528 :1です ◆duJq3nZ.QQ 2012/03/13(火) 01:06:48.27 ID:eCdhj5a90



→E:「ちゃんと治さないとね! 保健室に行こうか?」
   応急処置は済んだし、しっかり診てもらおうかなー? 保健室に行く。


和のとっさの機転のおかげで、何とか痛みを最小限に抑えられた唯。
痺れのなくなった手を抑えながら明るく笑って見せる。


唯「んー、なんか大丈夫そう……だね! じゃあ……」


唯が続けようとすると、眼鏡の奥から覗く二組の鋭い瞳に、思わず「ひっ」とたじろいだ。


和「『じゃあ』……何?」

さわ子「いっとくけど唯ちゃん、このままじゃあなたを帰せないわよ」


取り囲む二つの視線に、唯はびくりと体を縮こまらせる。
それでも容赦なく凝視してくる二人に、やがて唯は観念したように息をはいた。


唯「……ほ、保健室に行きます……」


いつになく気弱な唯の言葉に、二人は満足げに頷いた。


和「そうね、しっかり診てもらわないとね。唯にちゃんと常識があってよかったわ」

さわ子「そうよ、ここで帰られて悪化しちゃったらますます私の責任になっちゃうじゃない。我慢してちゃんと行きなさい」

唯「(ふ、二人ともなんかヒドい……!?)」

さわ子「そうと決まれば早く行くわよー、まだ養護の先生は学校に残っているはずだしね」

和「ほら唯、早く歩きなさい。患部はしっかり抑えておくのよ」

唯「うううぅ……は、はいぃ」


さわ子が先導し、和が困惑顔の唯の背中をぐいぐいと押しながら、一行は保健室へと向かった。

529 :1です ◆duJq3nZ.QQ 2012/03/13(火) 01:08:28.05 ID:eCdhj5a90


梅雨の中ごろにしては珍しく晴れている今日の天気にそぐわず、保健室はひっそりと静まり返っていた。
三人は恐る恐る近づきながら、ドアの向こうを窺う。


さわ子「……しーんとしているわねー……今日、養護の先生はいたと思うけど……」

和「……休みかもしれないですね。こんなテストの日に怪我するのって唯くらいでしょうし……」

唯「ふえぇ……和ちゃん、ひどいよぅ……」


無意識に声をひそめながら、思い思いに感想を言い合う三人。
とうとうドアの前までたどり着き、唯は右手にかぶせていた左手を取っ手にかけた。


*選択肢*

A:「…………あのぅ……」
   それにしても静かだなぁ……なんか変に声が小さくなっちゃうね。そっとドアを開ける。

B:「失礼しまーす……」
   こんこん、とノックをして入ってみよう。誰かいるかなぁ?

C:「すみませんっ! ちょっと看て下さいっ!」
   早く手当てしてもらわないと悪化しちゃうかな? 勢い込んで入る。

D:「……や、やっぱり、帰ろうか?」
   な、なんか怖い気がしてきたよ! 尻込みして引き返す?


530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県) 2012/03/13(火) 01:16:58.96 ID:hlSzN3j9o


C

534 :1です ◆duJq3nZ.QQ 2012/03/13(火) 03:11:14.16 ID:eCdhj5a90



→C:「すみませんっ! ちょっと看て下さいっ!」
   早く手当てしてもらわないと悪化しちゃうかな? 勢い込んで入る。

保健室から漂う鬱屈を振り払うようにして、唯は思い切りドアを開け放った。
中を見ると、思いもよらず鮮やかな夕日が差し込んできていた。
ほっ、と誰からともなく安堵の息をつくと、何かがこすれるような音が聞こえ得来た。
乾いた布を擦り合わせているようなその音の出所を注意深く探る。
すると、奥にあるベッドの小山がもぞもぞと動き、ぱっと弾けるようにシーツが開かれる。
中から艶やかな茶髪が見え、その人物は頭を抱え込むようにして目をこすっていた。


「ん……何の声……?」

唯「……あっ!」


唯の驚きの声に反応し、うっすらと目を開ける。
気だるげなその仕草は、何だかとても彼女に似合っていた。


唯「あっ、やっぱり姫ちゃんだ! どうしたの、具合でも悪いの?」

姫子「えっ……あ、唯……? 唯こそどうしたの? それに、先生も真鍋さんも……」

さわ子「あら、立花さんもいたのね」

和「唯がちょっと、ね」

唯「うう……の、和ちゃん」


535 :1です ◆duJq3nZ.QQ 2012/03/13(火) 03:12:00.04 ID:eCdhj5a90



唯が弱弱しく和を制しようとすると、奥から髪の長い中年の女性がのっそりと歩いてきた。
唯達三人の姿を認めると、「あらあら」と気さくな声を出して慌てて駆け寄ってきた。


「あらあら、珍しいわねえ。誰か怪我でもしたの?」

さわ子「ええ、えっと……」

「あらあらあらあらっ! これはいけないわねえ」


さわ子の答えを遮るように、女性はすっとんきょうな声を上げた。
露わになっていた唯の右手を目ざとく見つけ、手首を捉えてじっと凝視する。


「……あらー……痛そうねえ……水ぶくれができちゃってるわねえ」

唯「は、はいぃ……」


養護の先生らしき女性は顎に手を添えて少し考えるようにした後、唯の手を優しく引いて、中央にある椅子に座らせた。
女性は中腰になりながら患部をじっと見て、眉をハの字にする。


「少し赤いねえ……ちゃんと水に付けた?」

唯「あっ……はいっ、和ちゃんにやってもらいました!」

姫子「えっ、水につけたって?」


奥から姫子が、首を傾げながら養護の先生に聞く。


「うーん……どうもねえ、火傷みたいだからねえ……」

姫子「えっ! 唯、火傷したの!?」


536 :1です ◆duJq3nZ.QQ 2012/03/13(火) 03:12:39.68 ID:eCdhj5a90




慌ててベッドから降り、駆け寄ってくる姫子を、養護の先生が片手で制した。


「こらこら。触っちゃだめだよ、悪化しちゃうかもしれないからね」

姫子「そうじゃなくて……唯、大丈夫なの!?」

唯「う、うん……今は平気だよっ」

姫子「も、もしかして、先生や真鍋さんも?」


姫子が慌てふためきながら二人を向くと、軽く苦笑いしながら首を振った。


和「私は付添なだけよ」

さわ子「私は、唯ちゃ……平沢さんが火傷をしたときにそばにいたのよ。だから、急いで連れて行こうと思ってね」


その言葉を聞いて、養護の先生は強い目でさわ子を見た。


「山中先生……もっと気をつけてもらわないと……」

さわ子「……はい。すみません……私の監督不足です」

「もう、まったく……」


養護の先生は軽くさわ子をたしなめると、それからすぐに唯の手をとり、処置に入った。
さわ子はしばらく頭を下げていたが、顔を上げてからも表情は固く沈んでいた。


唯「(さわちゃん……)」


唯は、どことなく申し訳ない気持ちになりながら、ふと手持ちぶさたにシーツをもてあそんでいる姫子の姿が目に入った。
固い雰囲気をほぐそうと、唯は明るい声で訊ねる。


537 :1です ◆duJq3nZ.QQ 2012/03/13(火) 03:13:09.65 ID:eCdhj5a90




唯「ね、ねえねえ。姫ちゃんはなんで保健室にいたの? 調子悪いの?」


姫子が顔を上げてにやりとしながら答えようとすると、先に養護の先生の野太い声が聞こえてきた。


「立花さんはねえ……自主錬だか何だかでしょっちゅう怪我をしていてねえ……それはいいんだけど、怪我のついで、って言ってそのたびにベッドでぐうぐう寝ているのよ」

姫子「もう、そんな風にいわなくてもいいじゃないですかー。動いていると眠くなるんですから」

和「あら意外。立花さんって、もっとストイックな感じだって思ってたわ……」

姫子「ち、違うよ。ちゃんと真面目にやっているから」

唯「真面目に寝ているんだもんね!」

姫子「もう、ゆーいー?」


口をとがらせながらも、姫子は途中でぷっと吹き出し、唯もそれにつられて笑った。
徐々に笑いの連鎖がうつり、頑なだったさわ子も思わず頬を緩ませた。
保健室は、おだやかなときを迎えた。

538 :1です ◆duJq3nZ.QQ 2012/03/13(火) 03:13:38.49 ID:eCdhj5a90



処置が終わると、養護の先生は満足そうにうなずいた。


「あとは、こまめにガーゼをとりかえてね。お風呂に患部をいれちゃだめよ。もし何だったら、かかりつけの病院で診てもらってもいいかもしれないねえ」

唯「ほいっ、分かりましたっ! ありがとうございましたっ!」


右手をぶんぶんと振り回しながら、勢いよく頭を下げる唯。
いきなり振り回したのが悪かったのか、突然走った微妙な痛みに「うう」とうめく。
それを聞いたさわ子と和、そして姫子は、しょうがなさそうに笑った。
窓に差し込む夕日が、次第に翳ってきたのを見て、さわ子が腕時計に目を走らせる。


さわ子「……あら、もうこんな時間になっていたのね。ほらほら三人とも、早いとこ帰らないと」

和「本当ね。明日もあるし、早く帰らなきゃね」

姫子「うん、そうだねー。あっ、私は着替えなくちゃ」


唯達はそっと腰を上げ、帰り支度を始めた。


*選択肢*

A:「さわちゃん! せっかくだからのせてってほしいなぁ♪」
   今日はさわちゃんの色んな面を見れたね。せっかくだから甘えちゃおう。さわ子と帰る。

B:「和ちゃん、一緒に帰ってくれるかなぁ……?」
   火傷するなんてあんまりないし……頼りがいのある和ちゃんと一緒に帰りたいな。

C:「えへへっ、どうせだから一緒に帰ろう? のせてねさわちゃん!」
   遅い時間だしね。ここは、さわちゃんの愛車に和ちゃんと乗って帰るよ!

D:「ひーめーちゃーん! 久しぶりに二人で帰らない?」
   保健室仲間の姫ちゃんと二人で帰宅。えへへっ。

E:「今日は、そのまま一人で帰るよ。ありがとね、皆!」
   皆に迷惑かけっぱなしだったし……たまには一人で帰ろうっと。

*選択肢2*

A:さわ子に鞄をとってきてもらう。

B:和に鞄をとってきてもらう。

C:姫子に鞄をとってきてもらう。

D:自分で取りにいく。


539 :1です ◆duJq3nZ.QQ 2012/03/13(火) 03:15:02.89 ID:eCdhj5a90


>>538については、
選択肢と、選択肢2からそれぞれ一つずつ選んで頂きます。
選択肢の中で最も票が多かったもの、選択肢2の中で最も得票が多かったもの、それぞれが採用され、組み合わさります
 
なお、二つとも挙げているレスを有効とさせていただきますのでご注意ください。


544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/03/13(火) 04:38:25.72 ID:SoCY4/520


ずっと待ってたよ!
やっぱどのここのSSが一番好き
DD

548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/03/13(火) 23:09:08.12 ID:8tldx5QDO


楽しみにしてたよ!
DD


唯「私は、誰と恋をする?」 【百合シミュレーションSS】 Part4 9

最終更新:2012年09月27日 21:51