きっさてん!

カランカラン…

唯「ここのパスタは中々に美味いぞ」

律「へぇ、小洒落てんな」

マスター「いらっしゃい、何飲む?」

唯「だからコーヒーは飲まないと何度言ったら分かる」

マスター「ココ、一応コーヒーが名物なんだけど唯ちゃん」

唯「パスタだパスタ、四人分」

マスター「分かりましたよっと」

紬「あ…犬を飼ってるんだ」キラキラ

ブルマン「ワン!」

唯「そいつはブルマンって言ってな、気難しい犬…」

ブルマン「わふっ!」

紬「もふもふ~//」

唯「…わお」

マスター「こんな時間に来るのは珍しいね」

マスター「しかもまた知らない女の子連れてきて」

唯「コイツらはそんなんじゃない」

マスター「どうだか」

澪「(今サラっと爆弾発言が…)」

唯「さっきまで勉強会をやってたんだ、学生らしくな」

マスター「唯ちゃんが勉強?」

唯「なんだその目は」

マスター「明日は雹かな」

唯「ハッハッ、喧嘩なら買うぞ」

マスター「どうせ赤点でも取ってせっぱ詰まったんでしょ」

マスター「ね?」

澪「そうなんですよ…」

唯「マスター、パスタまだかなー!!」

マスター「もうすぐ」


律「こいつめー!」わしゃわしゃ

ブルマン「わうっ!」

紬「あはは!く、くすぐったぁ~い!」


澪「(楽しそうだな)」

唯「余計なことをペラペラと…口は災いのなんとやらという言葉を知らないのか」

澪「お前が言うなよ…」


マスター「はいお待たせ」コトッ

澪「わぁ…美味しそう」

律「食欲をそそりますなぁ」

紬「うんうん!」

唯「美味しそうじゃない、美味しいんだ」

唯「遠慮は要らん、食べてくれ」

澪 律 紬「「「いただきまーす!」」」

唯「私もいただきまーす」

唯「」ぱくっ

唯「!!!」

マスター「どう?」

澪「凄く美味しいです!」

律「ちょっと辛みが利いてるのが良いな!」

紬「うちのシェフにも負けてません!」

マスター「そーお?良かった」

マスター「唯ちゃんは?」


唯「おろろろろろろろ」


律「ぎゃー!」

澪「わーっ!?」

紬「ゆ、唯ちゃんハンカチ!」

唯「おえっぷ…」

律「酷い顔してるぞ…」

唯「マスター…アンタ、私のパスタに何した?」

マスター「頭が良くなりますようにって」

マスター「糸こんパスタにしたの、唯ちゃんだけ」

唯「わざとやっ…おろろろろろろ」

澪「わーっ!?第二波!?」

紬「て、ティッシュー!」

律「止まりません隊長ー!」


ブルマン「わふぅ…」ヤレヤレ



ごじつだん!

唯「糸こんか勉強会かどっちのおかげかは分からないが」

唯「全教科百点取れました」ぺらっ


澪 律 紬「「「(腐っても天才か…)」」」


澪「夏休み、合宿をしよう!」

律「合宿!?」

唯「海か山かなら、海だな」

澪「先に釘を差すが、遊びじゃないぞ」

澪「バンドの強化合宿だ!」

澪「良いか?残念なことにこの部活はまともな練習を数える程しかしたことが無い」

澪「このままでは夏休み明けの学園祭で大恥をかくこと請け合いだ」

律「あたしら学園祭で何かやるの?」

澪「ライブやるに決まってるだろー!」

律「ジ、ジョークだよ…あはは」

澪「むー!」

唯「合宿先の手配とかはどうするんだ?」

律「そうだぞー何故かこの部活、部費が貰えないからカツカツだし」

澪「う…」

紬「はい!」びしっ

唯「秋山澪選手に代わりまして、代打・琴吹紬ー」

紬「私の家で使ってない別荘が幾つかあるので、そこを使うのはいかがでしょうか!」

律「本当か!?」

紬「ええ、夏休みの間借りれるように言ってみるわ」

澪「ありがとうムギ!」


唯「ホームラン、琴吹選手ホームランです!」


がっしゅく!

律「夏だ!」

唯「ウェミダー!」

律「泳ぐぞー!」

唯「ナンパだー!」

澪「ちっがーう!」

澪「私達は練習に…!」

律「そう言いながら水着に着替えてるみおしゃんであった」

澪「うっ!」

唯「まるでビーチに降り立った人魚姫だ」

唯「どうか私を竜宮城に連れてってくれ!」

紬「うふふふ」

澪「こ、これは…みんなが着替えてるから私も仕方無く…//」

律「四の五の言わずに海へレッツゴー!」がしっ

澪「りつ!?」


ザッパーン!


唯「ムギは行かないのか?」

紬「私は見てるだけで楽しいから~」キラキラ

唯「…それは結構な趣味だな、ハハ」

唯「…」

唯「しかしまぁ、本当にデカイ別荘だな」

紬「そうかな?こんな小さい所しか取れなくて申し訳無いと思ってたんだけど…」

唯「(…金持ちの感覚は分からん)」

紬「?」

律「スイカ割りしよう!」すっ

澪「どっから取り出したんだ」

律「夏といえばやっぱりこれだよなー」

唯「良いだろう、スイカ割りにおいても天才な平沢唯が…」

律「唯はこっち」

すぽっ

唯「?」

唯「なんで私が砂の中に埋められてるんだ?」

律「一番手、琴吹紬!」

紬「よーし!」ふらふら

唯「ちょっと待った」

紬「ここかな…えい!」ブンッ!

ドグワシャア!!!

澪「地面が割れた…」

律「ムギー!もうちょい左ー!」

唯「おーい私がスイカに見えるかー?」

紬「そこ!」ブンッ

ドグワシャア!!!

律「惜しい!」

唯「いや、本当に笑えないって!」

紬「あ…ここだ」

唯「!」ゾクッ

紬「てぇーい!」ブンッ

唯「わーーーーーっ!?」

唯「もうローライズジーンズを覗きこんだりしません!」がばっ

唯「…」

澪「すー…」

紬「くー…」

律「むにゅむにゅ…」

唯「夢、か」

唯「(結局、海で遊び疲れて練習する間も無く眠ったんだっけ…)」

唯「…」

唯「…夢で良かったぁ!」

唯「…」

唯「気晴らしに散歩に行くか」

唯「夜の海もオツなものだからな」


ざざーん…

唯「潮風が心地良いな」

唯「こんな景色を見ていると」

唯「つくづく、自然とは美しいものだと実感させられる」

唯「私ほどじゃないがな」

唯「…」

唯「『君の愛を得る為なら』」

唯「『戦士にもなれるさ』」

唯「『If you need me...』」

唯「…」

唯「なんだ、作詞家としての才能も開花してしまったか私は?」

唯「自分が怖い!でも好き!」

唯「『太陽に憧れて』」

唯「『高く高く飛んだ翼』」

唯「『その熱に溶かされて』」

唯「『深い海へと落ちて行く…』」

唯「…」

唯「ヤバい、インスピレーションが止まらなーい」

唯「さーて、次はどうするか」

ざっ

唯「!」

唯「(今、足音が…)」

ざっ

唯「!!」

唯「(こ、こんな時間に誰だ…?)」

唯「(まままさか、お化けなんてことは…)」

ざっ

唯「(いーや、落ち着け平沢唯)」

唯「(お化けごときに天才がビビってどうする)」

唯「(潔く振り向け!振り向くんだ!)」

ざっ

唯「ヤるなら優しくしてください!」くるっ

唯「…あれ、居ない?」

紬「わっ!!」ぎゅっ

唯「わーーーーーっ!」

唯「」

紬「ゆ、唯ちゃん起きて~!」

紬「そ、そんなに驚いた!?」


唯「…」

唯「…ん?」

唯「ココは…?」

紬「唯ちゃん起きた?」

唯「ムギ…?」

紬「ココは別荘のロビーよ」

紬「唯ちゃん、びっくりして気絶しちゃうんだもん」

紬「ここまで運ぶの大変だったのよ?」

唯「(気絶…)」

唯「違うぞ、ムギ」

唯「あれは天才特有の急に眠くなっちゃう病だ」

唯「気絶じゃない」

紬「そうなの?」くすっ

唯「そうだ」

唯「そしてその優しいお母さんみたいな態度をやめるんだ、何故か心にクる」

紬「はい、分かりました」にこっ

唯「…」

唯「ずっと私を看ていてくれたのか?…ありがとうな」

紬「いいのよ。私、世話好きだから」

唯「お前は良い女になるな…」

唯「私と沿い遂げるか?」

紬「お断りします、他に好きな人が居るから」にこっ

唯「好きな人…私か?」

紬「ううん」

紬「皆よ」

唯「ハーレム願望とは将来が楽しみだな、ハッハッハ」

紬「私ね、本当は合唱部に入るつもりだったの」

紬「でも偶然、りっちゃんと澪ちゃんと出会って…」

紬「軽音部に入って下さいって言われたんだ」

紬「最初は数合わせの為なのかなって思ってたんだけど」

紬「話しているうちに二人の真剣な気持ちが伝わってね」

紬「私を必要としてくれるんだ、なら力になってあげたいなって思って軽音部に入ったの」

唯「感動必至の秘話って奴だな」

紬「だから、こんな私でも必要としてくれる皆が好き」

紬「もちろん、唯ちゃんも好きよ?」

唯「愛を囁かれる側になるのは久しぶりだ」

紬「もう、そういう好きじゃなくて…」

唯「愛には愛で応えなければな、行くぞムギ」すくっ

紬「どこに行くの?」

唯「知れたこと、暗い所だ」

紬「行きません!」


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最終更新:2012年09月08日 21:45