唯「こんにちわー。あずにゃーん、今そこで澪ちゃんとりっちゃんにも……」

さわ子「おう、よく来たなベイビーたち」

和「先生!?」

憂「なんで?」

澪「きっと、いきなり来たんだろ、去年みたいに」

律「でも、梓の家なのにさわちゃんがお出迎えって」

さわ子「私は歓迎されないアウトロー、王室にとってのピストルズみたいなものよ」


唯「猫だ猫だ」

猫「ニアウ」

唯「はう、いっちゃった……」

澪「人が急に増えたからな」

紬「でも、軽音部の仔猫ちゃんがいるから」

梓「にゃ」

唯「そうだね~あずにゃ~ん」スリスリ

梓「ふにゃ」

憂「(お姉ちゃんは気持ちいいよね梓ちゃんでもちょっとくっつきすぎじゃないかな)」

さわ子「蚊帳の外、これが若さか。小沢君元気かなぁ……」


憂「梓ちゃん、これ家で作ってきたの」

律「おお、憂ちゃんのごちそう!」

梓「うん」

唯「こういうときは、ありがとうって言うんだよ、あずにゃん」

梓「……あ、ありがと」

唯「うんうん、いいこいいこ」ナデナデ

憂「どういたしまして(お姉ちゃんとベタベタしなければオールオッケーなんだけど)」


和「私も家からケーキ持ってきたの」

唯「チョコケーキだぁ! ちょっとだけ」

和「手をつけないの。これは後でね」

唯「わ、わかってますがな、旦那~」

律「和がいるとなんか助かるな~」

澪「任せられる方は苦労するけどな」

律「んん? なんの話カナ?」

澪「さーてね」


皆「メリークリスマース!」

唯「ほい、あずにゃん、あーん」

梓「んあ……」

澪「餌付けか」

律「憂ちゃん、おいしいよ、このから揚げ」

憂「ありがとうございますぅ」

律「そうだ、さわちゃん、こないだウチの学校でつきあってるやつっているのかなって話になったんだけど」

和「ええ!?」

澪「またぁ」

さわ子「ああー……女子高だからね」

律「ほう、噂がないわけじゃないのか」

さわ子「まあ、そんなこともあるけど、でもそんなしょっちゅうは聞かないわよ」

紬「そう、残念……」

さわ子「そういうのは、一目見ればわかるわね」

紬「ふむふむ」

さわ子「ショートカットでボーイッシュな子とおさげでおっとりした子が並んで歩いてるの見た日にゃあ、もう、この目にはしっかりふたりのラブビジョンが見えます」

紬「ラブ……」

さわ子「ちょっと、ぎこちなく手ぇつないでるふりしてところがどっこい、
    心のハンドで互いのボインをもみしだいているのよ!」


律「だ、そうですよー、澪ー」

澪「なぜ、私にふる」


さわ子「はい、次、プレゼント交換~」

律「今年は箱の大きいほうから一等にして、ビンゴでプレゼントをもらいましょう」

唯「わ、あずにゃんのプレゼントが一番大きい」

梓「はぁ、これは先日ホーム……」

憂「梓ちゃん、中身教えちゃったらダメだよ」

唯「さわちゃん先生、今年も彼氏にあげるはずのものですか?」

澪「ちょ、唯」

さわ子「……どうせ独り身よー!」

澪「あ、そろった。ビンゴー」

律「はいはーい、では一等の梓からのプレゼントを受け取ってくださーい」

澪「ほんとに……おっきい」ゴソゴソ

和「なにそれ?」

澪「筒に穴が開いてて……傘立て?」

梓「その蓋を取ると、ゴミ箱にもなります。リバーシブルというやつです」

律「ゴミ箱……」

澪「あ、ありがとう……あと、リバーシブルの使い方は違うよ」

紬「あ、そろいましたー」

律「んじゃあ、これだな」

和「あ、それ、私のだ」

紬「ホント? なにかしら……」

唯「なになに?」

紬「ノートだわ。真っ白で百合のデザインがある」

澪「へーかわいいなー」

和「たいしたものじゃないけど、よかったら」

紬「ううん、ありがとう!(これからこの百合色ノートに記録をつけることにしよう)」

梓「む」

唯「どしたの? あずにゃん、チキンおいしいよ」

梓「おお……」ゴソゴソ

澪「何やってんだ、そんな隅っこで?」

梓「いえ、あずにゃんV3がひさしぶりにいたので」つG

律「ちょっ!」

澪「にゃあああああっ!」

紬「なーに、カブトムシみたいだけど」

和「す、素手で掴まないで!」

さわ子「こっちに見せないでよ!」

憂「お、おおおぶぶぶぶつつつはしょしょしょしょどくくくく」


唯「もう、バイキンがついてゴキにゃんになっちゃうよ」

澪「はやく手を洗ってきなさい!」

梓「けど、彼は私達人類が生まれるよりはるか以前から生きき続けてきた大先輩であり、ある意味この惑星の生き証人で」

律「水道いけ!」

紬「ツインテールがあったわねぇ」


澪「みんな、そろそろどこかでライブをしようと思います」

さわ子「あら、いいじゃない」

唯「さわちゃん先生も、ライブやったりした?」

さわ子「そりゃあもちろん。始めは緊張したもんよ」


~~

さわ子『キルユーキルユー! さあ、狂いなさいっ!』

   『うきゃあああああああっ!』『うおおおおおおおおッ!』


DEATH DEVIL Maddy Candy
(http://www.youtube.com/watch?v=tz5zdKkziBE)


~~


さわ子「青春ね……」

律「今も変わんないじゃん」

澪「で、年明けごろにどこかでやりたいと思うんだ」

紬「お正月にやれたら、楽しそうじゃない?」

唯「おお! それいいね~」

澪「それはちょっと急すぎないか」

和「でも、こういうのってよく知らないけど、けっこう前から準備しておかなきゃ出来ないんじゃないの?」

さわ子「そうねぇ、年明けは地元もそれなりにやるとこあるでしょうけど」

憂「(高校生って、すごく大人!)」

さわ子「よし、元旦にどこかでやってないか調べておいてあげる」


律「よーし、今日はお開き!」

皆「ごっつぁんでしたァ!」


唯「澪ちゃん、おみやげが大きいね」

澪「うん……部屋で使うよ」

梓「あの……」

律「うん?」

梓「……今日は楽しかったです」



律「ちょっと、ビックリしたな~」

憂「私も少し」

澪「普段、ああいうこと言うタイプじゃないからな」

紬「でも、よかったじゃない。これで軽音部の仲も深まったと思えば」

唯「ムギちゃん、いいこと言うね~」

さわ子「さっきの話だけど、わかったら連絡入れるから、あなたたちちゃんと練習しときなさいよ」

唯「先生、顧問みたい」

和「いや、顧問でしょ……」




みんなが帰ったあと……


梓「……」

梓「なめつくしたドロップの気持ちだ……」

梓「……寝るか」

猫「ナーウ」

梓「574号……」

猫「ニャン」

梓「あむごなごぉとぅすりぃ~ぷ♪……寝ちゃお寝ちゃおう」

猫「ゴロゴロ……」




中野梓 小学5年生
理科の時間にて


梓「地面って岩だな」

梓「私の住んでるとこも、岩の上にあるのか」

梓「この市も、県も、日本も、ただのでかい岩なんだ……」

梓「アメリカも、フランスも……」

梓「海の底だってつながってるし……地球はただの岩なのか」

宇宙の本を読んでいるとき


―地球は太陽系の惑星の一つであり、太陽系は銀河の中の……

梓「これが地球……これが月……」

梓「これが火星で……これが木星……これが太陽……」

梓「これが地球の何倍……これがその何倍……」

梓「これ全部のさらに外が銀河でその……」

梓「……む」


―わぁー! 梓ちゃんがゲロ吐いたー!!






現在
12月26日



from:さわちゃん
sub:みんなへ

元旦で地元のバンドが集まってやるライブに参加させてもらえるそうです
よかったわね 初ライブ、ではないけどがんばって!
私もみんなの衣装を準備するからね
そうそう、ところで梓ちゃんのメイド服着せるとしたら
スカートは短いのと長いのどっちがいいと思う?
私の見立てではあのハイブリッドレインボウなラインと
リトルバスターズなお胸を見る限り長いのがいいと




紬「……そうね、いや」



梓「ふにゃふにゃ~♪」


Dinosaur Jr. - The Wagon
(http://www.youtube.com/watch?v=l-PP7vpnYTA)


梓「ゆをんすぃ~みぃ~♪」


―キチガイ同士で助け合うなんて無理だろ

未来はどうしよもなく暗く、エゴイスティックな私達には何ら成す術がなく、

嫌いなお前なんか死んでも助けてやるもんかと、誰もが腹の底で思ってる。

ダイナソーJRのどうしようもなさとは、詰まるところ、

私達の投影された姿に他ならない。

~ダイナソーJR「グリーン・マインド」ライナーノーツより



現在
12月27日
某スタジオ


澪「よーし、まずは『カレー』から」

唯「ヘイヘーイ」

律「1,2,1,2、3,4!」


カレーのちライス
(http://www.youtube.com/watch?v=S0Zeck0AGiU)



唯「ピリリ~♪」

梓「……ブツブツ」




中野梓 小学5年生
夏休み


梓「生きてても意味がない気がしてきた」

梓「そうだ、自由研究はこれにしよう」

梓「生きる意味……人生の意味……」

―人生、人の一生、人が生まれてから死ぬまでの間

―わたしたちが自分の悪を自らの最善のものと呼ぶ勇気が持てた時
 それが人生の最も偉大な時期である

―あなたの人生の物語

―型破りに生きれば人生も悪くない♪

梓「ブツブツ……」


―梓はずっと部屋で何をやってるんだ?

―さあ? 本ばかり読んでるみたいですけど





現在
大晦日
某スタジオ


ジャジャッ ジャジャッ ジャアーーン……


澪「このまま、ここで年越しだな」

唯「こういうの、なんか楽しいね」

紬「ね~」

律「年越しそばも食べずじまいか……」

澪「とりあえず、練習止めて、コンビニにご飯買いにいこう」

律「おおう! 待ってました! きつねさん食べよーっと」

唯「あ~かいきつねとみどりのた~ぬき~♪」


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最終更新:2010年02月20日 00:14