かえりみち
梓「いやー、にしても。あの二人そっくりでしたねー。双子でしょうか?」
唯「だとしたら性格は全くにてないよねー。」
あはは、うふふ
ドンッ
唯「あ、ぶつかっちゃった。ごめんなさ~い。」
ユイ「いいよー。ユイの方こそ不注意だったしーってユイちゃんはきちんと謝れるいい子なの。」
唯「・・・・・ん?」
梓「」
唯梓「えぇぇぇぇぇ?!?!」
美琴SIDE
ミサカ「ちょっと待ってくださいとミサカはずんずん歩くお姉様に一旦停止を要求します。」
御坂「なによ?くだらない用だったら怒るわよ。」
ミサカ「下らなくありません。とても大事な事なのですとミサカは眼力で真剣さをアピールします。」キリッ
御坂「わかったわかった。んで、なによ?」
ミサカ「先程の女性、絶対音感
平沢唯についてです。とミサカは話を切り出します。」
ミサカ「お姉様はミサカ達がどういった理由で造られたか覚えていますか?」
御坂「・・・いわせる気?」
ミサカ「結構です。とミサカは話を続けます。」
ミサカ「ミサカ達はレベル5を量産するという目的で造られました。」
ミサカ「まぁ、結局は絶対能力進化計画によってアクセラレータに殺されるという目的で作られることに変更されましたが」
ミサカ「そして、そのどうしようもない運命から救ってくれたのが、あの方です。」
ミサカ「そして今、ミサカ達の技術を応用した、『歌うこと』を目的としたクローンが開発されているらしいのです。」
御坂「歌うことって・・・・まさか!?」
ミサカ「そのまさか。放課後ティータイム平沢唯のことですとミサカは推測します。」
ミサカ「持って生まれたあの歌唱力。そしてレベル5(けた外れのチカラ)」
ミサカ「歌姫を量産する計画。それが今進行中なのですとミサカは淡々と告げます。」
ピラピラと御坂の眼前に出される数枚のレポート用紙。そこには大きく「絶対音感量産プロジェクト」と書かれていた。
御坂「でも・・・歌姫量産なら、別に危惧すべき事態じゃなくない?」
ミサカ「御坂も先ほどまではそう思っていましたとミサカは正直に伝えます。」
ミサカ「しかし先ほど素体に直接会って確信しました。このままでは大変なことになると!とミサカは力説します。」
御坂「もったいぶらないでいいからさっさと教えなさい!」
ミサカ「ミサカやお姉様からは微弱な磁場が形成されています。これはAIM拡散力場が生み出すものです。わかりますね?」
ミサカ「念動力者なら念動力。発火能力者なら熱量といった具合にその属性にあったものが発せられるわけです。」
ミサカ「はいここで問題です。絶対音感の能力者なら何が発せられると思いますか?そう、音です。」
ミサカ「よくできましたお姉様とミサカはお姉様を撫で撫でします。」
御坂「/////・・・・ってやめい!」
御坂「だから早く核心を突きなさいよ!もったいぶらなくていいから!!」
ミサカ「おそらく絶対音感から放たれるAIM拡散力場はいわゆる『躁』の音であるとミサカは推測します。」
ミサカ「そして彼女のAIM拡散力場は異常なまでに効果が強いのです。」
ミサカ「それは女性であるミサカが手を握られただけでドキッとしてしまうほどです。とミサカは思い出してまたドキッとします。」
御坂(唯に会った時のドキドキは能力のせい?恋じゃなかった?よかったー///)
ミサカ「このドキドキをもし、男性が長時間受けた場合はどうなるかわかりますか?お姉様。」
御坂「えーっと・・・唯のことが大好きになっちゃう?」
ミサカ「これだから少女趣味の方は困りますとミサカはお姉様のウブさに愕然として答えます。」
ミサカ「いいですか?彼女のドキドキを長時間受けた場合、その感情は・・・・」
ミサカ「性欲と勘違いされてしまうのです。」
※>>28
かえりみち
梓「いやー、にしても。あの二人そっくりでしたねー。双子でしょうか?」
唯「だとしたら性格は全くにてないよねー。」
あはは、うふふ
ドンッ
唯「あ、ぶつかっちゃった。ごめんなさ~い。」
ユイ「いいよー。ユイの方こそ不注意だったしーってユイちゃんはきちんと謝れるいい子なの。」
唯「・・・・・ん?」
梓「」
唯梓「えぇぇぇぇぇ?!?!」
唯SIDE >>28のつづき
唯「こ・・・これは・・・まさか・・・」
梓「唯先輩・・・落ち着きましょう。これはそう、あれです。いわゆる一つの・・・・」
唯「ドッペルゲンガー!」
梓「クローン人間!!ってえぇ?!」
唯「どうしようあずにゃんどっぺるげんがーにあっちゃったよわたしたぶんもうしぬんだあぁぁああライブが明後日に控えてるのにごめんバンドのみんなごめん憂ごめんおかーさーん!」
梓「おちつかんかい!!」
げんこつ!
唯「・・・・・・痛い」ウルウルサスサス
ユイ「大丈夫ーってユイちゃんは他人を心配できる良い子なの。」
梓「しかしこれは・・・どっからどう見ても唯先輩そのものですね・・・口調は可笑しいですが。ねぇ、名前はなんて言うんですか?」
ユイ「ユイはねぇー。絶対音感量産化計画製造番号001番YUIだよ。ってユイは自己紹介がきちんとできるえらい子なの!」
梓「おおぉーよしよし」ナデナデ
ユイ「にへへー!」ニコニコ
梓(かわいすぎて『自分だけの現実』が崩壊しそうだ。)
梓「絶対音感量産ってことは・・・唯先輩を大量に作っているってことですかね?製造番号001ってことは最初に作られたモデルか・・・」
唯「レベルはいくつなの?」
ユイ「お姉様と初めて喋っちゃった!嬉しいなぁー!あ、レベルは3つだよ。ってユイはきちんと指で3ができるの!」
唯「レベル3くらいならたぶん自分の声を自在に変えられるレベルだよ。」
梓「ってことはこのユイってのは世界初の人型ボーカロイドってとこですか?」
ユイ「おおー!あたまいいね!あなた!・・・えっと、ごきにゃん?」
梓「」ピクピク
唯「私言ってないからね!?」
梓「まぁ・・・・かわいいので許してあげるです。」
ユイ「ありがとう!ってユイはきちんとお礼の言える良い子なの!」
唯「何か歌歌える?放課後ティータイム。」
ユイ「お姉様の歌は全部インストールされてるよ!」
唯「じゃあふわふわ時間。大丈夫?」
ユイ「もちろん!ユイはやればできる子なの!伴奏は?」
唯「あ~・・・じゃあギー太だすよ。弾き語りバージョンでいこうかな。」
ユイ「あー!ギー太だ!生ギー太だぁあぁ!いーなーいーなーかーわいーなぁー!!」サスサス
唯(かわいすぎて『自分だけの現実が』崩壊してしまいそうだ。)
唯はその場にすわりこむ
コード進行をそのままストロークしただけの簡単なギターアレンジ。
そんな単純なギターストロークもユイが聞けば天使のハープ。
一度は会ってみたかったとずっと願っていたオリジナル。それに今日出会えて、そして今自分のために弾いてくれている。
歌いだす・・・滑らかで艶めかしいユイの歌声は一人、また一人と、道行く人の足を止めさせる。
通行人だけでない。その歌声はたくさんの音楽を聴いてきた梓。後からやってきた御坂姉妹。あろうことかオリジナルの唯までも魅了した。
ギターを弾きつつ、唯は思う。一緒に歌ってみたい、と。
二人で歌ったら、どれだけ気持ちいいだろう・・・その思いが頭をめぐる。
そしてついに唯は口を開く。ラストのサビ。二人の歌姫が奏でるハーモニーは言葉では到底表せられない神々しさがあった。
曲の終り、アウトロ。唯が弾き終わると同時に町は大喝采に包まれた。
レベル5の絶対音感。そのクローン。二人はたった数分で一大ステージを作り上げてしまっていた。
鳴り止まない拍手喝采。飛んでくるおひねり。それを残らずキャッチしてブーイングを受ける梓。
その中で、ユイは一人涙を流していた。
ユイ「ユイ、生まれてから、初めて歌ったの・・・楽しかったの・・・はじめてがお姉様で本当によかったの・・・」ポロポロ
ぐしぐしぐし。涙を拭う。鼻水が付着する。しかしユイは気にしない。
ユイ「ありがとうなのお姉様!ユイはきちんとお礼の言える良い子なの!」
ユイ「お姉様のおかげでがんばれそうなの!本当に本当にありがとうなの!!」
そうしてユイは走り去っていく。どことなく儚い笑顔を残したまま。
ミサカ「大丈夫・・・でしょうか・・・と、ミサカは心配なのですが。」
あのユイとの出会いから2ヶ月が過ぎた。
量産絶対音感は正式に商品として売り出された。限定100体だ。
唯は2ヶ月が過ぎた今でもあの日のユイと一緒に歌った瞬間が忘れられないでいた。
部活が終われば街をふらつく日々。怠惰的ではなく、目的をもったこの無駄な散歩が唯の日課になっていた。
しかし、無情にも日常は些細な事がきっかけで崩れ去る。
美琴SIDE
御坂「な、なによこれぇ!」
美琴は愕然としていた。いつも通りパソコンの授業中に能力を使いプロテクトを無効化してニュー速VIPを徘徊して2Getしまくっていたところ、ある一つのスレッドに眼がいった。
スレタイは、【絶対音感】ユイちゃんテラカワユスwww【夜の部活動】
普段ならこの手のスレは要領落ち狙いの荒らしを繰り返す美琴だが、絶対音感と、ユイという言葉にえもいわれぬ不安感を覚えた。
リンク先にはられていたのは。
平沢唯の強姦動画だった。
バチッ・・・バチバチバチッッ!!
美琴の体からパソコンへ高圧電流が流れ込みパソコンは煙をあげた。
先生「御坂さん!あなた一体なにを・・・」
御坂「先生・・・」
無意識に放たれる相手の発言を征する怒気をはらんだ言葉。
御坂「気分悪いんで・・・早退します。」
許可を願う言葉ではなく予め決まっている事象を告げるかのような口調。教師はなにも言えず黙って美琴を見送るしかなかった。
寮に帰ってかばんを置きすかさず寮を飛び出した。
美琴にはあの動画が平沢唯でないことはわかっていた。平沢唯ならば、男性に襲われたとしても声を張り上げて気絶させられる。本気でやれば音波の衝撃で上半身を吹き飛ばす事だって出来るはず。
しかし、動画の平沢唯は男にいいように弄ばれていた。つまり平沢唯ではない。
でも、姿形は完全に平沢唯そのものだった。
美琴には一人だけ、心当たりがあった。
2ヶ月前、唯と共に路上を沸かせたあの少女。
ミサカからきいた『ある実験』
御坂「量産型絶対音感ユイ妹達・・・」
気がつけば桜ヶ丘高校の前に美琴は立っていた。
ちょうど都合よく就業のチャイムが鳴り響く。それと同時に美琴は校内へ侵入する。
今まで唯に会うために何度も桜ヶ丘に来ていた美琴は校内でも、あまり奇異の目に晒されることはなかった。
廊下をずんずん歩き音楽室へ。
バンッ!
御坂「唯いる!?」
唯「うわわっ!み、美琴ちゃん?!どうしたの?何でいるの?」
御坂「説明している暇はないわ!ごめんみんな。唯借りてくね!」
唯「ひ、引っ張らないで~くるし・・・ぃ」
澪「今日のライブ遅れるんじゃないぞ!」
ツカツカバタンっ
律「・・・帰るか?」
紬「・・・そうね。」
美琴に連れられてやってきたネットカフェにて例の動画を見た平沢唯は絶句した。青ざめた顔に溢れ出る涙を堪えもせず口に手を当てる。
唯「どうして・・・こんなこと・・っ!」
御坂「わたしは・・・・こんなことした奴を絶対に許さない・・・」
美琴の怒りの電圧がふつふつと上がっていく。それは悲しみに打ちひしがれている唯にも感じたようで、唯はそんな美琴を見てコクコクとうなずいた。
御坂「唯・・・わたしはこれから能力を使ってこいつの発信元をつきとめてこいつを裁くわ」
御坂「アンタは・・・・今日のライブ、絶対成功させなさい」
唯「む、無理だよぉ・・・・こ、こんな気持ちで、演奏・・・・なんて・・・」
御坂はそんな唯に追い打ちをかけるかのように軽く平手打ちをする。パチンと小気味いい音が室内に響く。唯は眼を見開いて美琴を見た。
御坂「前を見なさい・・・アンタは放課後ティータイムの平沢唯よ。ユイのことはわたしに任せなさい。必ず・・・必ず・・・!助けて見せるから!第3位超電磁砲の御坂美琴を信じなさい!」
それ以上、何も言えなかった。たったそれだけで、唯の心を奮い立たせられる訳ではなかったが、御坂の気持ちを汲み取り、泣きはらした目をごしごしとこすり、唯はうなずいた。
唯「わたし、がんばる・・・・だから、美琴ちゃん・・・ユイを・・・・助けて・・・・あげてっ・・・!!」
唯は美琴と別れた後、直ぐに桜ヶ丘高校へと戻った。今宵のライブの準備をするためだ。
最終更新:2010年02月15日 01:54