二度目のあの夢
またもあのステージでライブ演奏をしているから
すぐに夢だと理解した
沸く観客。どうやら私達は結構な人気があるみたいで
これが私の望んでいた未来。そう思った
だが突然それはやってきた
一曲歌い終えた所でドンという衝撃に地震
私は──
目を覚ます。あの夢の中の音、衝撃は現実での物だった。
後ろでアズが喚いている。状況の読めない私はすぐさまりっちゃんに話し掛けた
唯「りっちゃんどうしたの!?」
律「起きたか、唯。ちょっとあいつらが居てな、びっくりしたよ」
あいつら。ダークシーカーか。恐らく車で轢いたのだろう
まさかこんな目覚め方をするとは、東京で目覚めると思ったのに
心臓に悪いよこれ…
律「あいつらまだ追っかけてきてるか、後ろ見てくれないか?」
私は後ろを確認する。いるはずもない、今この車は時速100km以上でてる
だが……異変に気づいた。あれ?──斉藤さん達の車が見当たらない
私は直ぐにそれをりっちゃんに伝えようとする
恐らくあいつらに襲われている。そう考えたが、考えを伝える前に無線が遮った
『律様!そちらの道ではありません!』
違う。誤ったのはりっちゃんだった。あいつらとの遭遇で動揺してしまい
正しい道に気づかなかったのだ
律「な!?くそっ!」
直ぐさまその場でUターン。来た道を戻るが、
車のライトが照らすその先──ダークシーカーズ。何人いるだろう。かなりの集団だ
律「唯!つかまってろ!」
それを聞いてすぐに閉め忘れていたシートベルトを締める
と、同時に私達の車はその集団に突っ込んでいった
ドンッドガンドッゴンッ
幾度も伝わる激しい衝撃、とその衝撃音。
車のこのスピードで人を轢く時はこんな感じなのか
やがてそれは収まり、今は落ち着いている。無事突破できた?
そんな事を考えていると、
目を瞑りながらうずくまっている私を見て
律「もう大丈夫だ唯!」
よかった…私はゆっくり目を開ける。ここは何処だろう?
唯「りっちゃんここ何処?」
律「わからない…だけど今、多分長野あたりだよ」
長野。確か群馬の左上らへん、群馬は東京の上あたりだから
あとちょっとの所まで来ていると分かったのだが、
りっちゃんは地図を必死に見ている。多分道に迷っている
デジタル時計はAM3時を示していた
『律様唯様大丈夫ですか!?』
その無線は突然入ってきた。斉藤さんだ。
律「はい、大丈夫です。なんとか撒きました。どこで合流しますか?」
しばらくの沈黙の後
『……すみません、合流はできません。
そのまま地図に従って進んでください。地図通りに進めなくても
慌てず地図に記してある高速道路を目指してください。
それに乗れば無事東京までいけます』
どこか斉藤さんは慌てている感じの声だった。斉藤さんも遭遇したのか?
はい。と、りっちゃんが返事をすると
『気をつけてください。東京で落ち合いましょう』
斉藤さんとの無線は電波が届かないのかそこで途切れた
律「よし、とりあえず地図に示してある高速道路を探そう」
そう言ってから1時間してやっと私達はその高速に乗っていて
唯「本当どうなるかと思ったよぉ、りっちゃん」
律「私も少しハラハラしたよ」
と無事高速に乗れた安堵からかのん気に会話をしている訳だが
律「ガムくれないか?」
唯「ほーい」
数時間前と同じようにガムを取り出し、包み紙を剥がす
そしてそれをりっちゃんの口に運ぶ。ガムを取り出す際に気づいた事だが
私が寝ている間にも結構ガムを噛んだみたいで、それが最後のガムだった
唯「これ最後のガムだからね!東京着くまで噛んでるんだよ!」
律「あと1時間近くもかい!」
思ったら1時間ガム噛むなんて当たり前だった
そんな会話を最後にしばらくなにも起こらず無事車を進める私達
だがもう少し走れば東京。という地点でりっちゃんは車を止めた。
私達は果てしなく続く無人車の渋滞の前で
律「しまった少し行き過ぎちった」
唯「もう!りっちゃん道間違えすぎ!」
どうやら少し前で高速を下りる様だったのだが、見逃したらしい
Uターン。そして来た道を戻る。──2時間前似たような事があった気がするが
気のせい気のせい。
律「ここ…だな。下りるのは」
そのまま高速を下りる車。
私はふと標識をみる。埼玉。
埼玉と記してあった
私はすぐにあれを思い浮かべる。
唯「りっちゃん!埼玉だって!しんちゃんのいる県だよ!」
律「ああ、そうだな。クレヨンしんちゃんね」
そう!クレヨンしんちゃん!
小さい頃「おしりぶりぶりー」なんて真似しようとして親に怒られた記憶がある
唯「ちっちゃい頃におしりぶりぶりーって真似するのは当たり前だよねー」
律「お前だけだぞ多分…」
なんてしんちゃん談話をしながら車を走らせ数十分
ある川沿いを走っていた。遠くに橋が見える。あれを渡ったら東京
りっちゃんがそう言った。
橋の手前まで来たところで突然りっちゃんが車のスピードを緩め
指で道路の地面を指しながら
律「唯見えるか?このブレーキ痕…多分斉藤さん達だ……
すごい急いでたみたいだな」
わかるの?と私が聞くと、りっちゃんは色々と話し始めたが
いかんせん、専門用語なんかも出てきたみたいで何を言ってるのかわからなかった
説明を聞く限り、本当に斉藤さんと憂の乗っていた車のブレーキ痕の様だ
唯「でもなんでそんな急いでたんだろぅ」
律「多分ダークシーズから逃げてたんじゃないかな」
そう話しながら私達は右に曲がり橋を渡ろうとした
その時、アズが何かに反応したように何回も吼えた
アズは気づいていたのだろうけど、私達は気づけなかった
気づいた時には遅く、すでに遅く
横からすさまじい衝撃が伝わってきていた
唯「きゃあああああああぁぁ」
突然の襲撃に衝撃。車への体当たりによる突進──あいつらだ
車はその衝撃によって走路を外れ標識に突っ込んだ
律「ぐッ……逃げないと……」
りっちゃんは直ぐにギア操作し車をバックさせ、橋の方に向きなおす
だが、奴等は前からも飛び掛ってき、そしてボンネットの上に乗る
ガラスに頭を打ちつけ、割ろうとしている
前が見えない。やばいとおもったその時にはすでに橋の高欄に突っ込んでいた
急ブレーキが掛かり川に落ちる事は無かったが
前タイヤが宙に浮かんでおり車が動かない。遠くにはあいつらの集団が見える
俗に言うピンチと言う状態だった
唯「りっちゃん早く!」
律「わかってるよ!」
バックする。バックしても後輪のタイヤも浮いているという
絶妙なバランス。私はりっちゃんに早くする様促しながら、横を見る
奴等が2人がこっちに走り向かってきている
唯「りっちゃん来てるって!!!」
律「わかってるって!!!」
その時、後輪のタイヤが地面に触れたのか車がバックする
やった。と思った、が
2人。2人がその時飛んだ。こっちに向かって走ったままの勢いで
頭突きをするように
1人目のそれで車が少し浮く、そして間髪いれず2人目の頭突き
その一撃によって私達の車は横転した
すっかりひっくり返ってしまった車
舞う埃。飛び散るガラス片。金属の歪んでいく音
額あたりから何かが伝ってくる──血か…
自分の事で頭が一杯だったが、ふとりっちゃんが心配になり見る。
シートベルトのせいか身体が宙ぶらりんに…気絶してるみたいだった
そしてそれは私の状況でもあった。
私は助手席の窓から外をみる…あいつらが大勢いる
逃げないと、そう思った直後ガタンと車が音をたて揺れた
すると助手席の窓に手がかかり顔を覗かせる、ダークシーカーだ
──オワッタ
そいつは顔を近づけてくる。なにも考えられない、
ただ心拍数と呼吸が早くなっていくのがわかった、そして私に噛み付こうとした
だがそれは突然
その時、外を光が包んだ
突然で何が起きたかはわからないが、青紫色に近い光?
私に噛み付こうとしていたダークシーカーはその光を嫌ってか逃げた。
しばらく光が見える方向を見ていると──人が近づいてきた
生存者?その人はナイフか何かでまずりっちゃんのシートベルトを切り
どっかに運んでいってしまった…外からアズが吼えているのが聞える
しばらくすると私もりっちゃんと同じように救われる
後ろで光っている光の逆光のせいで、その人の顔はわからない
ただわかったのは
眼鏡を掛けていると言う事だけ
薄れていく意識の中で分かる事は
今は車に乗っているみたいだと言う事
──なんで生きてるの
そう言われた。
2週間前程にも同じような事を言われた気がするな、はは……
とりあえず助かったみたい……良かった……
私はそこで意識を失った
「ん…」
どこ?ここは……窓から光が…眩しい
私は自分の状況を確認する──ベットで寝てるみたいだ
ふと隣を見るとりっちゃんも同様にベットで寝ている
──助かったのか
すると、どこかから包丁がなにかを切る音が聞える
───トントントントン
よく憂が料理をしている時によく聞く音
私はゆっくりとベットから立ち上がり音のする方へ向かった
その部屋をでると、目の前に階段がある。上に上る階段と下に下りる階段
どうやら3階立ての家なようだ。音は1階から聞えたので階段下りるを事にした
軋む音も出ないほどにゆっくり慎重に下りる
下りてすぐに見えるのは玄関、そしてリビング
私がリビングに足を踏み入れようとしたその時、右方から声が聞えてきた
トイレから出てきた誰か
綺麗な黒髪に大人っぽい身体つき、その人は
「起きたのか唯」
といった。なんで私の名前を知ってるの?なんて思うけど
知っていて当然だ。それは澪ちゃんなのだから
唯「澪ちゃん──だよね…?」
澪「そうだよ唯」
そう聞いた瞬間、私は勝手に身体が動いて、いつの間にか抱きついていた
唯「み゛お゛ぢゃーん!」
澪「あっ…抱きつくなってー恥ずかしいだろぉ!ほら和だって見てるし」
和…?まさか…
私は澪ちゃんが視線を向けてる方向を見た
太縁眼鏡をかけたショートカットの、スッキリした顔立ちの女の子
小さい頃からいつも一緒にいた──
唯「のどがぢゃーん!」
またも飛びつく
和「全く…大きくなったわね。鼻水出てるわよ唯」
和「全く…こんなに鼻水垂らして…服がびちょびちょじゃない」
唯「ご、ごめん和ちゃん」
一生逢えないと思っていた大切な人との再会。
澪「じゃあちょっと律も起こしてくるな」
お願い澪。と和ちゃんが返事をすると和ちゃんは私に質問してきた
和「唯…京都にいたの?」
唯「う、うん!そうだよ」
そう。と返事して沈黙
罪悪感と久しぶりという理由で、どう接したらいいのか分からなかった
しばらくして澪ちゃんが泣きじゃくってるりっちゃんを連れて階段を下りて来た
澪「おーい!離れろって!りつぅ!」
律「み゛~お゛~」
澪ちゃんに抱きつきながら下りて来たりっちゃんは、リビングに足を踏み入れ
ソファーに座っている和ちゃんを見るやいなや
律「のどがーっ!!」
と言って抱きついた
和「ちょ!離れなさいって律!」
律「な゛んでおま゛えだちいぎてる゛んだよー」
和「なによ生きてたら嫌なみたいな言い草じゃない」
律「ぞんなわげないだろ゛グズッヒクッ」
りっちゃんは泣き止み、和ちゃんから離れ私の隣に座った
私もりっちゃんと、よかったね。と、一言二言話した
感動の再会を果たした私達は落ち着いてソファーに座って集まっていた
和「全く着替えたばっかなのに、また着替える事になったじゃない」
「すみませんでした!」とりっちゃんと声を揃えて言う私
和「まぁ、いいわ…なにはともあれ会えて嬉しいわ唯に律」
私もだよ和ちゃんに澪ちゃん
澪「とりあえずさ、どうやって律達は生きてたんだ?」
律「ああ、そう──」
唯「ちょっと待って!」
?──と顔を?にする澪ちゃん達。
私は2年前の事、ウィルスの事と色々な事について謝った
唯「ごめんなさい!和ちゃん達を襲って!」
和「いいのよ唯。ウィルスの事もテレビで言ってた通りなんでしょう?
唯はわざとやったんじゃない。そもそも唯が自分の意志であんな事するはずないわ」
澪「そうだよ、あの時の事も憶えてないんだろ?なんも悪くないよ唯は」
ごめんなさいなんて言葉一つだけで許してもらえるはずない
でも和ちゃん達は許してくれた。それは本当に嬉しいことであった。
和「じゃあ話戻すわよ?」
と、和ちゃんが言うとりっちゃんがこの2年間の事全てを話した
ムギちゃんの豪邸で身を隠していたこと、衛星で生存者を見つけ東京に行く準備をした事
その準備期間中に私と出逢ったこと、色々と話し終えると思い出したように
律「あ、そういえばアズは!?犬が一緒にいなかった!?」
和「ああ、あの犬ね2階の風呂場の浴槽で寝てるわよ」
はぁー良かった。とりっちゃんは安心すると言った
律「じゃ!次は澪達がどう生き残ったのか教えてくれないか?」
すると和ちゃんと澪ちゃんは顔を見合わせ、何か考えたような顔をし
和「あれ…を聞かせた方が早いわね。澪」
澪「うん、そうだな」
あれ?ってなんだろう聞かせるということはカセットテープかCDか
考えていると、りっちゃんが私の言いたいことを言ってくれた
律「あれってなんだ?」
澪「私達がどうやって生き残ったのか、なぜこの都市にいるのか
その『理由』が残していった物だよ──」
最終更新:2010年02月25日 12:56