エリ「いいっていいて、さ、行こっ」グイッ
憂「は、はいっ」
エリ「ほら、秋山さんも早く」
澪「あ、うん」
木G「・・・」
木G「・・・」
木G「んもおー!! 待ってよ~!」ダダッ
「ヒイッ キガシャベッタ!」
「ママ~コワイヨォ」
最終更新:2012年08月11日 22:57