紬「澪ちゃん?少しでいいから顔見れないかな?ずっと学校来ないから心配なの」

澪「できない」

紬「なんで?」

澪「なんでも」

紬「私が何かしちゃったかな?」

澪「違う…」

紬「じゃあなんで?」

澪「分かんないって言ってるだろ!もう帰ってよ!」

紬「………分かったわ」


澪母「あら、もう帰っちゃうの?今お茶を出そうと思ったんだけど」

紬「ほかに寄らないといけない場所があるので今日はもう失礼します」

澪母「そう、また来てあげてね」

紬「はい」

紬「あの、澪ちゃん来週からは学校来れそうですか?」

澪母「来週にはきっと良くなると思うからちゃんと学校行くように言っておくわ」

紬「おねがいします」

澪母「はい」

紬「おじゃましました」

紬(澪ちゃん……なんで?どうして学校来なくなっちゃった?…ならどうすればいいの?)

紬「あっ…りっちゃんの家」

ピンポーン

紬「&ダッシュ!」

ガラガラ

律「はいはーい…って誰もいない?いたずらかよー」

バタン

紬「ピンポンダッシュって1回やってみたかったの」

紬(こんな時に何してるのよ…私のバカ…)


ピンポーン

ガラガラ

律「あっ、ムギじゃないか」

紬「りっちゃん……」

律(あれ?もしかしてさっきピンポンダッシュしたのはムギ?いや、そんなわけないよな)

律「ムギがわざわざ家に来るなんてどうしたんだ?」

紬「りっちゃん…なんで学校来ないの?」

律「えっと…いや、それは~」

紬「私がいるから?だからみんな学校来なくなっちゃったの?」

律「な、なんでムギがいたら学校行かないんだよ!そんなわけないだろ!」

紬「だって私が勉強教えようかって言ったらみんな断ってそれから学校来なくなるんだもん…りっちゃんも唯ちゃんも澪ちゃんも」

紬「私が自分の楽しみのためだけにみんなを着せ替え人形みたいにするから、だからみんな私のこと嫌いになったんでしょ……」

律「……そんなことか」

紬「そんなことって…!!」

律「ムギはそんな風に思ってたのか?」

紬「え?」

律「ムギは私達のこと着せ替え人形と思ってたのか?」

紬「違うよ、私はみんなを人形だなんて思ってないよ…みんなは友達だって…」

律「私達もそうだよ」

紬「りっちゃん…」

律「私達もムギの事を友達って思ってるよ。みんなムギにいろんな服着せられて嫌そうな顔してたか?(澪はしてた気がするけど)」

紬「してなかったわ…(澪ちゃんは少し嫌そうだったけど)」

律「だろ?みんな楽しんでるんだよ。みんなムギのこと大好きだよ」

紬「じゃあなんで学校来なかったの?」

律「それは…そのあれだけ天才だって言っておいて今頃本当は勉強なんてサッパリだから教えてなんてカッコ悪くて言えないから…」

律「だから家でこっそり勉強してたんだよ…」

紬「そんな恥ずかしがらないで言ってくれればいいのに!友達なんだから」


律「そうだよな…ゴメン学校サボって不安にさせちゃって」

紬「いいのよ、りっちゃんが私の不安を消してくれたんだもの」

律「そういえば澪と唯も来てないって?」

紬「うん…澪ちゃんの家にはさっき行ったんだけど、何も話してくれなかったの」

律「そっかぁ、じゃあこれから澪のとこにひとっ走り行ってくるよ」

紬「ありがとう!りっちゃんだけが頼りだったの!唯ちゃんの家には和ちゃんが行ってくれるから後で連絡してみるわ」

律「とりあえず今日は雪降ってるしムギは早く帰った方がいいよ」

律「それと来週からちゃんと学校行くから澪も一緒にな」

紬「うん!」


―――――――

タンタンタンタンタンタンタン…

澪「律?」


律「お前もエスパーか」

澪「分かるよ」


律「入っていいか?」

澪「ダメ」

律「なんで?」

澪「なんでも」

律「はぁ…なんか悩んでるんのか?ほら言ってみ」

澪「ヤダ」

律「友達だろー私にも言えないのか?」

澪「律…絶対笑うもん」

律「笑う…?絶対に笑わないよ」

澪「嘘だ、絶対に笑うよ…」

律「絶対に笑わない。約束するよ」

澪「…本当に?」

律「私が嘘ついたことあったか?」

澪「あるよ」

律「あーそういえばあるかも…」

澪「はは…バカ律」

律「バカって言った方がバカなんだぞ」

澪「入っていいよ、絶対に笑うなよ……」

律「わかってるって」

ガチャ


澪「食べ過ぎちゃったみたいでさ、すごい太っちゃって…恥ずかしくてどうしようもなくて家から出れなかったんだ…」

律「………」

澪「律…?」

律「……ぷっ」

律「あはははははははは!」

澪「なっ…絶対笑わないって約束しただろ!もう律なんて…」

律「ち、違う違う!」

澪「笑ってから言っても遅い!」

律「そうじゃないって!すごく太ったなんて言うから千と千尋の神隠しくらいかと思ったからさ」

律「全然太ってないよ、いつもの可愛い澪だよ」

澪「え……ほ、ほんと?」

律「本当だって!」

律「だからさ、部屋に閉じこもってないで一緒に学校行こうぜ!」

澪「でも律以外の人はどう思うか分からないよ…太ってるって言われるかもしれないし笑われるかもしれないし」

律「そんな人はいないよ。いたらシャイニングウィザードくらわしてやるよ」

澪「律……」

澪「そういう律が最近私に太ったとかたくさん言ってた気がするんだけど」

律「あはは…それは流して……」

律「それでも行けないとか言うなら一緒にダイエット付き合ってやるからさ」

澪「ありがとう」

律「うん!みんな待ってるよ」

律「で、すごいって何kg太ったんだよ」

澪「…………………7kg」

律(うおっ!結構ヘビィな…)

律「なんでそんな大食いになったんだ?」

澪「ストレスと…あと最近なんか物足りなさがあったんだよ…」

律「物足りなさ?なにが足りないんだよ?」

澪「それが分からないからイライラして食べることで満たしてたんだよ」

律「ふーん………あっ!」

律「澪。その物足りなさ私が満たしてやるよ」

澪「えっ?満たしてやるって…何する気だ……?」

律「なにって決まってるだろ」

澪「わ、分かんないよ!」

律「やっぱちゃんと言わなきゃダメか……その…あの~…」

澪「うん…」ドキドキ

律「勉強教えて下さい!」

澪「……へ?」


律「いや、だから勉強教えて下さい!」

澪「分かった!分かったから土下座なんてしてないで頭上げてよ」

律「ははぁ~」

澪「勉強教えるだけでいいのか?」

律「うん。それ以外に何があるんだよ?」

澪「ななななんでもない!教えてやるから勉強道具早く持ってこいバカ律!」

律「なに怒ってるんだよ…でもこれで追試は大丈夫そうだぁ!ありがとう澪!じゃ行ってくる」

バタン

澪「お礼を言うのはこっちだよ。ありがとう律」


―――――――

和「ごめんくださーい」

憂「和さん!こんばんは」

和「こんばんは。夜分遅くに悪いわね、もっと早く来るつもりだったんだけど停電があって遅くなったわ」

憂「大変でしたよね。お姉ちゃんに用ですか?」

和「ええ、こたつに入ってみかんでも食べてたかしら?」

憂「お姉ちゃんなら部屋で勉強してますよ」

和「ちょっと耳が悪くなったみたいだから耳鼻科に言ってくるわ」

憂「いやいや悪くなってないと思いますよ」

和「あぁ…これは夢なのね、憂ちゃんパンはパンでも食べられないパンで一発叩いて醒ましてもらえるかしら?」

憂「フライパンですね。こんなくだらない事で前科持ちになるのはごめんなんで全力で断ります」

和「もしかして2人とも停電中に頭を打って変わってしまったとか?」

憂「打ってません、お姉ちゃんが追試のために自主的に勉強し始めたんですよ」

和「そうなの良かった…おかしくなったのは私じゃなくて世界の方だったのね」

憂「誰かこの人をなんとかして」

和「ふざけるのはここまでにしておくわ」

憂「そろそろ本気でフライパンを持ってこようかと思いました」

和「怖いわ」

憂「和さんが本当におかしくなったと思ってこっちの方が怖かったですよ…って何で自分の頬つねってるんですか?」

和「なんとなくよ。上がっていい?」

憂「どうぞ~お姉ちゃんに会ってあげて下さい」

和「お邪魔します」

和「唯~勉強やってる?」

唯「あっ!和ちゃーん!ガチガチガッチリやってるよーい!」

和「本当に勉強してたのね」

唯「疑ってたのー?」

和「それは今までが今までだっただけにね」

唯「えへへ、そうだよね」

和「急に自分から勉強なんて追試あるから当たり前だけど何かあったの?」

唯「いろいろねー…和ちゃんのおかげでもあるんだよ」


和「私の?」

唯「うん!和ちゃんが怒ってくれたのが効いたかも」

和「それで……唯、あの時は強く怒鳴ったりしてごめ…」

唯「ありがとう!」

和「唯……」

唯「和ちゃんは私のことを想って怒ってくれたんだよね」

唯「あの時は和ちゃん角と牙が生えて炎を吐いて怒ってるみたいに見えて怖くて…」

和「少し傷ついたわ」

唯「和ちゃん私のこと嫌いになったのかと思ったよ」

唯「だけどそれは違って和ちゃんは私がやればできるって分かってるから敢えて怒ってくれたって気付いたんだ」

唯「だからね、私を信じてくれる和ちゃんのために頑張ろうって思ってやる気になったんだよ!ありがとう」

和「なんだか照れるわね……あっ、唯ここの問7が間違ってるわよ」

唯「マジですか!和ちゃん先生」

和「ここはね…」

唯「あぁ和ちゃん!ウェイト!ストップ!フリーズ!自分で解くよー」

和「そうね、見てあげるから解いてみなさい」

和(唯も成長したわね、なんだか我が子のように嬉しいわ)

唯「えーと…ジョンは5万円持ってて…近所のコンビニでブラックサンダーを1000個買って…お釣りを募金…さてその募金でハイチでは何人が助かったでしょう?か……」

和(これは引っ掻け問題よ)

唯「分かったぁ!なんかおかしいと思ったら全体的に嘘っぽいね、答えはBのジョンは虚言癖。だね」

和「正解よ!よくできました」なでなで

唯「えへへ…やった」

和「ご褒美にはなまるをつけてあげるわ」

唯「わぁ…勉強って楽しいね」

和「大丈夫そうだし私はもう帰るわ」

唯「えーっ!もう帰っちゃうの?」

和「もう遅いからね、あとこれ休んでる時に配られたプリントよ」

唯「おーありがとうごぜえますだ」

和「月曜日は遅刻しないで学校くるのよ」

唯「了解です!先生」

和「追試はきっと大丈夫よ、じゃまたね」

唯「うん、ばいばい和ちゃん」


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最終更新:2010年02月17日 00:26