幼律「みおちゃんの髪きれーだねぇ!」
幼澪「えぇっ?そんなことないょ……」
────────。
幼律「みおちゃん左利きなんだぁ!すごいねぇー!」
幼澪「えっ…あのぉ…そのぉ…」
───────。
幼律「私達ずっと友達だよ?みおちゃん♪」
幼澪「う、うん!」
───────。
ん……夢…か。
澪「ここは…」
そうだ…確か律に頭を殴られて…………、律に……。
涙が浮かんで来た…。律が私にそんなことをするなんて……。
さっき見た夢と相まってボロボロ涙が溢れる。
澪「……」
ゆっくり地面から起きあがる澪。その顔にもはや生きる気力はなかった。
澪「そうだ…死のう。それが一番いい…。こんな場所で苦しんでまで生き残る必要ないよね…」
澪は自分のデザートイーグルを取り出す。
澪「これなら引き金瞬間に死ねる…。一瞬だから痛くないよねきっと。」
自殺して律に後悔させてやるんだ。私が澪に冷たく当たったからだって
そしてみんなに一生責められ続けて苦しんで最後には私のお墓の前で頭を擦り付けながら土下座する
私はそれを悦に入って見てるんだ。
私を大切にしないからいけないんだ
澪「ふへへ…ざまあ見ろ律……後悔してももう遅いんだから」
デザートイーグルをこめかみに当て付ける。銃身はひんやりと冷たく、死の恐怖感が垣間見えた気がした。
澪「じゃあね……バイバイみんな…」
そうして澪は引き金を引いた。
───────。
梓「ん……?」
目を開けるとあの懐かしの部室だった。
澪「やっと起きたか梓」
梓「ここは…?」
律「な~に言ってんだ?我が
田井中律が部長であらせられる軽音部の部室に決まっているじゃないか!寝ぼけてんのか~梓?」
梓「部室……」
紬「余りにもあなたがぐっすり寝てたから起こさないでおいたのよ。はい梓ちゃん。あなたの分のお菓子とお茶よ。」
梓「ありがとうご……あの、唯先輩は?」
辺りを見渡しても唯の姿だけはなかった。
律「ゆい?」
澪「誰それ?」
梓「えっ…」
梓「誰って…唯先輩ですよ!」
律「だから誰だっての。知らないよそんな人」
澪「元々軽音部は4人だったじゃないか。律がドラムで、私がベース、むぎがキーボード、そして梓がギター」
紬「二人とも、梓ちゃんは寝起きだから…ね?」
律「それもそうか」
律先輩がニカッと笑う
澪「梓らしくないぞ?」
澪先輩もそんな律先輩につられて少し微笑んでいる。むぎ先輩も…
何で笑っていられるんですか…?唯先輩は、唯先輩が!
梓「唯先輩のいない軽音部は軽音部なんかじゃありません!」
それを言ったら瞬間辺りの景色は吹き飛んだ
~~
「目が覚めたのね」
梓「ここは……」
自分は寝ているのか天井が見える。豪華な装飾品が飾りつけられており、灯りにはシャンデリアが使われている。
「ずっと目が覚めないから心配したのよ?」
梓は声の方に視線を向ける、
梓「……和(のどか)さん…」
和「覚えていてくれて嬉しいわ梓。二年ぶりね」
そこには大人びた和の姿があった。
STARSの制服に身を包み左耳にはイヤリングが輝く、あの頃とは違う大人の女性に思えた。
眼鏡は健在で相変わらずの下の縁が赤色の眼鏡がとてもよく似合っている。
梓「あの…唯…先輩は…?」
和「……。」
その話題になった途端目を背ける和。
まさか…………
和「大丈夫、生きてるわ。けれど早く治療しなければウイルスに犯されてゾンビになってしまう…。」
複雑な気持ちだった、素直に生きていることは嬉しい、しかし危機的状態には変わらないのだから
和の視線の方へ目線を動かすと横たわった唯先輩がいた。
梓「唯先輩…………」
左肩には痛々しく包帯が巻かれており、そこから血が滲み出していた。
梓「早く助けないと……!」
和「…応急措置はしたけど私の持っていたワクワク…じゃないワクチン一本じゃ抑えきれないみたい…。だからあなたに手伝ってほしいの」
梓「…何でもやります!唯先輩を助ける為なら!」
和「この先にラクーンシティ総合病院があるわ。そこならTウイルスのより強力なワクチンがあると思うの。それならこの唯の体内に入ったウイルスも抑えられる筈よ」
梓「わかりました!」
時は一刻を争う、私は直ぐ様起き上がり体の調子を確認する。
梓「(オート治癒モードが発動したのか体は軽い…いけます!)」
和「私は唯を守るためにここを離れるわけにはいかないわ。ここも安全なわけじゃないから。悪いけどお願いね」
梓「はい!」
ふと、言われて気付いた。唯先輩と一番付き合いが長いのは確か和さんだ。
そんな和さんが今の唯先輩の状態を見て普通でいられるわけがない。きっと悩んでいた筈だ。
病院へ行って直ぐ様唯先輩を治したい…けれど一人にしておけない。
きっと背負って行こうとも考えただろう
けれどそれを邪魔したのは、私だ
私がのうのうと寝てる姿を見てきっと殺したいぐらい腹を立てたに違いない
こいつがいなければって…
そう思うと不思議と涙が出てきた。
梓「ごめ……んなさい…」
機械の癖に
梓「私のせいで……唯先輩を……」
役立たずの癖に
和は初めは驚いた様な顔をしていた、が、すぐに梓の元に行き抱き締めた。
梓「え……」
和「あなたは悪くない…。こんな姿になってまで…みんなを…唯を守ろうとしてくれたじゃない」
和の梓を抱きしめる力が強くなる
和「何で唯がこうなったかは知らない…けどあなたがその為に必死になって戦ってくれたことぐらいわかるわ…。ありがとう…梓、ありがとう…」
和が梓に見せた二度目の涙だった。
梓「……」
暖かい、唯先輩も暖かいけど、和さんも暖かかった。
あの時感じた暖かさと同じだった
背中には冷たい雨が降り頻りる……けど、内側にはこの暖かな体温が感じられた
私はあの時思わず微笑んでしまった、あんな状況下で、ボロボロになりながらも
それでもこの暖かさは、人を優しい気持ちにさせてくれる
今も同じだった。
梓「ありがとうございます……和さん…。私…行きます」
この暖かさを胸に、そしてまたあの暖かさを取り戻しに
和「頼んだわよ、梓」
涙ながら浮かべてくれた笑みを背にして
────────
カチンッ……、弾は出なかった。それはそうだ、弾はさっきゾンビ犬と戦った時になくなり、補充していなかったのだから。
それを知っていながら私は引き金を引いたのだ。
こうして自分の余韻に浸りたかった。悲劇のヒロインを演じたかったのだ
澪「ふふ…は……どうすればいいのかな……」
泣いても仕方ない、
自殺も出来ない、
喰い殺されるのは怖い、
律に嫌われるのが怖い、
何もかもが嫌だ
やっぱり死のう
そうしてポシェットから弾を取り出そうとした時だった、不意にこぼれ落ちた一つのウサギのキーホルダー
澪「これは……」
ラクーンシティ到着前──────。
澪「何とか夜までには着きたいな~」
唯「そうだね~。あっ!そうだ!」
唯は自分の鞄をごそごそし出す。
唯「はいこれ!澪ちゃんの分!」
澪「…これは?」
片手で運転しながら受け取ると、そこにはウサギのあしらわれたキーホルダーがあった。
唯「みんなに会ったら渡そうと思って♪私が犬で~澪ちゃんはウサギ!あずにゃんは当然猫でりっちゃんは熊さん!むぎちゃんはハムスターで和ちゃんは狼さん!憂の分もあるんだぁ」
澪「唯……。」
唯「みんながまた会えます様にって作ったお守りなの!えへへ…//」
澪「そうだな…!私も諦めないよ唯!みんなに会ってこれ渡そうな」
唯「うん!りっちゃんには澪ちゃんが渡してあげてね♪」
そう言って熊のキーホルダーも渡して来る唯。
澪「なっ、唯渡してよぉ//」
唯「だ~め!りっちゃんには澪ちゃんが渡さないとダメなの!」
ずっと一緒に居て、一番りっちゃんのことをわかってあげられているのは、澪ちゃんなんだから
────────。
澪「唯……ゆいぃ……」
そう言えば律のことに夢中で唯達のことを忘れていた…。
あんなにみんなのことを想い、優しい唯を…私は叩いたのだ。
間違ってるのは私で、律だった。確かに今の律は正常じゃない
謝っても謝りきれないことをしてしまった…。
けれどまだやり直すことは出来るんじゃないか…。
ポシェットからもう一つのキーホルダー取り出す。熊があしらわれており唯独特のセンスが伺われる。
澪「可愛いクマ…唯らしい…」
そうだ、私にはまだやることが沢山あるじゃないか
赤みがかっていた目が完璧に黒に戻った。
澪「唯達大丈夫かな…。やっぱりまずは律と合流して……」
でもさっきの律は異常だった。あの律とどうやって話をするか……。
「ノォォォォォォ!」
澪「!?何っ?」
この声はさっきの……!
澪は急いで立ち上がり牢屋の方へ急いだ。
────────。
澪「ベンさん!」
牢屋が開いておりその前でもたれ掛かかりながら座っているベンがいた。
ベン「ミオ……か。ヘマしちまったぜ……。まさか天井から……来るなんてよ…」
澪「どうしたんですか?!」
見た目に外傷はないがベンは明らかに苦しんでいる
ベン「ミオ…お前に…大切な人はいるか?」
澪は力強く頷く
ベン「そうか…俺にもいた……が…バイオテロのせいで……失った…。だから…バイオテロを引き起こした奴ら達が…許せない」
澪「ベンさん…」
ベン「ここの署長…ブライアン・アイアンズが…アンブレラと繋がってるんじゃないかと…俺は睨んで…張り込んだら…この様さ。これを…」
ベンは一枚の紙を渡す。
澪「これは…?」
ベン「俺が調べたブライアンの記録だ……。頼む…あいつを…許さないで…うぐぁあ」
澪「ベンさん!しっかり……ベンさん!」
ベン「離れろ!ミオ!うぉぉぉぉぉぐぼぉ…」
澪「ベンさん!」
ベンは澪を突飛ばし背を向ける
ベン「うああががアァァァ…胸が…苦…し…」
胸の苦しみを抑えつけるように手をあてるが…それは容赦なくベンの体を食い破って来た
ベンは澪に見せまいとそのままうつ伏せに倒れ込む。
非道なジャーナリストと言われていたベンの最後の優しさだったのかもしれない。
澪「ベン!!」
ベンの異常な行動に思わず立ち竦んでしまった澪だったが、倒れた音で気を取り戻しベンに駆け寄り身を起こす
澪「ひっ…血が…」
ベンを起こした澪の手にはべったりと血がついていた。
二年前なら卒倒してたであろう血だが、今じゃそんな怖がる自分を失礼とさえ思っていた。
澪「うっ……(血がなんだ…そんな場合じゃないだろっ…私!)」
血と臓器が入り交じっているのを見て吐きそうになりながらもその原因を突き止めようとする澪
ベンは左の肩口から心臓にかけてまるで中から食い破られたように裂けていた。
ぐちゃ…
澪「なに…」
嫌な音が聞こえた。ベンの体の中から
臓器かと思っていたそれは口をまるで笑ってるかの様にくねらせた
澪「ひぃっ」
これには澪も思わずベンから手を離してしまった。
その生物なようなものはベンの体を出て出口の方へ向かって行った。
澪「一体何なんだ…ここは」
泣きたい気持ちと吐瀉物を我慢しながらもベンの資料に目を通す余裕があったのは生きると言う確固たる目標があったからだろう。
それと同時に澪の中にも逃げるだけじゃなくもうこんなことを二度と引き起こさせない為にもアンブレラと戦うと言う意志が芽生え初めていたのかもしれない
ブライアン・アイアンズとアンブレラについて─────
どうやら俺の睨んだ通りやつらは繋がっているらしい。この警察署の地下には研究施設がありそこでウイルスやモンスターの研究をしているともっぱらの噂だ。
何やら新しいウイルスを作っているらしい。Gウイルスと言うそうだ
絶対署長の不正を暴いて失脚させてやる
クソ!まさか捕まるなんて!だがおかげでわかったことがある。アイアンズ署長は恐ろしく変態だってことがな!
なにやら外の様子がおかしい。バカ犬どもの鳴き声がいつも以上にうるさい
これじゃ寝れやしねぇ
澪「ここのアイアンズ署長に話を聞いてみるのが一番か…。生きていればの話だけど」
紙を折りたたみしまい込むと血の余り出ていない右肩の方からベンを持ち上げて先程ベンが寝ていたベッドに横たわらせる。その上からシートを顔までかけて手を合わせる澪
澪「こんな所じゃ埋葬も出来ないけど…せめてこれぐらいはさせてくださいベンさん…。あなたとは少し話しただけだったけど…同じ職種であるあなたの気持ちは私が受け継ぎます。」
もう逃げない……私はこの地獄を撮影し、世間に公表すると言う形で戦うんだ
今まで死んで行った人の為にも
…
律「ルーク、ビショップ、ナイト、キングプラグをさせ……か。ほんとにこの警察署はカラクリ屋敷だな」
律「戻るのも癪だけど仕方ない…。」
目標の研究室はこの先の下水処理場を抜けた先なのだから
律「澪がまだ寝てると助かるんだけど」
踵を返しまた下水道から犬舎のマンホールへ戻ろうと思っていた時だった。
律「…………いつの間に」
律が渡って来た赤い鉄の橋の上にそれはいた
外見は何と例えればいいだろうか、産まれ落ちたエイリアンの様な感じと言えば伝わり易いだろうか。
人間とはかけ離れた姿がそこにあった。
「ウェ…、ウェ…、」
何かを吐いている、こいつの子供か何かか。
ゴキブリを彷彿とさせるそれは律へ向かって
律「ちっ…」
右足のホルスターから素早くコルトM19を抜く。
左手は使えない為右手だけの片手撃ちだ。
最終更新:2010年03月05日 02:45