部室にて
唯「おいしー♪ ムギちゃんのクッキーおいしー♪」
紬「喜んでもらえてよかったわ♪」
律「なあ、ワンダーパーク(USJ的な場所)にさ、新しいジェットコースターが出来たんだって!」
ぐらぐら
梓「それって今、日本で一番怖いって噂のやつですよね」
唯「猛スピードで落ちてグルグル回ったりするやつだっけ?」
律「そうそう、そのスリルに乗った人の半数は途中で気を失うんだって!」
ぐらぐら
澪「(猛スピードでグルグル……気を失うほど怖い……)」
律「面白そうだよなー」
紬「りっちゃんはそういうの好きだものね」
律「はー、乗ってみたいなー。そうだ、澪も一緒に乗ろうぜ?」ニヤニヤ
ぐらぐら
澪「絶ッッ対に嫌だ」
律「そんなこと言わずに付き合ってよー」
ぐらぐら
澪「嫌だ」
律「みーおー」
ぐらぐら
澪「あんな怖いモノ……どんなことがあっても絶対に乗らないぞ!」
律「ちぇっ」
ぐらぐら
梓「さっきから気になってるんですけど……その座り方、危なくないですか?」
律「ん? コレ?」
ぐらぐら
椅子の後ろの脚に重心を移し、バランスをとって座る律
梓「小学生の時に男子がよくやってましたけど……」
澪「高校生にもなってやる奴なんてお前くらいだぞ」
唯「後ろに倒れたら危ないよ?」
律「へーきへーき♪手だって離しちゃうもんねー♪」
ぐらぐら
律「それより澪、ジェットコースター乗ろうよー」
ぐらぐら
澪「それだけは絶対に嫌だって言ってるだろう!」
律「もー、つまんないなー……」
グラッ
紬「りっちゃん、危ない!」
律「やばっ!」
ガターン!!
澪「律!?」
唯「りっちゃん!」
梓「律先輩!」
澪「見ろ、言わんこっちゃない!」
紬「大丈夫?りっちゃん」
律「いたた……」
梓「よかった……血とかは出てないみたいですね」
澪「まったく、だから危ないと言っ……」
澪「えっ?」
律「ここは……どこ?」
紬「まさか……」
律「みなさん……誰ですか?」
一同「記憶喪失!?」
梓「律先輩!ほんとに何も覚えてないんですか!?」
律「リツ……私の名前はリツというんですか?」
澪「私たちのことも忘れてるのか?」
律「何も……思い出せないんです……」
唯「り、りっちゃんが大変なことにぃ!」
澪「頭を打った衝撃で記憶が飛んじゃったのか……」
紬「一体、どうすれば……」
澪「とりあえず、記憶を呼び覚ましてみよう」
律「あの……まずは私の名前と、どんな人だったかを教えていただきたいのですが」
澪「そうだな。お前の名前は律。田井中 律だ。性格は……」
梓「なんかいつもガサツで不真面目で」
紬「明るいというか能天気というか」
唯「いつもふざけてばっかりで澪ちゃんに叱られてた!」
律「なんというか……ろくなヤツじゃなかったんですね」
澪「気にするな。いいところもあったぞ」
律「例えば?」
澪「……とにかく元気だったな」
律「……(それだけ?)」
澪「次は私たちのことを思い出してもらうか」
唯「りっちゃん!私だよ!唯だよ!」
律「ユイ……さん?」
唯「思い出してりっちゃん!合宿の夜、ふたりでこっそり
澪ちゃんの寝てる部屋を……」
澪「私の寝てる部屋を……どうしたって?」
唯「!? と、とにかく私たちの思い出を取り戻して!」
澪「(今度じっくり問い詰めよう)」
律「ユイ……」
唯「思い出した?」
ぎゅむっ
唯「ほにゃあ!?」
むにゅむにゅ
律「このほっぺたのさわり心地……覚えがあるような……」
むぎゅむぎゅ
澪「ほんとか?もっとしっかり触ってみろ!」
もにゅもにゅ
唯「んにゅう」
むぎゅむぎゅ
唯「ふみゅぅ」
律「……」
紬「どう?りっちゃん」
律「……ダメみたいです」
澪「ダメだったか」
唯「うう……私のほっぺは揉まれ損?」
紬「りっちゃん、私よ。紬、ムギよ」
律「ツムギさん……」
澪「いつもお菓子を持ってきてくれるムギだぞ?」
紬「そうだ」
ガチャガチャ
紬「コレ、りっちゃんがいつも使ってたティーカップよ?」
律「ティーカップ……」
紬「これはりっちゃんが好きだったクッキー」
律「おいしそうなクッキー……」
紬「でしょ?さあ、食べてみて」
サクサク
律「……・」
紬「どう?」
律「もう一個食べたら思い出せそうな気が……」
紬「ほんと!?じゃあ、はい!」
律「紅茶もいただいていいですか?」
紬「もちろんよ。はい、熱いから気をつけてね」
ゴクゴク
紬「どう?思い出せそう?」
律「もうひとつクッキーを……」
~その後、クッキー10個食べて紅茶おかわりしました~
律「げぷ……お腹いっぱいです」
紬「で?記憶は?」
律「まったく思い出せません」
澪「満腹になっただけかよ……」
梓「先輩、梓です」
律「アズサ……」
梓「思い出してくださいよぅ…」グスン
律「ネコ……」
梓「ねこ?」
律「あなたを見ていると……何故かネコを思い出したんです」
澪「そうだ!この前の猫耳梓だ!」
唯「あずにゃん!コレつけて!」
梓「ええっ!?」
紬「梓ちゃん、こないだみたいにニャーって」
澪「律のためだ!がんばれ梓!」
梓「にゃ、ニャー……///」
律「かわいい……」
なでなで
梓「ニャー///」
なでなで
唯「あずにゃん!もっとネコっぽく!」
梓「(ネコっぽく!?)にゃーん」
すりすり
律「すごくかわいいです」
なでなで
梓「(うぅ……先輩のためにガマンガマン……)」
澪「思い出せそうか?」
律「残念ながら……」
唯「こ、このかわいさでもダメだなんて!」
梓「(そもそも途中からのねこっぽさは意味なかったような……)」
澪「おい律! 私だ、澪だ! いい加減思い出せ!」
律「ひいっ」
紬「ダメよ澪ちゃん、怖がってるわ」
唯「よしよしりっちゃーん、怖くないよー」
澪「ご、ごめん……つい」
梓「律先輩、澪先輩ですよ。幼馴染ですよ」
律「おさななじみ……」
澪「今も、お前が誘ったから軽音部にいるんだぞ?」
律「けいおんぶ?」
紬「そっか、部活の事も忘れてるのよね」
梓「ライブの映像を見せてみたらどうでしょう?」
澪「唯、文化祭の時のビデオ準備して」
唯「らじゃー!」
君を見てると いつもハートDOKI☆DOKI
澪「ほら、今歌ってるのが私だぞ」
唯「後ろでドラム叩いてるのがりっちゃんだよ」
律「なんだか見覚えがあるような……」
ドタッ キャー
梓「ここ、澪先輩が転んでパ……・下着が見えたんです///」
澪「(唯ったらよりによってこの時のを選んでこなくても……///)」
律「今のところ、巻き戻してもらえますか?」
紬「えっ?わ、わかったわ」
ドタッ
律「もう一度」
ドタッ
律「すみません、もう一度。何か思い出せそうで…」
澪「(うぅぅ……///何でもいいから早く思い出してくれ!)」
澪「ハァ……ど、どうだ?何か思い出せたか?」
律「全然ダメでした」
澪「私が恥ずかしい思いしただけじゃないか!!」
律「ひえぇ」
紬「澪ちゃん!」
澪「うう……わかってる……わかってるんだけど…・…」
梓「もう、今日は練習を中止して帰った方がよくないですか?」
紬「そうね……一晩経てば、治るかもしれないし」
澪「はぁ、仕方ない。今日のところは帰ろう」
律「すみません。私のために……」
紬「気にしないで、りっちゃん」
唯「りっちゃんは思い出せるようにがんばって!」
律「みなさん、本当にありがとうございます」
澪「じゃあ、戸締りして帰るか」
廊下
唯「あ、和ちゃん」
和「あれ?今日は練習終わるの早いね」
澪「実は……」
~説明中~
和「それは大変ね……」
唯「りっちゃん、生徒会長の和ちゃんだよ?」
律「のどかさん……」
和「無理に思い出さなくてもいいからね」
律「和さんを見てると、なんだか謝らなければいけないような気になります」
澪「ああ、いつも迷惑かけてたからね……」
律「すみませんでした!」
和「いや……何もされてないし」
紬「和ちゃん、何か記憶を戻す方法を知らないかしら?」
和「頭を打って記憶を失ったのよね?」
澪「なさけない理由でだけどな」
和「じゃあ、もう一度頭に強いショックを与えれば……」
梓「職員室に工具箱がありました!」
紬「音楽室のアンプ!」
唯「でっかい花瓶があるよ!」
澪「よーし、じっとしてろぉ、律」←ゲンコツを準備
律「ひえぇぇぇ……」ガタガタガタ
和「……あんたら律を殺したいの?」
和「まあ、ショックを与えるのは極端な方法だから……」
紬「やっぱり、自然に戻るのを待つほうがいいのかしら」
和「うん、それが一番だと思うわ」
唯「他に方法はないの?」
和「うーん、言ったことのある場所を巡ってみるとか」
澪「よし、明日は休みだし、いろいろ回ってみよう」
和「大変だと思うけど、がんばってね。私も協力するから」
唯「和ちゃん……ええ人やぁぁぁ!!」
ぎゅー
澪「ありがとう。いろいろ試してみるよ」
帰り道
紬「じゃあ、私たちはこっちだから」
澪「ああ、律は私が家まで送っていくよ」
唯「ファイトだよりっちゃん!」
律「みなさん、今日はありがとうございました」
梓「では、また明日」
澪「ああ、また明日もよろしく頼む」
最終更新:2010年02月18日 01:05