新歓ライブ翌日
音楽室
梓「あの～」
唯「はい？」
梓「入部希望なんですけど……」
律「……かあくほおーー！！」ガバッ
梓「……いて」
律「ようこそ！ 軽音部へ！」
唯「ほら！ こっちこっち！ 座って！」
梓「………」
紬「お名前はなんて言うの？」
梓「あ～……中野です」
律「パートはなにやってんの？」
梓「あ～……ギター」
唯「好きな食べ物は！？」
梓「あ～……たい焼き？」
律「中学校どこだった！？」
澪「落ち着けおまえら」
…
律「ギターなら唯と一緒だな」
梓「そうですか」
唯「そうだよ～私もギターだよ～」
律「なあ、なんか弾いてみせてよ！」
梓「あ～……じゃあキュアーのジャスト・ライク・ヘブンを……」
カチャカチャ…ブッ…ィィィイイインン……
ジャカジャーンジャンジャジャーン！！
「おおお！！」
澪「すごい！ うまい！」
律「こいつはすごいのが来たぞ！」
梓「……しょおみ～は～ゆどぅざとり……」
ジャーンジャーンジャジャジャジャンジャジャーン！！
澪「（ギターはすごいのに歌はヘロヘロ……）」
律「（やる気なさそう……）」
ジャーーンッ……
梓「…………」
澪「…………」
律「…………」
紬「…………」
唯「ほへ～」
梓「……あ……終わりです」
澪「あ……うん……」
澪「今までバンド組んでたりしたの？」
梓「中学までは組んでたんですけど」
唯「へ～」
梓「ベースのカエルが産卵の時期だと言うので解散しました」
紬「かえる？」
律「（大丈夫かこいつ……？）」
律「なんで軽音部に入ろうと思ったの？」
梓「他にすることがないからです」
澪「音楽の部は他にもあるけど見てきた？」
梓「ジャズ研に行ったんですけど、なんか怒られました」
律「そうだろうなあ……」
翌日
梓「……ちわー」
律「お……よー来たかー」
梓「はい……授業は退屈でした」
律「そうだよなー授業つまんないよなー」
梓「……練習ですか？」
律「とりあえず、お茶にするか」
紬「梓ちゃんもどうぞ」カチャ
梓「軽音部はこういうこともするんですか？」
律「あーまあそーだなー」
梓「そうですか」
律「お茶好き？」
梓「……え？ ああ、はい」
律「……からみづらい」
律「なあ、バンド組んでたんだろ？ どんなのやってたの？」
梓「ギター、ベース、ドラムの３人でやってました」
律「３ピースかぁ。グリーンデイみたいなパンクとか？」
梓「たまに自転車に乗りながら弾いてました」
律「自転車？」
梓「ヒグマがドラムでクモがベースだったんですけどベースとケンカになって。
結局クモは脱退してサルが途中で入ってくれました。
クモは今ヘタクソなバンドやってるそうです」
律「は……？」
梓「バンドの名前は恐竜２世だったんですけど」
唯「ねえねえ、普段なにしてるのー？」
梓「あー……家でゴロゴロしたり……テレビ見たり」
唯「アハァッ！ 私と一緒だねー！ 私も家でゴロゴロしながら漫画読んだりしてるよー」
梓「昼寝したり……」
唯「そうそう！」
律「（なんだろう。言ってることは一緒なのに唯以上にだらしなく感じる）」
さわ子「ちょりーっす」
唯「あ、さわちゃん先生ー」
さわ子「あら、もしかして新入生？」
律「うん、そう」
さわ子「へー」
梓「……ドウモ」
さわ子「…………」
梓「…………」
さわ子「……おっとりバニーとかいけそうね」
1時間後
澪「…………」
律「…………」
紬「…………」
さわ子「…………」
唯「ほへ～」
梓「…………」
澪「……練習しよう」
澪「よし。じゃあ梓も入れてあわせてみるか」
律「うまいヤツ入ってきたから立場が危ういですな～唯センパイ」
唯「そ、そんなことないよお」
紬「梓ちゃん？」
梓「…………」
澪「おーい、音あわせるから準備して」
梓「…………」
澪「おい！」
梓「……あ、すいません。寝てました」
梓「私、眼ぇ開けたまま寝れるんです」
澪「…………」
唯「へ～いいな～」
梓「えっと……今日はもう解散ですか」
澪「いや……練習」
律「１、２、３、４」
ジャジャジャーンジャッジャッジャッジャー！！
澪「（やっぱりうまい！）」
ギャリギャリギャリギャリキュキューーンン
ピキピキピキニューーーーンンン
澪「（すごい、フィードバックノイズも完璧にコントロールしてる！）」
梓「……ブツブツ」
唯「すごいうまいね！」
紬「いつごろから始めたの？」
梓「小４の時に「ひこうき」のビデオでエンジン音を聴き続けてたら
父がギターを買ってくれました」
律「察しのいいお父さんだな」
澪「他にできる楽器はある？」
梓「あとベースとドラムができます」
澪律「これは……」
ブンブンブンブブブブーーンベベン！
澪「おおおーーー！！」
ズッタカタタタタタタンッタンッタンタタンッ！
律「うおおーーー！！」
澪律「スイマセン、ご指導よろしくお願いします」
唯「わ、わたしもおねげーしますっ」
紬「私は……あ、大丈夫か」
梓「人に教えるってしたことないんですけど……」
律「いや！ もういてくれるだけでいい！」
さわ子「なるほど。期待以上のルーキーが入ってきたわね。でもね！」
唯「さわちゃん先生？」
さわ子「なんの弱点もない完璧超人なんかこの世界、萌えキャラとしてやっていけないのよ！」
さわ子「というわけでこれを付けなさい！」つ猫耳
梓「あの……これなんですか？」
さわ子「なにって猫耳だけど？」
梓「…………」スチャッ
唯「わー！ 似合う似合うー」
梓「にあー」
紬「かわいいー！」
唯「あだ名はあずにゃんで決まりだね！」
やんややんや
さわ子「あれ……なんか考えてたのと違う……」
翌日
唯「あずにゃーん、にゃあって言ってみて。ハイ、にゃあ」
梓「にあー」
律「ゴロゴロゴロゴロー」
梓「うにあーん」
澪「順応している……」
澪「どう？ 軽音部やっていけそう？」
梓「にゃ」
澪「いや、もう普通に話していいよ」
梓「あ、はい……えっと、こののんびりした空気がいいです」
澪「……そうだね」
唯「大丈夫！ 今までずっとこうだったから！」
澪「…………」
ピクニックにて
唯「あれーあずにゃん寝てるよー」
律「こいつ、きっと学校でも一日中寝てるんだろうなー」
梓「Ｚｚｚ……」
紬「かわいいから写真撮っとこーっと」パシャ
澪「（……梓はうまいのに、なんであんなやる気なさそうなんだろう）
澪「おい、梓」
梓「……んー」
澪「梓ってば」
梓「フワアアフ。あ、あずにゃん28号……いや、澪先輩」
澪「おい」
梓「……Ｚｚｚ」
澪「眼を開けたまま寝るな！」
澪「梓はなんで軽音部入ろうと思ったんだ？」
梓「ヒマだからです」
澪「将来プロミュージシャンになりたいとか」
梓「働きたくないです」
澪「ギターあんなにうまいのは誰かに教わったの？」
梓「うるさい音を出そうと思ってうるさい音出してるだけです。教わったことないです」
澪「好きなバンドは？」
梓「バーズ、クレイジーホース、ブラックサバス、ストゥージズ……」
澪「本当に音楽好き？」
梓「暇つぶしになるから好きです」
音楽室
唯「あずにゃん、今のどうやったの？」
梓「なんですか？」
唯「ブゥーンジャッジャッジャッジャッってやつ」
梓「それは」
ブゥーンジャッジャッジャッジャッ
「こうですよ」
唯「えーと、こーお？」
ブゥーンジャッジャッジャッジャッ
澪「二人ともゲーム買っても説明書読まないタイプだな……」
1週間後
唯「あずにゃん……こないね」
梓「……ちわ」ガチャ
律「あ、梓！ なんで最近来なかったんだよー。
ここんとこ毎日練習してたんだぞ！」
唯「あずにゃーん！ 待ってたよぉ！」ガバッ
梓「……わからなくなって」
「えっ！？」
梓「昼寝始めて目が覚めたら、今が朝の6時なのか夜の6時なのかわからなくなって。
たぶん夜だと思ってまた寝て、目が覚めたら夜で。
じゃあまだ今日だと思ってまた眠って。それを繰り返してたら……」
唯「あずにゃん……」
最終更新：2010年02月02日 01:55
