唯「いくら女子高っても限度があるよ……」
律「うん……ごめん」
ヴィーン バリバリ
律「唯はどうしてんだ?ひげ」
唯「私は憂が剃ってくれるから大丈夫だよ」 ふんす
律「いや、自分で剃れよ、それくらい……」
唯「うーん、最初は自分で剃ってたんだど、顔切っちゃって。」
律「あー。」
唯「憂にすっごい怒られてさー。それからは剃ってもらってるんだ」
律「なるほどねぇ」
バリバリ
バリバリ
唯「でも、どうしてそんなにほったらかしてたの?ひげ」
律「いや、連休明けだからさー。のばしてたらウケるかなーって」
唯「あー。」
律「うん」
唯「いまいち」
律「だよなぁ」
カチッ パカ ポンポン
律「おー、大量大量」
ガチャ
澪「お、早いな」
梓「やる気の表れって感じでもなさそうですけど」
律「お、澪」
唯「あずにゃーん!」 ガバッ
梓「わ、唯先輩っ」
唯「んふふ、あずにゃーん♪」 スリスリ
梓「わっ、いたっ!痛い!ジョリジョリ痛いっ!!!」
唯「えー?」
律「のびてんじゃん……」
唯「うーん、私のびるの早いのかなー?」
ヴィーン バリバリ
梓「もう、ヒゲはこまめに剃らなきゃだめですよ先輩」
唯「……そういうあずにゃんも」
梓「え?」
ナデ ナデ
唯「ほっぺたちょっとゾリゾリ」
梓「え!?うそっ!!」
バリバリ
梓「うーっ」 バリバリ
唯「あはは」 バリバリ
澪「まあ、朝に剃ってもこの時間になるとな。仕方ないよ」
律「そういう澪さんは」 ペタ
澪「わっ」
律「あれ?ツルツルじゃん」
唯「え!?うそー」
ペタペタ
澪「あ、こらっ」
唯「わー、ほんとだ。つるつるー」
律「えー?なんでなんで?これ」
澪「私はほら、抜いてるから」
唯「なんと!?」
律「けーっ、見せる相手もいないくせに色気づいちゃってまぁ」
澪「な、なんだよ!いいだろっ!!」
ガチャ
紬「みんなおまたせ」
唯「あ、ムギ……………………………………ちゃん?」
澪「どうした唯………うわああああっ!?」
紬「え?どうしたの?みんな」
律「いやいや!ど、どうしたんだよそのマユゲ!?」
唯「ムギちゃんすごい!仙人みたい!!!!」
紬「え?えっ?」
梓「ムギ先輩、これっ!」 つ[鏡]
紬「あら……まぁ。どうりで前が見えにくいと思ったわ」
律「気づけよ!!」
チョキチョキ
紬「私ったら、連休でほったらかしにしてたから……恥ずかしいわ」
律「ほったらかしたらのびるんだ……」
唯「ムギちゃんはマユゲがのびる体質なんだね」
梓「わけわかりません」
紬「でもその代わりにヒゲはのびないのよ私。ほら」
唯「わ、つるつるだー」
律「あー、懐かしいこの感触。いいなー」
チョキチョキ
紬「うん、このくらいね。後は家に帰って眉容師さんに頼まなきゃ」
梓「そんな美容師さんみたいに言われても」
律「マユゲ専門の職人とかいるんだ……」
唯「でもヒゲのお手入れって大変だよね。すぐのびるし」
梓「ですね。女の子にヒゲが生えるようになって、もう2週間近くですか」
律「そもそもなんでヒゲが伸びるようになったんだっけ?」
澪「確か地球環境の変動の影響でホルモンがどうとか……
ニュースでやってたよ」
紬「……」
唯「?どうしたの、ムギちゃん」
紬「それについてね、ちょっと気になることがあるの」
澪「それ…って、ヒゲのことか?」
紬「ええ」
唯「そうか、きっと誰か悪い人の仕業なんだね!」
律「おいおい……」
紬「その通りよ」
梓「えええっ!?」
唯「わあ、当たったよ!私すごい!!」
澪「それは置いといて……どういうことだ?ムギ」
紬「環境の変化で女の子にヒゲが生えるようになった……ここまではいいわ」
律(ムギはマユゲだけどな……)
紬「でも、そう考えると、おかしいのよ」
澪「おかしい…って?」
紬「男性ホルモンの異常分泌で女の子にヒゲが生えるようになったのなら……
男の人のヒゲや体毛は、もっと濃くなってもいいんじゃない?」
澪「あっ」
梓「濃く……なってないんですか?」
紬「私のうちの人たちにも聞いてみたけど、以前と変わりないという話なのよ」
梓「じゃあ、これって……」
紬「女の子だけに起こっている変化ということ。何か人為的なものを感じるわね」
唯「ねえ、当たったよー。当たったんだよー。だれかほめてー」
紬「いいこいいこ」 なでなで
唯「えへへー」
梓「…でも、それじゃあ一体誰がこんなことをしたって言うんですか」
律「そうだよな。女にヒゲを生やして得する奴なんているのか?」
澪「うーん」
紬「ヒゲフェチ…」
律「ふぇ?」
紬「これは…ヒゲフェチの呪いなのよ……」
律「呪いて」
唯「なにそれこわい!」
紬「その人は、それはもうヒゲが好きすぎて!もうこの世に存在する何もかもにヒゲが生えればいい!という情熱を持った人なの」
唯「なにそれこわい……」
紬「強すぎる情熱を持ってしまったがゆえに、悪魔にその心を奪われてしまったのよ」
澪「いやいやいや」
梓「いくらなんでも、それは……」
律「なぁ?」
唯「みんなひどい!なんでムギちゃんの言うこと信じないの?」
澪「と言われても…なぁ」
唯「仙人っぽいマユゲのムギちゃんの言うことなんだから、間違ってるはずがないよ!!」
紬「えっ」
澪「おいおい」
律「そう言われてみると……」
梓「なんか本当にそんな気がしてきました」
紬「あらあら」
澪「おいおい!」
唯「ほうっておけないよ、みんな戦わなきゃ!」
律梓「おーー!!」
紬「あらあら」
澪「なにこれ……」
唯「じゃあまずはヒゲフェチを探さなきゃ!」
律「どこにいるかわかるか?」
紬「ごめんなさい、私もそこまでは……」
梓「ヒゲ…ですか、ヒゲヒゲ…うーん」
梓「あっ!」
唯「あずにゃん!何かあった?」
梓「そういえば、私この間、町でさわ子先生を見かけたんです!」
澪「へえ」
梓「男の人と一緒でした」
律「ほほう!」 ずずいっ
唯「どんな人?どんな人だった?」
梓「それが……」
澪「…まさか……」
梓「………」
紬「ヒゲ…だったの?」
梓「…はい」
律「………」
梓「しかもそれがヒゲって感じじゃないんです」
梓「ヒゲー!って感じの」
澪「もじゃもじゃだったんだ」
梓「もじゃもじゃでした。熊みたいな」
澪「あー」
唯「さわちゃんがそんなヒゲフェチだったなんて……」
律「だからってあたしたちにヒゲ生やすなんて!許せねえ!!」
澪「いや、まださわ子先生と決まったわけじゃ」
律「いくぞ、唯!」
唯「おーっ!!」
澪「うおおーい!」
…
律「たのもーっ!」
バターン
さわ子「きゃ!ちょ、ちょっとどうしたのよ?」
唯「ひどいよさわちゃん!いくらヒゲが好きだからって!」
律「ヒゲが嫌いな人のことも考えてくれよな!まったく!」
さわ子「え?はぁ?」
唯「はぁ?じゃないの!人の話をききなさい!」
澪「はぁぁ~~~~~~~」
ゴチン ゴチン
澪「職員室はしずかに」
唯律「はぁい……」 グスン
さわ子「で、何の話なのよ、一体」
梓「ヒゲの話です」
さわ子「………ヒゲ?」
唯「さわちゃんがみんなにヒゲをはやしてるんでしょ?」
さわ子「はぁ?なんでそうなるのよ」
律「とぼけても無駄だぞ!こっちには目撃者がいるんだ」
さわ子「いや、目撃って言われても…何を目撃したのよ」
梓「先生の、彼氏です」
さわ子「彼……氏…?」 ピク
紬「……あら?これって…」
梓「そうです!先生の彼氏はそれは見事なヒゲダルマでした!」
律「ヒゲフェチの先生がみんなにヒゲの呪いをかけたんだろ?白状しちゃえよ!」
唯「おかーさんはないてるぞー!」
さわ子「だ…まってきいてればあなたたちわあああ!!」
教頭「コホン」
さわ子「あっら、おほほほほ」
ぐいっ
律「いたっ、いたたた、耳!ちぎっ!れっ!」
さわ子「話は音楽室でゆっくり聞きます」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
けいおんぶ!
さわ子「……別れたわよ?あの人とは」
唯「えっ?」
澪「そうだったんですか…」
梓「でも、何が原因で」
さわ子「…えぐるわねぇ。人の傷を」
梓「あっ、ごごめんなさい」
さわ子「ヒゲがね……」
律「やっぱりヒゲかっ!!」
さわ子「剃ってくれなかったのよ」
律「へ?」
さわ子「私はヒゲ嫌いだからって言ってるのに、あの人は……」
澪「ああ、なるほど……」
唯「それで腹いせに呪いを」
さわ子「なんでそうなるのよっ!!」
唯「てへ」
律「でも証拠がないと信じられないなぁ」
さわ子「って言われても、そんな証拠なんて」
紬「あるわよ、ここに」
最終更新:2010年02月04日 02:01