紬 < 作曲はいつもこのパソコンで?

直 < はい

紬 < かわいくて良いな~

直 < かわいい…?


菫「ふぅん」

菫(プライベートのお姉ちゃんって、私以外とあんな風に話せるんだ)

菫(なんていうか"THE普通"! だけどお嬢様らしい気品を忘れないあたり流石です!)


さわ子「あと10分ほどで学校着くわよー」

紬「わかりました」

直「…………」カタカタカタ カタカタ

さわ子「そうそう、今日のことは梓ちゃんたちに内緒にしといてね」

菫「えっどうしてですか?」

菫「直ちゃん早く自慢したくてしょうがなさそうですけど」

直「       」タッタカ! タッタカ! タッタカ!

紬「タイピングはや~い♪」

さわ子「明後日の学園祭ライブ当日に知らせたほうが、三人を驚かせられると思わない?」

菫「は、はあ」

さわ子「それに直ちゃんにはミキサーの使い方をマスターしてもらわないと。どうせ見せるなら、完成した直ちゃんを見せたいのよ」

菫「完成…。なんだかかっこいいですっ」

さわ子「そういうわけで明日、部活が終わったら直ちゃん借りてくわ」

菫「よろしくお願いします」

菫(わぁ。すごい、すごい。よくわかんないけど直ちゃんすごい。色んなことで活躍してる。先輩方の力になってる)

菫(わたしができないことにどんどん挑戦してる。わたしには直ちゃんにお茶入れたりお手伝いすることでしか応援できないけど)

菫(がんばってね)


  カタタッ タッ タタッ


菫「あ、ごめん私の水筒しか残ってないや。口つけててもいいならハイッ」

直「かまわない。ズズズッ」カタカタ

菫「車揺れてるからこぼさないようにね」

直「んっ」

紬(えっ何? 何? なんで突然すみれが直ちゃんにお茶出したの??)

さわ子「ククク…」

菫「直ちゃんの水筒大きいのに換えたほうがいいなあ…」

直「そのままで。今日は急に用が入ったからしかたない」

菫「そう?」

直「水筒返すよ」

菫「うんっ」

紬(んん……さっきのやり取りが気になる…)

紬(周りの人からはわからない、女の子二人だけの特別なやりとり)

紬(あっ! それって以心伝心ってこと!?)

紬(つまりつまり、やっぱり、そういうことね!!)

紬(キテマスワーーーーーーーーーーーーーーーーーー)

菫「そんなんじゃないからねッ」ジトッ

紬「え~~~~~」ショボン

直(なんの話…?)

さわ子「ハハハ……」


その後


直「疲れた……」

菫「色々あったもんね今日・・・」ドヨ~ン

直「雰囲気暗っ」

菫「あはは…だってさ直ちゃん」

菫「結局センパイ方に渡すお礼がなにも決まってないよーーーーーーーー」ウワアアアアア

直「あぁうん」


紬『ダメよ、そういうことは自分たちで考えないと♪』

直『でしょうな(笑)』

菫『おねがい! もう明後日なの! いじわる言わないでよぉ』


直(長く菫のお姉さん役をやってるだけはある)

菫「ちょっと直ちゃん冷たくないっ?」ムスーッ

直「わたしはもう考え付いてるし」

菫「えっ!? なになに!」

直「ひみつ」ホクホク

菫「マジメにきいてるのにーーー」

直「菫のプレゼントが決まったら」

菫「~~~~~~~」

直「いいじゃない。その方が公平になるでしょ」

菫「……それってやっぱり曲? 直ちゃん作曲できるしイイナー」

直「"お互いの出した案は二人とも実行する"って決めたのは菫だよ」

菫「そうだった!」

菫「ん~~どうしよどうしよプレゼント決まらない……ライブ明後日なのに…」オロオロ

直(こんなに優柔不断な菫初めて見た。おもろい)ホクホク

直(とはいってもそれじゃ話が進まないし)

直「…たぶんだけど」

直「菫は考え初めから凝ろうとしてるから思いつかないんじゃない?」

菫「だ、だって。こんな機会もう来ないよ? 一度きりだもん」

菫「あっ、と驚くようなもの渡したい!」

直「良い心構え」

菫「だよね!」

直「私は気持ちが伝わるものをって考えたけど」

菫「あ…あー……」

菫「そっちの方が素敵かも……」

直「こらっ。自主的に考えなよ」

菫「~~~~~~~」

直「まあ準備するなら明日まで期限あるし? だから放課後まで考える時間ある。わたしのプレゼントはそれからでも準備できるから、しっかり考えてきて」

菫「ごめんね…………」

直「ほんとにね」ホクホク

菫「あー、ゼッタイお腹の底で笑ってるぅ」

菫「……あっ」

直「菫?」

菫「……公園」

直「あぁいつも遊んであげてる子達? もう日が落ちるのにまだ居るんだ」

菫「直ちゃんはちょっと待ってて。すぐ戻るから」

直「うん」







直「いやな予感がしてきた」







菫「直ちゃん! ケーキ! ケーキにしよ!」

直「何その変わり様コワイ」

菫「そうだよ! 梓センパイは放課後ティータイムのメンバーだよ! ティータイムっていったらケーキ! 梓センパイにぴったりだもん!」

直「あのースミレさん…憂センパイともう一人はメンバー違」

菫「こまかい事はいいの! 憂センパイたちも喜んでくれるよ! もう直ちゃんったら! 固いこと言わないの♪」

直(菫が自立するまでしばらく時間が掛かりそうです紬さん……)

菫「直ちゃん今日暇? 暇だよね?」

菫「今晩中にケーキ作って寝かせとこう! 直ちゃん明日忙しいし」

直「うん……つまり」

菫「だから今度は私が直ちゃんを家に招待するね! 行こう行こう」

直「ちょ、ちょっと待って、菫の家ってあの、琴吹城の、」

菫「お手伝いさん達の宿だからお泊りの予約はいらないよ! ほらほらはやくー!」

直「走らないで良くない……って聞いてないし」

直「疲れてたんじゃなかったっけ……もう突っ込むのはいいや」

直「そうだ。泊まりだからお母さんに連絡しないと」ウキウキ

菫「~~~~~~~~♪」



直 < ケーキの材料買っていかないの?

菫 < 心配しないで! 厨房のおじ様方に分けてもらうよ

直 < そんな高そうな材料をわたしが使っていいのか……



とある休日


菫「お祖父様(じいさま)の機嫌が良くて、夕方までお暇もらっちゃった♪」

菫「なにをしよう? 直ちゃんは家族でお出かけしてるって言うし。商店街巡り?」

菫「そうだ、公園の子供たちと遊んでよう。いろんなストレスが吹っ飛んじゃうくらい、いーっぱい可愛がってあげるもん」

菫「そうと決まればお土産の飴ちゃん買っていかないと」

菫「ハチミツが人気ないの意外だったなぁ」

菫「やっぱり子供ってレモンとかグレープとか爽やかな味が好きなのかな」

憂「スミーレちゃーん!」

菫「あっ憂センパイだ」

憂「こんな早い時間に会うの珍しいね」ハイ ターッチ

菫「憂先輩はもう買い物済ませたみたいですね」ハイタッチ

憂「あっコレ? これはお菓子の材料」

憂「学祭ライブ終わってからクッキングのレパートリー増やすのにハマっちゃって♪ 洋菓子おもしろいよ」

菫(受験勉強は…?)

憂「受験勉強もちゃんとやってるよ?」

菫(心読まれた……)

憂「そーゆースミーレちゃんは勉強してる?」ニコ-ッ

菫「ヴッ…それはあとで」

憂「ほんとにぃ?」ニコニコ

菫「ほんとですから、て顔近い近い!」

憂「じゃそういうことにしとくね♪」

菫「ホッ」

憂「スミーレちゃんはこのあと時間ある?」

菫「夕方までなら」

憂「今から家に来ない? せっかくスミーレちゃんと逢えたし、明日部室に持ってくお菓子の試食して欲しいなって」

菫「わたしでよければ喜んで」

憂「やった」

菫「あ、買い物袋もちますよ。重そうです」

憂「いいよそこまで。もうすぐだから」

菫「ほら私メイドやってますし」

菫「今だけ憂センパイ専属のメイドです、なんてっ」

憂「わあ…良いかも…!」



憂 < それじゃスミーレさん、参りましょうか

菫 < はい憂お嬢様、てソレなんかちがいます

憂 < フォッフォッフォッフォッ



平沢宅



憂「来てくれてありがとう」

菫「袋の中身をいったん冷蔵庫にしまっておきますね」

憂「うんおねがい。わたしはクッキング用に着替えてくるね」

菫「あのー。良かったら私にお手伝いさせてもらえませんか? 憂センパイを見てたら、わたしも手作りを皆さんに振る舞ってみたくなって」

憂「ほんとに? ぜんぜん歓迎だよ」

菫「よかったぁ」

憂「じゃあスミーレちゃんの分もエプロンとスリッパ持ってくるよ」

菫「おねがいします」

家電「prrrrrrrrrrr」

菫「あっ」

憂「誰だろう」


憂 < おばあちゃん? こんにちは


家電「チンッ」

憂「ごめーんスミーレちゃん! ちょっとお隣りの家行かなきゃいけなくなったの。お留守番頼んでいい?」

菫「あ、はい。ぜんぜんかまいません」

菫「お嬢様の留守を預かるのもメイドの仕事ですからっ」

憂「気に入ってるんだ。その設定」

菫「もう終わってたんですか!?」

菫「憂センパイ待ってる間ヒマだなー」

菫「といってもテレビ観たいわけでもないし」

菫「……そういや」

菫「学園祭ライブのあと渡した、直ちゃんの考えたプレゼント。憂先輩どうしたかな?」


携帯「~~~~~~~♪」


菫「着メロ? でもわたしの設定してるどれのとも違う」

菫「おねえちゃんのよりもっとポップなメロディ……あっ」

菫「コレ憂先輩の。リビングテーブルの上に置いていったんだ」

携帯「~~~~~~~♪」

菫「…誰から来たかぐらい見ても良い、よね?」

菫「しつれいしますっ」

菫「"お姉ちゃん"?」

菫「たしか憂先輩のお姉さんって唯さんだっけ」


憂『私のお姉ちゃんの方がもっとしっかりしてるよ?』


菫「ギターとボーカルの人…映像でしか知らないけど上手かったなあ。生で演奏聞きたいかも」

菫「生で……生ボイス…」

携帯「~♪~~~~~♪」

菫「電話、出てみようかな…?」

菫「ダ、ダメダメ! 人様のケイタイに勝手に出るなんて! 琴吹家のメイド失格!」

菫「まったく私ったら…。憂先輩すぐ戻るって言ってたし、折り返し電話するとお姉さんに伝えれば……ってそうじゃなくて」

携帯「       」

菫「あっ切れた……」ショボン

携帯「~~~~~~~♪」

菫「また掛かってきた…!」

菫「出ちゃいけないのはわかってるんだけど…」

菫「ああ…うぅ……」

菫「えっと、えーっと、」オロオロオロオロ


唯「あ、やっと出」

菫「ハイッ!! わたくし琴吹家のメイドでございます! お嬢様はただいま手が離せないので御用がありましたらわたくしが受け給……ってだからチガーウ!!」

菫「あぁあああぁまたやらかしちゃった! どうして私ってこんなつまんないミスばっかするんだろー!!」

唯「あのー…」

菫「ハッ! 取り乱してすいません…! あの」

唯「メイドさんメイドさん、憂おじょー様は電話に出れないの?」

菫「あぅ……はい、憂センパイはお隣りのお家にご用があるとか。すぐ戻ると言い残して」

唯「そっかータイミングわるかったね私」

菫「な、なので憂センパイが帰ってきたら折り返すよう伝えます!」

菫(これで良い! だいぶ失礼やらかしたけど、わたしの全うすべきことはやり遂げた)

菫(変にお姉さんを詮索するような真似はやめようウン)

菫「ではそういうことで…」

唯「じゃ憂が帰ってくるまでお話しよメイドさん」

菫「えっええぇえぇええぇ!?」

唯「だって暇なんだもん。それにメイドさんに興味出てきて」

菫「興味ってえぇ…ぅ……」

唯「もしかして今忙しかった?」

菫「…よろしくおねがいします///」

唯「やったー♪」


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最終更新:2012年09月04日 21:13