~部室
ガチャッ
唯「おいーす」
紬「こんにちはー」
唯「あれ、ムギちゃんだけ?」
紬「そうなのよ 唯ちゃんが二番目よ」
唯「おーよしよし 寂しかったでしょー」ナデナデ
紬「ありがとう唯ちゃん」
紬「そういえばなかなか唯ちゃんとふたりっきりになることってないわよね」
唯「そういえばそうだね」
紬「いつも誰かしらいるわよね」
唯「いつも賑やかだもんね」
唯「よし、今日を私たちの記念日にしよう!」
紬「記念日?」
唯「そう、記念日だよ!」
唯「名づけて『ムギちゃんと二人記念の日』だよ!」
紬「うふふ 唯ちゃんらしいわね」
唯「えへへ いい名前でしょっ」ブイ
紬「それじゃあ何しようか?」
唯「ほぇ?」
唯「何ってなにー?」
紬「ご、ごめんなさい」
紬「記念日って何か特別なことする日なのかと思って・・・」
唯「おー そうだねぇ」
唯「よし、いっぱいお話しよう」
紬「いいわね~」
紬「私、唯ちゃんのこともっと知りたいわ」
唯「私もムギちゃんのこといろいろ知りたいよー」
紬「それじゃあちょっと待っててね」
唯「?」
紬「ケーキと紅茶持ってくるわ」
唯「わ~い ケーキ!ケーキ!」
紬「あらあら唯ちゃんったら」
紬「~♪~♪」
唯(口ずさみながら紅茶入れるムギちゃんなんだかかわいいな~)
唯(憂とは違った感じがするよ)
唯(お母さんみたいなのかな?)
唯(ってこんなこと言ったら怒られるよね)
唯(だってムギちゃんも私も同い年なんだしね)
紬(あらあら)
紬(唯ちゃんったらこっちをじっと見つめちゃって)
紬(そんなに楽しみにしてくれてたのね)
紬(用意したかいがあるわ♪)
紬(お菓子もああいう子に食べてもらうのが一番幸せね)
紬「どうぞ~」
唯「おー!」
紬「今日はショートケーキよ」
唯「私ケーキの周りについてる包みテープみたいなの舐めるの好きなんだ~」
紬「これ?」
唯「そうそう クリームがついてたりして美味しいんだよ」ペロペロ
紬「それじゃあ私も」ペロペロ
唯「ね、美味しいでしょ?」
紬「ええ、とっても」
唯「それにしてもさっきのムギちゃん可愛かったよ~」
紬「えぇ!?」
紬「うぅ~ なんだか恥ずかしいわ///」
唯「照れてるムギちゃんも可愛い~」
紬「それなら唯ちゃんだって可愛かったわよ!」
唯「え、私?」
紬「ええ」
紬「唯ちゃんこそ小動物みたいですごく可愛かったわよ」
唯「なんだか照れるよぉ///」
紬「(冷静に考えたらすごく恥ずかしいことを口走った気がするわ)///」
唯「でも絶対ムギちゃんの方が可愛いよ!」
紬「いいえ、唯ちゃんの方が可愛いわ!」
唯「ムギちゃんだよ!」
紬「唯ちゃんよ!」
唯&紬「・・・ぷっ」クスクス
唯&紬「あはははははははははは」
紬「それじゃあお話しよっか」
唯「しよーしよー」
紬「それじゃあ唯ちゃんから」
唯「了解しました!」
紬「楽しみだわ」ワクワク
唯「・・・何を話せばいい?」
紬「なんでもいいのよ」
唯「むぅ~」
紬「そうねえ」
紬「それじゃあ唯ちゃんの好きなことでお願いするわ」
唯「ムギちゃん!」
紬「え?」
唯「私ムギちゃんのこと大好きだよ!」
紬「唯ちゃん///」
唯「それにりっちゃんに澪ちゃんにあずにゃんに和ちゃんに憂もみんなみんな大好き!」
紬「そ、そうよね」シュン
唯「ムギちゃんどうしたの? 元気ない?」
紬「! なんでもないのよ」
唯「ならよかった~」
唯「私元気なムギちゃんが大好きだもん」
紬(唯ちゃんはずるいわ)
唯「むーぎちゃん」ギュッ
紬「!」
唯「えへへ~ 元気注入~」ギュー
紬(そうよね、それが唯ちゃんなんだものね)
紬(そして唯ちゃんの良いところよね)
紬(そんな唯ちゃんのことを私は・・・)
唯「それじゃあ次はムギちゃんのお話を聞かせてよ!」
紬「ええ」
紬「でもその前に離してくれないかしら?」
唯「え~」
紬「だって話しづらいもの・・・」
紬(それに・・・///)
唯「やだ、このままでいる」ギュー
紬「もう仕方ないわねぇ」
紬「それじゃあ・・・恋について話そうかしら」
唯「恋?」
紬「ええ、恋よ」
紬「甘くて苦くて綺麗で汚くて幸福で・・・そして残酷なもの」
唯「むむむ なんだか難しいよぉ」
紬「そうね」
紬「言葉にしてみると難しいものね」
紬「でも大抵の人間は人生の中で恋をするのよ」
紬「だけど言葉で表そうとすれば難しいものなのよ」
紬「当然よね」
紬「だって心ってそんなに単純なものじゃないんだもの」
唯「でもさムギちゃん」
紬「どうしたの?」
唯「さっきの言い方だと恋にはマイナスの部分もあるみたいだけど、恋って良いことばかりじゃないの?」
紬「必ずしもそうとは言えないわ」
唯「どうして?」
紬「それじゃあこんな言葉聞いた事ない?」
紬「初恋は実らない」
唯「あるよー」
紬「これなんて代表的な不幸ね」
紬「単に片想いで終わるってこともあるわ」
紬「でも両想いの末お付き合いをすることになっても別れてしまうことこそが意味するところだと思うの」
唯「どうしてお互い好きなのに別れちゃうの?」
紬「初恋をするときはまだ子供だからじゃないかしら」
唯「子供?」
紬「子供ゆえにわがままで、だからちょっとしたことですぐ嫌いになっちゃうのよ」
唯「我慢が足りないんだね~」
紬「あとは初めてのことってよく失敗するじゃない?」
唯「そうだね~」
唯「私もこの前初めて料理したんだけど手を切っちゃったり火傷しちゃったりお米を洗剤で洗っちゃったりで散々だったよ~」
紬「あらあら大丈夫だった?」
唯「憂のケアでバッチリです!」
紬「よかったわ」
紬「でもそういうことなのよ」
紬「経験がないとどうすればいいのか分からないのよ」
紬「だから手探りで進めて失敗しちゃうのね」
紬「あとは倦怠期ね」
唯「倦怠期?」
紬「燃えるような恋の末一緒になったはずなのにその感情がなくなっちゃうことね」
紬「これは恋が脳の錯覚だからとかいろいろ言われてるわ」
唯「脳っていい加減さんなんだね」
唯「私の脳も方程式や英文法を覚えてくれなくて困っちゃうよ」
紬「他にもいろいろあるんだけどこれくらいをあげとくわ」
唯「えー」
唯「もう少し例を上げてよ~」
紬「うーん」
紬「それじゃあ三角関係のもつれとか」
唯「・・・やっぱりいいや」
唯「それじゃあさ」
唯「よく漫画やドラマとかで恋人になることってあるじゃん」
唯「でも結局は破局しちゃうのかな?」
紬「それはわからないわね」
紬「けど吊り橋効果が存在していることが多いわね」
紬「物語の登場人物は単純な恋はしないのよ」
紬「いや、できないのよ」
唯「どうして?」
紬「単純に物語を面白くするためね」
唯「なんだかかわいそうだね」
唯「面白くするために苦難だらけの恋なんて・・・」
紬「でもね、それだけでもないのよ」
唯「どういうこと?」
紬「確かに二人は波乱だらけの茨の道の恋をすることが多いわ」
紬「でもね、苦難を乗り越える内に絆はかけがえのないものになるのよ」
紬「二人の結びつきは強固なもので単純には崩れないと思うわ」
紬「だから私は作品の裏側では変わらず愛を育んでいると思うの」
唯「私もそう思うよ!」
唯「そっかー」
最終更新:2010年02月09日 01:26