菫「    」←一つ前の記憶データを復元します…しばらくお待ち――

直「おいっ起きて」

菫「ハッ それを言ったら直ちゃんはどうなのッ!」

直「な なにっ?」

菫「かばんの中のパソコン! 部活中ずーっといじってるよね!」

直「うん 部活中だし」

菫「わたし気になってたの! 横から画面覗こうとすると ときどきサッて画面切り換えるよね! あのとき何してるの?!」

直「あぁ あれのこと? ただ部活中のみんなの様子を記録してるだけだよ」

菫「へっ・・・・・・?」

直「会話とか仕草とか。わかりやすく言えば軽音部の活動記録をつけてる」

菫「あのっ・・・・・・」

直「このことは中野先輩に話してあるよ。中身は見せてないけど」

菫「・・・・・・」

水筒「キュッキュッ カパッ チョロチョロチョロ…」

直「ゴクリ」


菫「ちょーーっとパソコン見せてくれるかなーー抵抗しないでさーーッ」グギギ

直「こ これは選ばれし者だけが見れる 呪いの文書であって…ッ」ギギギギ

菫「なんのゲームよぅッ!!」


水筒「トポトポトポ ポ」

菫「ン…、」

菫「はあ…つかれた……」

直「おなじく…」

菫「んもぅ 変なこと書いてないよねー?」

直「それは心配ない。わたしにとっては変じゃないから」ホクホク

菫「うわぁ信用できない」

直「……」

直「さすがにそろそろ時間がマズイ」

菫「えっ なにが?」

直「やっぱり聞いてなかったんだ…。四限のホームルームで決めたじゃん」

菫「ごめん ちょっと考え事してて……」

菫(あの時間は学園祭での出し物をうちのクラスはどうしようか、て話が持ち上がってて)


菫『お化け屋敷に投票しようかな? こわいの苦手だけど こわがらせる側なら…』

菫『梓センパイを怖がらせてみたいし! 怪談に強いみたいだけど やっぱり見たいな、怖くて泣きそうな顔♪』

菫『誘えるといいなぁ。ちょっとかわいそうだけど かわいいだろうな~フフッ』

菫(でも友達から手紙が回ってきて 読んだら)

 "スミレってメイド好きでしょ? 軽音部でメイドのコスプレしてるし。わたしもやってみたいからメイド喫茶に票いれといてね。こっちでも何人か誘っとくv"

菫『わたしの意思はどこー!?』


菫(…でお化け屋敷とメイド喫茶の二択に迷ってるうちに 多数票でメイド喫茶に決定してて呆然としたんだ……)

菫「えっと 何決めたっけ…」

直「学園祭実行委員。職員室に行ってプリントを貰ったり渡したりする係で、この昼休みにプリント取りに来るよう言ってた」

直「その係は菫が担当することに」

菫「えっ もっと早く言ってよぅー! 昼休み終わりそうじゃん!!」

直「ちなみに推薦したのはわたし」ホクホク

菫「なんで!? っていうか最初に言いかけてたのそのことでしょーッ!!」

菫「直ちゃんのいじわるっ! わー急いで行かないとー!」

直「………」

直「……」

直「…行った」

直「モグモグ」ごそごそ

直「……」カタカタ

直「モグモグ…」カタッ カタカタッ

菫「あー! やっぱり食べながらパソコンいじってる!!」

直「グフゥッ!! ゴホゴホッ!!」



部活後の部室


直「…………」カタカタカタ

菫「・・・・・・」

直「…………」カタタッカタタ

菫「・・・・・・」

菫(……どうしたんだろう 今日の梓先輩)


部活の様子の回想


梓『学祭前の貴重な部活動なのになぁ…』


梓『今日はゆっくりみんなとお茶しながら おしゃべりすることに決めたの!』


梓『えへへ、部室でおしゃべりするのと可愛い後輩に抱きつくのは軽音部の伝統なの♪』


回想終了


菫(ひゃーー微笑えんだよ! ニコッて微笑んだよ! わたしの心キュンてなっちゃったよ!! カワイイーーーーッ///)

菫(って ちがくて!)

菫(部室に来た時練習する気満々だったのに、短時間でやめるなんておかしい!)

菫「ねえ直ちゃん、今日の梓センパイ…」

直「……」カタタタタタタタタ!

菫「…のあだ名ネタは記録しないであげようよ…猛烈にイヤがってたし…」

直「菫、"あずにゃん"について詳しく教えてッ」キランッ

菫「やっぱりそうなの! ムダにイイ顔するねムダに…」

菫「このタイミングじゃ教えられないよーっだ」

直「じゃ 山中先生!」

菫「そうか!! お嬢様が知ってるんだから先生も知ってて当たり前じゃん!!」

さわ子「おなか空いた~~~~あなたたちが帰らないと部室を施錠できないのよ~~~~~」プンプンッ

直「・・・・・・」

菫「ごめんなさい…」



翌日


菫(結局昨日の梓センパイはなんだったんだろう……直ちゃんもわからないって言うし)

菫(朝から部室で待っててもセンパイ来なかったし…)

菫(自主練は続けるって言ってたのになあ)

直「菫、昼休みになったけど練習する? 付き合えるよ」


菫「ハッ やっぱり覗いてたことでわたし嫌われたんじゃぁ…!」

直「無視…」


菫(それはないよね…可愛い後輩って言ってくれたし……)

菫(可愛いのは梓センパイの方ですよぅ もー♪)ンフーッ

直「あのー もしもし…?」


菫「ありがとう。練習行こうと思ってたんだぁ…」/////

直「顔紅い…風邪? 風邪なら寝てなきゃ」

菫「なんでもないッ!」

菫「じゃ ご飯食べたら部室行こう!」

直「とっくに食べたけど。菫待ち」つ メロンパン袋 ジャムパン袋 ブッセ袋

菫「甘いものばっかり……」

直「安くて つい」ホクホク


菫 < もっとオカズ食べようよ はい、お肉

直 < 肉!

直 < うん未知の味。おいしい

菫 < よかった♪


菫「とりあえず 梓センパイが言ってた最低限の奏法はすべて完璧にしないとっ!」

直「おぉ 菫が燃えてる」

菫「学園祭ライブ成功させないと!! 梓センパイのためにも!!」

直「学園祭ライブ・・・・・・」

菫「う うん、ライブ……」

直「録画で観た去年のアレ・・・・・・?」

菫「うん…… アレ・・・・・・」

直「菫・・・・・・」

菫「言わないで直ちゃん・・・・・・」

菫直(放課後ティータイムみたいに上手くやれる気がしない・・・・・・)

菫「で、でもやれるだけやってみる…… だから今こうやって自主練しようと部室に向かってるんだし……」

直「私も曲を加筆修正しないと… あの数の人に聴いてもらうなんて…」

菫「お互いがんばろうね……」

直「あれ 部室の方から中野先輩の声が…?」

菫「ほんとだ…! 行こう行こう!」

菫「――梓センパイ!」

梓「…ほんとうに二人とも来た……」

菫「もう ビックリしましたよー。朝ここに来ても居なかったので、やっぱり自主練やめてしまったと思って心配になりました」

梓「あはは 今日も来てたんだ…」

菫「でも そっかぁ お昼休みに変えたんですね。安心しました。外の廊下までよく聞こえてましたよ」

梓「えっ そんなに声響いてた!?」

菫「部室のドア全開でしたから」

直「わざとだと思ってましたけど」

梓「菫たちが来たら足音ですぐわかるようにしてたんだよ……なにやってんだ私…」ズーン

菫「うなだれるほどショックですか…」

梓「うぁぁ…新歓ライブの悪夢が……人に聴かせられるレベルじゃないのに……」

菫「あのー…私のドラムも外にバシバシ響きますよ…」

梓「そういえばっ」

菫「落ちついてください先輩…」

梓「ゴメンありがと…」

菫「先輩はこれからも昼休みにするんですか自主練?」

梓「あっ そう! そのことなんだけど!」

梓「コホンっ」

梓「二人とも、わたしの自主練に付き合ってもらっていい? 私一人じゃなんかダメなんだ…」

菫「わあ…! はい! 私たちでよかったら!」

直「昨日言ったとおりです。やらせてください」

梓「ありがとう…。菫たちの練習時間を削っちゃうことになってわるいね」

直「ぜんぜん気にしないでください」

菫「梓先輩と、もっと練習したいと思ってたんですっ!」

梓「ふたりとも……!」

菫「初心者同士だといっしょにいて安心しますし」

直「お互いの弱みを見つけて つつき合える」ホクホク

菫「そんなことしないよぅ!!」

梓「やっぱり直はおことわりしようかな…………」


部活中


菫「えと… もっと息を切ってください! まだ語尾が間延びしてます!」

梓「――――たにんの目ばかりッ!」

直「力まないでください。自然に」

梓「あーッ! 最初からお願い!」

憂「……」

憂「ますます親睦深めたみたい、梓ちゃんと直ちゃんたち♪」

純「人を操るの上手すぎッ」

憂「梓ちゃんのことを考えてくれる人だけだよー?」

純「でもさー もう休み時間も部活動すればよくない? 三人といわず五人で」

憂「ダメだよ~梓ちゃんの問題だもん」

憂「もう答えは出したっぽいけどね。梓ちゃんが自主練から帰ってきたとき言ってたの覚えてない? "わかばガールズ"のライブを頑張ろう!って♪」

純「うん…? ま、面白ければなんでも良いけど」

憂「それに純ちゃんがいるとお茶の時間が増えるだけだよ、絶対」

純「失礼なッ!」

憂「ふふっ 楽しみだなあ皆でセッション」


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最終更新:2012年10月04日 21:08