唯「ささ、憂、はっやくはっやく~」

憂「うん、これでよしっと」

憂「お姉ちゃん、お布団準備できたよぉ」

唯「ほいほーい」

憂「じゃあ、電気消すね」パチッ

モゾモゾ

唯「ほら、もっとこっちにおいで~」ポフポフ

憂「OKだよ、お姉ちゃん」

唯「それではっ! 平沢姉妹恒例、今日の一日」

憂「わーわー♪」パチパチ

唯「コホン。それじゃあまず、私からいきます!」

憂「がんばって、お姉ちゃん!」

唯「えっとー・・・澪ちゃんが縞のパンツはいてた!」

憂「い、いきなりだね」

唯「今日は体育があったんだぁ」

憂「澪さんは、体育も得意なんだよね」

唯「そうそう。かっこよかったよー」

憂「2年のクラスにも、澪さんのファンたくさんいるよ」

唯「澪ちゃんはナイトだからね!」

憂「文化祭でも、ロミオ役だったよね」

唯「そうそう・・・はっ!?」スタッ

憂「どうかしたの? お姉ちゃん」

唯「ん・・・あったあった、台本!」

憂「学園祭の時の台本だね」

唯「うん・・・ここを、こう書き換えて・・・と」カキカキ

憂「?」

唯「できた♪ さぁ、憂がジュリエット役だよ!」

憂「え? う、うん。えーっと」

憂「ああ、お姉ちゃん、お姉ちゃん!・・・・・・ってこれ?」

唯「いいからいいから。続けんしゃい」

憂「・・・・・・なぜあなたはお姉ちゃんなの?」

唯「おお、愛しい憂!姉妹だから何だと言う。そんな壁、私の愛の前には砂のように崩れさるだろう」

憂「どうか両親と縁を切り、家名をお捨てになって!」

憂「もしもそれが嫌なら、せめて私を愛してると言って」

唯「ああ、憂! 君はどうしてそんなに可愛いんだ!」

憂「お姉ちゃん!」ダキッ

唯「憂っ!!」ヒシッ

唯憂「・・・・・・」

憂「・・・・・・プッ。なにこれ~」

唯「あははははっ」

憂「もう、お姉ちゃん、笑いすぎだよ~」

唯「あはは・・・ごめん、だって、憂が『ああ、お姉ちゃん、お姉ちゃん』って」クスクス

憂「お姉ちゃんが書いたんだよ~//」

唯「あは、ごめんごめん~」

憂「次、私の番いくよ~?」

唯「いひひ・・・・・・おなかいた」

憂「もう// えっと・・・・・・純ちゃんの頭が、爆発した!」

唯「今日もですか? 憂さんや」

憂「今日もだよ、お姉ちゃん!」

唯「・・・・・・風、強かったもんねえ」

憂「うん。体育の時、蜘蛛の巣みたいに広がっちゃって・・・・・・」

唯「蜘蛛の巣!?」

憂「梓ちゃんと2人でなんとかまとめたんだよ」

唯「水泳の授業とか、大変じゃない?」

憂「うん。プールに海藻が浮いてる!って騒ぎになったんだ」

唯「私も癖毛だけど、純ちゃんにはかなわないなぁ」

憂「でもね、ドライヤーで乾かすと、もふもふして気持ちいいの」

唯「へえ。・・・・・・もふもふ?」

憂「うん、毛糸玉みたいで、あったかくて、やわらかくて・・・・・・ふわぁって」

唯「ゴクリ。それはさぞ、もふもふでしょうなあ」

憂「もふもふだったよ~えへへ」

唯「憂ばっかりずるーい。私も純ちゃんの頭、もふもふ~、ってしたい!」

憂「純ちゃんが軽音部だったら、お姉ちゃんに毎日もふもふされちゃいそうだねー」

唯「当たり前だよぉ。後輩を可愛がるのは、先輩のつとめなのです」

憂「あはは。可愛がるの意味が、すこーし違うような・・・」

唯「憂、今度純ちゃんうちに連れておいでよ~」

憂「うん。純ちゃんも、お姉ちゃんに会いたがってたよ」

唯「そうなの!? よーし。私がもっふもふにしてあげよう」

憂「あはは」

唯「つぎ私~。ムギちゃんが眉間にしわ寄せたら、眉毛がハの字になった」

憂「眉間にしわ寄せたの?」

唯「杉下右京の物真似してた」

憂「紬さんが・・・・・・? いったいどんな」
。o○
律「だ~か~ら~、あと一杯だけ!」

澪「・・・・・・ほんっとに、それ飲んだら練習するんだな?」

唯「するする! 約束するよ~」

梓「はぁ・・・・・・当てになりませんね。ねぇムギ先輩」

紬『おかしいですねぇ・・・・・・?』グニッ

唯律澪梓「!?」

梓「・・・・・・ムギ先輩?」

紬『そんな簡単な話ではないはずですがね~?』キリッ

律「お、おい。ムギ?」

紬『諸刃の剣なのかもしれませんね!? 軽音部の仲間意識というものは』キリリ

唯「ム・・・・・・ムギちゃぁん?」ウルウル

澪「す、杉下右京だ!」

律「なに!?」

澪「ママが一日中見てるんだよ、相棒・・・・・・」

梓「ママ・・・・・・」ボソッ

澪「お、お母さんっ!」

唯「あれ・・・・・・なんか落ちてる。あ、これ、さっきの台詞!」

紬『あぁっ。僕としたことが、うかつだったわぁ」
○o。

憂「」プッ

唯「ムギちゃんは、何にでも積極的だからね」

憂「紬さん、おっとりおしとやかなイメージだけど、意外だね」

唯「ムギちゃんは、みんなのパワーの源なんだぁ」

憂「お茶とか、お菓子とか?」

唯「あ、それもあるね、ムギちゃんのお茶とお菓子はおいしいからね」

憂「紬さんに、おいしい紅茶のいれかた教わりたいなぁ」

唯「じゃあ、ムギちゃんにお願いしてみるよ、私」

憂「ありがとう、お姉ちゃん」

唯「えへへ・・・・・・そしたらさぁ」

憂「もちろん、お姉ちゃんには最初に飲ませてあげるからね」

唯「さすが憂! 愛してるっ」

憂「私もだよ~♪ お姉ちゃん」

唯「つぎ、憂だよ~」

憂「はーい。梓ちゃんが、唯先輩大好きっt」唯「おおぅ!?」

憂「・・・・・・大好きって言ったらマジメに練習してくれるのかな、って言ってたよ?」

唯「とほほ・・・・・・あずにゃんや」

憂「お姉ちゃん、家ではまじめに練習してるのにね」

唯「部室だと、みんなとのおしゃべりが楽しくてつい・・・・・・面目ございません」

憂「でも、それがきっと、お姉ちゃんたちのペースなんだよ」

唯「憂は優しいねぇ。澪ちゃんとあずにゃんはよく怒るんだあ」

憂「澪さんと梓ちゃんって、姉妹みたいだよね」

唯「そうそう。『ちゃんと練習しろー!(してください!)』って」

憂「あはは」

唯「じゃあつぎー。りっちゃんが、ボタン付けしてくれた!」

憂「律さん、お裁縫が上手なの?」

唯「んー、ボタン付けだけは得意って言ってたかなぁ」

憂「でも、お料理も得意なんだよね?」

唯「りっちゃんハンバーグも、おいしかったよ~」

憂「ムードメーカーだけど、家庭的なところもあって、律さんって軽音部のお母さんみたいだね」

唯「りっちゃんがお母さん?」

。o○

りつ『おーい、ごはんができたぞー』

ゆい『わー、おいしそうー!』パクッ

りつ『こら、ゆい。いただきますしなきゃだめだろー?』

ゆい『ねえりっちゃんママ、シチューにパンつけて食べるとおいしいよ?』

りつ『ふふーん、カレーにパンつけるのもおいしいんだぞー?』

ゆい『えぇー、カレーにパン!? カレーパン!?』

りつ『そう! りっちゃんママ特製カレーパンだ』エヘン

ゆい『大発明だね、りっちゃんママ!』

りつ『おう! 今度いっしょに作ろうな、ゆい!』ナデナデ

ゆい『はーい!』ニコニコ

○o。

唯「んー・・・・・・いいと思う、りっちゃんママ!」

憂「あはは・・・・・・」

唯「ん、憂、もう眠い?」

憂「ううん。でも、体育の授業で少し疲れちゃった」

唯「憂はいつでも全力だからねー。じゃあ、今日はもう寝る?」

憂「うーん・・・・・・もうちょっと、お話したいかな」

唯「じゃあ、憂が眠くなるまで、お話しよっか」

憂「お姉ちゃんは平気? はやく寝ないと、明日つらくなるよ?」

唯「いいっていいってー」

憂「うーん・・・・・・それじゃ」

唯「うん」

憂「・・・・・・お姉ちゃん」

唯「んー?」

憂「こうやって一緒にいられるのも、あと少しだね」

唯「うーん。私、無事に卒業できるのかな?」

憂「お、お姉ちゃん?」

唯「えへへ、冗談冗談」

唯「・・・・・・ねぇ、憂」

憂「うん」

唯「私ね、大学生になっても、軽音部に入るよ」

憂「うん。律さんたちも、みんな一緒だよね」

唯「もちろん♪ ・・・・・・それから、お料理も覚える!」

憂「日曜日は、寮のご飯でないんだよね」

唯「うん。だから、少しずつだけど、ね」

憂「そっかぁ。お姉ちゃんはすごいなあ」

唯「そりゃ、憂のお姉ちゃんですから!」

憂「ふふ、何それ~」

唯「それからー。クルマの免許も取るし」

憂「免許!? 大人だねお姉ちゃん!」

唯「アルバイトもします」フンス!

憂「えっ。お姉ちゃん、大丈夫?」

唯「大丈夫だよ。みんないるもん」

憂「・・・・・・うん」ギュ

唯「憂?」

憂「ごめん。お姉ちゃんが、遠くに行っちゃうような気がして・・・・・・」

唯「よしよし・・・・・・憂は、甘えんぼさんだなぁ」

憂「お姉ちゃんの妹だもん」

唯「ふふ・・・・・・なにそれぇ」サスサス

憂「さっきと逆だね」クスッ

唯「・・・・・・ねぇ、憂」

憂「うん」

唯「私、大学生になっても、ギター頑張るからね」

憂「うん」

唯「お料理、わからないことがあったら憂に聞くね?」

憂「うん・・・・・・そしたらいつか、お姉ちゃんと一緒にお料理できるかな?」

唯「ふふっ、楽しみだね」

憂「うん!」

唯「免許取ったら、憂とドライブに行くんだ~」

憂「わぁ・・・・・・いいね」

唯「でしょでしょ~♪」

憂「・・・・・・晴れたらいいな、その日!」

唯「きっと晴れるよ? お姉ちゃんに任せて」

憂「うん!」

憂「・・・・・・あのね、お姉ちゃん」

唯「んー?」

憂「3年生になったら、私」

唯「うん」

憂「その・・・・・・軽音部に、入るの!」

唯「おぉ、憂~!」ギュッ

憂「わぷっ、苦しいよ、お姉ちゃ」

唯「えへへ、ごめんごめん。うれしくって」

憂「うれしい?」

唯「当たり前だよ~。軽音部は楽しいもん」

憂「うん・・・・・・お姉ちゃんいつも、楽しそうだもんね」

唯「そうだよ~。憂もきっと、楽しいよ!それに・・・・・・」

憂「それに?」

唯「いつか、2人でセッションできるよね! 楽しみだなぁ」ワクワク

憂「! ・・・・・・そっかぁ♪」

唯「ねぇ、憂」

憂「うん?」

唯「大人になるのは、寂しいことじゃないでしょ?」

憂「・・・・・・うん!」

唯「変わっても、変わらないからね?」

憂「・・・・・・わかった」

唯「よしよし」

憂「えへへ・・・・・・」

唯「大学生になっても、社会人になっても」

唯「お母さんになっても、おばあちゃんになっても・・・・・・」

唯「こうやって、ふたりでお話しようね」

憂「うん」

唯「ふふっ、私、憂が妹で良かったぁ。今までもこれからも、ず~っと、憂のお姉ちゃんだもん」

憂「えへへ・・・・・・私だって、生まれた時からずーっと、お姉ちゃんの妹だもん。良かったぁ」

唯「これからもよろしくね、憂♪」

憂「よろしくお願いします、お姉ちゃん♪」

憂「ん・・・・・・フア」

唯「憂、眠くなってきた?」

憂「うん。ちょっと、安心しちゃったから」

唯「じゃあ今日は、手をつないで寝よっか」ギュ

憂「うん」ギュ

憂「・・・・・・おやすみなさい、お姉ちゃん」

唯「おやすみ、憂~」

【おしまい】



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最終更新:2012年09月28日 21:24