唯「キラキラ光る願い事も ぐちゃぐちゃヘタる悩み事も そうだホッチキスで綴じちゃおう」

追跡者「グ……オォッ……」

和「まさか……唯の歌を聴いて反応してるの…?」

梓「先輩……」

唯先輩は歌はあの時と変わらず…上手い、とは言えなかった。けれどここまで心に響く歌声を私は他に聴いたことがあるだろうか。
心臓に直接刻み込まれているようなドキドキする感覚────
何だろう…暖かい

唯「始まりだけは軽いノリで 知らない内に熱くなって もう針がなんだか通らない ならまたあした」

この気持ちがみんなに届きますように…


追跡者「ウォォ!……サ…」

大きく膝を曲げるとそのままさっき出てきた天井へジャンプし何処かへ消えて行った

梓「助かった…」

いや、違う。間違いなくこれは唯先輩の歌が関係している…。そう思わずにはいられなかった。

唯「良かっ……」

力なくふらつく唯、床へ倒れる前に和が抱き止め「唯、大丈夫?」と小さく声をかける。
唯「うん。私ね……決めたの。私はこの歌で戦うって…」

ただの一般人なら何をふざけたことをと言われるかもしれない。
だが一度バイオハザードをくぐり抜け自分も死に直面した彼女がそう言ったのだ


和「あなたなら…出来るかもしれないわ…唯」

何故そうなったか原理も論理も理論も推測もいらない。

彼女の歌はただ彼の心を奮わした。それだけのことだ

路上でライブしている人の歌を上手いと思い聴き入る行為、それにどんな理由があるだろうか。
ただ自分を満たす何かと感じとり、それを聴いているだけで心が安らぐ

歌にはそれだけの力がある。

何も武器は、戦う手段は銃だけでない、と唯は証明したのだ。

梓「さっき…私のことを見てアズサって…」

私のことを知っている…誰?まさか……
でもそんなわけない。だって、だって彼は生きて戦ってたんだから…




地下下水道───────。

「ん……どこやここは?」

目覚めると見知らぬ場所にいた。俺は一体……

「そうや、俺は何かを探してて……あ~わからん。」

考えると頭が鈍痛に見舞われる。そう言う時は考えないことに限る

「しかしなんやえらい薄暗いのぉ。とりあえずお日さん浴びたいわ」

目の前のマンホールへの繋がるはしごは落ちている為他を探す

「つか俺の名前ってなんやったっけ……」

思い出せそうなんやけどなぁ


しばらく歩くと狭い通路の横にはしごがついているのを発見


「うぉこわっ!なんやデカいクモおるやん…気持ち悪っ。はよ出よ」

そうしてはしごを登る全身黒の男─────。



地下犬舎────────。

澪「さっき唯の声が聞こえた気が…」

犬舎の水道を捻りじゃばじゃばと血でまみれた手を洗う。喉が乾いたがさすがに飲む気にはなれなかった。

カツン、カツン、カツン

澪「ん?」

前のマンホールから誰かが上がってくる靴音がする。

澪「律かな…?」

シュー、シュー

『ターンターンターンタタターンタタターン ターンターンターンタタターンタタターン』

澪の脳内にダースベイダーが登場した時の音楽が流れる

黒いマスクに黒い服装、息をするたびシュゴーと空気が漏れる音がしている男?がマンホールから出てきた。

澪「」ポカーン

何だろう、新手のモンスターだろうか。撃った方がいいのだろうか
澪が呆気に取られていると段々それは近づいて来る。

澪「ひぃっ」

思わず情けない声をあげてしまう。あっちもこちらに気づいているのかじりじりと慎重ににじりよって来ている。

だが次の瞬間────

「この先私はあなたの剣となり盾となりお守り致しますお姫様」

澪「へ?」

急にそんなことを言わながら頭を下げられた


ふーようやく下水道生活からはおはらばや。上はどこに繋がってるんかいな~。

マンホールを登りきり辺りを見渡すとどこかの建物内部の様だった。

なんや建物の中かいな…あ~あどっちら…け…?

5mほど離れたとこに私は女神を見た。
こんな暗い中でも彼女は輝いており、まるでその美しさはヴィーナス!いや意味同じやん

きっと自分は彼女に会うためにここにいるのだろうと直感的に把握した。そう…全ては運命なのだ

私は彼女に跪く。

彼女の為ならこの命惜しくはない!



澪「えっ…、あの、…どう言う意味でしょうか?」

生存者にしてはやたら格好が怪しい為に素直に喜べない澪。

「好きってことさ」

澪「はあ?あのふざけるならいい加減に…」

「ふざけてなどいません!この気持ち、まさしく愛です」

澪「そんなこと言われても…」

「おっと私としたことが名前を聞くのを忘れていた。名前を教えてくださいハニー」

澪「え、っと…秋山…澪です」

「澪…か!素晴らしい名前だ!最高だ!私達の子供にはなんてつけ(ry」

澪「いい加減にしろっ」

久しぶり澪のツッコミが発動したのだった。

───────。

澪「それであなたは何も覚えてないと?」

「そやねん。気づいたらここにいたんでさぁ…」

澪「(何かしゃべり方がころころ変わる人だなぁ)あなたはこれからどうするんですか?」

「あなたとの合体を所望す(ry」

スパコーン

澪「ふざけるなっての」

「冗談はともかく自分はあなたと共に行きます。話を聞く限りここは危ない場所なのだろう?一人では心配だ」

澪「(確かに一人より二人だけど…まあ悪い人じゃなさそうだしいいか)わかりました。そう言えばあなたの名前は?」


「ハンク、死神のハンクだ」

名前…と言われて突然頭に浮かんで来た。気を失う前に誰かにそう呼ばれたような…

澪「死神ハンクさん?なんか変な名前ですね…まあ長いからダースベイダーさんでいいよね?」

ハンク「いやそっちの方が長いやん!ハンクでええよみーちゃん」

澪「次その名前で呼んだら撃ちますね。」

ハンク「気をつけます姉さん…(ぉ~こわっ)」

澪「私は今から署長室に行くんだけどついて来てくれますか?ハンクさん」

ハンク「あぁ、君を守るためなら地獄でも共に行こう」

二人は署長室へ向かった。



日本、病室──────。

歌が聴こえた。唯ちゃんの、懐かしい声だった。

斎藤「今日も空が綺麗ですよ、お嬢様。そう言えば毎日通う花屋さんから鈴蘭とマリーゴールドをもらいました。花言葉は幸せの訪れと健康だそうです。早く元気になってください…お嬢様。みんなお嬢様の目覚めをお待ちしてますよ…」

あれから二年間紬お嬢様は眠り続けていた。医者の話では外傷はないが心の問題らしい。彼女自身が目覚めたくないと思ってると言うことだろうか

伸びたブロンドの髪が何とも美しかった。幼い頃見た彼女と違い随分と大人になっていた。思わず胸が締め付けられる。
恋などと言う甘いものではない、家臣としての苦しみだった

「─────…いい、匂いね」

斎藤「お嬢様!?目を覚まされたんですか?!待ってください今医者を…」

紬「貴方は…?」

斎藤「憶えておられませんかお嬢様?無理ありませんか…幼い頃に少し遊んだぐらいですから」

紬「…………」

面影が誰かに似ている。私を常に支えてくれて…私の気持ちをわかっていながらいつもとぼけていた彼を思い出した。

紬「斎藤……。」

斎藤「そうです。お久しぶりですお嬢様」

紬「でも貴方は死んで……」

斎藤「あぁ、やっぱりそちらの斎藤でしたか。勘違いしてしまいました。それは兄です」

紬「お兄さん…そう」

紬「……昔斎藤が連れてきた人がいた。その子は私と同い年くらいで……それが貴方なのね」

斎藤「はい。私達斎藤家は代々琴吹家に仕えております。兄があの事件で亡くなったと聞き…お嬢様の元へ来たのです」

紬「そう…でももういいのよ。琴吹家は私の代で終わり…お父様も死んでしまってお母様もきっと死んでしまったわ…。」

斎藤「でも、あなたがいらっしゃるじゃないですか……」

紬「もういいの……私も本当は死んでいたから。仲間も裏切って……今の私には何も残っていない。だからいいの……」

斎藤「……ざけんなよ」

紬「えっ…」

斎藤「ふざけんなって言ってんだ!!!」

斎藤が強く叫んだ

斎藤「兄はそんなあなたを守るために死んで行ったんじゃない!いつも明るく周りに気を配り使用人、執事関係なく人を平等に大切してくれると兄はいつも言ってた!そんなあなたをずっと守って行きたいと!」

紬「斎藤……」

斎藤「一つ聞かせてくださいお嬢様。兄は…駄目な執事でしたか?」

紬「…いえ、とても素晴らしい方でした。」

斎藤「兄も、その言葉を聞いて天国で喜んでると思います。」

紬「でも主君に声を荒げて意見するなんてまだまだね。お兄様はそんなこと一度もしなかったわよ?」

斎藤「うっ……すみませんお嬢様」

紬「ふふ、冗談よ。あなたもお兄さんに負けないくらいいい執事よ」

斎藤「勿体無いお言葉です。さあお嬢様、この斎藤めに何なりとご命令を」

斎藤……あなたは本当にいつまでも、私を見守ってくれてたのね…。ありがとう。あなたの為にも私はまた夢を目指します。
だから…………

紬「現在の琴吹家の株、市場状況は?」

斎藤「二年前と比べ少し落ち込みましたが爺やが代理の取締役として機能しているのでしばらくは問題ありません」

紬「二年?!私はそんなに眠ってたのね…」

通りで髪が腰をすぎて太もも辺りまで来ているわけだと納得した。
紬「経営はしばらく爺に任せるわ。それより今起こっているバイオテロについて調べて」

斎藤「それなら琴吹家の衛星カメラで既に」

紬「いい仕事ぶりね斎藤」

斎藤「はっ」


斎藤「アメリカのラクーンシティで大規模なバイオハザードが起こっている模様です。しかし政府の発表がないことを考えるとこれを引き起こした人物達と裏で繋がっていて黙殺してると考えるのが妥当かと」

紬「救助活動へ向かいます。琴吹家の総力をあげなさい。尚私は先に向かいます。一番速いジェット機を用意して」

斎藤「了解致しました。」

斎藤は携帯を取り出し何処かへ電話する

斎藤「今ここに沢庵レクイエムを発動。お嬢様の命令だ、全力で支援せよ!後SR‐71A至急用意しろ!今すぐにだ!」

だから…天国から見守っててくださいね。
斎藤──────。




アメリカ──────
PPP、PPP

スネーク「なんだ大佐?」

大佐「特命がフォクスハウンドに下った。今すぐラクーンシティへ向かってくれ」

スネーク「なにぃ?どう言うことだ大佐!?」

大佐「たくわんだよスネーク」

スネーク「たくわん…だと?」

日本公安9課────────。

荒巻「少佐、トグサとバトーを連れて今すぐアメリカのラクーンシティへ飛んでくれ」

少佐「また急ね。何かあったのかしら?」

荒巻「9課に特命が下った。全てはたくわんだ、少佐」

少佐「たくわん……?」


ネルフ本部─────。

01「碇、君には今すぐアメリカのラクーンシティへエヴァンゲリオン三機を投入してもらいたい」

08「左様、これは命令だよ碇」

02「君に拒否権はない」

碇「わかりました。その為のネルフです」

03「話が早くて助かるよ」

ゼーレ一同「そう、全てはたくわんの為に」

そうたくわんは絶対の存在でありたくわんを拒否出来るものは誰もいないのだ

※彼らは本編には出てきませんネタ要員です
ご注意ください




その頃、ラクーンシティ市街─────

ヘソから次々に降りてくる人達、

対バイオテロ私有部隊、BSAA到着───

クリス『ブラッド、聞こえるか?』

ブラッド『あぁ、感度良好だクリス』

クリス『今から救助活動を開始する。お前は近くで待機しておいてくれ。』

ブラッド『了解。さすがにこの街にはいられねぇからな。隣街でカフェと洒落込んで来るわ。グッドラックボーイ』

飛び立つヘリを見送った後クリスが口を開いた。

クリス「第一目標は生存者の救助だ。BOWの排除も忘れるな。アンブレラの関係者は拿捕しろ」


バリー「了解だリーダー」

ジル「了解。前みたいにハンドガン無くさないでねクリス」

クリス「善処する」

レベッカ「このラクーンシティにはハーブを治療に使うそうです。その辺りに生えているハーブを見つけたら私のマニュアルに従って調合してください。データはメモリーに送っておきます」

一同「了解」

メモリーとは、BSAAが導入している携帯式無線機だ。無線の他にも衛星からのデータでその建物の構築、蓄積されたデータの閲覧なども可能だ。

クレア「兄さん、むちゃしないでね」

クリス「それはこっちのセリフだクレア」

バリー「クリス!」

バリーの激昂でクリスは銃を構える。長い付き合い故に名前を呼ぶだけでも何があったか把握出来る。

クリス「奥から一体、後方から一体、ビルの中に一体か」

バリー「待ち伏せされてた様だな。……103型か、どうするクリス?」

クリス「撃退する、各々奮闘しろよ。」

一同「了解」

クリス「このBSAAは個人でも十分動ける人材だ。俺の指示など参考にまでにしか聞かなくていい。自分の思う様にやってくれ」

暴君が迫る───

クリス「戦闘開始」


───────。

さわ子は物陰からその戦いを見ていて驚愕した。5分だった、たった5分で……さわ子の差し向けたT‐103型三体は撃破されたのだ

さわ子「ありえない……なんなのよあれ!」

一体は氷漬けにされ一体は核を潰され一体は口に手榴弾をぶち込まれ……

『三体では少ないかもな……』

ウェスカーの言葉を思い出す。

さわ子「これが対バイオテロにクリス・レッドフィールドが作った組織の実力なの……」
計画を練り直す必要があるわね。

クリスが何かを言っている。

クリス「究極の出来損ないとは言ったものだな」

さわ子「言ってくれるわね…」ギリッ……

必ず後悔させてやるわ…その言葉


14
最終更新:2010年03月05日 02:51