ビョーーンッ
唯「わあっ!!」
唯「ギー太の弦が!!」
澪「あーついに飛んじゃったかー」
紬「ずっと使ってたものねー」
唯「どどどどどうしよー!! ももももしかしてもう弾けなくなっちゃって」
澪「落ち着け。これぐらいすぐ直るよ」
紬「そうだ。せっかくだからメンテナンスもしてもらったら?」
唯「……手術、ですか」
律「それじゃあ、私、梓とメガネ見てくるから。 そっちは唯のギターな」
紬「うん。また後でね」
唯「あずにゃーん、メガネ見せてねー」
律「それじゃ、行くか」
梓「はい」
澪「…………」
某メガネ屋
律「どんなのいいとかある?」
梓「バディ・ホリーみたいのがいいですね」
律「ウィーザー? まあ、黒縁ってことか。ほらこんなのいいんじゃない?」
梓「はぁ」
律「ほら、かけてみなって」
梓「…………」
律「どーお?」
梓「……ぼおっとしててよくわからないです」
律「まあレンズ合わせてないからなー」
梓「……律先輩が選んでくれませんか?」
律「え……でも、趣味の違いとかあるしさー」
梓「律先輩の選んだやつならなんでもいいです」
律「……そっかー。じゃあ、次これかけてみて」
楽器店
紬「それじゃあ、よろしくね」
店員「はい、紬お嬢様~」
唯「ああ、私のギー太が裸にされてゆくっ」
紬「もー大げさねー」
唯「そういえばウルトラマンって裸なのかなー」
澪「……レフティ……半額、か」
2時間後
楽器店
律「おっすー。梓のメガネ買ってきたぞー」
唯「わあ、あずにゃんかわいいー!」
紬「顔が小さいから大きいメガネが引き立つわねー」
澪「リヴァース・クオモみたいだなあ」
梓「律先輩に選んでもらいました」
澪「……へー」
唯「へーそうなのー」
律「ナハハー。梓が選んでくれって言うからさー」
紬「でも似合ってるわよー」
梓「……にあー」
澪「なあ! 律!」
律「うおっ! なんだよ」
澪「あっちにセール中のレフティがあるんだよ! ほらっ!」グイッ
律「ちょ、引っ張るなって」
澪「もうすぐ学園祭だろー。新しいのにするのもいいよなー」
律「そうだけど。今日はもう遅いしさぁ、また今度…」
澪「ほら! これなんかいいよなー」
律「……帰るよー澪ー」
澪「やだぁ」
律「……澪ちゃーん、帰りますよー」
澪「やだぁ」
律「帰りましょうねーみおちゅわぁん」ガシッ
澪「いーやーだー!!」
唯「澪ちゃん、そんなに欲しかったのかあ」
紬「レフティは珍しいからねぇ」
律「……あーそーですか、わかりましたよ……バカ澪」
澪「えっ……」
律「はい! じゃあ今日はここで解散ー!」
唯「あずにゃーん、お茶飲みに行かなーい?」
梓「帰って寝ます」
澪「…………」
翌日
唯「あずにゃん、メガネかわいいー」
律「ほらほらー猫耳つけてーツインテールで……ヒゲッ!」
唯「おおー! あずにゃんにゃんだよ~」
梓「…………」
バタンッ!!
澪「…………」
律「おお、遅かったなー」
澪「……はやく練習しよう。学園祭近いし」
唯「ええーまだムギちゃんのお茶も飲んでないよう」
律「なー。それに今梓で萌え萌え…」
澪「はやく練習するぞっ!!」
唯「わっ……」
紬「……澪ちゃん?」
律「わかったよ。みんなー準備しようぜー」
ジャジャッ、ジャジャッ、ジャーーン……
唯「ふ~」
律「けっこうよかったんじゃないか?」
紬「誰もミスしてなかったしね」
澪「……ダメだダメだ。もう一回」
ジャジャッ、ジャジャッ、ジャーーン……
唯「ふ~…」
律「今度は」
紬「よかったと思うけど……」
澪「……ダメだダメだ! 唯! 歌ってるときリフが安定してない!」
唯「はっ、はいぃ!!」
澪「ムギ! たまにズレてる! もっと周りを聴いて!」
紬「う、うん」
律「なぁにカッカしてるんだよー。ちょっと神経質じゃないか?」
澪「一番悪いのはお前だよ律。バンドの良し悪しはドラムで決まるんだぞ。
私とお前でリズム隊なのに全然合ってないぞ」
律「……ハァー、何だって」
澪「お前が一番悪かったって言ったんだ。
それから梓、余計なノイズが多すぎる。バンドに合わせろ」
梓「はぁ」
澪「はぁって……本当にわかってるのか!?」
梓「……はぁ」
澪「……お前は暇つぶしでここに来てるのかもしれないけどな。
私達だってプロじゃないけど、真剣にやってるんだよ!
お前私のことバカにしてるんじゃないのか!」
唯「えっ……なにぃ」
紬「澪ちゃん……」
律「おい、やめろよ」
澪「……だって!」
梓「音楽は暇つぶしですよ」
澪「…………」
梓「普段することないし。つまらないし。学校に行くのもめんどくさいし。でも働きたくないし。 でも寝るのとギターでうるさい音出してると時間はつぶせるし。 今日はそれが邪魔されたから帰って寝ます」
ガチャガチャ……ゴソゴソ……
梓「おつかれさーでぇーす」バタン
澪「…………」
律「…………」
紬「…………えっと」
唯「…………り、りっちゃん」
律「…………今日はかいさーん。おつかれー」
翌日
紬「澪ちゃん……来ないね」
唯「うん……」
律「梓は普通に来てるけどな」
梓「…………」
唯「もしかして、このまま来なくなっちゃうんじゃ…」
紬「そんな!」
律「けっこう……ガンコだからなー」
ガチャン!
唯「澪ちゃん!」
さわ子「ちょりーっす」
律「なんだよ、さわちゃんかよ」
さわ子「なーにーその態度。お茶ぁ~」
紬「あ、はい……」
さわ子「ふ~ん。そういうことがあったの」
唯「さわちゃん先生、澪ちゃん来るよね?」
さわ子「梓ちゃん」
梓「…………」
唯「あずにゃーん」ユッサユッサ
梓「…ああ、はい」
さわ子「ベースできるのよね?」
梓「できますよ」
律「……なに、さわちゃん」
さわ子「あなたたち、学園祭はもう来週よ。現実的にもしものことを考えて…」
律「梓にベースはやらせないよ」
紬「りっちゃん……」
律「もう生徒会にも出したんだから」
さわ子「そ。じゃあ待つか引っ張ってくるしかないわね」
…
渚にて
ザザーーン……
澪「…………」
ザザーーン……
澪「…………」
ザアアーーーッ……
澪「わたし……なんで生きてんだろ……」
カキカキ……
澪「ひとりの海……ちがう……海の日……これじゃ休日だ……」
カキカキ……
澪「海……潮……砂浜……渚……」
カキカキ……
澪「……渚にて……ニール・ヤングだな……」
澪「ああ……カート・コバーンの遺書にもニール・ヤングが使われてたっけ」
澪「……へへっ」
ザザーーン……
澪「海に入ったら死ぬのかなぁ……」
ザザーーン……
澪「でも、海に潜ってからどうやって死ぬんだろう……」
ザザーーン……
澪「浮力があるんだし、沈めないんじゃないかな……」
澪「……沈んじゃうのかなぁ……」
澪「梓はどうして退屈してるんだろう」「でも暇つぶしして退屈じゃなくなろうとしてる」
「私は退屈してるのかなぁ」「でもあんまり思わないなあ」「もしかしてけっこう楽しんでる?」
「でも今はあまりいい気分じゃない」「ヒマ?」「ヒマってなんだ?」
「梓の音楽は暇つぶし」「わたしの暇つぶし」
「暇つぶし」「ティータイム?」「立ち読み」「テレビ」「ベース?」「音楽?」
「なんで音楽やってんだっけ?」
最終更新:2010年02月02日 01:58