―翌朝―
チュンチュン…
唯「……(もう朝か…)」
唯(結局、寝れなかった…憂…どこにいるの…?)
ブブブ…
唯(メール?あ!あのお姉さんとアドレス交換してたんだった…)
From:いずな
ごめん。昨晩見つからなかった…
でも、安心して!今晩絶対に見つけ出してやるよ!
唯(残念だったけど、お姉さん…ありがとう…)ポロポロ
唯(お姉さんたちも頑張っていたんだ。私もしっかりしないと!)
唯(でも…私に出来ることってあるのかな?)
唯「………」
唯(学校に行こう…)
―通学路―
唯(はぁ…憂がいない中の通学は寂しいよ…)トボトボ…
唯(どうせ皆憂のことを忘れているんだよな…)
唯(憂…もう二度と憂がいなかったらなんて言わないから…)グスン
―「唯?おはよう」
唯「あっ!和ちゃん!」
和「ど、どうしたの!?朝から何があったの?」
唯「グスッ…信じてくれないと思うけど…聞いて!」
唯は必死に話した。
信じてくれなくても良い。
ただ、誰かに聞いてくれるだけでもという思いで必死に訴えた。
和「…唯……」
唯「グスッ…グスッ…」
和「私も残念だけど、憂ちゃんについての記憶がないの…」
和「でもね…唯の見た感じからは嘘じゃない気がするの…」
唯「和ちゃん…ありがとう…」
和「でも、こんなことってあるのかしら?そんな力を持った妖怪なんて聞いたことないわ…」
唯「そうだよね…」
―校門―
ザワザワ…
唯「あれ?なんでこんなに人だかりができているんだろう…?」
和「唯!あそこに変な人がいるわ!」
鵺野「南無大慈大悲救苦救難霊感…」ブツブツ…
教頭「あの~鵺野さん?」
鵺野「ホェアー!!キエー!」
教頭「ひえ~!!」
生徒a「なにーあの人ー?
生徒b「夏の暑さにやられちゃったんじゃない?」
唯「あ…ぬ~べ~さん…?」
和「唯、あの変な人を知っているの?」
唯「うん、昨日憂を探してくれる霊能力者だよ~」
和(0能力者の間違いじゃないの…?)
唯「ぬ~べ~さ~ん!」
鵺野「フエヤー…って、おお!君か!」
唯「あの…何をやっているんですか?」
鵺野「悪霊退散のための特訓さ。先生からの許可ももらったし」
教頭「言っていませんて!」
鵺野「あと、学校中にある準備を施したのさ。これで、学校がある間は持つだろう…」
唯「ふぇ?学校がある間?」
鵺野「あっ…おほん…まぁ、気にするな!妹さんは見つけてみせるよ!」
唯「あ、ありがとうございます!」
―教室―
唯(ぬ~べ~さんやいずなお姉さんがいるんだ!きっと見つかるはず!)
唯(よ~し、頑張ろ!)
唯「律っちゃん、ムギちゃん、おはよう」
律「お、オッス、唯…」
紬「唯ちゃん大丈夫なの…?」
唯(しまった…昨日私、途中で怒っちゃったんだ…)
唯(よく考えたら、皆好きで憂のことを忘れたわけじゃないのに…)
唯(皆に酷いことを言っちゃったな…)
唯「昨日はごめんね…律っちゃん、ムギちゃん…」
律「ふーん…」
唯「ごめんなさい!今日からちゃんと練習するから!」
律「………」
唯「………うう…」
律「……………プッ」
唯「え?」
律「プッハハハハ…」
唯「え?え?」
律「アハハ…冗談だよ~唯!唯が元気であれば昨日のことなんて水に流すさ!」
紬「ふふ…律っちゃんたら、意地悪ね~」
唯「二人とも…許してくれるの…?」
律「あったり前だろ~!唯隊員!帰還ご苦労だった!」
唯「律っちゃん隊員!ただいま戻りました!」
紬「うふふ…」
唯(そうだよ!戻れるんだ!)
―職員室―
鵺野「んがーぐごー…」
さわ子「………」イライラ
鵺野「んがーすぴー…」
さわ子「……」ブチッ
さわ子「起きろやあぁぁぁ~!!!このゲジ眉ぅぅー!!!」ドカッバキッ
先生「山中先生を止めろ!犯罪者になってしまう!」
鵺野「どぼぢて…?」ボロッ
さわ子「すいません、すいません…ついカッとなってしまいまして…すいません!」
先生「いや~犯罪者がでないだけ良かったじゃないですか…ハハッ」
鵺野「良くないだろ!暴行だろ!これは!」
さわ子「まあまあ、細かいことは気にしないでください…」
鵺野「あんたのせいだっつーの!」
さわ子「あの~徐霊か何かわかんないんですけど~違う所で寝て下さいよ~」
鵺野「…外暑いから嫌です…あなたが出ればいいじゃないですか?」
さわ子「暑いから嫌に決まっているでしょ?あなたが出ていって下さい」
鵺野「い・や・で・す!」
さわ子「こ・っ・ち・だ・っ・て」
先生(二人とも負けず嫌いですね~)
―廊下―
鵺野「ったく、なんなんだよ…全く…」ブツブツ
鵺野「寝ていただけで邪魔していたわけじゃないのに…」ブツブツ
鵺野(仕方ない…異常はないか見て回るか…)
鵺野「………」
鵺野(全く妖気がない…昨日で移動したというのか…?)
鵺野(あの子の妹さんの手がかりだというのに…迂濶だった…)
鵺野(童守町にいた時の俺だったら…すぐに済んでいたんだろうな…)
鵺野(俺はもう潮時かもしれん…いずなに頑張ってもらいたいものだ…)
ガラッ
生徒c「キャー!!更衣室に変な男が!!」
生徒d「変態よー!!助けてー!!」
鵺野「あ、あ、すまん!それはそのだな、そう、すまん!」ダッ
鵺野「はぁ…焦った~…………ふむ、女子高校生も悪くない…」
―音楽室前・階段―
鵺野(うーむ…ここら辺に微かに妖気は感じるな…)
鵺野(方向からして音楽室…)
鵺野(授業はないみたいだ…調べてみるか…)
ガラッ
鵺野「ふむ…臭うな…」
鵺野「南無大慈大悲救苦救難霊感…ここにいる霊よ姿を現せ!」
一人の女の子の姿を現す。
鵺野(これは…昨晩見たものと違うな…それに、霊体だ…!)
ぬ~べ~は鬼の手で接触を試みた。
霊体「グスン…うっ…うっ…」
鵺野(君はいったいここで何をしているんだい?)
霊体「…私…死んでしまったのに…誰も悲しんでけれないの…グスッ」
鵺野(君はまだ死んではいない。ただ、肉体に戻れていないだけだよ)
霊体「本当ですか!?でも、私の身体…見つからないの…」
鵺野(心当たりがある場所は全部探したのかい?)
霊体「探しました…でも、全然見つからなくて…」
霊体「とても寂しくて…親しい方といたこの場所に留まってました…」
鵺野(しかし、ここは危険だ。昨晩、悪霊がこの学校をさまよっていた。早く移動した方がいい)
霊体「…お姉ちゃん…グスッ」
鵺野「!?」
鵺野(君の名は…憂というのか…?)
霊体「はい…そうです…」
鵺野(君のお姉さんが必死で探していたんだ…)
霊体「お姉ちゃんが!?」
鵺野(あぁ、君のお姉さんはまだ君のことを諦めていない)
霊体「お姉ちゃん…うっ…うっ…」
鵺野(しかし、どうしたものか…)
鵺野(普通は幽体と肉体は離れても霊子線でつながっているはずなのに…)
鵺野(とにかく、この子は他の悪霊から守っておかないと…)
鵺野(少し離れる。君はこれの中で待機しておいてくれないか?)
霊体「はい…何ですか?これ」
鵺野(白衣観音、お守りさ…)
ぬ~べ~は急いでいずなと唯を探しに向かった。
―校庭―
いずな「はぁ…ったく、何であたしがこんな地味なことをしなきゃいけないわけ!?」ドカッ
いずな「いくらあの悪霊がすばしっこいからってこんな面倒くさいことを…」イライラ
いずな「暑ーい!日焼けしちゃーう!」
さわ子「う・る・さーい!!今から私のギターで血祭りにしてやろーか?ああ?」
いずな「すみません、すみません…(何なのこの人…?)」
♪~
いずな「携帯?げっ!あいつから電話?」
いずな「もしも――」
鵺野『今すぐ音楽室に来てくれ!出来れば唯っていう子も連れて来てほしい!』ブツッ
いずな「……あ、あ、あんにゃろ~どこまで私をこき使う気なのー!!」
さわ子「……」
いずな「すいません、すいません…!」
―音楽室―
いずな「んで、何の用なの?唯ちゃんまで呼び出して…」
鵺野「何をお前は怒っているんだ…?」
いずな「ふんっ!」
唯「あの!何か手がかりでも見つかったのですか?」
鵺野「ああ、見つかった。だが…」
唯「だが…?」
鵺野「どうやってすれば前の妹の状態に戻れるか分からないんだ…」
いずな「どういうことなのさ…!?」
鵺野「まぁ、見てみろ…南無大慈大悲救苦救難広大霊感…ここにいる霊よ!姿を現せ!」
いずな「あれっ?昨日と違う霊?」
唯「……う、う、憂……」
いずな「!?えっ?あ…あの霊が憂ちゃん…?」
唯「グスッ…ヒック…憂…どうして…」
鵺野「正確にはまだこれは霊ではない」
いずな「えっ?」
鵺野「これは霊体だ…まだこの子は生きている…」
唯「ほ…本当ですか!?」
鵺野「ああ、本当だとも」
唯「憂…生きていたんだね…よ…良かった…」ガタッ
いずな「唯ちゃん!!」
………
……
…
唯「ん…あれ…?私どうしてたんだろ…?」
いずな「目、覚めた?」
唯「あ…いずなお姉さん…」
いずな「憂ちゃんについてはあの霊能力オタクに任せておけば大丈夫よ…」
唯「良かった…憂…」
いずな「昨日は寝れてなかったみたいね…」
唯「………」コクリ
いずな「そう……」
唯「………!」グ~
唯「えへへ……///」
いずな「ぷっ…ご飯も食べてなかったようね…ほら、差入」
唯「ありがとう~いずなお姉さん~!」
最終更新:2010年02月08日 04:43