昼休みにて

憂「梓ちゃん、さっきの授業、どうしてわかったの?」

梓「なにが?」

憂「ほら、先生に聞かれて答えてたよね、女生徒の気持ちはって」

梓「ああ……寝てるとこ起こされて意地悪な人だと思ったから」

憂「へえー」

梓「このあんぱん、つぶが足りないんだな」

憂「(なんか、ちょっと、お姉ちゃんみたい)」




平沢家

憂「でも、これはめずらしい方だよ。寝てるときはほぼ起きないの。
  無気力大王とか山を降りた仙人とか言う人もいるんだけど」

唯「へ~」

憂「でも、今度の梓ちゃんの追試は私も心配で。
  私も出来るだけ協力するから、お姉ちゃんたちも梓ちゃんを助けてあげて!」

唯「まかせなさい!」

憂「お姉ちゃん、頼りになる~」

唯「ナッハッハッハッ」




秋山家


「父にありがとう」「母にさようなら」「そしてすべての子供たちに」「おめでとう」


律「……これが最終回?」

澪「いや、梓によると映画に続くらしい」

律「はー、映画に……」

澪「アイデアはあってもそこまでできなかったらしい、時間とかいろいろ」

律「ふーん、まあ、続きがあるんだったら、やった方がいいよなー」

律「そういや、ウチって女子高だけど噂とかないよな」つポテチ

澪「サンキュ。噂って?」

律「いや、ほら、誰と誰がーってさ」ばりぼり

澪「はぁ?」

律「だから、手をつないで歩いてたとか、二人きりで教室いたとか」

澪「仲いいな」ぽりぽり

律「だぁからそうでなくて! ああ、もういいや……」

澪「なんだよ、話ふっといて!」

律「この話題はムギに話そう」




よくじつ!
音楽室にて


澪「1299年、現在のトルコにできた国は?」

梓「ホフマン帝国」

律「破戒を書いた人は?」

梓「松尾芭蕉」

唯「x2-3x + 2を因数分解すると?」

梓「斜め上にある数字は何なんですか?」

紬「lakeは日本語で?」

梓「銀行?」


澪「これは困ったぞ……」

紬「そうね……」

梓「ローリングサンダー作戦とかサーチアンドデストロイとかならわかるんですが」

唯「さーちあ……ろい?」

律「こういうときのために、今日は助っ人を呼んだぞ!」

和「生徒会の仕事の途中なんですけど……」

和「これは唯よりも苦労しそうね」

唯「えへぇ、そうかな~」

律「そのリアクションはなに?」

澪「英語と国語以外、全部一桁なんだ……」

和「……」

澪「どうしたらいいんだか」

梓「どうするんですか?」

律「うん、マイペースだねぇ、あんたは」

和「……なんとかなるんじゃない?」

澪「ホントか!?」

律「去年の唯よりひどいんだぞ!」

和「中学のころは、これよりもっとひどいの見たから」

律「あんた……」

唯「え? え?」

和「見てみると、英語はほとんどケアレスミスね。まあ、間違ってるのも多いんだけど。英語は多分ちょっとやればできるんじゃない?」

澪「そっか、考えてみたら、梓は普段から洋楽聴いてるから英語には慣れてるのか」

律「なんか覚えてる英語の歌詞とかある?」

梓「はぁ、ウチにあるのは歌詞は全部頭に入ってますけど」

律「なん、だと……」

紬「例えば?」

梓「あー、I try my best to be just like I am, but everyone wants you to be just like them」

澪「訳は?」

梓「僕は僕でいるためにベストをつくしてる、けど、みんなは君がみんなと同じようになることを望んでる」

唯「おお……」

律「ちなみにこれは誰の歌なの?」

梓「ボブ・ディランですね」

和「まあ合ってるけど、ちょっと簡単ね。もう少し長いのはない?」

梓「……This happened once before, when I came to your door, No reply
  They said it wasn't you, but I saw you peep through your window
  I saw the light, I saw the light
  I know that you saw me 'cos I looked up to see your face」

和「うん?」

梓「前にもこんなことあった。君のうちのドアに行ったら、返事がない。
  あれは君じゃないって言われたけど、君が窓から覗いてるのが見えた。
  明かりがついてたよ、明かりがついてたよ。
  君も僕を見たよね。だって、目があったんだから」

澪「相手にされてないんだな」

律「ストーカー?」

梓「これはビートルズ」


和「それだけ覚えてるなら、テストくらい楽勝よ」

梓「そうですかね」

和「国語も間違ってるのは漢字で、設問はちゃんと答えてるのよ。とにかく漢字を覚えること」

澪「けっこう本読んでたりする?」

梓「中学生までなら……」

紬「なんだかいけそうじゃない?」

唯「うんうん、あずにゃん、いけるよ~」

和「他の教科は範囲をもう一度見直すこと。追試はほとんど同じ問題が出るんだろうし。
  とにかく頭に入れなさい」

梓「はぁ……」

澪「よし、じゃあ、今のアドバイスに従って始めるぞ」

唯「あずにゃん、がんばって!」

梓「……めんどくさ」

紬「まあまあ。今日のお菓子はたい焼きよ。甘いものは脳にもいいから」

梓「む……たい焼き」



よくじつの教室

憂「梓ちゃん、勉強してる」

梓「うん……」カリカリ

憂「漢字の練習?」

梓「先輩が休み時間にやれって……」カリカリ

憂「そっかぁ。がんばって! わたしも応援するから!」

梓「……同じ漢字書いてると、冠とかへんとか、文字に見えなくなってくる」カリカリ

憂「あ~そうかも」

梓「なんだか気持ち悪い……」カリカリ



音楽室

澪「光合成を行うのは?」

梓「緑黄色素?」

律「は~い、因数分解してね~」

梓「エックスの二乗はエックスかけるエックスでつまりエックスが二つで?」

唯「も~んご~るて~こくち~んぎ~すは~ん♪」

梓「も~んご~るて~こくち~んぎ~すは~ん♪」←歌って覚える

紬「今日はクリームのたい焼き~♪」

梓「ムグムグ……」


―最近、中野さんが勉強してる

―午前中に起きてるだけで奇跡なのに!

―まさか何かが起こる前触れ!?

―私も追試あんのよね……

―なんかご利益あったりして

―そうよ、今のうちに中野さんの消しゴムのカスをもらって運をもらうのよ

―なんかー中野さんと握手すると成績良くなるんだってー

―あたし、もう髪の毛もらってきたもんねー


教師「今日は中野さんお目覚めのようですね。机に教科書もノートも出てるし」

梓「……」

教師「では、一つ。元が興ったのはいつ?」

梓「ワン、ツー、ロクオー、フビラーイハーン」

皆「ワン、ツー、ロクオー、フビラーイハーン!!」

教師「!?」


そして……


澪「さて」

律「結果が出たわけですが」

紬「とうとう……」

唯「ふむふむ」


英語80点 国語79点 以下60、62、61…点


澪「国語と英語はすごいいいのに、他はギリギリだったな」

紬「まあまあ、よかったじゃない」

律「梓選手から試合を終えて一言、どうぞ」

梓「つかれました……ねむい」

唯「あずにゃん、よかったねぇ」

律「よーし、今日は記念にもんじゃ焼きを食べに行こう!」

澪「練習じゃないのか。ま、いーか」

唯「わあ、久しぶりだ!」

紬「わーい♪」

梓「わーい……?」



もんじゃ焼き屋

紬「わあ、鉄板だ!」

唯「ムギちゃん、もんじゃ焼き食べたことないの?」

紬「うん、初めて。これで焼くの?」

律「そう、これでじゅわじゅわ~って」

紬「楽しそう」

梓「……焼肉?」

澪「梓も初めて?」

梓「はい。もんじゃのもんじゃってなんですか?」

澪「えっ」

律「そういえばなんなんだろ」


―豚玉でーす


律「さあ、焼くぞー」

唯「あ、私、やりたいやりたい!」

律「じゃあ、唯が先で、次のイカが私ね」

唯「先に具を焼いて……」

  ジュウウウウ……

唯「汁かけてー」

  ジュワワワワワー……

紬「わあ!」

唯「ソース、青ノリ……これでちょっと待てば出来上がり」

紬「唯ちゃん、すごーい」

唯「そんなことないよー。ムギちゃんもやってみなよ」

紬「うん。どれくらい待つの?」

律「適当だよ」

澪「まあ、のんびりやろうよ」

紬「じゅわわわわわ……」

梓「なんだか……ゲ」

澪「言ったら食べさせないぞ~」

梓「にあー」

皆「いただきまーす!」


唯「あむあむ」

律「もうちょっと焼いてもよかったかな」

唯「私これくらいムニムニしてても好きだよ」

紬「おいしー」

澪「唯、ソース取って」

唯「ほい」

梓「あむあむ」

律「そういえば、こないだ澪と話してたけど、ウチの女子高って噂とか立たないのかね」

紬「あら……りっちゃんたら」

唯「噂って?」

律「誰さんと誰さんが、とかさ」

唯「そういえば聞かないねー。中学のとき、女子高はそういうこともあるって聞いたけど」

澪「なんで皆すぐに話がわかるんだ……そういうことってなんだ?」

律「だからーウチの学校で誰かつきあってるかって話だよ」

澪「そりゃー彼氏いる人もいるだろう」

律「だからねー澪ちゃん、この学校の中でっつう話ですよ」

澪「は!? だ、だって女子高だぞ?」

律「だってっても、なぁ?」

紬「女の子同士もいいものよ」

澪「え、だ、だって」

紬「先輩と後輩、仲良しの二人、教師と生徒……美しい」

澪「それは、男女でもあることなのでは」

紬「女の子だからいいの!」

唯「おこげ~」

律「澪なんかファンクラブがあるんだからさ、そのうち下駄箱に何か入ってるかもよ~?」

澪「な、何かって……」

律「いや、そんな怯えなくても。ラブレターとかさー」

澪「えーっ」


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最終更新:2010年02月03日 00:10