梓「それだけすごいライブにすればきっとたくさん部員が入ってくると思うんですよ!」


梓「やりましょうよムギ先輩!」

紬「……それは出来ないわ梓ちゃん」

梓「なんでですか!?」

紬「私はそんなお金の力ばっかりの音楽はしたくないの…」

梓「でも!新入部員が入らないと先輩達は来年卒業で私1人になっちゃいます!」

紬「それは分かるわ…でもごめんなさい…」

律「おーい!2人ともー澪が子供みたいに帰りたいってうるさいんだよー!」

澪「だって右用楽器見ててもつまんないんだもーん!」

唯「駄々っ子澪ちゃん可愛い」



律「雪も降ってきたみたいだしそろそろ帰ろうぜ」

紬「そうね、そうしましょう」

梓「………」

唯「結構降ってるね、これはかまくら作れるまで積もるかなぁ?」

澪「さっきまであんなに晴れてたのに…」

律「もうすぐ3月になるのにこんな雪が降るなんて変だな」

澪「明日は部活だからな。じゃみんな雪道気をつけて帰れよ」


律「じゃ私と澪はあっちだから」

澪「じゃあな」

紬「また明日ね。私はあっちだから唯ちゃん梓ちゃんまた明日」

唯「みんなばいばーい!さっ、あずにゃん一緒に帰ろう」

梓「はい…」

唯「?あずにゃんなんかあったの?」

梓「な、なんでもないです!明日練習しっかり頑張りますからね!」

唯「あはは、わかったよぉ」



梓「はぁ…」


―――――――

次の日の音楽室

ジャジャーン♪

澪「ふぅ…なかなかだな」

唯「うー…お腹空いた…」

紬「お茶にしましょうか?」

梓「ダメです!今日はしっかり練習するんだからティータイムは禁止です!」

律「まぁまぁ梓。このまま練習しても唯が集中できなそうだし休憩しようぜ」

梓「ダメですよ、それで毎回練習しないじゃないですか!」

澪「いいんじゃないか、少しくらいは休憩も必要だろ」

梓「う~……少しだけですよ」

律「今日のお茶は一段とうまいのぅ…」

紬「昨日買った技のおかげですよ」

唯「お菓子もすごく美味しいよぉ~…」

紬「お口に合ったみたいでよかったわ」

梓「では10分休憩しましたし練習に戻りましょう」

律「え~…今日はもう終わりにしようぜ」

梓「なっ…さっき少し休憩したら練習するって言ったじゃないですか!」

唯「私もなんだか今日は疲れたぁ…終わりにしようよぉ」

梓「ムギ先輩のお茶とお菓子は蠍の毒みたいに効きますね…」


唯「ふへぇ~…」

律「ほけぇ~…」


澪「律も唯も梓の言う通り練習するぞ!もし赤点だったら追試が終わるまで練習できないんだぞ!分かってるのか!」

律「だーかーらー私は天才りっちゃんなんだから赤点なんかとらないよ、それにドラムだって練習しなくても大丈夫だって」

澪「あのなー律その態度はよくないぞ…」

ガチャ

さわ子「みんないるー?あっ、揃ってるわね」

唯「さわちゃーんどうしたの?」

さわ子「ふふ…実は新しく可愛い衣装がたくさん出来たから着てもらおうと思ってね」

唯「わーっ可愛いのがいっぱいだ!」

紬「本当、素敵ね!唯ちゃんコレ着てみて」

律「澪にこれとか似合いそうじゃないか?」

さわ子「そうね、早速着せてみましょう」

澪「えっ?えっ?助けてーっ!!」

紬「あぁ…あっちも大変なことに…はぁはぁ」

唯「ムギちゃん着替えたよー」

紬「はぁはぁ…唯ちゃんもとっても可愛いわ」


紬「唯ちゃん次はこれを着てみて、すごく可愛いと思うわ」

唯「いいねーあっ!あずにゃんもお揃いで着ようよー」

紬「いいわね、それで抱き合ってくれたりするとよりいいわ!はぁはぁ…」

梓「………」

唯「ねーねーあずにゃん着ようよー」


梓「もういい加減にして下さいっ!」

唯澪紬律さわ子「!!」


梓「私達は遊びにきてるんじゃないんですよ!」

唯「あ…あずにゃん…」

梓「唯先輩は学園祭終わってから練習しないでお菓子食べてダラダラしてばっかりなうえに今日の練習でも間違いが多いですし」

律「おい、梓!」

梓「律先輩もです!私は天才だからとか言ってろくに練習しないで遊んでばっかり…実際ドラムは走ってばっかりで全然リズムキープできてないじゃないですか!」

紬「あ、梓ちゃん1回落ち着きましょう。ねっ?」

梓「ムギ先輩だってみんなを着替えさせて遊んでばっかりで練習時間を減らす原因になってますよ!」

梓「もしこのまま新入部員が入らなかったら私1人になっちゃうんですよ…だからこのライブはしっかり成功させなきゃダメなんです!」

梓「皆さんがしっかりやってくれないと軽音部を続けられないじゃないですか…うぅ…」

梓「うぅっ…すいません…今日はもう帰ります…!」

澪「梓っ!待てっ!」タッタッタッタッ


さわ子「もしかして私って最悪のタイミングで来ちゃった…?」


律「………やめやめ!外また雪降ってきたし澪と梓も行っちゃったし今日はもう帰ろう」

律「私1人で帰るから…またな」


紬「私達も今日はもう帰ろう唯ちゃん」

唯「うん……」



澪の部屋

澪「なんなんだあの律の態度は…イライラする…」

プルルルル…プルルルル…ガチャ

『ただいま電話に出ることが…』

澪(電話にはまったく出ないし…)

澪「あぁもうっ!何か食べないとイライラで落ち着かない!」

澪(赤点とっても知らないからな)

澪「結局梓もあれから連絡とれないし……梓明日学校にちゃんと来るかな…」


………
……

澪「ん、朝か?昨日いつの間にか寝ちゃったんだ」

澪(顔洗って目を覚まそう…)



澪「水冷たいっ」

水の冷たさで冴えた目で鏡に映った自分の顔を見る

澪(これ…私?すごい太ってないか…?)

澪「お腹出てるし…顔もなんかパンパンになってる…私はいつの間にこんなになったんだ……」

澪(こんな姿見られたくないよ…どうしよう……学校休もうかな……)

澪「お母さーん今日具合悪いから学校休むー」


―――――――

その日の学校

唯「終わった…」

律「なにもかも…」

唯「なんかデジャヴ」

律「○×問題の答えが全部×なんてありなのか…攻略法破れたり…」

唯「りっちゃん○×問題の答えが全部○でも赤点だよ」

律「うるさいな、そういう唯はどうだったんだよ?」

唯「全教科7点で追試の確変突入です…」

律「うわあ…」

律「まだ全教科じゃないだけ私はマシか」

唯「今日から来週の追試受かるまで部活禁止だね…」

紬「りっちゃん大丈夫?勉強教えるわよ」

律(あれだけ言ったんだから今頃教えてなんて言えないよなぁ…)

律「はは大丈夫だって手を抜いたから悪かったんだよ!追試は本気出すからさ!そんじゃ部活も出れないし帰るよ。ばいばい」

紬「あ………唯ちゃんは大丈夫?勉強教えてあげるよ」

唯「私も大丈夫だよ、今日は学校7時間もあって疲れちゃったから勉強は帰ってマイペースにやるよーばいばいムギちゃんまた明日ー」

紬「唯ちゃん……」


―――――――

唯の部屋

唯「勉強しなきゃだよね」

唯「はぁ…平沢唯の正直しんどい…」

唯「自分でやってもさっぱり分からないしな」

唯(憂はあれからあまり相手にしてくれないし和ちゃんはすごい怒るし)

唯「お願いするのもめんどくさいや…」

唯「外は雪は降ってるし明日も雪道かぁ…」

唯(あずにゃんに謝ろうと思って教室行っても会えないし…テストは全部赤点…勉強もできない…ダメだこりゃ…)

ジリリ!ゴゴゴ!リンリン!ピピピ!ジャンジャン!バリバリ!ドカーン!

唯「うるさーい!もう目覚まし時計7個もセットしなきゃよかった!」

唯「もう朝?んー…まだ7時だしもう少し寝よう」


………
……

唯「ふぁ~…今何時だろう?」

唯「えっ!お昼!?どどどどどうしよう!」

唯「今から学校行ってもほとんど授業受けれないし休もう」

唯(ほら、外は吹雪になってきたし休んで正解だよ私)

唯「そうだ、あずにゃん…は明日学校行ったらでいいよね」

唯「それにしても春も近いのにすごい雪だな」

唯「これじゃ明日にはもっと積もってるよね」

唯(なんかやる気にならないしテスト勉強は今日はお休みしよう)


―――――――

唯(もう学校休み始めて4日目か…ずっと寝てても憂は心配してくれないし)

唯(携帯の着信はムギちゃんだけ…学校に風邪で休むって言ってるからかけ直さなくていいよね)

唯「そういえば来週は追試あるから絶対行かなくちゃいけないんだった」

窓の外を見る―…
雪は未だに降り続けて学校へ行こうという気持ちを削いでいく

唯「追試受けなかったら成績次第で留年の可能性もあるよね」

唯「でも留年したらあずにゃんと同じ学年になるからあずにゃんが軽音部に1人にならなくて済む…私も追試どうでもよくなるし一石二鳥だ!」

唯(私ってもしかして天才?)



唯「あれ?でも留年したら学業に集中しなきゃいけなくなるから部活辞めさせられたりするのかな?」

唯(私このままだと軽音部にいられなくなる?)


唯「私何してんだろ…このままじゃ軽音部続けられなくなっちゃうよ!そんな大事なことに気付かないで…」

唯「もう金曜日だし何してたんだよ私のバカーッ!」

唯「あうあう勉強しなきゃ!ういー!和ちゃーん!」

唯(あっ……私がこんなダメダメだったから憂は私から離れて和ちゃんはあんなに怒ってたんだ…)

唯「私しっかりしなきゃ!」


―――――――

憂「ただいまー…すごい雪だった…」

ガラガラガシャーン!

憂「えっ?なに突然?キッチンの方から?」

憂「お姉ちゃん何してるの!?キッチンがめちゃくちゃだよ!」

唯「あ、うーいーおかえり」

憂「おかえりじゃなくてどうしたのこれ?キッチンでビッグバンでも起こったの?」

唯「ち、違うよ!自分で料理できるようになろうと思って頑張ってたんだよ」


憂「料理でこんなになるの…」

ブツッ

憂「うわわっ、電気が消えたよ!お姉ちゃん今度は何したの!?」

唯「何もしてないよー!」

憂「ブレーカーが落ちたのかな?」

唯「そういえばここに懐中電灯が~…あった!」


唯「えーと…まわりの家もみんな電気消えてるよ」

憂「うーん…外が吹雪だったからそのせいで停電になったのかな?」

唯「直るの待つしかないね」

憂「そうだね」

唯「パンあるからこれ食べて待とう」

憂「うん」

唯「澪ちゃん大丈夫かなぁ?」

憂「澪さん怖がりだもんね」

唯「ムギちゃんは電気消えてもお札燃やして明るくしてそうだよね」

憂「そんな事するの昔のお金持ちだけだよ」

唯「そうだね、ムギちゃんならお腹を空かせた山羊にお札をお食べってくらいやるよね」

憂「あはは…それはやらないと思う」

唯「うい寒いでしょ」ギュッ

憂「あ……お姉ちゃん……暖かい」


唯「憂………ごめんね」

憂「えっ?」

唯「憂は私が自分で何もしないで憂に頼ってばっかりだったから私から離れてたんだよね。私これから人に頼ってばっかりじゃなくて自分の力で頑張るから…」

唯「憂のこと大好きだから…だからこれからもずっと一緒にいてほしいな」

憂「お姉ちゃん………謝らなきゃいけないのは私の方だよ」

唯「えっ…?」


憂「私はお姉ちゃんに頼られるの嫌じゃないよ、むしろそれで笑ってくれるお姉ちゃんの顔が見れるから頼って欲しいくらいだよ」

唯「そうなの?」

憂「でもね最近お姉ちゃんが私より梓ちゃんとかと仲良くしてるのを見て嫉妬してたんだと思う…お姉ちゃんはそんなに私の事を好きじゃないんだなって思って…それでお姉ちゃんに冷たくあたっちゃってた…」

憂「だから謝るのは私の方なんだよ…ごめんなさい」

唯「憂だけが悪いなんて事ないよ、私にも原因はあるもん!だからさ、これで仲直りしよう。ねて」

憂「…………うん!お姉ちゃんありがとう!」


唯「あっ…電気点いたぁ!」

憂「外の雪も止んだみたい」

唯「これでまた停電する心配はないね。よーし次は勉強頑張っちゃうよ」

憂「じゃあ私はなにか温かいもの作るね」

唯「ありがとう憂~」ギュー

憂「えへへ」

唯「よーし応援してくれる憂のためにも軽音部のためにも私はやるよ」

憂「お姉ちゃん頑張れ!」


―――――――

学校

和「失礼します。律いるかしら」

紬「ごめんなさい、りっちゃんも唯ちゃんもお休みなの」

和「休み?律だけじゃなくて唯まで?」

紬「ええ、今週は月曜日だけ来てあとはずっとお休みだったわ」

和「そうなの。澪も休んでるから律にプリント渡してもらおうと思ったんだけど…」

紬「それなら私が届けるわ。ちょうど近所のりっちゃんの家に行くから」

和「そう?ならお願いするわ」


和「あ、唯に渡すプリントはないの?あるなら私がかわりに届けるわよ」

紬「本当?唯ちゃんの家は方向が違うから届けるの明日にしようかと思ってたの。お願いしていいかしら?」

和「もちろん。澪のを届けてもらうんだからこれくらい当然よ」

紬「お願いします」

和「じゃあ私は生徒会の仕事があるからまたね」

紬「はい」


―――――――

紬「雪がすごいわ」

紬(澪ちゃんのお家は~…ここね)

紬「ごめんください」

澪母「はーい!あら、澪のお友達かしら?」

紬「はい、あの澪ちゃんに学校で配られたプリントを届けにきました」

澪母「悪いわね、わざわざ届けてもらっちゃって」

紬「いいえ、友達ですから」

澪母「澪は部屋にいるからどうぞあがって」

紬「はい、お邪魔します」

コンコン

紬「澪ちゃん?」

澪「ムギ?」

紬「うん、学校のプリント持ってきたの入っていい?」

澪「ダメ!」

紬「えっ………ど、どうしたの?澪ちゃん」

澪「とにかく体調が悪いからプリント部屋の前に置いて帰って!」

紬「う、うん…」

澪「………」


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最終更新:2010年02月17日 00:25