中野梓 小学5年生

梓「終わらない……」

梓「どこにも生きる意味が載っていない……」

梓「今日は8月31日……」

梓「まあいいや、自由研究は朝顔の観察にしよう。今からでっちあげれば間に合う」

梓「モーニングローリーウェー♪」

梓「……」


梓「ほんとのこと知りたいだけなのに、夏休みはもう終わり」





現在
大晦日


唯「ぶえぇっきしっ!」

律「エンガチョ!」

紬「おでんも食べたいな」

澪「梓、少し薄着じゃない?」

梓「はぁ」

澪「ほら、私のマフラー使っていいから」

紬「……そんなに熱いものいらないかも」

唯「おそばと、ホットのお茶、ああ、肉まんもいいなぁ」

律「となると、このキンピラゴボウもうれしい」

紬「夜中の買い物って楽しいのね」

澪「あ、そうだ、ぴあ買お」

梓「あんまんがあって、たい焼きがないのはなぜ……」

律「そうだ、コンビーフなんてどうだろう」

唯「ムギちゃん、ムギちゃん、沢庵あるよー!」

梓「サッポロポテトBBQ味」

澪「みんな、一応歯ブラシ買えよー」

紬「こ、これは……」つコンドーム

律「うわあ、凄いことになっちゃったぞ」

律「こうやって、囲って食べるのもいいですにゃー」

唯「おそば、おいしいね」

紬「暖まるね」

梓「ずるるるるるるる」

律「梓、箸の持ち方変だな」

梓「そうですか」

唯「えー、私もあずにゃんと同じように持ってるよ」

唯「今年もー!」

律「残すところ数分となりましたー!」

律「テンションあがってきたぜええっ!」

澪「お前ら元気だな……」

唯「いつか、紅白に出る!」

律「サライ~の空を~」

澪「それは、夏だろ」

紬「行く年来る年」

唯「あずにゃん、何かかけてぇ!」

梓「はぁ」ゴソゴソ


John Lenon Happy Christmas (War Is Over)
(http://www.youtube.com/watch?v=hb2YSAVHmIE)


唯「メリークリスマース!」

紬「もう先週になっちゃったけど」

律「アンドハッピーニューイヤー!」

澪「あと一分だ」




中野梓 小学6年生


Radiohead "How To Disappear Completely"
(http://www.youtube.com/watch?v=nZq_jeYsbTs)



―これは起きていません、僕はここにいません

梓「最近、何をしても味気ない」

梓「あれから、一年も考えてるのに、何にも見つからない、浮かばない」

梓「これから、一生こんな感じなのかな」

梓「どうでもいいや……」

梓「27歳で死ぬっていう人もいるし」

梓「もう退屈な年寄りだ」

梓「燃え尽きそうだ……」





新年


唯「ぅああけましてえぇぇ!」

律「ぅおめでとおおおおお!!」

澪「おめでとー!」

紬「おめでとう!」

梓「……めでとうございます」

律「新年一発目ぇ!」





唯「自由になりたい! やりたいことをしたい!」
律「それしかできなーい!」
澪「パーティーしたーい!」
紬「わっしょいわっしょい♪」
梓「むにゃむにゃ」ユラユラ」



唯「24アワーパーティーピーポー♪」





唯「うんたん♪ うんたん♪」

律「jhfjふぇくぃれfんjふじこhじゃ」

紬「あ~は~は~」

澪「インマイドリー♪」

梓「にゃーにゃーにゃにゃーにゃー」





澪「いきなり盛り上がりすぎちゃった。今日の夜ライブやるんだぞ、みんな」

唯「ここここれが盛り上がれずいられましぇーん」

律「がはははははははは」

紬「そうそう、そろそろみんなで裸踊りよ~」

澪「いつの間にか飲んでる……しょうがないなー。 ちょっとトイレ」

律「おほほ~う、ごゆっくりぃ~」


澪「はぁ、ホントに大丈夫かな、今日のライブ」

梓「……」ユラユラ

澪「梓、ふらついてるけど、大丈夫か?」

梓「トイレ……」

澪「真っ青だけど、おい、もしかして、口から出すほうか」

梓「む……」

澪「わああああああっ」




小学6年生の中野梓のある日





梓「どーんくらぁーい♪」

梓「生きてても意味ないな」

梓「まあいいや」

梓「別に気にすることないや」

梓「なんか……ねむいし」

―Teenage wasteland, They're all wasted(まるで実りのない10代、こんなの全部無駄なんだ)





梓「ウエップ……」

澪「無茶するなよ」

梓「はぁ、コーラだって律先輩が……」

澪「まったく! ちょっと外の風あたりに行こう」

梓「すずしい」

澪「さすが、大晦日。深夜でも人がいるなぁ」

梓「ああ、そういえば、そろそろ初詣行こう、だそうです」

澪「ん、そっか。まあ、とりあえず今日のライブの祈願かな~」

梓「奇岩ってなんですか? 必殺技?」

澪「いや、お祈りのことだよ。やっぱ、もう少し勉強したほうがいいな……」

澪「梓さぁ」

梓「へい」

澪「HEY? いや、最近少し変わったよね」

梓「はあ?」

澪「いや、春に初めて会った時は、もっと今よりふてぶてしいというか、そっけないというか」

梓「ふて、ぶて」

澪「これ、今でもすごい覚えてるけどさぁ……」



半年前のある日


澪「梓はなんで軽音部入ろうと思ったんだ?」

梓「ヒマだからです」

澪「将来プロミュージシャンになりたいとか」

梓「働きたくないです」

澪「ギターあんなにうまいのは誰かに教わったの?」

梓「うるさい音を出そうと思ってうるさい音出してるだけです。教わったことないです」

澪「好きなバンドは?」

梓「バーズ、クレイジーホース、ブラックサバス、ストゥージズ……」

澪「本当に音楽好き?」

梓「暇つぶしになるから好きです」



澪「すごいうまい子が来たなって思ったら全然やる気なさそうに見えたし、いきなり寝ちゃうし。 ちょっとセンセーショナルだったな」

梓「ぜあーずにゅーせんせーしょん」

澪「ベースも私よりうまく出来たし、ちょっとくやしいとさえ思ってたんだよ」



3ヶ月前

澪「お前は暇つぶしでここに来てるのかもしれないけどな。
  私達だってプロじゃないけど、真剣にやってるんだよ!
  お前私のことバカにしてるんじゃないのか!」

唯「えっ……なにぃ」

紬「澪ちゃん……」

梓「音楽は暇つぶしですよ」
 「普段することないし。つまらないし。学校に行くのもめんどくさいし。でも働きたくないし。でも寝るのとギターでうるさい音出してると時間はつぶせるし。今日はそれが邪魔されたから帰って寝ます」「おつかれさーでぇーす」



澪「いやぁ、今思い出すとちょっとヒヤッとするな」

梓「はぁ……」

澪「……今でも、ギター弾いてるのはただの時間つぶし?」

梓「……結局、音楽は暇つぶしですから。死ぬまでの」

澪「死ぬって」

梓「もうずいぶん、心から気分が弾むようなことはないし。空っぽなんです。きっと20歳過ぎるころには燃え尽きます」

澪「……」

梓「と、思ってたんですが」

梓「最近、少し、たのしい」

澪「楽しい?」

梓「教室では憂が唯先輩のことを色々話してくれます。部活に行けばムギ先輩がたい焼きをくれます。 寝てても怒られないし」

澪「あ、そのへんは少し諦めてます」

梓「はぁ、そうですか」

澪「それで?」

梓「それで? それで……みんなが少し好きになりました」

澪「好きに……」

梓「唯先輩とか、律先輩とか、ムギ先輩とか、憂とか、預かった猫とか」

澪「ははっ、猫も入れるのか」

梓「澪先輩もけっこう好きですよ」

澪「へぇ……」


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最終更新:2010年02月20日 00:17