夏休み
憂「梓ちゃーん」
梓「遅れちゃった」
憂「いいよー。服かわいいねー。でも、それは?」
梓「ん?……猫耳」
憂「うん……なんで付けてるの?」
梓「先生が付けろって」
憂「へー」
梓「にあー」
憂「合宿するんでしょ?」
梓「うん。三泊四日」
憂「去年はお姉ちゃんがすっごく楽しかったって言ってたよ」
梓「楽しかった……ずっとゴロゴロしてたってことかな」
憂「ずっとってことないと思うけど。
海で泳いだり、BBQしたりしたみたいよー」
梓「へー楽そうでいいね」
憂「お姉ちゃん、軽音部でどんなカンジ?」
梓「む……嫌いじゃないタイプ……」
憂「へーそうなのー」
梓「ぜんぜん練習しないし、あだ名つけるし、ベタベタさわってくるけど。
なんだか知らない人ってカンジがしない」
憂「へー……」
憂「じゃあ澪さんは?」
梓「あの人はあずにゃん43号でよく声かけてくるけど……
なんか前バンド組んでたベースに似てる」
憂「どんなとこが?」
梓「よくしゃべるとこかな」
憂「じゃあ紬さんは?」
梓「誰?」
憂「じゃあ律さんはどう?」
梓「ドラムあんまりうまくないけど。
あーゆー人がお姉さんだったらちょっといいかもね」
憂「へーそっかー」
律「いよー! お二人さん!」
憂「あ! 律さーん」
律「二人してなんの話してたんだよー」
憂「律さんがお姉ちゃんだったいいなって話です」
律「へー(聞こえてたよなんだよ変なヤツだと思ってたけどかわいいぞ恥ずかしいぞ)」
憂「今日は一人なんですか?」
律「うん。澪は夏季講習行ってるよ」
梓「律先輩は行かないんですか」
律「んーそっだなー。
今日は後輩と仲良くしたいかなー」グイッ
梓「…………いて」
ふるぅすろっとるとまんなーい
憂「あ! お姉ちゃんからメールだ!」
fromお姉ちゃん!
subうーいー
今どこー?
おなかすいたよう
憂「梓ちゃんと律さんとハンバーガー食べてるよ。今から帰るね…っと」
憂「お姉ちゃんにご飯つくってあげなきゃ。二人ともウチに来ませんか?」
律「お。じゃあお呼ばれするかなー」
梓「……にゃ」
平沢家
憂「おねーちゃーん! ただいまー!」
唯「ういーおなかへったよお。
お、りっちゃんにあずにゃんだあ。いらっしゃあい」
律「おじゃましまーす」
梓「…………ます」
唯「ういーごはん何ー?」ゴーロゴーロ
憂「チャーハーン」
律「(なんかホッとするなぁ)」
梓「……いいフローリングだ」
ある日の放課後
唯「今日は水着を買うよ!」
梓「みずぎ……」
澪「唯、今年は遊んでばっかりいないで練習増やすからな」
唯「えー」
律「まあ、息抜きも必要だよなー」
梓「……そうですかね」
紬「……あの二人……」
別荘
唯「おおおう! 今年もすごいね! ムギちゃん!」
紬「ごめんなさい、今年はここしか取れなかったの」
澪「(まだ上があるのか)」
紬「ごめんね、梓ちゃん。ここ個室がないのー」
梓「そうですか(誰?)」
唯「う~肌がいたーい」
澪「日差しが強いなー」
律「あれ、梓は?」
別荘寝室
梓「Zzz……」
澪「来た早々昼寝か……」
唯「やっぱりあずにゃんの寝顔かわいいね~」
律「しょうがないなーこの後輩は。よっと」ゴソゴソ
紬「(……私カメラ忘れてないわよね)」
夜
梓「みなさん真っ黒ですけど、どうしたんですか?」
澪「日焼けしてないのは7時まで寝てたお前ぐらいだよ……」
律「さあ練習するぞー!」
澪「ん、どうした、やけに気合入ってるな」
律「んん? ふふーん、そっかなー。
ふふん、ふふーん」
紬「(早く夜よ更けろ)」
澪「しかし、こんないいとこで練習できるなんてうれしいなー……ん?」
梓「……ブツブツ」ガチャガチャ
澪「あ、梓、ずいぶん色々持ってきたんだなー」
梓「はい……バッグに入るだけエフェクターとか持ってきて……」
澪「そういえば、こないだ結局水着買ってなかったな……」
梓「水着なら学校で使ってるヤツ持ってきましたよ?」
紬「(…ハァ…ハァ…)」
…
澪「ふでぺーんふっふっー」
ギュワーーンワンワンワンワンジョオアアアァァァッ
澪「ふるえーるふっふっー」
ガリガリガリガリキイイィイアアアーーーーーーンン
澪「(ギターポップっぽかったのにハードコアになっちゃった……)」
律「そうだー。次、梓歌ってみてよ」
梓「えっ…………」
唯「うんうん。あずにゃーん、『ふわふわ時間』歌ってー」
梓「…………にあー」
梓「ぁあーあかーみさぁまおねぇーがぃ
ふちゃりーだーけぇーのぉー
どりぃーむうたーいーむぅーくぅだぁーさぁいぃ」
澪「(やっぱヘロヘロなんだけどなぜだろう……)」
律「(……なんか、泣ける)」
ギュウウウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
深夜
澪「…………」
律「…………」
紬「…………ゲル状」
梓「…………みゃ」ピクン
…
カランカランカランカラン……ジャーゴボゴボ……
梓「…………」
梓「…………む」
唯「ふむふむ」ちゃーちゃーちゃーん
唯「ごめんねー私の練習につき合わせて」
梓「いーです。目が冴えちゃったから」
唯「そっかー。あずにゃんいっぱい寝たもんねー」
梓「いっぱい寝ました」
唯「それでここなんだけどね」
梓「あ~……こう」
ジャージャージャージャラーン
唯「あずにゃんうまいねー!」
梓「…………にあー」
唯「じゃあ次わたしねー」
チャーチャーチャーチャラーン
唯「あはっ! できた!」
梓「そうですね」
唯「私、あずにゃんに出会えてよかったよー」
梓「はぁ……」
唯「あずにゃーん!」ガバッ! バタン!
唯「う~ふ~ふ~ふ~」すりすり
梓「…………」
梓「…………」ペロッ
唯「うひゃっ!」
梓「…………」チロチロ
唯「くすぐったいよ~」
梓「にあー」
唯「あ、猫がいる~」
梓「唯先輩、しょっぱいですにゃー」
唯「練習しるうちに汗かいちゃったかなー」
紬「(……予想とは違ったけど……ぐふ♪)」
……
憂「梓ちゃーん」
梓「遅れたね……」
憂「ううん、いいよー」
憂「お姉ちゃん真っ黒だったけど、梓ちゃん全然焼けてないねー」
梓「寝てたから……」
憂「へーお姉ちゃんたちとどんなことしたの?」
梓「澪先輩の歌のキーと反対のノイズ入れて弾いたり、律先輩にドラム教えたり」
憂「へー。紬さんは?」
梓「誰?」
憂「もー。髪が長くて眉毛が…」
梓「ああ……あののぞいてた人か」
憂「のぞいてた?」
梓「私が唯先輩をなめてるところをのぞいてた」
憂「……なめる? ああ、ナマイキな態度とっちゃったってこと?」
梓「私が唯先輩の首とかほっぺたとか舌で舐めてるところをのぞいてた」
憂「……ふーん。でも人前でそんなことしちゃあダメだよ~」ソワソワ
梓「夜中に唯先輩と二人っきりで練習してる時に……」
憂「…………」ガタンガタンガタン!!
梓「テーブルが……地震?」
音楽室
梓「ニャーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃーにゃー」
律「ゴキゲンだな~梓」
梓「……なんでわかったんですか」
律「ああ、やっぱそうだったんだ。なんかいいことあったの?」
梓「……戸棚が」
律「戸棚?」
梓「戸棚を開けたら、ボブがいたんです。ボブの隣にはいとこのローラがいました。
ボブはいつも音楽が流れていると言います。そしてローラは秘密を教えてくれました。
失くしたメガネは階段の下にある。本当にありました。
実に4年ぶりにメガネが私の手元に戻ってきました」
律「…………」
律「うーん……メガネ失くしてたけど、見つかったってこと?」
梓「そうかもしれません」
律「……梓は眼悪いの?」
梓「目の前なら見えるんですけど。こう…」
「離れると見えません」
律「そうだったのかー」
律「で? そのメガネは?」
梓「バッグに……」ゴソゴソポイポイ
梓「……あっ」
律「……これはフレームもレンズも割れてるな」
梓「…………」
最終更新:2010年02月02日 01:57