さわ子「くっ・・・静まれ私の両腕・・・っ」

澪「だから胸を、って揉まないで下さい!」


律「さわちゃんグッジョブ!」

紬(今日のこともきっと、一生忘れない思い出になるわ)

梓(さっきのお礼もかねてしっかり洗ってあげるです)

和(梓ちゃんにこうしてもらえるなんて・・・)

唯「走れ走れもっとはやく~悲しいことあ~った時も♪」

憂(お姉ちゃん歌うことに集中してて全然手が動いてないよ・・・)


律「よし、体も洗い終わったしいよいよ行くか、よっしゃー!飛び込めー!」

澪「おい、走ると危ないぞ」

唯「お~!」

澪「って聞いてないし」

紬「二人とも待ってー」

澪「ムギもか!」

梓「和先輩行きましょう」

和「ええ」


憂(ふふ、梓ちゃん、和さんとすっかり打ち解けたみたい)


澪「こんな明るいうちから温泉に入ってるなんて贅沢な気分になるよな」

唯「そうだね~、あったかあったかで幸せな気分だし~」

和「軽音部はいつもこういうふうに合宿に行ったりしてるんでしょ?羨ましいわ」

憂「和さんは生徒会ですもんね」

和「ええ、あそこは合宿なんて縁遠いもの。ちょっと憧れちゃう」

梓「まあ、合宿が可能なのにも理由がありますけど・・・」

紬「うふふ」

さわ子「まあねー」

和気あいあいと楽しげな一行・・・
そう、この時はこれから起きる真の恐怖に気づくものは誰もいなかったのである・・・

澪「変なナレーションを入れるな!」

律「すいま千円」


律「温泉入ったら!」

唯「やっぱりコーヒー牛乳!」

律・唯「イエーイ!」

澪「それは否定できないな」

紬「皆の分買ってきたわ」

律「ナイスムギ!ほんでぇ、腰に手を当ててこう飲む!」

唯「一気に飲む!」

紬「うふふ、こうね」

澪「何でそんなにテンション高いんだ」

さわ子「それにしても澪ちゃんの浴衣姿は色っぽいわね」

憂「ほんとですね。大和撫子って感じですよ」

澪「そ・・・そうかな」

唯「うんうん、とってもかわいいよ澪ちゃん」

紬「ええ、素敵よ、澪ちゃんハアハア」

律「これで中身もよけりゃあなあ」

澪「何か言ったか?」

律「ワタシニポンゴワカラナイネ」

唯「あずにゃんは髪下ろしててもかわいいねぇ~」

和「ちょっと大人っぽくなっていいわね」

梓「あ・・・ありがとうございます」

梓「和先輩もメガネ外してる姿も、その・・・素敵です」

梓「私的にはそっちの方が好き・・・かも・・・」

和「そう?それならしばらく外したままでいようかしら」

紬「あらあらあらあらあらあら」

澪「ムギ、あらあら禁止だ」

紬「うふふ」



律「突撃となりの」

唯「晩ごはん!」

律「はい、というわけで夕食の会場まで移動してきたわけですが」

律「いかがでしょう唯さん、このメニューの方は」

唯「お肉いいにおい~」

律「あ、それだけですか。現場からは以上です、スタジオの澪さん」

澪「何だそれ。ていうか同じ場所にいるんだが」

紬「うふふ、それじゃあみんな座っていただきましょう」



席順

   憂唯澪律

   さ紬梓和


唯「お肉おいしい~口の中でとろけるよ~

憂「こんないいお肉食べたことないね」

律「澪の肉もーらいっと」

澪「やめろっ、最後の楽しみにとってあるんだから」

紬「先生飲み物お注ぎします」

さわ子「ありがと、ムギちゃんはいいお嫁さんになれるわ」

梓「和先輩お肉食べないんですか?おいしいですよ」

和「私お肉ってあんまり好きじゃないのよ。よかったら食べる?」

梓「じゃあ、いただきます」

唯「あ~!あずにゃんずるい~」

和「唯の位置じゃ渡せないでしょ?食事中に立つのも行儀悪いし」

唯「む~」

憂「お姉ちゃん私の分あげるよ」

唯「ほんと?ありがと~、うい大好き~」

憂「はい、あーんして」

唯「あ~ん・・・ん~おいひい~」

和「・・・」

和「梓ちゃん」

梓「はい?」


和「はい、あーん」

梓「え?」


和「あーん」

梓「あ・・・あーん」

和「どう?おいしい?」

梓「は、はい、おいしいです」

律「何だ何だぁ、和と梓はそういう関係だったのかぁ?」

和「そういうわけじゃないわ、ちょっとやってみたかっただけ」

澪「和がそういうことするなんて以外だな」

さわ子「ちょっとキャラ違うわよね」

唯「でも、今の和ちゃんとあずにゃん、ほんとの姉妹みたいだったよぉ」

梓「そ、そうですか?」

憂「うん。それもとっても仲良さそうな姉妹に見えたよ」

梓「そこまで言われると照れちゃうな」

和「悪い気はしないわね」


紬「ハアハア」

唯「ムギちゃん、コップから飲み物あふれてるよ」


……

律「たっだいまー」

澪「誰もいない部屋にただいまはないだろ」

律「わかんないぞー?私たち以外の声で返事があるかもしれないぜー?」

澪「やだやだやだ!゙聞こえない聞こえない聞こえない!」

唯「お~、もうお布団がひいてあるよ~」

律「でもまだ時間的に寝るには早いか」

律「よし、大富豪でもやろう」



いちじかんご!

律「ちっくしょー!また和が大富豪かぁ」

憂「最初に大富豪なってからずっとですもんね」

唯「これじゃあ和ちゃん無双だよぉ~」

和「悪いわね、大富豪の座は誰にも譲る気はないわ」

澪「はは・・・また和に二枚献上しなきゃいけないのか・・・」

さわ子「誰も都落ちさせられないってどういうこと?」

紬「梓ちゃんもずっと富豪のままね」

梓「このポジションは渡しませんよ」

澪「そ、そうだ、もう一回温泉入りに行かないか?」

和「でも外、霧がすごいけど」

憂「これじゃあちょっと入れないかもしれないですね」

さわ子「きーりのたちこむもーりの奥深くー♪ってね」

梓「誰の歌ですかそれ」


律「澪、大貧民の座から逃げようたってそうはいかないぜ?」

澪「べ、別にそうわけじゃないよ」


唯「じゃあ枕投げでもしよっか」


さわ子「あー、私もう寝たいから暴れるようなのはちょっと遠慮してもらえる?」

律「寝るのは早すぎっしょ。お年寄り並みじゃん」

さわ子「今日朝早かったし、一日中引率で疲れちゃったのよ」

和「全然引率された記憶がないんですけど」

梓「ここへ来るまでのバスの中じゃずっと寝てましたしね」

さわ子「あなた達の自主性を試してたのよ。実は起きてたわ」

澪「どのみち引率してないことになりますけど」

紬「まあまあまあまあまあまあ」

唯「でも、わたしもちょっと眠くなってきちゃったかも」

律「なんだよ、枕投げしたいんじゃなかったのか?」

唯「そうだったけど、寝ころんでたら眠くなってきちゃった」

律「仕方ない、唯とさわちゃん以外でがんばるか」

澪「悪い、私も寝たいかな」

憂「すいません・・・私もちょっと」

律「なんだなんだ、皆して情けないなー、私なんかこう寝ころんでても」


律「全然眠く・・・な・・・ら・・・ない・・・ぜ・・・」

律「zzz」


澪「まったく・・・分かりやすいやつだな」

紬「ふふ、一番はしゃいでたから疲れてたのよ」


澪「さてと、歯も磨いたし寝るとするか。明日はどれくらいに起きればいいかな?」

紬「八時に朝食になってるから、七時くらいかしら」

唯「それじゃあ学校行くときと同じかあ、せっかく休みなのになんかもったいないなぁ~」

憂「でも、寝る時間が早いから学校行くときよりも多く寝れるよ?」

唯「おお、そっか。さすが憂、あったまいいね~」

澪「いや、普通わかるだろ、それくらい」

唯「うい~、いっしょの布団で寝よ?」

憂「うん、いいよ」

澪「二人はほんとに仲いいな」

梓「・・・」

梓「あの・・・和先輩」

和「ん?」

梓「一人だと昼間のことを思い出して怖いから・・・その・・・」


梓「一緒に・・・寝てくれませんか?」

和「ええ、構わないわよ。ほら、枕もってこっちきて」


梓「はいっ!」

澪「あの二人も今日一日でずいぶん仲良くなったな」

紬「そうね、実に・・・実に素晴らしいわ!ブラボー!エクセレント!ビューティフォー!」

澪「あ、うん、まあ、いいことだよな(何でこんなに興奮してるんだ?)」

紬「ハアハア、さ、いいものも見れたしそろそろ寝ましょ。電気消すわね」


澪「スースー」

律「zzz」

紬「ウフフ・・・律澪は至高よ・・・」

唯「う~ん・・・あったかあったか」

憂「お姉ちゃん、布団持っていかないで・・・」

さわ子「はやてー、待ってよはやてー・・・」


梓(みんな寝たのかな)

梓(・・・)

梓(どうしよう・・・ドキドキして寝られない)

梓(何でこんなにドキドキしてるんだろ)

梓(確かに和先輩の近くにいれて嬉しい・・・嬉しいけど)

梓(それだけじゃない気がする)

梓(ひょっとして私、和先輩の事を・・・)

梓(そ、そんなわけないよね、女同士だし)

梓(先輩は私の事をどう思ってるのかな)

梓(・・・)

梓(和先輩の寝顔かわいい)

梓(・・・今ならキスしてもわからないよね)

梓(好きです、大好きです和先輩)


和「寝られないの?」

梓「ひゃあっ」ビクッ

和「どうしたの?」

梓「あ、あの、もう寝てるのかと思ってたので」

和「まだ起きてたわ。なんだか寝付けなくて」

梓「そ、そうだったんですか」

梓(危なかった、もう少しでキスする所だった)

和「・・・ねえ、梓ちゃん、抱きつかせてもらってもいい?」

梓「えっ?」

和「私、眠れないときは何かに抱きついて寝るのよ」

和「そうすると何だか落ち着いて、眠れるようになるの。ダメ?」

梓「そ、そういうことなら協力します。ど、どうぞ」

和「ありがとう。それじゃあ遠慮なく・・・」

梓(和先輩がこんな近くに)

和「・・・私ね、小さい頃から唯と憂ちゃんと一緒だったの」

梓「そうらしいですね。朝、憂から聞きました」

和「それであの二人の仲の良さをずっとそばで見てきたんだけど」

和「なんだか妹がいるっていうのが羨ましく思えちゃって」

梓「・・・」

和「ずっと憧れていたのよ、妹っていう存在に」

和「でも中学生くらいのときに今更妹なんてできるわけない、って諦めたわ」

和「その気持ちが今日梓ちゃんといるうちに蘇ってきてね」

和「ついつい妹みたいに扱っちゃった」

和「ごめんなさい、迷惑だったでしょ?」

梓「そんなことないです。私もお姉ちゃんって憧れの存在でしたから」

梓「優しくって、かっこよくって、頼りがいがある・・・」

梓「和先輩は私の理想のお姉ちゃんそのものです」

梓「ううん、それ以上に・・・」

和「それ以上に?」


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最終更新:2010年02月16日 00:20