「…ぅう」
頭が割れるような頭痛で目を覚ました私
所々、節々、つくつくと刺されたような痛みがある
それは手足、頭、腰、首、至る所から
「っつ…!」
私は自分の身体をまじまじと見た。
裸だ…。
まぁそんなことは今はどうでもいいんだけど
とりあえず私はこの部屋の、恐らく病院の手術室と思われる場所の寝台の上で寝ていたようで
その部屋は手術道具やらなにやらが散乱していて、まるで何かが暴れた後の様で
そして私の身体の至るところに注射痕や傷があって…私は手術をされていたのか…?
ん?
『私』?
『私』は誰だ?
どうやら記憶喪失と言う物みたいだ
困った…。
とりあえず混乱する頭で考えた事は
「ここを出よう…」
この部屋を見る所、窓が一つもなく、なんだが私は閉じ込められていたみたいで
その状況も気持ちも良いものではなかった。
力のあまり入らない足で立つが、立っているだけで精一杯
足がフルフルと震えていた。
頑張って一歩、歩こうとするも
「ふぎゃっ!」
思いっきり尻餅をついてしまった…
「ごくっごくっ…プハッー」
まぁ無事、あの部屋を出て
私の足も歩く事に慣れてきていて
さっき転んだ時の尻の痛みがちょうど引いてきた今この頃
このボコボコに壊されてしまった自販機の前に座ってコーラを飲んでいるわけですが…
なぜ人が一人もいないのだろう
大声を出してもなんの反応もなし
とりあえずこれを飲んだら人を探そう
「ごくっ…よし」
水分補給を済ませると、私はさっきよりしっかりとした足取りで病院内を散策し始めた
「はぁ…」
とりあえず、結果からすると病院内には人一人いず
ただただ体力を浪費する結果になって、私は病院のロビー内のソファーで寝ころがっていた
病院内は私が寝ていた手術室と変らない様子で
そこらかしこ手術道具など病院内にあるあらゆるものが散乱していて
やっぱり人が暴れたような感じだった
…なんでこんなことに?
なんかのウィルス!?映画じゃあるまいし
未知の生物とか!そして私はそれを倒すため闘ったが深手を負い病院で寝てたとか!
まぁ予想(妄想)はいくらでもできるんだけど
まぁそんなこと知るわけもない
だからこそ、それを知るためにも
小休憩を済ませた私は病院内から外に出ることにした
とりあえず患者用の服?を着て外に出てきた
日差しが眩しい。
…でも大丈夫
というのも病院内はほぼ全てというか多分窓という窓、
全てが開いていたため、院内散策時にもう慣れていたのだ
とりあえず空を見る
空は雲ひとつない快晴
よかった…こんな目覚めの日に雨だったらたまったもんじゃない。
外は寒くもなく暑くもなく
「秋かな?春かな?秋だったら焼き芋がおいしいな」
私は秋であることを望んだ
と、こんな事考えている場合じゃない
ここがどこか少しでも知るため病院名見ようと、看板を見上げた
『京都琴
全てを見る前に私はその場に屈した
頭を襲う激痛。
それと共に蘇る記憶。
私は京都に住んでいて、桜ヶ丘高校の生徒で高校生
年は17歳で私の名前は
名前は
唯「うっう…うううぅ……ぅ…」
1分ぐらいうずくまっていただろうか…やっと痛みが引いてきた。
私は痛む頭をさすりながら立ち上がった
記憶が蘇ったと言っても、ほんの少しだけ…
もう一回看板を見ればまたなんか思い出せるんではないかと思い
また看板の方を見上げた
『京都琴吹病院』
期待はずれだった。なんも思い出せなかった
頭痛すらなかった。
唯「失望したっ!」
私は看板の『琴吹』の部分を指しながら叫んだ
多分人の名前だと思うが、それを指指し「失望したっ!」
なんて失礼だったよね…なんて思いながら私は家路についていた
家に行けば誰かいるはず!と、この街の状況からすれば
とてもとても淡い希望を持ちながら私は歩いていた
時間は午前9時
平日であれば学校に通ってるであろう時間帯
休日であればまだ寝ている時間帯
唯「はぁ…」
今になって絶望感が漂ってきた
とりあえず家にいったらきっと兄がいるは…
あれ?兄?姉?弟?妹?
すっかり記憶から消えていた
私は歩を止めた
父母のことは思い出せる
そしてその2人の子供…つまり私
だがもう一人いた世話好きのなんでもできる…
思い出せない…
唯「はぁ…」
家に着けばきっとわかる。きっと思い出せる
なんでこんな事になっているのかも、なにもかも…
私は再び歩を進めた
絶望感はより一層深くなっていた
唯「確かここ・・・だよね」
2時間ほどかけて私はやっと家に帰ってこれた
本当はもっと早く着いただろう。道がいつも通りだったりすれば
ここまで来る途中の道全て車でごちゃごちゃしていたり(悪い意味で)
車で道が通れなくなっていたり(バリケード的な意味で)
そうゆう事もあって普段と景観も違うため迷ったりもしてしまった
そしてかれこれ2時間…
やっと腹ぺこにして家に着いた
家はなんにも変っていなかった
玄関の扉が頑丈そうな木板で完璧に塞がれている以外は
唯「」
どうしよう…
玄関から入るという選択肢は完全木っ端微塵に消えてしまった
だが運良くも都合よくも折りたたみ式の梯子が置いてあったため
私は上から家の中に上がる事にした。
唯「ん…おもっ!……よしっ…」
力のない私では苦労したが
やっとのことで梯子を立て掛けた
どうだろう。
梯子を立てかけるとまるでここから入ってくださいと言っているようなそんな感じだ
後ろに倒れて落ちちゃったらどうしようと思いながらも
登りきり、心の中でガッツポーズをしながらとりあえず安堵し
そして…私は真っ暗な部屋の中に入って行った
唯「暗いなぁ」
暗かった。だがそこまでというか全然荒れていなかった
というかただ散らかっているいつも通りの私の部屋だった
家の中はとても静かで
まるで人の気配は無かった
とりあえず自分の部屋を懐かしむのは後にして
人がいないか散策を始めた
最初に…『誰か』の部屋
唯「失礼しまーす…」
小さな声でそっと呟くと私はドアノブをガチャリと回した
なぜか緊張しながら慎重にドアを開けた
唯「…」
誰もいなかった。
愕然ともしたがなぜだか安堵もした
自分の記憶を知っている人がいるかもしれないけど
知るのが怖くなっていたからなのかもしれない
とりあえずその部屋はものすごい片付けられていて
整頓されていて…私の部屋と全然ちがう…
散策してもなにもみつからなさそうだった。
そしてふと目に入ったベット
とても整頓されていてあそこに寝転がったら気持ちいいだろうなと
思うと同時に私はすでに寝転がっていた
唯「はぁ…」
仰向けになっている身体に上から疲れが一気にのしかかってきた
今は丁度正午あたり12時だ
唯「お腹が減った…」
は戦はできぬ、なんて心の中で呟いて
私は一階に下りた。食べる物を探しに
ギィギィ…と軋ませながら階段を下りていく
台所もリビングも真っ暗だった。だが電気はつけなかった
めんどくさかったから。電気をつけるのもめんどくさくなるくらい身体の疲労はピークに達していた
そんなことはどうでもよくて、目的は飯。
冷蔵庫に直行した
愕然した、なにもなかった
「失望した!」って言う気力もなかった
唯「はぁ…」
溜息をつく暇なんかない、
とりあえずなにか食糧を探さなければ
食べないと死んでしまう…そんな感じ
私はどんよりしながら台所の奥の方に歩を進めた
コツン…コロコロ
コツン?コロコロ?
なにかを蹴ったようだった
ふと下をみると、そこには光り輝く鯖の水煮の缶詰様が転がっていた
心の中で歓喜すると私は放置してあった缶きりと
その場に他に転がっていた缶詰様各種(味噌煮、ツナ缶)
を持って階段を登っていった
朦朧とする
足場がふらつく
視界にノイズがかかる
そこは見慣れたいつも居た場所
何かの居場所
音楽室?
私の他に4人
少女達が立っている
黄色いカチューシャの似合う子『』
黒いサラサラの髪の毛の綺麗な子『』
金髪の草原のお嬢様みたいな子『』
ツインテール背のちっちゃい子『』
『』『』『』『』名前が思い出せない…
唯「うぅ…はぁはぁ…」
夢…か…
唯「寝ちゃったのかぁ…」
私は自分の部屋で寝ていた
机の上には各種缶詰様が残り汁一つなく完食されて放置されていた
食べた後の安堵感やらで寝てしまったのか
ふと時計に目をやる、時間は9時だった。
午後21時ではなく午前9時
AM9時
かなりの間寝てたようで…
…
…
頭が働かないせいでボーッとしていた
とりあえずなんとなく立ち上がってみた
唯「!」
強烈な尿意が襲来してきた
それもそうだ。何日分貯まってるんだか
唯「うう…ぐぐ…」
おぼつかない足で内股気味に私は階段を下りていった
リビングは昨日と変らない様…
ん…よく見ると何か変っているような…
窓に貼り付けられている木板の隙間から光が妖しく差し込んでいるけど…これか?
だが今そんなことは考えていられなかった
私はゆっくりとトイレに直行した
…
AM 09:14 平沢家周辺 『』
自転車での生存者探しは疲れる
まぁ散歩がてらなのだが、昼間太陽がでている間は安心できるし
「ふぅ…」
私は一息ついた
あ…そういえば髪を結ぶのを忘れていた
「ん…よしっ…」
後ろに一つに纏め上げると私は自転車をこぎ始めた
そしてちょうど元自分の家の前を通っ
「嘘…なんで梯子が…」
ガチャン
思わず自転車が倒れてしまった
…
ガチャン
唯「?」
なんか今、外から音が…間違いではない
はっきりと…まさか!人!?
クッ!…とりあえず今はこの尿意をどうにかしないと!
私はトイレの電気をつけるのを忘れてトイレのドアを開いた
恐らく
人ではない人がそこにいた
唯「え…あ…」
声がでなかった。いや、声にならなかった
暗いが大体わかる。灰色の肌。身体中の毛と言う毛はほとんど生えていない
身長は高く、裸。身体は常に鼓動を打っている
そして気味が悪いのは下を向いてブツブツいっている
危険だとわかった
なにもなかった振りをして後ろに下がる
慎重に…
だが
慎重に後ろに下がる私の足元に空の缶詰様が転がっていた
運悪くも踏んでしまい…
唯「ギャフ!」
これほど缶詰様がどす黒く見えたのは初めてだった
私が声を出すと『それ』はすぐさまこちらを向いた
「グボワア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
腹の底から出された
まるで腹の中が地獄のような
ドス黒い声
唯「あああああああああああああああああああああああ」
すぐにリビングの方に這いずりながら逃げた
太ももをなにかが伝っていた
恐らく尿、漏らしてしまった
でもそんなこと気にしないでできるだけ離れようと
…だが
完全に足に力が入らなくなった
動けなくなった。絶望
唯「うぁ…ぁ」
『それ』はものすごいスピードで近づいてきた
『それ』はこっちに走ってきた
今にも飛び掛ってきそうな勢いで
終わった
おわった
オワッタ
私は目を瞑った
「ギャア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
?
目を開けるとそこにはリビングの木板の隙間から
差し込んでいた光の元でもがいている『それ』がいた
光が苦手?私の命はそれによって延命された
だがこいつをどうにかしないと、状況は変わらなかっ
パンッパンッ
不意をつく様に乾いた音が鳴り響いた
「グギャア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
突然鼓膜を破るような音がやってくると
『それは』一層激しくもがき苦しんだ
血が噴き出していた
「うわああああああああああ」
叫び声と共にやってきたその人は『それ』が絶命するまで
包丁で刺して刺して刺して刺し刺し刺し刺した
全てが突然すぎて状況がわからなかったが
恐らく
助かった
ザクッ…ザクッ…
『それ』は絶命していたがその人はひたすら刺しつづけていた
唯「あの…」
私が言葉を発したその瞬間その人はピタッと動きを止めた
怖かった。その人の顔は暗くてよく見えなかったが
かなり険しい顔をしているのはわかった
恐る恐る私はもう一言
最終更新:2010年02月25日 12:33