‐部室‐

澪「ふー…」

澪「(今日は唯も紬も遅れる!)」

澪「(次に来るのは律で間違いない!)」ドキドキ

ロッカー「(澪ちゃん…私に気づいてないですね)」

澪「……」キョロキョロ

ロッカー「(……!)」ドキドキ

澪「律のスティック……」スッ

ロッカー「(あっ、律っちゃんのスティックを…!)」ドキドキ

澪「………」

ロッカー「(スティックを!そのスティックをどうするんですか!?)」

澪「………」スッ

ダダダンダンシャーン!

ロッカー「(ドラムを叩いただけ……そうよね、現実はこんなもので…)」

澪「………んっ」

ロッカー「!?」ガタン

澪「!」ビクッ

ロッカー「(…あ…危ない…!)」

澪「………」フゥ

澪「………」クニ

澪「んっ…!」

ロッカー「(え?えっ?)」

澪「……律……」クニクニ

ロッカー「(ああっ!この角度じゃドラムが邪魔でよく見えない!澪ちゃんナニしてるの!?)」

澪「ん……んんっ……」

ロッカー「(もうちょっと!もうちょっと上から見れば…!)」

ロッカー「(背伸びすれば見えるかもっ……!)」グググ…

澪「(昨日は私が律のを見ちゃったから…今日は私を見てもらうんだ…)」クニ…ユ…チュ…

ロッカー「(もう少し…!もう少しっ……!)」グググ…

澪「(そうすれば律だって私の想いに気づいてくれるよね…)」クニ…



ロッカー「あっ」バァン!

ガタァン!

澪「!?」ビクウッ

紬「いっ…たた…」

澪「む、紬!?」

紬「あ、澪ちゃん…おいーっす…」

澪「な……なな……!」

紬「えへへ…」

澪「なーーー!?」

澪「み…見た…?」プルプル

紬「それが、あまり見えなくて…」

澪「へ…ふぇえ…!」

紬「でも澪ちゃんの声、可愛いかったですよ♪」

澪「……い」

紬「♪」

澪「いやああああああああ!!!」


イヤアアアアアアア!


律「!?」

律「これは澪の声か!?」

律「部室からだよな…急げ!」ダッ

ダッダッダッダッダッ

律「澪!!」バァン!

澪「へ…」

紬「あら…」

律「お、…あ、紬、もう来てたのか」

紬「はい♪」

澪「う…うう…!」

律「あ、澪、さっきの声はお前だよな?大丈夫か?」

澪「う…律ぅ…」

紬「キュン」

律「ていうかお前、なんで私のスティックなんか持って座り込んでんだ…?」

澪「ふえ…?」ウルウル

律「うっ…(なんだこれ…何があったんだ…?)」

律「…澪、お前本当に大丈夫……」

律「!(スティックの先が濡れてる…!)」

澪「うう…」

紬「♪」

律「(なんだなんだ!これじゃまるで昨日の私………ってまさか!)」チラ

澪「うっ…ううっ…」

紬「♪」

律「(おいおい、こりゃマジか…?)」

律「(部室で澪と二人きりになった紬が澪を襲って…)」

律「(いや、違う…スティックは澪が持ってるし…)」

律「(なら紬が澪に強要した…?なんだそれ、ますますありえないぞ)」

律「(落ち着け、まずは状況確認だ…澪は…ダメだ、話しかけられる状態じゃない)」

律「(紬は……そうだ、紬はメールで遅れるって言ってたはずなのに…ん…これは)」

律「(……待て、今紬に聞いたらたぶん洗いざらい話してくれるだろうけど、その結果辛いのはおそらく澪だ…)」

律「(澪には昨日のことを許してもらった借りがある…借りがなくても私は澪を助けたい…)」

律「(それなら、今の私がすべきことは一つ!)」

律「澪、紬」

澪「…!」ビクッ

紬「はい♪」

律「そんなとこで座ってないで、さっさと練習するぞ」

澪「あ……うん…」

紬「はい(律っちゃん…澪ちゃんがナニしてたのか気づいてないのかな…)」

律「ああ、それと知ってるだろうけど、うちの問題児はまた補習だ」

澪「うん…」

紬「補習だなんて、大変ですね(それとも私がいるから積極的になれないのかしら…?それなら)」

紬「あー、ごめんなさい、私教室に忘れ物しちゃった…取りに戻らなきゃ」

律「(…!)そっか、わかった」

澪「……」

ガチャ  バタン

紬「……と見せかけて、ちょっとだけ覗かせてもらいますねっ♪」ソー


律「……」

澪「……」

律「……」

澪「……」

律「…澪」

澪「っ」ビクッ

律「ほら、立てよ。練習しようぜ(いい空気いい空気)」

澪「え…?あ…うん…」スクッ

律「…!(げっ、澪が座ってた床…濡れてる…)」

澪「……?……あっ(あっ!)」

律「さて、練習練習っと(気づかないフリ気づかないフリ)」

澪「…っ!…っ!(床まで濡れてる!消さなきゃ…!バレないように自然に…靴でこすって…!)」キュッ キュッ

律「さて…(…って!今スティック澪がもってんじゃん!まずったな)」

澪「…!…!……ん、どうした…?(気づかれた!?)」

律「あ、いや…(やべ、何て言おう)」

澪「………あ、悪い、スティック私が持っ…て……(あああああ…!!スティック濡れてる…!!)」

律「あー…っと…(あーくそ、澪泣きそうじゃん…)」

澪「はい……スティック……(どうしよう…気づかれるかな…!気づかれるよな…!)」

律「……おう、サンキュ」パシ

澪「……っ(まだ気づいてない…!大丈夫だ)」

紬「(律っちゃん!気づいてあげてよ!もうっ!)」


……

律「……」ダダダンダンシャーン

澪「……」ボボボボボ

律「……(ホントの先っぽしか濡れてないな…下着越しか…?)」ダダダンダン

澪「……(気づかれたらどうしよう聞かれたら何て言おうああっ)」ボボボボボ

律「……(まだ澪のって決まったわけじゃない、単に汗が染みただけかも……いや、ないか)」ダダダダシャーンダンダンシャーン

澪「……(律すごいスティック見てるな………これは…もう……)」ボボボボ……ボボ…ボ…

澪「……」

律「……ん、どうした?まだ曲の途中だけど…」ダダダ

澪「……もういいんだ、律」

律「……ん、何が?」ダダダンダン

澪「気づいてるんだろ?…最初から」

律「………」

澪「………だよ…な」

律「澪……」


紬「(澪ちゃんから言いにいった!?きゃー!)」♪


澪「私さ、嬉しくって、今日は唯も紬も遅れるっていうから…」

律「……」

澪「それで、一番に部室に来て……律のスティックで…」

律「……」

澪「そしたら…ロッカーから紬が出てきて、転んで、可愛い声だ、って…」

律「……」

澪「ごめん、律……私…私……!」

律「…人のものを勝手に使ったバチが当たったんだな」

澪「…!」

律「使うなら、事前に私に許可をとらないとなっ」

澪「律…!う…ううっ…うわああああん!」

律「おー、よしよし。怖かったなぁ、よく頑張った」ナデナデ

澪「うわああああん!」

律「よしよし」ナデナデ

澪「うっ……ひっく……」

律「もう大丈夫だよ、澪」

澪「でも……紬が…」

律「……」スッ

澪「ひゃっ…!」

律「(紬はたぶん扉の隙間から覗いてる)」ヒソヒソ

澪「え…?」

律「たぶん好きなんだろ、女の子どうしのアレが」

澪「え…でも…」

律「紬にも迷惑かけたみたいだしな、満足してもらえれば私たちも堂々としてられるだろ」

澪「満足って…紬が…?」

律「……澪」

澪「なに…………んっ」


紬「(ッッ!!ッッ!!)」ドキドキ

澪「……!」

律「ん……」

紬「(~~ッッ!!)」


やっと終わったよぉおおおお

紬「(っ!?)」ビクッ

唯「やっと補習終わったよおおおおお」ドタドタドタ


唯「あれ、紬ちゃん、そんなとこでどしたの?」ドドドドド

紬「あ、これは、その…」

唯「律っちゃんと澪ちゃんはもういるー?」

紬「うん…いるけど…」

唯「なら紬ちゃんも部室入った入ったー」ドドドドド

紬「あ、待って、今は…!」

唯「たのもー!」

バーン!

澪「!」

律「!」

唯「律っちゃん澪ちゃん、おいーっす!」

澪「…!」

律「…!」

唯「うええ!?」

紬「あわわ、あわわ!」アタフタ

律「お…」

澪「お…」



澪・律「おいーっす」






最終更新:2010年01月14日 20:41