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冬の日のそれから……


憂「梓ちゃん、起きて」

梓「む……」

憂「もう、授業中ずっと寝てるんだから。これ、返ってきたテストだよ」

梓「ねむい……起きたくない……」

憂「もう放課後です!」

梓「ジーザスみたいに死にたい、JFKみたいに死にたい」

憂「はいはい、ほら、軽音部行かなきゃでしょ」

唯「期末テストも終わったし、もうすぐ冬休みだねー」

律「あとはクリスマスを待つばかり」

唯「今年もみんなでクリスマスパーティーやろうよ!」

律「去年はプレゼント交換したから、今年は景品にするとかどう? ビンゴとかでさ」

唯「おおう、いいねー」

澪「ところで、唯はテスト大丈夫だったのか?」

唯「んな」

紬「それがねー」

律「まあ、なんというか」

唯「う~ふ~ふ~
  みんなのおかげで、すべて赤点を免れました!
  英語、国語、数学、えとせとら! オール60点! シックスナインです!」

澪「それは逆にすごいな……」

律「一つでも、あと1点足らなかったら追試だったけどな」

紬「でも、今年になってからの唯ちゃん、がんばってるもの」

律「澪はー?」

澪「私は和というすばらしい味方がいるので、去年より成績が上がったのです」

唯「そっかあ。和ちゃん、頭いいもんねー」

澪「梓はどうだった? テストは」


梓「……Zzz」


律「おーい、梓ちゃーん、起きてくださーい」ユサユサ

梓「む……ああ、お茶菓子ですか?」

唯「さっき、マカロン食べたばっかりだよ~」

澪「期末テストの話。梓はどうだった?」

梓「テスト……」

律「うん」

梓「あ~……そういえば、今日返却されたのがここに」ペラ


  英語14点 国語29点 数学3点etc...


澪「これは……」

律「まさか、去年の唯を上回るとは……」

紬「あらー……」

唯「ほうほう」

澪「これは当然追試だろ」

梓「あ~……そういえばそんなこと言ってたような」

律「ノンキだなぁ」

唯「でも、解答欄は全部埋まってるね」

紬「でも、ここ、座標を求めよってとこ、kgで答えてる」

澪「憂鬱が有打つになってる……」

律「日本語訳で書けってあるのに、英語で答えてる。しかもスペルミス」

梓「空欄を見ると、埋めたくなるんです」

律「確かに、途中の計算式すっ飛ばして、答えが書いてある。ペケだけど」

澪「全教科追試……大変だぞ、これは」

紬「そうねぇ」

梓「はぁ」

唯「あずにゃん、私が勉強教えてあげる!」

律「おお、先輩っぽい」

澪「しばらく、梓はギター禁止! ちゃんと追試の勉強すること!」

梓「えー……」



平沢家

憂「うん、梓ちゃん、普段から授業中は寝てばっかりで」

唯「へ~音楽室でも寝てるけど、よく寝る子だねぇ」

憂「午前中はほぼ寝てて、ご飯食べた後、2回に1回は起きてるかな」

唯「よく怒られないね」

憂「うん、最初の頃はもちろん、先生も注意してたけど……最近は気にしなくなったみたい。 なんだか入学したころ思い出すなぁ」



4月

憂「(わぁ、ちっちゃくてかわいい子だなー)」


友達「梓、ジャズ研の見学いこー」

梓「む……」

友達「ほら、おきてよ」

梓「あー……めんどくさい。明日にしよう」

友達「それ昨日も聞いたよ。いつもそれでズルズル先延ばしなんだから。ほらー」

梓「今日はグリーンマインドが戸棚から出てこないから、エサをやれなくて」

友達「はいはい、カエルの話はいいから」


憂「……かえる?」



ジャズ研

―中野さんは楽器できるの?

梓「ギター、ベース、ドラムができます」

―すごいじゃん! ジャズ研に来たってことは好きか、もしくは興味があったんだよね?

梓「父がジャズバンドをやっていました」

―へえ。じゃあ、その影響で楽器を?

梓「小学生のとき、『ひこうき』のビデオでエンジン音を聴いたり、テレコで工事現場を録ったのを聴き続けていたら、
  ギターを渡されました。好きにうるさい音を出してよくなったのでとてもうれしかったです」

―へえ……好きなジャズミュージシャンとかアルバムとかある?

梓「マイルス・デイビスの『ゲット・アップ・ウィズ・イット』が好きです」

―ふうん……マイルスは知ってるけどそれ知らないや。

梓「ふにゃ~わうわうつくたんつくたん」

―は?

梓「言葉にするとこんなカンジです」

―そう……えと、部に入ったらこんなのやってみたいとかある?

梓「あー……特には」

―特にはって……演奏とかしたいんじゃないの?

梓「演奏……なんでもいいです。暇つぶしになれば」

―あのさ、なんでここ来たの?

梓「他にすることがないからです」

―他にも部活があるから、ウチ以外のとこも見てきた方がいいと思うんだけど。

梓「そうですか?」

―あと、もう少し気をつかってしゃべった方がいいよ。

梓「木?」

―だからね、その人をバカにした態度をやめろって言ってんの。

梓「莫迦?」

―あのねえ、こっちは怒ってるんだよ。

梓「はぁ」

―ちょっと、もう帰ってくれない?



下校


友達「どうだった? ていうか……」

梓「む……ジャズっていうのとは少し違ったかな」

友達「まあ、梓は人に誤解されやすい……わけじゃなくて、そのまんまなんだけど、うーん」

梓「……ギターの音が聴こえる」

友達「ああ、音楽室からか。確か軽音部があるって」

梓「けいおん部……けいおんって何?」

友達「ああ、女子高生がダラダラ食っちゃお喋りするアニメ……じゃなくて。 軽い音楽で軽音」

梓「軽い音楽……トライアングルとか使うのかな?」

  ウン、チーン♪ ウン、チーン♪


友達「バンド組んだりするんだと思うけど」

梓「ふーん」

友達「ジャズ研がダメだったから、こっちでもいいんじゃない?」

梓「バンドはめんどくさい」

友達「あっそ……まあ、梓なら外でも音楽やれるしね」

梓「早く帰らなきゃ」

友達「あー、なんだっけグリマイとやらにエサをやるんだっけ?」

梓「今日はアニマックスでフリクリを見なきゃ」


教室

憂「え! 決めちゃったの?」

純「うん、ジャズ研究会にすごいかっこいい先輩がいて……ごめんね」

憂「そ、そっかあ。しょうがないよ。どこに入るかは自由なんだし」

純「えへっ、じゃあ」


憂「ハァ……ん?」

梓「……む」

憂「あ、あの!」

梓「なに?」

憂「えっと、確かジャズ研の見学に行くって話してたよね」

梓「話して、それから行った」

憂「は、入るの?」

梓「ううん」

憂「よかったら、これから軽音部の新歓ライブ見に行かない?」

梓「ライブ?」

憂「うん、もう始まっちゃってるかもしれないけど」

梓「ライブができるの?」

憂「うん!」

梓「でも、トライアングルとかカスタネットとかで何やるの?」

憂「え? それは使わないんじゃないかな、ギターとかドラムだと思うけど……」

梓「ふうん……行く」

憂「ホント!? ありがとう! わたし、平沢憂です。よろしくね」

梓「うん」

憂「ええっと、あなたは?」

梓「あー……中野梓

憂「中野さんは音楽系の部活に入るの?」

梓「さあ? なんでもいいけど」

憂「でも、ジャズ研の見学には行ったんでしょ?」

梓「行ったけど、他のとこも見たほうがいいって言われた」

憂「そっかー。あとは吹奏楽部とかあるけど」

梓「おなかすいたな」

憂「え、う、うん。そう?」

梓「たい焼き食べたい」

憂「(なんか……マイペースな子だなあ)」

憂「軽音部にね、お姉ちゃんがいるの。ひとつ年上の」

梓「ふうん」

憂「だから、お姉ちゃんが演奏してるとこ見たくて。でも、誰かと行きたかったんだ……あ、やっぱりもう始まってる! わあ、けっこういっぱいだぁ」

唯「(お水おいしいよー)」

憂「わあ、お姉ちゃん、ボーカルなんだぁ」

梓「(そういえば、ノドも乾いたな)」



唯「わたし、最初、軽音部って聞いて、軽い音楽だと思ってたんですよー。 それで、カスタネットが出来ればなーなんて、軽い気持ちで入部しました」

梓「(やっぱり、軽音ってそういう意味なのか)」

憂「(おねえちゃんかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい)」

唯「なので、みなさんも、軽い気持ちで入部してください。 じゃあ、次の曲、『わたしの恋はホッチキス』!」


唯「またあした~♪」


憂「(お姉ちゃん歌い方かわいいお姉ちゃんの声かわいいお姉ちゃんの腰フリかわいいお姉ちゃんギターの弾き方かわいい お姉ちゃんライトの当たり方かわいいお姉ちゃんの立ち方かわいいお姉ちゃんの存在そのものかわいい存在かわいい)」

梓「(見えない……)」

憂「(前の人たち邪魔だなわたしの目線にあわせてスパッとカットしたいなお姉ちゃんかわいいな……ん?)」

梓「(みえ……ない)」

憂「(うふふ、中野さんも楽しんでるみたい)」

梓「(背伸びしても見えない……か)」



平沢家

憂「もう半年かーはやいなー」

唯「うーいー、あずにゃん、授業中はどんなカンジなの?」

憂「えっと、そうだねー。朝いつのまにか来てて、それで顔を机に突っ伏してて、お昼までそのまま。 だから、その日最初に話すのもお昼なの」

唯「音楽室だと、目開けたまま寝てるよ」

憂「そうそう、たまにやってるよ。どうしたら出来るんだろう?」



4月
国語の授業中


教師「あさ、眼をさますときの気持ちは、面白い」

梓「Zzz……」

教師「日の光がどっと来て」

梓「Zzz……」

教師「まぶしさ、それから、へんな間の悪さ」

梓「Zzz……」

教師「急にむかむか腹立たしく……いや、ちがう、あの感じでもない……」

梓「……たい焼き」

教師「なんだか……もっと、やりきれない……」

教師「ちょっと、中野さん、起きなさい」

梓「む……」

教師「朝、眼をさましたこの女生徒の気持ちはどういうものですか?(机に何も出さずこのガキャァ)」

梓「……『意地悪』、ですね」

憂「(合ってる……)」

教師「……結構」


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最終更新:2010年02月03日 00:09