梓「こんにちはー」

律「おお梓、ちょうどよかった、ちょっとこっちきてくれよ」

梓「はぁ・・・どうかしたんですかって唯先輩!」

唯「あずにゃんあったかいよぉ~、あずにゃ~ん」

澪「おい唯、それじゃ梓に抱きつくために呼び寄せたみたいだろ・・・」

紬「あらあら」

唯「ごめんごめん、あずにゃん見るとつい抱きしめたくなるんだもん」

梓「大丈夫です澪先輩。それより何か話があるんですよね?」

律「うん、最近えらい寒くなってきただろ?だから泊まりで温泉行こうって話しててさ」

梓「温泉旅行ですか、いいですね。でも今の時期じゃ予約は厳しいんじゃないですか?」

梓「それに予約とれたとしても旅館代もお高いんじゃ・・・」


律「そこはな、ムギ?」

紬「ええ、うちの系列で経営している温泉宿を使うから大丈夫よ」


梓「さすがというかなんというか・・・」

澪「いつもほんと悪いな、ムギ」

唯「ありがと~、ムギちゃん」

紬「うふふ、いいのよ気にしないで」

紬「あ、せっかくの旅行だもの憂ちゃんと和ちゃんも一緒にいかがかしら」

唯「え?憂と和ちゃんもいいの!?」

紬「ええ、人数が多い方がきっと楽しいわ」


唯「やったぁ~、ムギちゃん大好き!チューしてあげる」

澪「おいおい嬉しいのはわかるけど自重しろ」



とうじつ!

憂「お姉ちゃんそろそろ起きて、和さんももう来てるよ」

和「ちょっと唯、早く起きなさい、私達まで集合に遅れさせる気?」

唯「ん~・・・あ~二人ともおあよ~」

和「あいさつはいいからほら、早く支度しなさい」

唯「あい~わかりましたです和隊長」

憂「すいません和さん、お待たせしてしまって」

和「いいのよ、こうなることは予想していたし」

憂「あ、コーヒーでもいかがですか?お姉ちゃんの支度が終わるまで少しかかりそうですし」

和「ええ、いただこうかしら」

憂「どうぞ。お砂糖とミルクはどうしますか?」

和「それは自分でやるわ、ありがとう。」

和「それにしても私達まで軽音部の旅行に呼ばれるとは思わなかったわ」

憂「今回は合宿ってわけじゃないみたいですからね」

和「それに泊まりなのに旅館代はタダってどういうことなのかしら」

憂「そ・・・そうですね(たぶん紬さんのおかげなんだろうけど言わないでおこう)」

和「ところで、軽音部ってことは憂ちゃんの友達の子も来るのよね?」

憂「梓ちゃんですか?来ますけど・・・どうかしました?」

和「あ、いや、ほら、今までほとんど話す機会がなかったじゃない?」

憂「あんまり接点ないですもんね。学年も違いますし」

和「ええ、だから今回の旅行をきっかけに話せるようになっておこうかなって思って」

憂「そうなんですか。梓ちゃんとってもいい子ですよ」

唯「二人ともおまたせ~、準備できたよ~」

和それじゃあ行きましょうか、温泉旅行楽しんできましょう」

憂「はい。楽しい思い出になるといいですね」


……

唯「お~いみんな~」

律「おーっす唯、今回は遅れないで来たな」

唯「当然だよ~、みんなに迷惑かけられないもん」

和「よく言うわ、私達がいなければ寝坊してたでしょ」

唯「そ、そんなことないよぉ。一人でも起きられたもん」

律「まだまだ唯はおこちゃまだな」

唯「律っちゃんひどいよぉ~」


憂「梓ちゃんおはよう」

梓「おはよ、憂とは泊りがけで出かけるのは初めてだね」

憂「そうだね。ほんと言うと昨日は楽しみでちょっと寝付けなかったよ」

梓「あはは、憂でもそういうとこあるんだ」

梓「あ、ねえ憂はあの生徒会の人と知り合いなの?」

憂「和さんの事?うん、お姉ちゃんの幼馴染の人だから昔から知ってるよ」

梓「そうなんだ。話したことないからちょっと緊張しちゃうな」

憂「大丈夫だよ。とってもいい人だから」


澪「おはよう和、朝から唯のフォローで大変だな」

和「おはよう。昔からこの調子だからね。もう慣れてるわ」

和「それより今日はお招きありがとう」

澪「お礼を言われるほどでもないさ。むしろ和が来てくれてよかったよ」

澪(私一人じゃこのメンツを引っ張っていくの大変だし・・・)

和「あ、中野さんはもう来てる?」

澪「来てるよ。ほら、あそこで憂ちゃんと一緒にいる」

和「ちょっとあいさつしてくるわ」

和「えーっと・・・中野さんだったかしら」

梓「えっ、はっ、はいっ」

和「いつもとメンバーが違って迷惑かもしれないけど今日はよろしくね」

梓「ぜ、全然迷惑なんてことないですっ!こちらこそよろしくです!」


和「一応自己紹介しておくわね。私は真鍋和。和って呼んでくれていいわ」

梓「な、中野梓です。私も梓って呼んでください」


和「そう。じゃあ梓ちゃんまた後でね」

梓(何か・・・かっこいいかも)

憂「ね?感じのいい人でしょ?」

梓「あ、うん、そだね・・・」

紬「それじゃあ皆そろったしそろそろ行きましょう」


さわ子「そうよ、早く行かなきゃ電車に乗り遅れるわよ」

律「ってさわちゃん来てんのかよ」


さわ子「あったりまえでしょ?タダで温泉行けるなんてめったにないんだから」

澪「まあいつものことだしな。どうせ呼ばないでも来るだろうし」

唯「なのであえて呼びませんでした」

和「なんていうか・・・この軽音部にしてこの顧問ありって感じね」



唯「とうちゃく~。うわ~すごい旅館だね」

澪「趣があるっていう感じだな」

律「それにしてもえらい山奥まできたな、周りが森しかないし」

和「まさに陸の孤島ね」

憂「先生起きてください、着きましたよ」

さわ子「うーん・・・私もうバスの中で寝てるからほっといて」

梓「何しにここまできたんですか。仕方ない、憂そっち担いで」

紬「二人とも大丈夫よ。私が背負っていくわ」

紬「よいしょっと・・・さあ中に入りましょう」


紬「こんにちはー」


「「「「「紬お嬢様、ご友人の皆様方、ようこそお越し下さいました!!」」」」」


和(軽く二、三十人くらいはいるわね)

律「おいおいすげ~な、こういう出迎えってマンガの世界だけだと思ってたよ」ヒソヒソ

澪「ムギがお嬢様だって再確認させられるな」ヒソヒソ

唯「・・・」

憂「お姉ちゃんどうしたの?いまのでびっくりしちゃった?」

唯「あいす食べたい・・・」

梓「この状況で・・・どれだけマイペースなんですか・・・」


紬「ここが今日泊まる部屋よ」

律「おー、すっげー広いな。走りまわれるぞこれ。よし零戦部隊出撃!ブーン」

唯「わたしもしゅつげき!ぶ~ん」

澪「おいおい、お前らいきなり暴れるな。他のお客さんに迷惑だろ」


紬「大丈夫よ、今日は貸切にしてあるから。私達以外誰もいないわ」

梓(さすが紬先輩、やることのスケールが違う)


和「畳の匂いが心地いいわ。それに窓からの眺めが最高ね」

憂「そうですね。ふもとの町が一望できますし。山と空もきれいです」

憂「ところで・・・紬さん」

紬「なあに?」

憂「ずっと先生背負いっぱなしですけど大丈夫ですか?」


紬「あら?すっかり忘れていたわ。とりあえずここに寝かせてっと・・・」

律「むぎすげぇ」


律「よーし、こういう旅館にきたらまずやることがあるよなー?澪ちゃん」

澪「何だよ?」

律「ふふふー、よし梓、その掛け軸の裏にお札が貼ってないか見てくれ」

澪「!!」

梓「えー、嫌ですよ自分で見たらどうですか?」

律「何だよー先輩に逆らうのかぁ?あ、もしかしてびびってるんですかにゃー?」

梓「そんなことないです!やってやるです!」

澪「いいよぉーそんなことしなくてぇー」


梓(澪先輩泣き出しそう・・・)

梓(ここはちゃちゃっと見て安心させてあげよう・・・どうせあるはずないし)

梓(・・・)

梓(嘘・・・なにこれ・・・本当に貼ってある)

梓(でもこのことを言ったら澪先輩が・・・)


律「どうだ梓、貼ってあるか?」

梓「貼ってあるわけないじゃないですか。そんなこといって澪先輩を怖がらせないで下さい」

律「なんだつまんないの。だってさ澪ちゃん、よかったね」

澪「よかったぁー・・・ほんとにそういうのやめろよな」

唯「澪ちゃんだいじょぶだよ、おばけなんていないよ」

唯「でもいたとしたら友達になりたいな~、一緒に空とかとべそう」

律「まったく、澪も少しは唯のお気楽さを見習えよ」

澪「うっさい!律のバカッ」

梓「・・・」

和「・・・」

和「ちょっと喉渇いたわ。自販機で飲み物買ってくるけど皆も何か飲む?」

律「んじゃコーラ」

澪「温かいミルクティーがいいな」

憂「私も澪さんと同じのでお願いします」

紬「はちみつレモンをお願いできるかしら」

唯「あいす!」

和「はいはいアイスコーンポタージュね」

唯「嘘ですごめんなさい。じゃあねぇ・・・ぐんぐんグルト!」

和「先生には無難なところでお茶でいいかしら」

和「梓ちゃんは?」

梓「あ・・・私はいいです・・・」

和「気をつかわなくていいわよ?それとも遠慮してるの?」

梓「いえ・・・本当に」

和「いいからいいから、それじゃ一緒に行きましょう」

和「それで好きなのを選ぶといいわ、おごってあげる」

梓「えっえっ・・・あの」

律「私たちもおごりじゃないいのかよー」

唯「和ちゃんのけち~」

和「ケチで結構よ、それじゃ言ってくるわ」



梓「あの・・・本当に私は・・・」

和「さっきの・・・お札が貼ってあったんでしょう?」

梓「・・・!」

梓「・・・はい。気づいてたんですか?」

和「ええ、その直後から少し顔色が悪いもの」

和「澪に気を使って言わなかったのね?」

梓「それもありますし、せっかくの雰囲気が悪くなると思って・・・」

和「怖い?」

梓「正直、怖いです。あんなものが本当にあると思ってませんでしたから」

和「それを自分ひとりで抱え込もうとしたのね」

梓「私一人に留めておけば皆さんは楽しくすごせますから」

和「あなたは優しい子なのね」

梓「優しいだなんて・・・って和先輩・・・?」

和「唯もこうして抱きついてくるでしょ」

和「体・・・少し震えてるわね」

和「こうされていると安心するでしょ?」

梓「あ・・・はい」

和「あなた一人で抱え込まなくていいのよ。何かあったら私に言って・・・ね?」

梓「・・・はい、ありがとうございます、和先輩」


梓(何でだろう・・・唯先輩のときと違って、ちょっと・・・ドキドキする)


和「ただいま、買ってきたわよ」

さわ子「遅いっ!喉渇いて死にそうよ」

和「先生起きてたんですか?ていうか五分もかかってないはずですけど」

さわ子「細かいことはいいのよ。さあその手に持っているものを渡してもらいましょうか」

律「ダメだ和、それを渡したら人類の未来が終わってしまう」

唯「わたし達はもうだめ・・・和ちゃんが最後の希望なんだよ」

さわ子「ころしてでもうばいとる」

和「殺されるくらいならはいどうぞ」

憂「そんなにあっさりと!?」

さわ子「ゴクゴク・・・フフフ、体中から力が沸いてくるわぁ」

律「何てことだ・・・最後の希望である和までがやられた」


律「人類はおしまいだ・・・こうなったら唯、世界の終わりまで一緒にいてくれるか?」

唯「うん、最後の最後まで一緒だよ、りっちゃん」


澪「お前らはよくそんなことを即興で思いつくな」

紬「うふふ、それじゃあ落ち着いたところで温泉に入りに行きましょう」

梓「やっぱり浴衣に着替えていった方がいいですかね?」

律「あたぼうよ、それが温泉のルールってぇなもんだ」

唯「りっちゃん男前~」

憂「浴衣はこのクローゼットの中ですかね?」

紬「ええ、人数分あるはずよ」

和「それじゃ配るわ。はい唯、律、澪・・・」

さわ子「澪ちゃん、着替えさせてあげましょうか」

澪「結構ですっ!」




澪「露天風呂か、やっぱり温泉はこうでなくちゃな」

梓「寒いです、早く温泉につかりましょう」

律「ダメ!ダメダメダメ!まずは体を洗ってから!」

梓「なんでそんな強否定なんですか」

律「今日の私は江戸っ子ですから。温泉のルールは破らせねぇ」

澪「意味がわからないけど確かにその通りだな。とりあえず体洗うか」

憂「お姉ちゃん背中流してあげるよ」

唯「ありがと~うい~。ねえ、和ちゃんもおいでよ~」

唯「ちっちゃいときみたいに三人で洗いっこしよ?」

和「いや、私は遠慮しておくわ」

唯「え~なんでぇ~、し~よ~う~よ~」

和「ハァ、わかったわよ」

唯「やった~。えへへ~、じゃあお客さんこちらへど~ぞ~」


律「澪、こっちも負けてらんないぞ、私たちもやろう」

澪「ええー、いいよ恥ずかしい」

律「あいつらだってやってんだからいいじゃんか」

澪「それに律変なことしそうだし・・・」

律「問答無用、ほらいくぞ!」

澪「お、おい律!腕を引っ張るな!」


唯「ふふ~、甘いなりっちゃん。わが軍は三人そっちは二人」

唯「こっちのほうが圧倒的に有利なんだよ」

律「こしゃくなー、よし、ムギ、梓、こっちに来るんだ!」

唯「なっ、卑怯だよりっちゃん」

律「ここは戦場だ・・・勝つためには手段を選べないのさ」

唯「ならこっちだって!さわちゃん先生、援軍おねがいします!」

さわ子「オッケー!さあ、覚悟なさい」

律「りょ、りょ・・・呂布だあっー!」

澪「このノリにはついていけないな」

梓「はい・・・」

紬「ほらほらけんかはやめて」

紬「そうだ、この際みんなで洗いっこすればいいんじゃないかしら」

唯「それ楽しそう~、そうしよう」

律「よーし、そうと決まったらみんな一列に並べー!」


梓(和先輩の隣がいいな・・・)

さわ子(澪ちゃんの隣になってさりげなくさわさわしてあげるわ)


座り順
憂→唯→和→梓→紬→律→澪→さわ子


憂(お姉ちゃんの体、しっかり洗ってあげなくちゃ)

唯「そっとそっとそばにいま~すそよ風の~ように♪」

和(小さくてかわいい背中ね)

梓(何か嬉しいような、恥ずかしいような)

紬(こんな経験ができるなんて、本当に軽音部に入ってよかった)

律「おおっとー手がすべってしまったぁ」

澪「さりげなく胸を触ろうとするな!」

さわ子「それじゃあ皆、そろそろ逆になりましょうか」


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最終更新:2010年02月16日 00:18