紬「今日はマドレーヌを持ってきたわよー」

律「お、やったー」

――ぱくぱく

唯「うーん、おいしー♪」

――ガチャ

梓「こんにちはー」

律「あ、梓……」

唯「ち、違うの、今から練習しようと思ってたとこで……」

澪「ほ、ほら、ティーカップ片付けるよ」

――いそいそ

――カチャカチャ

梓「わ、私が片付けやりますよ」

澪「え、でも……」

梓「いいんです、先輩たちに任せておいたらいつになるか分からないですから」

律「じゃあ私、今のうちにトイレいってこよ!」

唯「あ、私教室にギー太忘れてきたんだった、取ってこないと……」

梓「全く、何しに部活に来てるんだか」ブツブツ

澪「わ、私もトイレ行ってこようかな……ごめん、片付け任せていい?」

梓「は、はい」

――がちゃ、たたたっ

梓(ひ、一人になっちゃった……)

――カチャカチャ

梓「あ……」

梓(唯先輩の使ったフォーク……)ドキドキ

梓「……」キョロキョロ

梓「先輩……唯先輩……」ペロペロ

梓「先輩……」ペロペロ

――ガチャ

澪「おまたせー、あず……」

梓「……!!」

律「な、何やってんだ、梓」

梓「い、いや、これは、その……」

梓「お、お菓子が残ってたから、もったいないと思って……」

律「なーんだ、案外いやしいんだな、梓は」

梓「あ、あははは……」ホッ


さわ子「今日メイド服よー」

唯「わぁー、可愛いー」

律「相変わらずすごいなー」

唯「ね、これ、あずにゃん着てみようよー」

梓「い、いやですよ、そんなもの、着れるはずないじゃないですか」

唯「えー、絶対似合うのにー」

梓「ぜ、絶対嫌です」

唯「……仕方ない、私が着ようかな」

――

唯「じゃーん、どう?」

さわ子「いい、すっごく可愛いわ、唯ちゃん」

梓「……」ドキッ

唯「ねえ、あずにゃん、どうかな?」

梓「……」ドキドキ

唯「……あずにゃん、聞いてる?」

梓「……はっ」

梓(い、いけない、つい見とれちゃってた……)ドキドキ

梓「ま、まあ、変ではないと思いますけど……///」

澪(……梓、何であんなに顔真っ赤なんだろう)

――

律「よし、じゃあ今日の部活はこれで終わりだな」

梓「全く、今日もあんまり練習できなかった……」ブツブツ

さわ子「さて……と」

梓「あれ、先生、そのメイド服、どうするんですか?」

さわ子「どうって……持って帰るのよ、さすがに洗わないと……」

梓「……」ジー

さわ子「……もしかして、梓ちゃんも着てみたかったの?」ニヤニヤ

梓「そ、そんなわけないじゃないですか」

梓「そんなわけ……」

梓(……はっ)

梓(あれはさっき唯先輩が着た服……)ドキドキ

梓(ゆ、唯先輩が一度身につけた……唯先輩の汗がついた……)ドキドキ


律「何だ、梓も着たかったのかー」ニヤニヤ

梓「ちょ、ちょっとだけなら……///」

律「……え?」

梓「ちょ、ちょっとだけなら着てみてもいい……かな///」

澪(珍しいな、梓がそんなこと言い出すなんて……)

――

梓「どう……ですか?」

唯「すっごく似合ってるよー」

さわ子「やっぱりメイド服はいいわねー」

梓「……」ドキドキ

梓(この服……唯先輩の匂いがする……)ドキドキ

梓(何だか、唯先輩と一つになったような……そんな気分……)ドキドキ

澪(梓、嬉しそうだな……そんなに着たかったのか……)

梓(今日はお風呂入るのやめようかな……せっかく体についた先輩の匂いを消したくないし……)ドキドキ

唯「あ、ちょっと待って」

律「……ん?」

唯「帰る前にトイレ行ってくるね」

梓「……」ドキッ

梓「わ、私も行きます」

――


――バタン

梓(唯先輩が入ったのは……この個室よね)

梓「……」ドキドキ

梓(この壁の向こうで唯先輩が……)ドキドキ

――ぴっぴっ(携帯をいじる音)

梓(録音……と)

梓(い、いや、これは携帯の機能を試してみてるだけで……)

梓(た、たまたま、ここの音が入っちゃったとしてもそれは不可抗力と……)ドキドキ



――帰り道――

唯「今日はあのアイス屋さんよってこうよー」

律「お、いいなー」

梓「あ、あの、寄り道は良くないと思います」

律「そんなこと言って、いつもしっかりついてくるくせに……」

梓「う……」

梓(寄り道なんてしたら、どこで唯先輩に悪い虫が付くか……)

梓(大体、唯先輩は無神経すぎるのよ、自分の魅力について全然分かってない!)

唯「……ん、どしたの、あずにゃん」

梓「……っ」ドキッ

梓「い、いえ、別に……」ドキドキ

唯「このアイス美味しー♪」

梓「……」ジー

律「なあ、梓は食べないのか?」

梓「あ、当たり前じゃないですか、帰り道にアイス食べるなんて良くないです」

澪「……そっか」

梓「……」ジー

唯「……ん?」

唯「どしたの、あずにゃん、そんなに見つめて……」

梓「……あ」ドキッ

梓「い、いや、その、別に……///」ドキドキ

唯「ははーん……」ジー

梓「な、なんですか……」

唯「ほい、あずにゃん、あーん」

梓「……えっ」ドキッ

唯「食べたかったんでしょはい、あーん」

梓「べ、別にそういう訳じゃ……」

梓(……はっ)

梓(唯先輩の舐めた後のアイス……)ドキドキ

梓(これってもしかして……間接……)ドキドキ

梓「ちょ、ちょっとだけ……いただきます」ドキドキ

律「……お」

梓「せ、先輩のせっかくの好意を無駄にしたくないだけです、断ったら失礼だと思って……」ドキドキ

梓「……」ペロペロ

唯「どう、美味しい?」

梓「ま、まあまあです」ドキドキ

澪(あんなに嬉しそうにして……本当は食べたかったくせに、素直じゃないんだな……)

梓(きょ、今日は歯磨くのやめようかな……)ドキドキ

梓(せ、せっかく唯先輩と間接……間接……)ドキドキ



――朝――

梓(よし、ここで待ってれば、急いで登校する唯先輩が見れるはず……)

梓(が、頑張ればパンチラくらいは見れるかな……)ドキドキ

梓「……」ドキドキ

梓「……」

梓(あ、あれ、おかしいな……)

梓(先輩が登校してくる時間から計算すると、そろそろここを通ってもおかしくないはずなんだけど……)

梓「……うーん」

梓(……仕方ない諦めよ、ちょっと早いけど、もう学校行っちゃおうかな)



――下駄箱――

梓「うーん、大分早く着いちゃったな……」

梓「……ん?」

梓(あ、唯先輩だ……)ドキッ

梓(こんな早くから、一年生の下駄箱で何をしてるんだろう……)ドキドキ

――ガチャ

唯「……えへへ」ドキドキ

唯「……」スンスン

唯(うーん、やっぱりあずにゃんの靴の匂いを嗅がないと、一日が始まった気がしないよー)ドキドキ

梓(唯先輩、一体何を……)

唯(よし、あとは時間つぶしてからもっかい登校しよう)

唯(だ、誰もいないよね……)キョロキョロ

梓(ま、まずい、見つかる……)サッ


――たたたっ

梓(……帰っていっちゃった)

梓(何をしてたんだろう……)

梓(……まあいいか)

梓「それにしても……」

梓(さすがにこの時間だと、誰もいないわね)

梓「……」キョロキョロ

梓(た、たしか唯先輩の下駄箱は……)

梓(……これだ)


――ガチャ

梓(良かった、ラブレターとか入ってたらどうしようかと思った……)

梓「……」ドキドキ

梓(唯先輩がいつも履いてる靴……)ドキドキ

梓「ちょ、ちょっとだけ……」ドキドキ

梓「……」スンスン


――休み時間、廊下にて――

唯「――♪」チュー ←ストローでジュースを飲んでいる

梓「あ、唯先輩……」ドキッ

唯「あー、あずにゃんだー」

――ぎゅうぅ

梓「い、いちいち抱きつかないで下さいよ///」ドキドキ

懸命に唯から離れようとする梓

梓(わ、私には刺激が強すぎて……)ドキドキ

唯(そんなに嫌だったのかな……)

唯(……私は、あずにゃんの温もりだけでご飯何杯でもいけるのに……)

梓「大体、廊下で歩きながらジュース飲むのは良くないですよ///」

唯「ご、ごめんごめん……」

梓(あぁ……私ってば、どうしてこうキツいことばっかり言っちゃうんだろう……)

唯「でも、もうこれ飲み終わってるし……」

梓「そ、そうだったんですか」

梓「……」ジー

梓(唯先輩の使ったストロー……)ドキドキ


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最終更新:2010年02月10日 00:31