紬「どうしたの梓ちゃん?」
梓「あの…ちょっと危険な方法なんですけど…その…」
律「何だ?言ってみろよ」
梓「お腹を殴ると…治るって聞いた事あります…」
唯「…」
律「横隔膜に直接刺激を与えるってわけか」
唯「うへえ…」
律「47回目。よし、背に腹は変えられない!澪、頼むぞ」
澪「へ!?な、何で私が…」
律「だって澪得意じゃん。人殴ったりとか」
澪「人をチンピラみたいに言うな!」ゴツン
律「いったぁ…ほ、ほら…その調子で唯にも…」
唯(りっちゃん…すごく痛そうだよぅ…)
唯(あ…あれを私が食らうの…?お腹に…)ブルブル
澪「で、でもなぁ…」
唯「ひっく!」
律「48回目。唯を救うためだ。仕方ないだろ…」
澪「わ…わかったよ…」
唯「うぅ…」
澪「ゆ…唯、いいか…?」
唯(…やだなぁ…)ブルブル
唯「ひっく!」
律「49回目…!唯、我慢しろ!死ぬよりはマシだろ!?」
唯「う、うん…わかったよ…。澪ちゃん、お願い…」
澪「よ…よし…いくぞ?」
唯「…っ!」
澪「スーーーー…ハー…スーーーーー…ハー…」コォォォォォォ
唯「ちょ、ちょっと待って!」
梓「唯先輩!覚悟を決めてください!」
唯「わ、わかってるよ!でも心の準備が…」
澪「唯…」
唯「強くお腹叩くと赤ちゃん産めない体になっちゃうって聞いたし…痛いのは怖いし…」ぶるぶる
紬「唯ちゃん…」
唯「だ、だから…ちゃんと横隔膜を正確に…的確に…」
澪「ああ。わかってる。安心しろ。私の鉄拳には寸分の狂いもない。今まで律の頭にいくつもの作品を生み出してきたからな」
梓「さ、作品…」
紬「たんこぶの事ね」
唯「…」ゴクリ
唯「わかったよ…!私、澪ちゃんを信じる!!」
澪「唯…!」
唯「澪ちゃん…いいよ…きて…」ブルブル
紬(…///)gokuri
澪「スーーーー…ハー…」コォォォォォォ
唯「…っ!」ブルブル
澪「えいっ」
ドッッゴォォォォォン!!!!
唯「ひいいいいいいいぃぃぃぃぃっく!!!!!」
律「とうとう50回目か…」
唯「げほ…うぅ…痛いよぉ…」
澪「ごめんね唯…」
唯「げほっ…ううん…私のためなんだし…。それに、殴ったほうも痛いんだよね…?心が…」
澪「唯…」
梓「で、どうですか?止まりましたか?」
唯「うーん…」
唯「…」
唯「…止まったみたい!」
律澪紬梓「おおー!」
唯「…」
唯「ひっく!ひっく!」
律澪紬梓「…」
律「52回目…とうとう半分切っちゃったな」
唯「さすがの私も焦ってきたよ…」
梓「お腹は大丈夫なんですか?すごい音がしましたけど…」
唯「うん。澪ちゃんが正確に狙ってくれたから、バッチリ元気な赤ちゃんを産めるよ!」
唯「ひっく!ひっく!」
律「54回目…。どうするんだ?他に何か治療法はないのか?」
紬「琴吹家に伝わる…あの方法なら…」
澪「…ムギ?」
紬「本当は門外不出の秘法なの。でも友達を…唯ちゃんを助けるためなら…!」
唯「ひっく!」
律「55回目」
紬「琴吹家は代々この方法でしゃっくりという死神の鎌から逃れ、繁栄してきたと聞いたわ」
梓「そんな方法が…でもいいんですか?それ言っちゃったらムギ先輩の家での立場が…」
紬「…いいの。そんなものは…」
唯「ひっく!」
律「56回目…。で、その方法ってどんなのなんだ?」
紬「うん。割り箸を2つに割って、水を入れたコップの上に交差させる形で置くの」
紬「そうすると割り箸によって飲み口が4つに分けられる。割り箸を手で抑えながら、分けられた飲み口から順番に水を飲むの」
紬「それでしゃっくりは止まるはず」
律「なんだ、私聞いたことあるぞそれ」
梓「私もあります」
澪「私も」
唯「ひっく!」
紬「」
律「57回目…。まあモノは試し!女は度胸!やってみようぜ」
梓「やっぱり水がキーになるんですね」
紬「…はい、唯ちゃん。割り箸とお水」
唯「ありがt」
唯「ひっく!」
唯「ありがとう」
律「58回目。さ、飲んでみろよ唯」
唯「うん!えーと…割り箸を抑えながら…」コク
唯「…」コク
唯「…あっ!」ツルッ
バシャ
唯「ひっく!」
律「59回目。何やってんだよ唯。こぼすなよな~」
唯「ご、ごめん…。しゃっくりの回数が増えてきて、私も動揺してきたのかも…」
澪「床は私が拭いておくから、唯は早く水を飲め」
唯「うん。ありがとう澪ちゃん。もう ひっく り返したりしないから」
律「60回目」
唯「あ、りっちゃん今のは違うよ」
律「何だよ…紛らわs」
唯「ひっく!」
律「…」
梓「60回目…ですね」
律「なあ、カウントする役、誰か代わってくんない?」
唯「ひっく!」
律「61回目…」
澪「何でだよ。カウントするのは唯の隣に座ってる律でいいだろ」
律「だって紛らわしいんだもん」
紬「でも交通量調査みたいで楽しそう」
律「だったらムギが……って不謹慎だぞムギ!唯の命に関わる問題なのに!」
紬「あっ…ご…ごめんなさい…そんなつもりじゃ…」
唯「ひっく!」
律「62回目!まあいいや。仕方ないからカウントは私がするよ」
唯「よろしくお願いしますりっちゃん」
梓「…もう!そんなことより早く水飲みましょうよ!あと38回しかないんですよ!?」
唯「そ、そうだね…」
唯「ひっく!」
律「63回目…」
唯「あわわ…いかんいかん!早く止めないと…」
紬「はい、割り箸とお水」
唯「ありがと!」
唯「…」コク
唯「…」コク
唯「…」コク
唯「…」コク
澪「どうだ?唯」
唯「げぷ…」
律「汚いなぁ」
梓「琴吹家伝統の療法…効きますかね?」
紬「うん…きっとこれで唯ちゃんのしゃっくりも止まるはず…」
唯「うーん…」
唯「…」
唯「ヒーックウ!」
澪律梓紬「!!!」
唯「…なんちゃって///」
律「笑えないっつーの!!」ポカッ
唯「いたっ!…えへへ、ゴメンゴメン」
澪「やれやれ…どうやら止まったみたいだな」
唯「うん!みんなありがとう!心配かけてごm」
唯「ひっく!」
律「64回目…。ダ、ダメか…」
唯「ど…どうしよう…私死んじゃうよ…」
澪「お、落ち着け唯!他に方法は!?何かないのか!?」
紬「今のがダメなら…私はもう治療法は知らない…」
律「私も…」
唯「そ…そんな…」
唯「ひっく!ひっく!」
律「66回目…」
唯「や…やだよ…助けてよみんな…」ブルブル
澪「唯…」
梓「…」
紬「…」
律「くっ…!」
唯「ひっく!」
律「67回目…」
梓「…」
梓「あ、あの…」
澪「どうした梓?何かいい方法が浮かんだの?」
梓「いえ…そうじゃなくて…憂に連絡したほうがいいんじゃないかなって思って…」
唯「憂に…?」
梓「その…もしもの時の事も考えて…家族の…憂だけでも呼んでおいたほうが…」
律「…梓っ!なんだよもしもの時って!」
紬「落ち着いてりっちゃん!」
梓「わ…私だって…そんな事考えたくないですよ…!唯先輩が…し…死ぬなんて…」
唯「う…うぅ…」ぶるぶる
唯「ひっく!」
律「68回目…!梓、それ以上言ったら許さないぞ!!」
梓「でも!もう何も方法がないじゃないですか!!」
律「…っ!それをみんなで考えるんだろ!!そんな悲観的なヤツはウチの部にはいらない!!」
唯「ふ、ふたりとも…やめてよ…」
梓「私だって、唯先輩がいなくなるなんて絶対にイヤですっ!!でも…でも…っ!!」
律「まだ言うかっ!!!」
ゴツン ゴツン
律「いてっ」
梓「いたっ…」
澪「全く、ふたりともちょっと落ち着け…」
紬「澪ちゃん…」
唯「ひっく!」
律「69回目…。ご、ごめん…ちょっと頭に血がのぼっちゃって…」
梓「取り乱してすいませんでした…」
澪「不安なのはみんな同じだ。それと…憂ちゃんを呼ぶのは私も賛成」
唯律「…!?」
唯「ひっく!」
律「70回目…!まさか澪…お前ももう諦めて…」
澪「違う!憂ちゃんなら、何かいい方法を知ってるかもしれないだろ?」
紬「なるほど…それはあるかも」
澪「梓、憂ちゃんに連絡してくれ」
梓「はい!」ピポパ
梓「あ…もしもし憂?唯先輩のしゃっくりが止まらないんだけど…」
ガラッ
憂「お姉ちゃん!!!!」
梓「はやっ!」
澪「憂ちゃん、しゃっくりを止める方法、何か知らない?」
憂「…」
憂「息を止めるとか、びっくりさせるとか、温水飲んだり冷水飲んだり、紫って言ったり…」
律「ああ…それもう全部試したんだよ…」
憂「じゃあ、割り箸をコップに乗せて…」
梓「それも試したよ…」
澪「ていうかその方法憂ちゃんも知ってたんだな」
律「な」
紬「…」
唯「ひっく!」
律「71回目…」
憂「な…71回!?そ、そんな…どうしてそんなになるまで放っておいたんですか!!」
紬「私達も色々試したの…。でも止まらなくて…」
澪「ゴメン憂ちゃん…」
憂「…いえ…すいません…」
唯「う…うい~…」
唯「ひっく!」
律「72回目…!憂ちゃん!何かいい方法はないの!?」
憂「えーと…えーと…あ!背中をポンポンするのは試しましたか?」
唯律澪紬梓「…」
律澪紬梓「それだ!!」
唯「ひっく!」
律「73回目…!は、早く!早く背中っ唯の背中を!!」
憂「はい!…お姉ちゃん、ちょっと上着脱がすね」
唯「がってん!」
スルリ
憂「…!?」
憂「な、何ですか…これ…。お腹にアザが…」
唯「ひっく!」
律「74回目…。あ、ああ…それは澪が殴った痕だ」
憂「え?殴っ…た?み、澪さんが…?」ジー
澪「あう…。い、いや…横隔膜に衝撃を与えれば…治るかなーって…」
唯「澪ちゃんね、鉄拳で作品を作るアーティストなんだよ」
憂「作品…」ジトー
澪「い、いや…その…ははは…」
唯「ひっく!」
律「75回目!!」
梓「憂!早く!」
憂「う、うん!じゃ、背中ぽんぽんするよお姉ちゃん」
唯「うん。お願い!」
ぽんぽん
唯「…」
ぽんぽん
唯「むう…」
ぽんぽん
唯「…」
憂「どう?お姉ちゃん?」
唯「むーん…」
最終更新:2010年02月04日 00:26