猫「にゃあ~」

唯「あずにゃん♪あずにゃん♪」ぎゅっ

猫「にゃあ~」


律「唯の奴、相変わらず野良猫を後輩だと思い込んでるぜ…」

澪「律…あれでいいんだ…唯は幸せなんだから…」



私達、桜高軽音部は二年生に進級し

進入部員がくるのを期待していた

唯の奴なんて後輩が出来るのを凄く楽しみにしていた


しかし後輩は一人も来なかったのだ

頭が幼い唯にはその現実が受け止められない


とうとうそこらへんの野良猫を後輩だと思い込むこんでしまったのだ…

唯「あずにゃ~ん、かわいいよ~」なでなで

猫「にゃあ~」


唯「じゃあギターの練習するよ~」

猫「にゃ~」

ギー太「ギュイイ~ン」
むったん「ギュイイ~ン」

律「しかしあの猫もよくやるぜ…」

野良猫の奴もなかなか利口で
ギターの弦を引っかいて演奏の真似事ぐらいはできるのだ

ちなみに猫の持っているギターはムギの協力で借りたものだ

澪「猫も唯の愛情が分かるんだろうな…私でさえたまにあの猫が本当に後輩に思えることがあるよ…」


唯「よしよ~し、あずにゃんの演奏は上手だね~」

猫「にゃあ♪」ぺろぺろ

唯「えへへ、くすぐったいよあずにゃん!」


紬「はい♪皆お茶が入ったわよ~、梓ちゃんにはミルク(猫専用)があるわよ~」

唯「わ~い!!」

猫「にゃあ!」

唯「わわっ、ちゃんと練習もするよお~」

猫「にゃあ~」


澪「ふふ、梓のほうが唯よりマジメなんだな」

律「もう、梓が猫だとか関係ないな…あいつも立派な軽音部の一員だよ」




ゆうはん!

唯「でねーあずにゃんに怒られちゃったんだ~」

憂「へ…へぇ…」

憂(またお姉ちゃん…野良猫の事を後輩だと思い込んでる…)

唯「でも大好きな私の後輩なんだ♪」

憂「お姉ちゃん…ちょっと話があるんだけど…」

唯「えっ?」

憂「お姉ちゃんの話に出てくる梓ちゃんっていうのは…野良猫なんだよ?」

唯「は?」

憂「人間じゃなくて…野良猫なんだよ…」ぽろぽろ



唯「もう憂ったら~たしかにあずにゃんは猫みたいだけど猫じゃないよ~」

憂「お姉ちゃん…」

唯「今日だっていっしょに買い物に行ったんだよ~、はしゃぎ過ぎていい加減にしてくださいって怒られちゃったし~」

憂(お姉ちゃん…目を覚まして…)



以前もこの話を切り出した事はあった

しかし冗談だと思われてしまった

さらに追求するとすごく怒られてしまった

唯「もう!私の大事な後輩を野良猫扱いするなんていくら憂でも許さないよ!」

唯「憂の馬鹿!!大ッ嫌い!どっかにいっちゃえ!!」

あの時のお姉ちゃんの顔は大真面目だった

お姉ちゃんにとってあずにゃんは現実の後輩なんだ…


昔からお姉ちゃんは少しおかしいところはあった

カスタネットの時、他の園児から浮いた奇行をしていたと親に連絡があったし

人様の風呂場にザリガニを押し込んだり…

今思えばあれは今回の出来事の前兆だったのかもしれない…

唯「あっそれと今度あずにゃんが私の家に泊まりたいっていってるんだ」

憂「えっ…」

唯「凄くいい子なんだよ?いいよね?」

お姉ちゃんの必死の願いを私は断れませんでした



軽音部!

唯「というわけで、あずにゃんが今日うちに泊まることになりました」

律「ブッフォォオオ!! まじかよ!?」

澪「律…汚い…」

紬「唯ちゃん…梓ちゃんは憂ちゃんの迷惑にならないかしら?」

唯「大丈夫だよ、あずにゃんは凄く礼儀正しいもん」

猫「にゃあ~」スリスリ

唯「あずにゃん、憂に迷惑かけちゃダメだよ~」

猫「にゃあ!」


澪(不安だな~…)

澪(憂ちゃんは唯のそういうところを認めてないんだろ…)

律(お前さえいなければ…って猫をSATSUGAIしちゃうかもな…)

紬(ならやる事はひとつです!)


澪「なあ唯…私達も梓といっしょに唯の家に泊まりたいんだけど…」

唯「ほぇ?」

律「そうだ!梓ばっかりずるいぜ!」

紬「私達もいっしょに泊まらせて!」

唯「え…あ、うん…私はいいよ、一応憂にも携帯で許可とって見るね」

そして軽音部全員で結いの家出お泊り会をする事が決まりました

猫「にゃあ」


……

唯「ただいま~!」

憂「お姉ちゃんお帰りなさい!」

律「へへへ…お邪魔しまス…」

澪「こんばんは、憂ちゃん」

紬「お邪魔しますわぁ」

憂「こんばんは、軽音部の皆さんいつも姉がお世話になってます!」にこ

澪(よかった…憂ちゃんは思った以上にまともだ…)

律(私達の杞憂だったのかもな)


猫「にゃーん」

憂「…」

憂(このみすぼらしい黒猫がお姉ちゃんを狂わせたんだ…)

唯「あずにゃんはずっと憂と友達になりたかったんだよ、仲良くしてあげてね」

猫「にゃ~」憂の足の周りを∞字型に回る


憂「…」

律「ははは…梓がこんなに人に懐くのは珍しいな~…ははは…」

澪「そうだよな…梓は人見知りなんだけど…きっと憂ちゃんが優しそうだから懐いたんだろうな…ははは…」

紬「梓ちゃんは本当にいい子なの!憂ちゃん、その…仲良くしてあげてね…?」


猫「にゃあ~」スリスリ

憂(こうやってゴマを摩って軽音部を篭絡したんだね…この泥棒猫!)


唯「うーいー…?」

憂「あ…うん!よろしくね梓ちゃん!」

猫「にゃあ~」



憂「晩御飯を作ってありますから荷物を置いてからリビングに来てください」

唯「それじゃ皆、私の部屋まで行こうか!」

憂「はぁ…この先思いやられるよぉ…」

憂「あの猫を人間として扱わなくちゃいけないなんて無理だよぉ・・・」

憂「猫だからってキャットフードなんてあげたら」


もわもわもわーん

唯「ちょっと憂、嫌がらせもいい加減にしてよ!」

唯「あずにゃんをこれ以上猫扱いしたら許さないよ!」


憂「はぁ…猫でも食べられる人間の料理も用意しとかなくちゃ…」




唯の部屋

律「なあやっぱり憂ちゃんは梓の事をよく思ってないみたいだぞ…」ヒソヒソ

澪「しかも唯はその事を無自覚だし…」カクカク

紬「下手に梓ちゃんと憂ちゃんを絡ませるのは危険ね…」シカジカ


唯「あずにゃん♪友達が増えてよかったね~」

猫「にゃ~ん♪」


律「とりあえずリビングに下りるか…」

紬「梓ちゃんの事は私達がフォローするわ…」



リビング

律「憂ちゃんうぃ~っす」

憂「あっ皆さん!」

澪「ごめんね憂ちゃん、お世話になります」

憂「いえいえ、自分の家だと思ってゆっくりしていってください」


紬「じゃあ私の席はここで…」

澪「じゃあ私はここで…」

律「唯は憂ちゃんの隣だな!!」

律(とりあえず梓を憂ちゃんから遠ざけるんだ!!)

こんな具合である
梓□紬
澪□唯
律□憂


猫「にゃーん」

唯「えっあずにゃん憂の隣がいいの~?わかった!代わってあげるね~」

律「」


唯「ふふ、なんだか家族が増えたみたいで楽しいね~」

憂「…」

律「とっ…とにかく食べようぜ!」

唯「も~りっちゃんったら食いしんぼなんだから」

律「うるせー!」

澪(ここは律で場をごまかすしか…)

澪「まったく…もうちょっと遠慮しろ!馬鹿律!」

紬「食べてばかりだと太っちゃうわよ~」

律「うるせーうるせー!とにかく食べたい気分なんだ!最低でも金を狙うには食は欠かせないんだぞ!」

憂「くすっ…田井中さんって面白い方なんですね~」

律(はぁ…私のイメージが悪くなったような気がするが…なんとか場は和んだかな…)


猫「にゃ~ん!にゃ~ん!」

憂「…」

唯「憂!あずにゃんが呼んでるよ!無視しないで!」

律(こいつはもう…)



憂「あっごめんね梓ちゃん…」

猫「にゃ~」

唯「折角なんだからもっとお話しなよ~」

猫「にゃあ」

憂「…」

猫「…」

憂「ご趣味はなんですか…」

律(お見合いかよ…)

猫「にゃあ~」

唯「へぇ~、憂と気が合いそうだね~」

憂(なんて言ったのかわかんないよお…)


律「ごめん唯!梓がなんていったのか聞こえなかったんだけど…」

紬(りっちゃんグッジョブb)

唯「えっ…あー趣味はギターなんだって」

澪(おい!どこが憂ちゃんと気が合いそうな趣味なんだよ…)

憂「へ…へぇギターなんだ…梓ちゃんかっこいいね…」

猫「にゃあ~」

紬「ごめん唯ちゃん梓ちゃんは今なんていったの!?聞こえなかったわ!!」

唯「ありがとうだって~」

澪(まるで通訳だな…)


猫「ぺろぺろ」

唯「料理おいかったでしょあずにゃん?」

猫「にゃーにゃー」

唯「うん!憂の料理は世界一だよね!」

憂(猫に認められてもうれしくないよ…)

律「そろそろ唯の部屋に戻ったほうがいいよな…」

紬「お腹いっぱいですしね…」

澪「ありがとう憂ちゃん料理おいしかったよ!」

憂「あ…はい!」


澪(ふぅ…やっと…)

律(やっとこの場から開放される…)

紬(クタクタですわあー)


猫「にゃーにゃー」ガリガリ

憂「えっなに?」


唯「えーあずにゃん、今日は憂の部屋に泊まりたいのおー!?」

憂「」



律「唯ぃぃぃぃッ!!会ってばっかりなんだし急にそんな一夜を共にするのは速すぎるんじゃないのかィィィ!!」

紬「そうよ唯ちゃん!!何か間違いがあるといけないわよおぉぉぉ!!」

澪「それに元々梓は唯の部屋に泊まりに来たんだろ!!憂ちゃんも急にそんなの無理だろ!!」


唯「むぅ…私じゃなくてあずにゃんが言い出したんだけど…」

憂「う…ごめんねお姉ちゃ…梓ちゃん…私の部屋は散らかってるし…」

猫「にゃあ…」

憂(うっ…そんな目で見てもダメだよー…私は断固としてあなたの存在を認めるわけにはいかないの!)



憂も元々猫が嫌いというわけではないが

姉を狂わせた野良猫なら話は別だった

姉の目の前では体裁を取り繕っているものの内心憎たらしいはずだった


…しかし、しかしだ!憂はヤンデレなどではなく元々は優しい性格
いつのまにか猫を憎めなくなっていたのだ


猫「にー…にー…」ジー

憂(凄いこっち見てるよお…)

唯「あずにゃん…ごめんね憂も疲れてるみたいだし…私の部屋で寝よ?」

律「そそそそうだぜ梓!憂ちゃんに迷惑かけちゃいけないぜー」

澪「ここは軽音部同士で大人しく泊まろうじゃないか、な?」

紬「私も激しく同意ですわあ!!」

猫「にゃあ…」


憂「あ…ちょっとまって…」

唯「ほぇ?」

憂「あの…その…」

憂(下手に軽音部の皆さんに迷惑かけるぐらいなら私の部屋で預かっていたほうがいいかも…)

憂「私…梓ちゃんと寝ます!!」


澪(なんだと…)

律(梓を籠に入れたまま風呂場に沈めたりしないだろうな…)

紬(キマシタワー!!)


唯「えー、さっきはダメだっていったじゃん」

律「憂ちゃんの所に梓を預けるなんて迷惑じゃないかい?」

猫「にゃー」

憂「いえ、気にしないでください、梓ちゃんがそういうなら私は構いません」

律「そうか…何か迷惑かけるようなことがあったらすぐに言ってくれよ」

憂「私とお姉ちゃんの部屋は隣同士ですし大丈夫ですよ」




憂の部屋

猫「にゃ~にゃ~」

憂「もう!ほんとは私も嫌だけど軽音部の皆さんに迷惑かけないためなんだからね」

猫「にゃ~?」

憂「とりあえず大人しくしててね!」

憂「ふぅ~疲れちゃったし横になろうかな~」

猫「にゃ~」

憂「あ!こら勝手にベッドの中に入ってこないで、毛玉になっちゃう!」

猫「にゃん~」

憂「うぅ~結局入ってきちゃった…」

憂「でも…」

憂「お姉ちゃんみたいであったかいね~」ぬくぬく

猫「みゃ~」


唯「りっちゃん何で壁に耳を当ててるの?」

律「いや動物虐待が起きてないか心配でさ、ははは…」

唯「?」


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最終更新:2010年02月10日 01:36