ゲンドウ『奴め、ここに気付いたか』

リツコ『シンジ君、時間がないわ』

ミサト『乗りなさい』

唯「……」ハラハラ


シンジ『いやだよ、せっかく来たのに…こんなのないよ』

ミサト『シンジ君、何のためにここに来たの?だめよ、逃げちゃ。お父さんから、何よりも自分から』

シンジ『分かってるよ…でも、できるわけないよ』

唯「……」ドキドキ

シンジ『……逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ!』

シンジ『やります、僕が乗ります!』

唯「おお!」

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フラーイミトゥーザムーン♪

唯「面白かったなあ~早く続きみたいなあ」

ガチャ

憂「あれ?お姉ちゃんまだ起きてたの?」

唯「あのね、今エヴァンゲリオンっていうアニメの再放送やってたんだ。すごく面白かったよ!」

憂「そうなんだ。でもそろそろ寝ないと寝坊しちゃうよ?」

唯「はーい」


唯「おやすみー」


バタン

憂「さて、エヴァンゲリオンか」

憂「これから忙しくなるぞー」

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憂「おはよう!お姉ちゃん!」

唯「ふあ~・・・おはよう」

憂「さあ、学校に行こう!」

唯「憂?なんか変にテンション高くない?」



学校

憂「おはよう。梓ちゃん、純ちゃん」

梓「おはよう」

純「おはよー」

憂「ふああああ!」ノビー

梓「すごい欠伸だね・・・」

憂「実は昨日寝てないんだ」

純「憂が夜更かしって珍しいね。なんで?」

憂「実は、お姉ちゃんがエヴァンゲリオンっていうアニメを昨日見てて」

梓「うんうん」

憂「すごく面白かったって言ってたんだ」

純「うんうん」

憂「だからだよ」

梓純「は?」

憂「え?」

純「いやいや、話しの繋がりがわからない」

憂「あ、2人には言ってなかったよね」

梓「何を?」

憂「私はね、お姉ちゃんが触れるものはすべて検閲してるんだよ」

梓「け、検閲!?」

憂「うん。純粋無垢なお姉ちゃんには、この社会は汚すぎるんだよ。
  だから私がお姉ちゃんが触れる情報にフィルターをかけてお姉ちゃんを保護してるんだよ」

純「なんと」

憂「お姉ちゃんが好きそうなテレビ番組とかは全部チェックしてるんだけど、深夜のアニメの再放送を見てはまるのは予想外だったから 昨日の夜、お姉ちゃんが寝た後急いでエヴァをチェックしてたんだ。お姉ちゃんが見た一話と今後見るであろうそれ以降の話もね」

梓「憂・・・ちょっと過保護の域を超えてるんじゃない?」

憂「そんなことないよ。全部お姉ちゃんのためだもん」ニコッ


梓「それにしても、エヴァンゲリオンは見たことないけどさ、一晩じゃ見終わらないんじゃないの?」

憂「なんとかアニメ版は26話全部見たよ。今日帰ったら劇場版と新劇場版をチェックしないと」

純「で、憂フィルターの結果はどうだったの?」

梓「(憂フィルター?)」

憂「あまり良くないね・・・第1話はギリギリ検閲を突破したんだけど、それ以降は全体的に憂フィルターに引っ掛かりまくりだったよ」

純「へー。そういう場合はどうするの?絶対に見せないようにするとか?」

憂「ううん。それじゃお姉ちゃんがかわいそうだから、ちゃんと見れるようにするんだよ」

梓「どうやって?」

憂「幸いお姉ちゃんはネットでアニメ見たりはしないから、DVDを借りて来るかテレビで次の放送を待つしかない。 ハマったらとことんハマるお姉ちゃんのことだから、テレビ放送を待ち切れずにDVDレンタルする可能性が高い。 そこを狙う」

純「ね、狙うって」

憂「具体的には、パソコンで憂フィルターをかけて再編集したアニメをお姉ちゃんが借りてきたDVDにぶち込むって感じだね」

梓「憂ならやりそうで怖い」

純「でもレンタルDVDにそんなことしたら、次借りる人がかわいそうだと思うけど」

憂「お姉ちゃんのためならその程度の犠牲取るに足らないよ」ニコッ

純「そ、そうっすか」

憂「梓ちゃん。もちろんこのことはお姉ちゃんに内緒だよ?」

梓「う、うん。わかってる」


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放課後

唯「ざ~ん~こく~なてんしのて~ぜ~♪」

律「さっきから何歌ってるんだ?」

唯「え!りっちゃん知らないの?エヴァンゲリオンの主題歌だよ!」

律「エヴァンゲリオン?ああ、そういえば聞いたことあるかもその歌」

唯「りっちゃんエヴァ知らないなんてダメダメだね!」

律「なんだとう!」

紬「まあまあ」

唯「ムギちゃんと澪ちゃんは知ってるよね?」

紬「ごめんなさい、私は見たことないわ」

唯「え~。澪ちゃんは?」

澪「わ、私も名前しか知らないな~・・・」

唯「ちぇー。残念だなあ」

澪「ところで唯、エヴァはどのくらい見たんだ?」

唯「1話だけだよ」

澪「なんだと」ピクッ

唯「どうしたの?」

澪「あ、いやなんでもない」

唯「でもエヴァンゲリオンってかっこいいんだよー。あんなロボットに乗ってみたいなあ」

澪「ロボット?」ピクッ

唯「ああ、エヴァンゲリオンって言うのは、アニメに出て来るロボットの名前なんだよー」

紬「まあ、そうなの」

律「私もそのくらいは知ってるよ」

澪「ロボットじゃないんだよ、ロボットじゃ・・・」ブツブツ

律「どうしたんだ?澪」

澪「な、なんでもない!それよりそろそろ練習するぞ!」

唯「まだあずにゃんが来てないよー」

澪「あ、でも準備だけでもしておくぞ!」

唯「ねえねえ!今度のライブは残酷な天使のテーゼやろうよ!」

律「いや、せっかくオリジナルがあるんだからさ」

唯「一曲ぐらいいいじゃ~ん」

律「だめだって。だいたいアニソンなんて演奏したら新入生に馬鹿にされ」

ゴツン!

律「いてえ!何すんだよ澪!」

澪「頭にハエがとまってたぞ」

律「仮に本当にハエがとまってたとしよう。澪はハエを素手でつぶせるような奴じゃないだろ!」

澪「それより唯、私は良いと思うよ。テーゼ演奏するのも」

唯「おお!澪ちゃん話がわかる!」


ガチャ

梓「こんにちは」

唯「あずにゃ~ん!」ダキッ

梓「い、いきなりですか」

唯「あずにゃん分補給~」スリスリ

紬「うふふ」

律「梓も来たことだし、多数決取るか」

梓「なんのですか?」

律「実は・・・」

梓「なるほど、次のライブでエヴァの主題歌を演奏したいと
  (さっそく唯先輩はエヴァの話題振りまいてるのか)」

律「そうだ。じゃあいくぞ。私は反対!」ハイ!

梓「私も反対です。オリジナルがいいです」ハイ!

唯澪「演奏したい!」ハイ!

律「この流れはまずい」

紬「やってみたいでーす」ハイ

律「やっぱり!」

澪「3対2で演奏することに決定だな」

梓「澪先輩・・・信じてたのに」

唯「いえーい!ざっんっこっくなてんしのてーぜーい♪」

律「・・・わかったよもう。作詞と作曲やってる2人がそっち側についたらもう文句言えないしな」

紬「りっちゃんごめんね。でもアニソン演奏するのって楽しそうじゃない?」

律「でもアニソンはなあ・・・」

澪「律。アニメは子供かオタクしか見ないなんて偏見は捨てろ。
  特にエヴァは普通の人だって見てること多いんだぞ」

唯「澪ちゃんいいこと言うね~」

律「澪、見てないくせにさっきからずいぶんエヴァを擁護するんだな?」

澪「うっ!・・・私はただいろんなことにチャレンジしたいだけだ」

梓「ところで楽譜はあるんですか?」

澪「しょ、しょうがないから私が用意するよ」

唯「澪ちゃんいいの?」

澪「うん。私もやるといった以上はちゃんと協力しないとな」

唯「ありがとう!あ、そうだ!今日の帰り、レンタル屋さん寄らない?」

梓「(まさか)」

律「なんで?」

唯「早くエヴァの続き見たいんだよ。テレビなんて待てない!」

澪「良い心がけだな(本当はDVDくらい私が貸してあげれるんだけどな)」

梓「(さすが憂。予想が的中してる)」


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その頃の平沢家


シンジ『最低だ・・・』











憂「これはひどい」



ガチャン

唯「ただいまー」

憂「おかえり、お姉ちゃん・・・あら?」

ゾロゾロ

憂「みなさんも一緒ですか」

律「おーっす憂ちゃん」

紬「おじゃまします」

澪「いつもごめんね」

梓「唯先輩に誘われちゃって(どうするんだろ憂)」

唯「帰りにDVD借りてきたからみんなでエヴァを見ようと思って!」

憂「そうだったんですか」

唯「リビング使うね~。あ、憂も一緒に見ようよー」

憂「考えとくね。お姉ちゃん手洗わないとだめだよ?DVDはセットしといてあげるから」

唯「はーい。じゃあお願いね」

パッ

梓「!(DVDが憂の手に渡った・・・!)」

律「私らも手洗いにいくかね。憂ちゃんが怖いし」

澪「こら!」

憂「ふふふ、怖くなんてないですよー」

ゾロゾロ

憂「みんな行ったね。梓ちゃんは行かないの?」

梓「え、あ、あのことは誰にも言ってないから!」

憂「大丈夫だよ。私は梓ちゃんを信じてるから。さて」


サッ サッ

梓「(唯先輩に渡されたDVDとそっくりなDVDを取り出した!?)」

憂「今日作ったエヴァンゲリオン憂フィルターエディションだよ。
  見た目は普通のDVDと同じだけどね」

サッ

梓「(入れ替えた!いや・・・完全に同じ見た目のDVDを入れ替えているから、
   この瞬間を見逃していたら入れ替えに絶対気付かなかった・・・!)」

憂「これでDVDは大丈夫っと。残る問題は、梓ちゃん」

梓「は、はい!」ビシイ

憂「そんな畏まらなくて大丈夫だよ。梓ちゃんに聞きたいことがあるだけだから」

梓「憂の覇気に圧倒されてつい・・・聞きたいことって?」

憂「軽音部のみなさんの中に、エヴァを見たことある人っているのかな?」

梓「あ・・・」

憂「もし見たことある人がいたら、憂フィルターを掛けてるってばれちゃうかもしれないんだよ」

梓「部活の時唯先輩が聞いてたけど、みんなは見てないって言ってたよ」

憂「そっか。よかった」

梓「でも・・・」

憂「・・・?」

梓「なんか澪先輩の様子が変だったんだよね」

憂「わかったよ。ありがとう梓ちゃん、すこし探りを入れてみるね」


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最終更新:2010年02月05日 23:51