さわ子『にょーーーーーーーー!!』ドンッ

DJ男『わっ!』

さわ子『妻子持ちだぁあ~!? 思わせぶるんじゃねーよ!!
    期待させるんじゃねーよ!! モテてんじゃねーよ!!
    黒い皿回してかっこいいとでも思ってんのかテメー!!
    女の話をなんでも肯定すんじゃねーよテメー!!
    今私の胸2回も揉んでんじゃねーよテメー!!』

DJ男『そ、それはさわ子ちゃんが…』

さわ子『死いいいいいいいいいいいいねええええええええェェーーーーーーーーーーーー!!!』


さわ子『うわああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』


さわ子「私は走って……その足でジャガーを売った……
    ネルシャツを捨て、ジーンズを破り、コンバースを潰した……
    大学を卒業して、私はキャラチェンジを始めた……」


さわ子「それで昨日聞いたらあの女、あのヤローと結婚しやがって!
    なあにが『ずっと友達付き合い長かったしー』だ!
    なあにが『奥さんと別れた後、彼寂しそうでなんかかわいく思えてー』だ!
    『ごめんねぇ、お先に失礼~♪』
    むきゃあああああああああ!!」

フライングV「キィィイイイイイイジョアアアアアアア!!」


さわ子「……ふふ、バカみたいでしょ。こんな女…」

律「うひゃあ、これが梓の曲か~」

唯「次わたしに聴かせてー」

紬「私もー」

澪「いやあ、すごいぞ……」


さわ子「聞いて…ない?」

さわ子「いいよーどーせ行き遅れだよー給料の使い道は自分への投資だよーわーい」


澪「あのさ、みんなに話があるんだけど」

律「なにさー」

唯「なになにー」

澪「あの…これからは、休みの日とかも、遊ぶだけじゃなくて、スタジオで練習したり……
  あと、ライブももっとやりたいと思うんだけど……」

律「いいんじゃない?」

澪「え、そう?」

唯「ライブかーとうとう武道館を借りるんだねー」

律「いや、いきなり武道館はないだろ」

紬「対バンっていうのがあるんでしょう?」

唯「タイバン? なんか速そうだねー」

律「何を想像してるか知らないけど…バンドがたくさん出るんだよ。バンド対決」

唯「おお! オレノダチニナニスンジャーイ! ボケー!」

律「それはタイマン」

紬「がーきだーいしょー♪」


澪「……よかった」

梓「何がですか?」

澪「私一人が突っ走ってるんじゃなくて」



某ファーストフード店


律「地元のバンドが集まってくるんだろうから、ジェフ・ベックは来ないぞ」

唯「えーじゃージミヘンはー?」

澪「もう死んでるから」

唯「せっかくサインもらおうと思ったのに……あ、そうだ! ライブで逆立ちを披露するってどうかなー」

紬「お菓子を配るとか!」

澪「もはやバンドじゃないな……」

梓「ちゅーーーーーずこここーーっ」

律「おーい、ムギーおいてくぞー」

紬「あ、うん! 待って! メモメモ……」

唯「今日はウチ、ホイコーローなんだー」

澪「唯、さっきセット食べたばっかじゃん……」

唯「憂がねー今日は中華な気分だってねー」

梓「じゃすらいくはに~……」


……

憂「おねーちゃーん! 出来たよー」

唯「うんー、えーと、ミュート? 何?」チャカチャカ



唯「今日ね、ライブをやろうって話になってねー」

憂「へーまた学校でやるの?」

唯「ううん。ライブハウスってとこでやろうってさー」

憂「ライブハウス? じゃあ、お客さんが来るんだねー」

唯「武道館でやるにはまだまだなんだって。いつやれるのかなー」

憂「武道館でやるにはもっともっとたくさんに人にお姉ちゃん達を知ってもらわなきゃ」

唯「でもね、地元のライブだとジェフさん来ないんだってー」

憂「……ジェフさん?」



澪「今日は言ってよかった……もっとグダグダになるかと思ったけど」

澪「よーし! 今日は歌詞書くぞー!」

澪「…………」

澪「…………」

澪「LazyとCrazyが続いたらちょっとかっこいいかも……」



律「しっかし、澪がねー自分からあんなこと言うとは。恥ずかしがりのくせに」

律「でも、りっちゃん、なんだか寂しい! なぜ!?」

律「…………」

律「…………」

律「…………あー、教本……どこだっけ」



紬「(ただの電話ただの電話別に緊張することじゃない)」

紬「…………」

紬「…………」

紬「なんで最後のヒトケタが押せないの!」



梓「…………ブツブツ」
  ギャーーンジャカジャカジャカジャカ

梓「…………トゥ、トゥ」
  キィーーーンギュワワワワワワワワワワ

梓「…………にあーん」
  ギュワーーーーーンギュワーーーーーーンギュワーーーーーーン

梓「…………Zzz」
  ズオオオオオオゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……



さわ子「ダメだ、この新しい味は失敗ね」ばぁりぼぉり

さわ子「プハーーッ! でもビールはうまい!」キュッ

さわ子「あっはっはっはっ! 最近の若手は笑えるー」ゲラゲラ

さわ子「…………」

さわ子「…………あ、まずい、考え出しちゃう」

さわ子「…………私、ひとりで何やってんだろ……」

さわ子「…………あ、メール」

さわ子「…………合コン、だと」




よくじつ!!


律「梓は前に組んでたバンドでライブやったりしてたのか?」

梓「やったりしました」

澪「どうだった?」

梓「疲れます」

律「いや、もっと、参考になるようなことないの?」

梓「ペットボトルが飛んでくるので、キャップを被ります」

澪「え……」

律「じゃあ、今日はちょっとスタジオ行ってみるか」

唯「すたじお!」

紬「……あの」

唯「あずにゃん、ミュートって何?」

梓「ジャッジャッジャッってなるヤツです」

紬「あの!」

澪「うん?」

律「どしたー? ムギー」

紬「あの……今日は、私、これで」

唯「なんか用事ー?」

紬「うん……その、ごめんね!」

唯「ああ……行っちゃった」

律「……どうする?」

澪「うーん、仕方ないな」


唯「ムギちゃん、デートかなー」

澪律「デート!?」


澪「ムギ、彼氏いたのか?」

唯「いや、知らないよ?」

律「うーん、でもあのルックスならなー」

唯「そうだよねー、ムギちゃんモテそうだもんねー」

梓「(……ムギ先輩はフルネームなんていったっけ?)」

澪「しょうがない、今日は解散しよう」


律「そういえば、梓ンチってどんな感じなの?」

澪「突然だな」

梓「あー……ふつうです」

律「そりゃ、変ですって答えるとも思ってないけど。
  ギターとか自分の部屋で練習すんの?」

梓「練習は……外のガレージを改造して、そこで」

唯「ガレージ?」

梓「それなりに広さもあるし、音も響くし、まあ好きにできるし」

澪「へー、なんかカッコいいな」

律「じゃあさっ! 今から行ってみようよ!」

梓「えー……」




中野家のガレージ

律「うわー、車4台は余裕だな」

唯「でも、ちょっと寒いね」

律「お、アンプも揃ってる。ドラムもあるぞ。セット小さいけど」

澪「いつもここで練習してるわけだ」

梓「とゆーか……テレビとご飯とお風呂以外はここにいますね」

律「壁にポスター貼ってある。ルー・リード……梓にもこういうとこあったのか」

澪「マイクだ。ここで録音したのか」

梓「はい」

澪「なんかウィーザーの歌みたいだな」

唯「いんざーがーじ♪ あーふぃーせー♪」

律「no one hears me sing a song(僕が歌うのを聴くひとは誰もいない)♪」

律「せっかくだしさ、ちょっと合わせてみようよ」

梓「はぁ……」

唯「なんか不思議な気分だな~」

澪「おお、なんか良さそうなアンプ」





唯「君を見てるといつもハートドキドキ!」
  ジャカジャジャカジャーージャジャジャー
  ブンブンブンブブーーンブンブン
  ブッパンッブッパンッブッパンッブッパンッ
  ギャリリリッギャリリリッ




よくじつ!!!

紬「へーそうだったのー」

唯「うん。今度ムギちゃんも一緒に行こうよ」

紬「梓ちゃん、いいかしら?」

梓「別にいーですよ(この人は琴吹麦先輩。覚えてる覚えてる)」

律「で、ムギさー、昨日はどうだったんだ?」

紬「え!? な、何が?」

律「とぼけるなよ~、ん? どこまで進んでるのかな~?」

澪「なんかヒワイだぞ、律」

紬「えっと、そのう、たいしたことではなくて」

律「ほほ~ん? 顔赤くしちゃって~、ほれ、言ってラクになっちゃえ」

唯「まあ、ムギちゃんだから、なんとなくわかるけどねー」

紬「そ、そうかな? うーん……でも、ごめんね。まだ秘密。
  ただ、ちょっと悩んでて……他の選択肢もあるのよね」

澪「他の!」

律「選択肢!」

紬「どうしても、今のは最後の一押しが出来なくて……」

律「へ、へー! ムギってば、けっこう積極的だなー」

澪「な、なんとなくムギはむこうから声が来そうだけどなー!」

紬「ううん。来るはずないわ。こういうことは自分から行かなきゃ!」

澪律「おおお……」


さわ子「その通りよ、ムギちゃん!」バンッ!

唯「さわちゃん先生」

律「お、復活した」

さわ子「チャンスとは、自らの手で掴むもの……前進あるのみなのよ!」

紬「は、はい!」

さわ子「目の前は選り取り見取りでも……コレ、と決めたら……
    押して! 押して! 押しまくるのよ!!」

紬「はい! 先生!」



唯「なんかいつもより綺麗な服だね」

律「それに化粧も濃いな」

さわ子「今日はこれから……合コンなのよ!」

澪「合コン……」

さわ子「私は、女子高で音楽教師をしていて、吹奏楽部と軽音部の両顧問を担当。
    多忙な毎日、今日は久々に気が抜けるわー、あ、すいません、ちょっと気を緩めすぎ
    てしまったようで…
    ちょっと、どこかで休みたい気分……
    こんなカンジでいきます」


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最終更新:2010年02月19日 23:51