唯「ねぇ、ここどこぉ?」
律「かなり歩いた気がするんだけどなー」
澪「いつまでも大きな道にぶつからないな」
紬「梓ちゃん、心配してるんじゃないかしら」
唯「まさか、野外フェスで迷うなんてぇ」
澪「思ってもみなかったな」
唯「そもそも、律っちゃんが肝試しやろうなんて言うからぁ」
律「なっ!?唯だって賛成したじゃんかー!」
紬「まあまあ、いま言ったって仕方ないわ」
律「ムギが一番乗り気だったよな」
紬「あぅ」
澪「でもムギの言うとおり、言い争ってても仕方ないよ」
澪「なんとか戻ることを考えよう」
紬「それにしても、音がこんなに反響するなんてね」
唯「四方八方から聞こえるよぉ」
澪「ちょうどそういう地形なんだろうな」
律「ここで演奏したら、いい音出そうだよねー」
澪「そんな場合じゃない!」
ごんっ
律「い、いたひです」
唯「デッカイタンコブガ」
紬「こういう場合、あまり動かない方がいいって言うよね」
澪「動いた結果がこれだからな」
律「足が疲れたー」
唯「休みたーい」
澪「お・ま・え・ら」にぎりこぶしっ
紬「でもそうね、休む場所は必要だと思うわ」
唯「山小屋とかないのかな」
澪「歩いて来た途中にはなかったよね」
律「まずはそれを探すかー」
澪「もう少しだけ先にいってみよう」
この時のわたしの決断が自分を苦しめることになるとは
思いもよらない澪であった
澪「だから律、ナレーションはやめろ」
唯「あれ?分かれ道だねぇ」
紬「どうする?」
律「二手に分かれるかー」
澪「はぐれちゃったら、どうするんだよ」
律「山小屋が見つかっても、見つからなくってもさー」
律「一旦、ここに戻ることにすりゃいいじゃん」
澪「そうか、それなら大丈夫だな」
唯「別れた方が探しやすいかもねぇ」
律「じゃあ、わたしと澪はこっち」
律「唯とムギはあっちを探そう」
唯「らじゃー!」
澪「戻って来るのは何分後にする?」
紬「10分後くらいでいいんじゃない?」
唯「よろしくね、ムギちゃん」
紬「頼りにしてるわ、唯ちゃん」
唯「なにがあっても、ムギちゃんはわたしが守るからっ!」
紬「うん、唯ちゃんに着いていく!」
だきっ
律「た、楽しそうだなお前ら」
澪「放っといて、いこう」
~唯・紬ペア~
唯「ムギちゃん、はぐれないように手を繋ごう!」
紬「わかりましたぁ、唯隊長!」
にぎっ
唯「ムギちゃんの手は、夏だとひんやりだねぇ」
紬「うん、クーラーの近くとか、すっごく冷えちゃうの」
唯「大変なんだぁ」
~澪・律ペア~
澪「な、ななな、なんか動いたぁ!」
律「見間違いだって」
律「それより、人を盾にすんのどうかと思うけどなー」
澪「手繋ご、手!」
澪「り、律が迷子になったら困るだろ!?」
律「もう、素直に怖いって言えよ」
澪「ほら、あっち!なんか動いたよ!?」
律「はぁ」
~唯・紬ペア~
唯「山小屋ないねぇ」
紬「あれ?唯ちゃん、どっち探してる?」
唯「んー、右側だけど」
紬「わ、わたしも右だけ見てた」
唯「同じ方向だねぇ」あはは
紬「唯ちゃんがそっち側にいるから、つい」
唯「あれ?」
唯「右ってどっちだっけ」
紬「・・・・・・え?」
唯「やだなぁ、冗談だよぉ」
紬「そ、そうよね」
唯「それに、左側はガケだから見てもしょうがないよ」
紬「え?」じーっ
紬「!?」
紬「ゆ、唯ちゃん!もっとこっち寄って!」
唯「わっ!?」
唯「もう、ムギちゃん大胆なんだからぁ」もじっ
紬「落ちたら死んじゃうから!」
唯「ちゃ、ちゃんと気を付けてるんだけどなぁ」
紬「もっとこっち側に来れるように、腕を組もう!」
唯「ステップアップだね、ムギちゃん!」
ぎゅっ
唯「ふぉぉ!ムギちゃんのムネがヒジにっ!?」
紬「もうやだ、唯ちゃんたら」ぽっ
唯「・・・・・・」
紬「・・・・・・」
唯「はっ!?無意識に澪ちゃんのツッコミ待っちゃった!」
紬「わ、わたしも!」
~澪・律ペア~
澪「もうやだ、家に帰りたいよぉ!」
律「あ、あの、澪さん」
律「帰れないから、こんな目に合ってんじゃないかなーなんて」
澪「律が肝試ししようなんて、言わなきゃ良かったんだ!」
律「うぉい!」
律「さっき言い争うなっつったの澪じゃん!」
澪「もうなにも見つからないよ、戻ろうよ」
律「まだ歩き始めたばっかじゃんか」
澪「で、でも、さっきより暗いし」
律「ていうか、4人でいた時くらいの虚勢を張れよ」
澪「怖いもんは、怖いもん!」
律(録画して、梓に見せてやりてー)
律「なにかあったら、わたしが守ってやるから」
澪「ほんとにぃ?」うるっ
律「はうっ!?」
澪「どうしたの?」
律「あ、後で、その女子力、ちょっとわけてもらえませんか」
澪「は?」
~唯・紬ペア~
唯「そろそろ時間かなぁ」
紬「そうだね、引き返す?」
唯「!」
唯「ちょっと待ってぇ」
唯「なんか見えるような気がしない?」
紬「建物・・・かな?」
唯「いってみようっ!」
紬「うん、確認しなきゃね!」
唯「うぅ、なんかすっごい建物だねぇ」
紬「元々は立派な洋館だったと思うわ」
唯「窓には板が打ちつけてあるね」
紬「入らないようにされてるみたい」
唯「じゃあ、玄関も開かないかなぁ」
ぎぃぃ
唯・紬「開いたー!!!」がーんっ
唯「お、お邪魔しまーす」
紬「誰かいませんかー?」
唯「って、誰もいるわけないよねぇ」
紬「ほら、お約束だから♪」
唯「あ、ランプみたいなのがあるよ」
紬「ほんとだ、オイルも入ってるみたい」
唯「これで明りはばっちりだねっ!」
紬「でも唯ちゃん」
唯「ん?」
紬「火がないよ?」
唯「なんで?自動でつくんじゃないの?」
紬「最初に火はつけないと」
唯「そっかぁ」がっくん
紬「で、でも探せばあるかも」
唯「マッチとかが都合良く?」
紬「あぅ」
唯「なーんちゃってぇ!」
紬「え?」
唯「じゃじゃあん!100円ライター!」
紬「おー!唯ちゃん、すごーい!」ぱちぱちぱち
唯「もしかして花火やるかもと思って、持ってきちゃったぁ」
紬「や、山で花火は危ないと思うけど」
唯「これ、どうやってつけるのかな」
紬「貸して、やってあげる」
しゅぼっ
唯「おぉ!ついたね、ムギちゃんっ!」
紬「唯ちゃんのおかげよ」
唯「いやいや、わたしがやったら1時間はつかなかったよぉ」
紬「そ、そっか」
唯「うわぁ、ランプで照らして見ると、すっごいねぇ」
紬「けっこう部屋がありそうね」
唯「戻って、律ちゃんたち呼んでこようっ」
紬「らじゃー!」
ぎぃぃ ばたんっ がちゃっ
唯・紬「!?」びっくぅ
唯「か、勝手に閉まったよっ!?」
紬「風も吹いてないのに!?」
がちゃがちゃ
唯「カギが掛かってるよ!」
紬「これは、内側のもカギを差し込むタイプね」
唯「ということは?」
紬「うん」
唯・紬「閉じ込められた!?」
~澪・律ペア~
澪「もうそろそろ時間じゃないか!?」
律「すごく嬉しそうだなー」
澪「一刻も早く戻ろう!」
律「ちょい待ち、澪」
澪「な、なに!?」
律「建物じゃないかー?あれ」
澪「な、なんか武家屋敷みたいだな」
律「古き良き日本って感じだよなー」
澪「お化け屋敷にしか見えないよ!」
澪「ってことで、戻って唯たちに報告だ!」
律「待てって、入れるかどうか確認しないとダメじゃん」
澪「遠慮しときます、じゃっ!」しゅたっ
律「こらこらこらこら」
澪「忍者とか出てきたら、どーすんだよぅ!」
律「出ねーよ」
律「まあ、門が開くわけないんだけどなー」
がらっ
澪・律「開いたー!!!」がーんっ
律「ま、まあ玄関まではさすがに」
澪「そそ、そんな都合良くいくわけないよ」
がらっ
澪・律「また開いたー!!!」ががーんっ
律「たのもーう」
澪「な、なにそれ」
律「いや、武家屋敷って言うからなんとなく」
澪「やめてよ!侍とか出てきちゃうだろ!」
律「だから出ねーよ」
澪「玄関開くのわかったから、もういいでしょ!?」
律「澪ちゅわん、そんなに怖いんですかー?」にひ
澪「怖いよ!すっごく怖いよ!」
律「・・・もう意地もプライドも全部捨てたな」
律「さすがに電気はつかないかー」
澪「ほら、暗いから危ないって」
律「松明みたいのがある!」
澪「そんなの使えるわけないでしょ!」
律「ここで登場!」
律「困った時の100円ライター!」
澪「そうか!それでこの屋敷を燃やすんだな!?」
律「・・・あのさ、もうちょっと落ち着こうか」
律「へー、けっこう松明って明るいもんだな」
澪「な、中は割とキレイになってるね」
律「これだったら休憩出来そうじゃん」
澪「よし!今度こそ唯たちを呼びにいこう!」
律「わかった、わかった」
がらがらがらっ どんっ
澪・律「!?」びっくぅ
澪「な、ななな、なにこれぇ!?」
律「じ、時代劇の牢屋みたいな感じだなー」
澪「なんでこんなのが上から降りてくるのよ!?」
律「わたしに聞くなー!」
澪「だってこれって」
律「そうだよねー、あきらかに」
澪・律「閉じ込められた!?」
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最終更新:2012年10月01日 00:12