澪「ちょっと待ってよ!じゃあ私達の変な能力って……」
紬「そう、ウロボロスによるものよ。どこで摂取したのかはわからないけど…」
律「…待てよ…じゃあ私が変だったのは」
紬「ウロボロスウイルスの選定時、人は疑心暗鬼になったり自分の衝動だけを全身押し出す傾向があるらしいの」
律「衝動…か。」
ならあながち全てウイルスが悪いってわけでもないのか…ちゃんと反省しないとな
紬「ウェスカーの計画はこのウロボロスウイルスを世界中にバラ撒いて人類を選定することなの…」
澪「なんだって!?」
律「神にでもなったつもりかよ…!」
唯「でも私達は何ともなかったよね?なんでかな?」
紬「唯ちゃん達はTウイルスの抗体者だからよ。」
梓「……待ってください!じゃあ……」
唯「?」
紬「そう、Tウイルスの抗体者は約10人に一人。世界中にウロボロスウイルスが撒かれたら今の人口の1/10になるわ……」
律「それが……ウェスカーの目的」
「クックック……良く調べたな」
クリス「ウェスカー!」
話をただ聞いていたクリスがようやく口を開いた。
紬「そうね、あなたがウェスカー計画の生き残りってことぐらいまでは知っているわ」
ウェスカー「ククク……ハッハッハ!ならばほぼ全てか。スペンサーのデータを洗ったか」
紬「それはちょっと違うわ……。」
ウェスカー「違う?何がだ?」
紬「私の父はスペンサーと知り合いだったの。そしてその泥を敢えて被ることによってアンブレラの裏の部分を探っていた。」
ウェスカー「ほぅ……」
紬「そして父はあなたの計画にも気づき、スペンサーに次期総帥の座を約束させた。この世界の明日の為に全ての泥を飲んで」
そんな父を私は…
だからこれは償い
ウェスカー「……貴様まさか」
紬「そうです。今のアンブレラの総帥は、私です!!!!!」
律「なっ」
澪「んっ」
唯「だっ」
梓「ってー」
クリス「!?」
紬「私もビックリしたわ。父のパソコンにスペンサーからアンブレラの全データと総帥を任命するって言う書状が私に来てるなんてね……」
律「えっ、は、話が飛躍し過ぎてないか?」
終盤にはよくあること
ウェスカー「ハッハッハ、なるほど。それであのスペンサーの落ち着き様……今理解出来たぞ。琴吹紬。いや、アンブレラ総帥よ!」
紬「残念だけどその肩書きもなくなるわ。アンブレラの株、全部ウチが、琴吹系列全社で買い占めちゃったから♪」
ウェスカー「バ、バカな!アンブレラだぞ!?アメリカでどれだけのシェアがあると……」
紬「愚かねウェスカー……ウイルスを撒くことに必死で世界情勢にまで目がいかなかったのかしら?アンブレラの株は今もれなく大暴落中よ。」
ウェスカー「何故だ?」
紬「今までバイオハザードにあった人や澪ちゃんみたいなコツコツ小さな活動が身を結んだのよ!今やこのバイオハザードを起こしているのはアンブレラと言うのは周知の事実!」
澪「私の活動も……役に立ったんだ」
律「良かったな…澪」
ウェスカー「しかしそんな紙くず同然の株を買い占めなどすれば貴様の会社とてただではすまないぞ?」
紬「えぇ、そうね。でもそうしたのは私なのだから私だけを村八分にすればいいだけの話よ。私は琴吹カンパニー代表を辞任、多額の借金を背負う……それが私の筋書きよ」
ウェスカー「正気とは思えん……」
紬「終わりよウェスカー!後はあなただけなのだから!このふざけたテロ、私達を弄んだこと、全て償ってもらいます!」
澪「覚悟しろ、ウェスカー!」
律「家族返せコノヤロウッ!」
唯「何かわからないけど形勢逆転だね!サングラスさん!」
梓「覚悟するです!」
クリス「チェックメイトだな!ウェスカー!」
ウェスカー「ハッハッハ、ハッハッハ!!!!!何を勝った気でいる?貴様らを殺してウイルスを散布すればいいだけのこと」
紬「私が何のためにライブステージを用意したのかわかってないようね。スペンサーの資料にびっしりとウロボロスウイルスについても書かれていたと言うのに」
そう、ウロボロスウイルスの唯一の弱点
それは、音楽であった
ウェスカー「何?」
紬「みんな!ステージに上がって!演奏するわ!」
唯「ほえ?」
澪「ちょっと待ってむぎ!一体どうゆう…」
律「いいからむぎの言う通りにしようぜ!それに目の前にドラムがあるのをただ黙って見てるなんて耐えられないっ!」
梓「律先輩らしいです」
ウェスカー「何をするつもりかわからんが黙って見過ごすわけないだろう」
クリス「ふんっ!」
クリスが側面からウェスカーに殴りかかる
ウェスカー「何をするのかと思え…ガッ」
クリスの拳は綺麗にウェスカーの頬を捉えた。
ウェスカー「なんだと……」
能力が発動しない……。まさかさっきの歌が
紬「今頃気づいても遅いわ!唯ちゃん!」
唯「うん!ふわふわ時間(タイム)ッ!」
演奏が始まる────
唯のギターのソロから律のドラム、澪のベースがフェードインしていく。
ちょっと遅れて梓のギター、紬のキーボードも混じって行く。
唯「キミを見てるといつもハートドキ☆ドキッ!」
澪「揺れる想いはマシュマロみたいにふわ☆ふわ」
律「い~つも頑張る~♪」
紬&梓「い~つも頑張る」
律「君の横顔~」
紬&梓「君の横顔~」
唯「ずっと見てても~気づかないよね~?」
澪「夢の中なら~」
律&唯「夢の中なら~」
澪「二人の距離~縮められるのになァ~!」
全員「あぁカミサマお願い二人だけの Dream Timeください☆」
唯「お気に入りのうさちゃん抱いて~ぇ~今夜もお~やすみぃ~」
澪&律「ふわふわ時間♪」
紬&梓「ふわふわ時間♪」
全員「ふわふわ時間♪」
ウェスカー「やめろォォォ!」
頭が割れそうだ……
こんな、歌などにこの私が、
私がアアアアア!
ウェスカー「ウォォォォォォ!!!!!!!!!!」
唯「ひいっ…何か様子が変だよ…」
紬「いけないっ!ウロボロスが暴走しかけてる!」
律「暴走すると何かヤバいのかむぎ?!」
紬「ウロボロスウイルスは危険なウイルスよ…。ちょっとでも不安定になれば…肉体を驚異的に膨張させ次々に生物を取り込んで行くわ…無限大に」
澪「どうにかしないと!」
「動かないでください!」
梓「純!?」
階段から上がって来たのは純だった。右手に何かのボタンを持っている。
純「全員死にたくなかったら動かないで。このボタンを押せばラクーンシティタワーは崩壊します。」
梓「純……」
純「ごめんなさい梓。それでも私はウェスカー卿を捨てることは出来ない」
純はウェスカーに近づき何やら鎮静剤の様なものを打ち込む。
ウェスカー「うっ……純……」
純「もういいんです……ウェスカー卿。私達の…敗けです」
ウェスカー「そんな……筈が……」
その時、大きく地面が揺れた
唯「わっ」
澪「地震?!」
律「なんだぁっ?」
梓「きゃっ」
クリス「うぉっ」
純「始まりましたか……。軍の滅菌のミサイル攻撃です。政府はアンブレラが暴落したことによって我々を見捨てた様ですね……」
ウェスカー「律、ちょうど一年後の今日、最北の工場にて待つ」
律「………」
澪「そんなことより家族の居場所は!?」
律「澪、行こう」
澪「でも…」
純「早く行かないと爆発しますよ先輩」
澪「っ……」
律「行こう、澪」
一同は階段でエレベーターのある部屋へ行く。その途中、梓は「先に言っててください」と言い残しまた屋上へ戻った。
梓「純……本当にいいの?」
純「……えぇ。私はウェスカー卿に拾われた命。その恩人を捨てて行くことなんて出来ないわ」
梓「……わかった。でも、生きて。」
ただそれだけが梓の願いだった。
純「……わかった」
それだけの言葉を交わし梓はまた階段を降りて行った。
純「あの子って本当良い子よね……頬擦りしたいぐらい」
純「……ウェスカー卿、何故彼女らを選んだのですか?」
ウェスカー「…………あれは、三年前、君を迎えに行った時だった」
三年前、桜高学園祭──────
ウェスカー「純がわざわざ迎えに来てくれと頼むとは珍しい。明日は雨でも降るか」
当然そんな迷信本当に信じてはいない。信じるべきは己だけなのだから。
車を駐車場へ停める。今日学園祭らしくそこらかしこに人が群がっていた。
ウェスカー「ふん…ゴミが。ただ生きているだけの無能な輩が群れて何かをするか、滑稽だな。」
「~~~♪」
歌が聞こえる
ウェスカー「あっちか」
ただ純が見つからなかったこととそこにいるかもしれないと言うだけで他意はなかった。
その歌が聞こえる体育館の扉を開いた。
ウェスカー「なっ……」
衝撃だった。これまで歌などに興味はなかったがこれほどまでに圧倒される物なのか。
日本に来たばかりで日本語はわからないが……
唯「君の横顔~」
どうやら恋愛を歌った曲みたいだ。彼女達の高揚した顔を見ればわかる。
純「ウェスカー卿、珍しいですね。あなたが聴き入るなんて」
ウェスカー「純。いや……ただ君を探しに来ただけだ。出よう」
二人は車に乗り込み、喧騒を後にしていく。
純「ウェスカー卿、どうしたんですか?」
ウェスカー「…………」
あの歌に感動してしまった自分が憎い。これから人類と一線を置こうとしている私が人並みに感動してしまうなど、あってはならない。
ウェスカー「純、彼女達は?」
純「さっきの演奏をしていた人達ですか?桜高の軽音部の人達です」
ウェスカー「…………そうか」
この私を一度でも震えさせるとは面白い。
ウェスカー「純、彼女達のことを詳しく教えてくれ」
─────────
純「やっぱり時ですか……」
ウェスカー「私は恐ろしかったのだよ、彼女達が。今までの私が否定される様な感覚。それが許せないでいた……だから殺すことにした」
純「ただ殺すだけなら二年前で終わってたんじゃないですか?」
ウェスカー「そうだな……私は心のどこかで、またあの歌を聴きたかっただけなのかもしれない」
「ザマァないわねウェスカー」
パァンパァン!
純「危ないウェスカー卿っ!」
純がウェスカーを突飛ばし代わりに銃弾を受ける。
純「あっ……かっ…は…」
ウェスカー「純!」
「あらぁ~?健気ねぇ純ちゃん。こんな男庇う価値もないのに」
ウェスカー「……さわ子!裏切るつもりか」
さわ子「裏切る?ふふふ、私は初めから貴方の言うこと何て聞いてないわ。」
ウェスカー「……こちらにはお前をコントロール出来ることを忘れてないか?」
さわ子「あらんこれのこと~?」
手に持っているのはP30
さわ子「宝石みたいで綺麗だったんだけどね~やっぱり悪趣味な物つけてたら結婚出来ないから」
ウェスカー「貴様ァ……」
さわ子「貴方にはここで死んでもらおうと思ったけど純ちゃんに免じて見逃すわ」
「精々足掻いて生きなさい。」と言い残し彼女は去って行った。
まるで興味のなくなった玩具を見るような目だった。
今はそんなことより……
ウェスカー「純!何故だ」
純「ゲホッ…何故…?」
ウェスカー「私を助ける理由などないだろう?」
純「ウェスカー卿…人を……助けるのに、理由はいりません……」
ウェスカー「…………」
純「私はただ……あなたを助けたいと思った……それだけです」
ウェスカー「バカなことを……」
純「いつか…貴方にも…わかる日が来るかもしれません。彼女達の音楽を素晴らしいと感じなら」
ウェスカー「……」
純「生きてください……ウェスカー卿。では……私は…先にいきます…」
ウェスカー「あぁ……」
純「今まで……ありがとう、お父さん」ガクッ
彼女は微笑みながら、言った。
ウェスカー「私を父と呼ぶ……か。純、不甲斐ない父ですまなかったな」
「そうでもないんじゃねぇか?」
ウェスカー「お前は……」
─────────
私達は下の階のバーちゃん、レベにゃんに布をかけ簡単な埋葬をした。こんな弔い方しか出来なくてごめんね……。
短い付き合いだったけど、私はあなた達二人こと二度と忘れません……。
各々黙祷を捧げ1階に降りるためエレベーターに乗り込む。和ちゃんもクレにゃんも起きていた。
特に和ちゃんは二人と昔からの仲だから誰よりも長く黙祷を捧げてました。
人が死ぬことは本当に悲しいね……私もいつか死んじゃうんだなって思うと少しだけ悲しくなった。
バリーさん、レベッカさん……どうか天国で幸せに過ごしてください……。
その後無事1階でジルちー、聡君、憂と合流!扉は純ちゃんが開けてくれたみたい。
律「待ったかマイブラザー!」
聡「ふん……いいから行くぞ」
律「あれ?愛しの澪がいるからって緊張してんのか?」
聡「なっ///」
「聡君かっこよくなったね。惚れちゃいそう」
聡「えっ……」
律「引っかかった~!」
澪「もう…何やってんだよ。ちょっとは和達の気持ちを…」
律「……澪が言いたいことはわかるよ。でもだからってみんな辛気くさかったら……潰れちゃうよ。みんな」
最終更新:2010年02月02日 00:15