唯「アイスでも食べようかなー」
唯「…あれ?アイスがない」
唯「憂ー、私のアイス知らない?」
憂「知らないよー?」
唯「あれー?おかしいな…」
唯「確かにあった筈なんだけど…」ごそごそ
憂「まだアイスを探してるの?」
唯「うん、どうしても食べたいんだー」
憂「ふーん」
唯「あれれ…おかしいな」ごそごそ
―20分後
唯「おかしい…どんなに探しても見付からない…」
憂「自分で食べたの忘れちゃったんじゃない?」
唯「そんな筈はないよ、こんなに楽しみにしてたんだもん」
唯「あ、もしかして…」ジー
憂「…お姉ちゃん、もしかして私を疑ってるの?」
唯「……」ジー
憂「私は知らないよ?」
唯「…本当に?」ジー
憂「本当だよ!私の言うことが信じられないの?」
唯「い、いや、そういう訳じゃないよ」
唯「なら私のアイスはどこに行ったんだろう?」
憂「知らないよー、そんなに探してもないんだったら、きっと自分で食べたのを忘れちゃってるんだよ」
唯「うーん…でも記憶にないよ」
憂「そうなの?」
唯「うん」
―更に数分後
唯「アイスー…」ごそごそ
憂「もう…無いものはないんだよ、いい加減諦めなよ」
唯「でも…」
憂「そんなに食べたいんだったら、また買ってきてあげるよ」
唯「嫌だ!私は今食べたいのー」
憂「もう…なら今から買ってくればいいじゃない」
唯「…そうだね、そうするよ」
唯「それじゃ、行ってきまーす」
憂「いってらっしゃい」
……
唯「ただいまー」
憂「お帰り、うわっ、随分いっぱい買ってきたね」
唯「うん!買い溜めしてきたよ」
憂「すごいねぇ」
唯「大人買いだよ、えっへん!」
憂「大人買いかー、お姉ちゃんは大人なんだねぇ」
唯「うん!」
唯「でも今日は一つしか食べないんだ」
憂「そんなにいっぱいあるのに?」
唯「流石の私でも、これをいっぺんには食べられないよ」
憂「だよねぇ」
唯「それじゃ冷凍庫にしまっておくね、憂も食べていいけど私の許可を取ってから食べてね」
憂「分かったよ」
唯「うふふ♪これから毎日アイスが一本づつ…40個買ってきたから、40日間は毎日アイスが食べられるんだ、あぁ…今から楽しみだなぁ♪」
憂「お姉ちゃん、幸せそうだね」
唯「それじゃ、いただきまーす」シャクシャク
唯「んまいっ!」
唯「あぁ…幸せだな…」
憂「あははっ良かったね、お姉ちゃん」
唯「うん!」シャクシャク
唯「…さて、アイスも食べたことだし、歯を磨いてもう寝るね」
憂「うん、おやすみお姉ちゃん」
唯「お休みー♪」
―次の日
唯「ふぁ~…おはよう憂」
憂「おはようお姉ちゃん、朝ごはんできてるよ」
唯「は~い」
唯「いただきまーす」もぐもぐ
唯「んまいっ!」
唯「やっぱり憂のご飯は最高だねー」
憂「ありがとうお姉ちゃん♪」
唯「ごちそうさまでした」
憂「お粗末さまでした」
唯「さて、学校に行く前にアイスでも食べようかな」
憂「!だ、だめだよ!」
唯「ふぇ?どうしてー?」
憂「だ、だってアイスは一日一本なんでしょ?夜食べれなくなっちゃうよ」
唯「うーん…それもそうだね」
唯「わかった、アイスは夜に食べるよ」
憂「そ、それがいいよ!」
―部室
唯「ふんふふーん♪」
律「どうした唯、偉くご機嫌だな」
紬「なにかいいことでもあったの?」
唯「うん!実はアイスを大人買いしたんだー!これで毎日アイスが食べられるよ♪」
澪「ご機嫌の理由はそれか…」
梓「まぁ、なんとも唯先輩らしいですね」
唯「えへへ♪今日の練習は頑張っちゃうよー!」
澪「お、偉いやる気だな」
―練習後
律「ふ~、今日はここまでだ」
澪「今日の唯は本当に一味違ったな」
紬「とても素晴らしい演奏だったわ♪」
唯「えへへ…それじゃ私は先に帰るね!家でアイスが私を待ってるからさ」
律「おう、気をつけて帰れよ」
唯「うん!また明日ー!」
梓「まったく唯先輩は…ん?」
梓(あれはギー太…自分の相棒を忘れるなんてひどいなぁ…)
梓(…唯先輩のギー太…少し弾いてみたいな…)
律「それじゃ私達も帰るか」
梓「あ…今日の鍵閉めは私がやるんで、先輩方は先に帰っていてください」
律「そうか?悪いなぁ」
澪「それじゃ梓、よろしくな」
紬「またね、梓ちゃん」
梓「はい!お疲れ様でした!」
ばたん
梓「……さて」
梓「うわぁ…ぎー太って結構重いなぁ」ズシッ
梓「こんな重いギターをもってあんな演奏ができるんだよね、やっぱり唯先輩はすごいな」
梓「えへへ…唯先輩のギー太…」
ジャーン♪
梓「まるで今の私は唯先輩みたい…えへへ♪」
梓「ふわふわタ―イム♪」
ジャカジャカ♪
梓「なんだか…唯先輩との距離が一気に縮んだみたいだよ」
梓「あぁ…唯先輩…大好き!大好きー♪」
梓「唯先輩!一緒に演奏するのってすごく楽しいですね♪」
梓「うん!でもそれはあずにゃんとだからだよ」
梓「えっ?それってどういう…」
梓「最後まで言わせないでよ、私があずにゃんのことを大好きだってことだよ」
梓「…え?それって本当ですか…?」
梓「当たり前だよ、だからさあずにゃん、私と付き合ってほしいな」
梓「……」
梓「…だめ、かな?」
梓「そ、そんな訳ないです!だって…私も唯先輩のことが…!」
梓「そっか、ありがとうあずにゃん♪」
梓「唯先輩…」
梓「あずにゃん…」
梓「…なんちゃって!きゃーきゃー!」ブンブン!
バキッ!
梓「…バキ?」
梓「…!あ…あぁ…ギー太が…」
梓「ギー太のネックが折れちゃった!」
梓「どうしよう…思わず興奮してギー太を振り回すからこんなことに…」
梓「…唯先輩になんて謝ろう」
梓「そもそも謝って許してくれるのかな…?だってこれは唯先輩の大事なギターなのに…」
梓「もしかしたら、あの温厚な唯先輩でも…」
~
唯『あぁ!私のギー太が!!』
梓『ご、ごめんなさい唯先輩!!』
唯『…許せない、もうあずにゃんなんかと一生口をきいてあげないから!!』
~
梓「…最悪だ、それだけは絶対に避けなくちゃ…」
梓「とりあえずギー太を修理に出そう…ネックが折れてるんだから、やっぱり修理に時間はかかっちゃうよね…」
梓「なら治るまでの間、どう先輩を誤魔化せばいいのか…」
梓「うーん…そうだ!」
~
唯『あれー?私のギー太がないよー、誰か知らない?』
梓『私は知りませんよ』
唯『そっかー、一体どこに行ったんだろ?』
梓「そして治った後に…」
~
梓『唯先輩!ギー太が見つかりましたよ!』
唯『本当!?よかったぁー、どこにあったの?』
梓『通学路に落ちてました』
唯『そうなんだ、見つけてくれてありがとうあずにゃん♪大好きー♪』
梓『私もですよ、唯先輩』
~
梓「…完璧だ」
……
唯「ただいまー♪」
憂「お帰りお姉ちゃん、今日は早いね」
唯「うん!アイスが楽しみで早く帰ってきたんだー♪」
憂「! あ、あぁ…アイスね…」
唯「それじゃ早速食べようかなぁ♪」
憂「ま、まってお姉ちゃん!」
唯「ん?なーに?」
憂「あ、あのさ…お使いをお願いしたんだ!今日の晩御飯の材料を買い忘れちゃってさ!」
唯「えー?めんどくさいなぁ」
憂「そう、残念だなぁ…今日はお姉ちゃんの大好きなマシュマロ鍋にしようと思ったのに」
唯「! 今すぐ買ってくる!」
憂「ならマシュマロをお願いね」
唯「合点承知!行ってきまーす!」
憂「行ってらっしゃーい!…ふぅ、なんとか誤魔化せたな…」
憂「どうしよう…あのアイス、私が全部一人で食べちゃったなんて言えないよ…」
憂「だって、あんなにも大量のアイスを一度でいいからいっぺんに食べてみたかったんだもん…」
憂「そんなこと…お姉ちゃんには口が裂けても絶対に言えない…」
憂「もし言ったら、きっと…」
~
唯『えぇ!?私のアイスを憂が一人で全部食べちゃったの!?』
憂『ご、ごめんなさい!つい出来心で…』
唯『…憂はさ、私がアイスをどれだけ楽しみにしていたか知ってるよね?』
憂『…うん』
唯『それなのに全部食べたんだー、へぇ~』
憂『ご、ごめんなさい!』
唯『…私、憂のこと見損なったよ。このいやしんぼ!!』
~
憂「…それだけは絶対に避けなくちゃ」
憂「本当は今すぐ買ってくればいいんだけど…今月ピンチだしなぁ」
憂「せめて来月まではなんとか誤魔化し続けないと…」
憂「…来月まであと、20日か…」
憂「……」
憂「…だめかもしれない」
最終更新:2010年02月04日 00:53