ごめんね りっちゃん

たぶん衛星で捉えられてる

もうどこにも逃げ場所はないんだ

律「ゆいー 早くしろよー」

唯「ちょっと待ってー りっちゃん」

唯「このカバン重いんだよー」

律「まったくしょうがねぇなぁ」


一昨日から私たちは付き合うようになった
唯が私に告白してきたのだ

唯「りっちゃん、私とつきあってくれないかなぁ?」

律「は!?何言ってるんだお前は?」

唯「本気なんだよ」

律「つきあうって私たちは…」

唯「でも好きなんだもん」

律「簡単に言うなよ」

唯「私が嫌い?」

律「嫌いじゃないけど」

唯「じゃあつきあってください」

律「うーん…」

律「まぁいいけどさ」

唯「ほんと!?」

唯「バンザーイ!」

律「(でも、つきあうってどうするんだよ?)」

何気なくOKしてしまった。



澪「唯とつきあってるんだって?」

律「あぁ」


澪「優しくしてやんなよ」

律「澪が唯にそそのかしたんだろうが」

澪「かわいいし、いいじゃん」

律「そういう問題じゃねーだろ?」

律「まぁ、なんとかつきあってみるか」

律「澪も協力しろよ」

澪「自分で努力しろ!」


澪「(馬鹿律…)」



律「デートって何すればいいんだ?」

唯「こうやってブラブラしてるだけでいいよ」

律「金無いしな」

唯「りっちゃんといるだけで楽しいよ」

律「う、うん…」

唯「りっちゃん」

律「ん?」

唯「ありがとうね」


それから私たちは何度か遊びに行ったりした
少し慣れてきたような気がする
唯は相変わらずポーっとした所があってドジだ


今日学校に唯がいなかった
休みの届けも無いらしい

メールしたけど電源が切れてるみたいだ

放課後家に行ってみよう



家に行ったが誰も出て来ない
どうしようかと迷ってた時メールが来た


「公園で待ってます」


律「唯からだ…」

とにかく行ってみよう



律「ハァハァ… しんどい」

あれは唯?

律「おい、唯?」

唯「りっちゃん…」

律「どうしたんだよ、学校休んでこんな所で」


唯「りっちゃん」

唯「ごめんねりっちゃん、私こんな身体になっちゃった」

律「え?」



え…?機械?
なんだこれ
まるでロボットじゃないか
ぶよぶよしてる所もあるし

律「唯… これ、、どうしたんだよ?」

唯「ごめんね」

律「どうしたんだよ!?」

唯「ごめんね、ごめんね…」


不意に抱きしめてしまった


唯は昨日気づいたら車に乗っていたらしい
事情を説明され(唯も良く理解出来てない)
それから家まで送ってもらい数人の男に携帯電話を渡されて「では、お願いします。」と言われたそうだ


落ち着け…
とりあえず考えよう

これからの事を


次の日私たちは学校を休んで公園で話した


唯「なんだか、落ち着かないんだぁー」

唯「自分の身体じゃないみたいで」


外見は昨日と変わっていつもの唯だった


唯「あの人達、公務員みたい」

その時、唯の携帯が鳴った

唯「あ、あの人達だ… お迎えに参ります…」

数分もしないうちにおかしなナンバーの車が数台来た


男が数人出て来た
「お迎えに参りました、お乗り下さい。」

唯「り、りっちゃん…」

律「ちょっと!あんたたちなんなんですか?」

律「唯に何をしたんですか!」

「それはお答え出来ません。」

律「ふざけん」

男に取り押さえられた

唯「りっちゃん!」

唯「行きますから、りっちゃんを離して!」

律「唯!」


唯「大丈夫… 大丈夫だよ、りっちゃん」

唯「すぐ帰ってくるから、、ね 待っててね」

律「唯!馬鹿!行くな」


唯はどこか見当も付かない所へ連れて行かれた


律「ちくしょう…」

その後、何度電話しても出なかった
次の日の学校にも来ていなかった

その日はあるニュースでみんなが騒いでいた
日本に潜伏していたテロリストが70人以上変死体で見つかったらしい

その時の私はそんなニュース気にもかけなかった


澪「律、唯はどうしたんだ?」

律「分からない」

澪「分からないって、お前らつきあってんだろ?」

律「分からないんだよ!」

澪「…なんかあったのか?」

律「いや、ごめん、、大した事じゃないんだ」

澪「そうか…」


夕方新しいニュースが入ってきた
宗教団体の総本部で幹部30人が皆殺しにされた



ブーブー
メール!唯だ!


公園へ走った

律「唯!」

唯「りっちゃん!」

唯「ごめんね、連絡しなくて」

律「それよりどうしてた?何をされてたんだ?」

唯「え、んーとアルバイトみたいな感じ」

律「なんの?」

唯「ん、よくわかんないや」

唯「それよりバイト代もらったんだ~ これで何か食べに行こうよ、りっちゃん!」


なんかいつもの唯じゃないみたいだ

唯「まだやるんですか?」

「はい、しばらくお仕事をして頂きます」

唯「なんで私なんですか?」

「それはお答え出来ません」

「次のお仕事です」



「彼女の能力は既に当初の目標を遙かに超えてます、異常です」

「これ以上進化させたら危険ですよ、我々の命どころか国自体が危うくなる」

「それをなんとかするのが君の役目だろう?」

「(…俺は知らないぞ、馬鹿共が)」



毎日のように大量殺人のニュースが流れる

人間ではできない芸当らしい
人間には出来ない…

そういえば唯がだんだんと以前の唯でなくなってる気がする

人間と思えない感覚を感じる事がある
あの姿を見たんだから当たり前か

私もそこまで馬鹿ではない

唯に連絡が取れないようになった
私はどうしたらいいか分からない

そう思ってるうちに唯から連絡してきた
数日ぶりに唯と会った


唯「りっちゃん、久しぶりだね!元気にしてた?」

律「あぁ」

唯「今日は何を食べに行こうか?」

唯「お金は私に任せてね!」

律「唯」

唯「え?」

律「あのさ、唯」

律「人、沢山殺してるの唯だろ?」

唯「!」


唯「…うん」


あぁ、もう駄目だ…


律「なんでだよ…」

律「無理矢理やらされてるのか?」

唯「身体がそうなっちゃって…」

律「もうやめろ」

唯「わ、わたし…」

律「やめろって!」

唯「…やめる」

唯「けど、、あの人達がやめさせないと思う」

律「唯がやらなきゃいいだけだ」

唯「りっちゃんが、りっちゃんが殺されちゃう!」

律「何者なんだあいつら?」

唯「たぶん、、国の偉い人達の、、」

律「偉くなんかねぇだろ」


これ以上唯に人殺しなんてさせられない


律「…唯、逃げるぞ…」

唯「…捕まっちゃうよ」

律「捕まらないために逃げるんだよ!」

律「唯、金いくら持ってる?」

唯「200万円、くらい…もらった」

律「(そのくらいの金で唯に人殺させやがって)」

律「私が15万円ほど」

律「それでどっかに逃げよう」

唯「どっかって?」

律「親戚がいるような所は駄目だ」

律「行った事の無いどこか」

律「とりあえず電車で遠い所に」

唯「…」

律「唯!」

唯「う、うん 分かった…」


駄目なの りっちゃん
今だって監視されてるんだ

わたしが守るしかない


律「支度しよう、もう離れちゃ駄目だ」

律「2人でお互いの家に行こう」

私はカバンにお金と服とドラムのスティックだけ入れて家を出た
もう戻って来れないのかな…
ごめん、父さん母さん聡


律「お待たせ、行こう」



唯「ただいま…」

憂「おかえりーお姉ちゃん、ご飯もうすぐできるからね」

唯「あ、憂、、私これからまた出かけなきゃいけないんだ」

憂「え?そうなの、何時頃に帰るの?」

唯「まだちょっと分からないんだ…」

憂「そんなに荷物持ってどこ行くの?」

唯「ちょっと、、えへへ」


唯「憂、いつもご飯作ってくれてありがとうね」

憂「?」

唯「じゃあ行ってくるね」

憂「お姉ちゃん、今日帰ってくるよね…?」

唯「うん…」

唯「行ってきます」


律「じゃ行こうか」

唯「うん」

律「大丈夫だ、またいつか戻ってこれるって」

唯「うん、、そうだよね」

律「早く駅に行かないと、今日行けるだけ遠くに行くぞ」

唯「うん」

唯「りっちゃん」

律「?」

唯「こんな彼女でごめんね、迷惑かけてごめんねぇ」グスッ

律「なに言ってんだ、彼氏だったら当たり前だろ」

唯「クスッ りっちゃん彼氏なんだ」

律「はは、どう見てもそのポジションだろ」

唯「うん、そうだねぇ」グスッ

律「否定しないのかよー しょうがねぇなぁ、ほれ拭け」

唯「ありがと…」


私たちは自転車に二人乗りして一緒に駅に向かった


もうすぐ暗くなる
駅はまばらに人がいる

律「唯、ごめんちょっとトイレ」

唯「りっちゃん生理?」

律「うん、ちょっと待ってて、そこから離れるなよ」

唯「うん」


唯「1、2、…4人」

ヒュッ

男「うお!」

ズ
ズシュ

唯「2人…」


フッ

ギュッ

唯「後はあなただけ」

男「あ…」

唯「伝言、これ以上私たちを追ってきたらみんな殺します」

男「くっ…」チャッ

銃を持った腕が飛ぶ

男「ぐあ!」


唯「知ってますよね、あなたも上の人達も私を」

唯「馬鹿ですね、あなた達は殺されないとか思ってます?」

唯「消えて、もう二度とついて来ないで」


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最終更新:2010年02月15日 01:07