AM 11:00


ワイワイ、ガヤガヤ


唯「うわぁー!」


唯「こ、こ、が、今日のライブ会場の遊園地かぁ!!!」


バァーーーン!


唯「すっごぉぉぉーーーーーーー」


唯「ーーーく人が多くて中に入れない。」


澪「…………」


聡「…………」

唯「かれこれ一時間待ちですよ」


澪「着いてからが長かったな」


聡「DS持ってくれば良かった……」


唯「早くしないとお昼になりそうです」


澪「まあ、ライブイベントは夜8時過ぎてからだしな」

澪「……見てまわる時間は、たっぷりあるよ」


唯「そうかなぁ?」


聡「そうそう、本番は夜っすよ!」


澪「そうだ、中に入ったら、早めに昼食取らないか?」


唯「……澪ちゃんもうお腹減ったの?」


澪「ち、違う違う。ちょっと時間ずらした方が空いてるかなーって」


聡「あー、確かにそっちの方がいいかもしれませんね」

聡「あ、進んできましたよ」


澪「もうちょっとだな」


唯「うぅ……」


唯「もっと早く準備して出れば良かった……」


澪「ほぉ~ら、置いてくぞ、唯?」


唯「あ、ま、待って澪ちゃん……!」ダッ


―――――――――――――――――――

AM 11:20


聡「しっかし……」


聡「どこ行っても、人多いっすねぇ」


澪「(モグモグ)そうだな」


唯「早めにご飯食べて正解だったかもねぇ」


聡「そうっすね……」


澪「……さて、これからどうするか」


聡「唯さんは、どっか行きたい所とかあります?」

唯「私?」


唯「えっとぉ……」

ガサゴソ

唯「……ここ、行ってみたい」


澪「『映像と音響の部屋』……?」


唯「うん」


聡「ここから結構近そうですね」


澪「そうだな……よし、じゃあ行ってみるか」


―――――――――――――――――――

AM 12:30


――それでは、次のニュースをお伝えします

――昨日から今日の夜にかけて、都内の□□遊園地で大規模な音楽イベントが開催中です

――現地の女アナさん、聞こえますか~?


女アナ「はーい!」

女アナ「ただいま私は、遊園地内の中心部にある、パビリオンの前に来ていま~す!」

女アナ「こちらのパビリオンは、『映像と音響の部屋』といって、新しい技術により『目で音を見ることができる』という代物ものです」


女アナ「それでは、早速中に入ってみましょう!」


―――――――――――――――――――

女アナ「建物中は少し薄暗くなっておりますので、足元にはご注意下さい」


女アナ「……うわぁ、広いですねぇ~」


女性「……よっと」


女アナ「……あ、ほら見て下さい!」

女アナ「今、私の声が映像として目の前に映し出されています」

女アナ「分かりますかぁ~?」


女アナ「例えば、手を叩いてみますと……」

パン、パン

女アナ「ほら、すご~い!」


女アナ「このように、建物内では音の波長と振動を機械がキャッチして、周りに設置された云々(略)」


女アナ「それでは、中にいる人に早速インタビューしてみましょう!」


女アナ「今日は、どちらからおこしですか?」

唯「……ふぇ!?」

唯「あ、あの……△△から……」


女アナ「あ、結構近いところに住んでいらっしゃるんですね~」

女「そちらの彼はボーイフレンドですか?」


聡「……は?」


唯「あ、い、いえ違います!」

唯「今日は、友達と3人で……」


唯「ってあれ、澪ちゃ~ん?」

聡「澪さんならあそこに……」


唯「? 澪ちゃ~ん、こっちおいで!」


澪「フルフル」

女アナ「恥ずかしがり屋のお友達ですね~」


女アナ「それでは、ありがとうございました」


唯「は、はい!」


―――――――――――――――――――

唯「澪ちゃん、せっかくテレビに映るチャンスだったのに……」


澪「……映らなくて、いい」


聡「そうですよ、TVデビューするチャンスだったのに……」


澪「絶対やだ!」


聡「じゃあ次はどこ行きます?」

唯「う~ん、とぉ……」


唯「どこかでちょっと休憩しない?」

聡「そうっすね~、じゃあ喫茶店ぽい所に入りましょう」

―――――――――――――――――――

PM 01:30


聡「結構歩くの疲れますね~」


澪「唯、風邪の調子はどう?」


唯「うん、今のところ、平気だよ」


聡「まあゆっくりまわればいいっすよ、時間もあるし」

唯「梓ちゃんたち、もう着いたのかな?」

澪「……ホテルにでも泊まったんじゃないか?」

聡「多分、練習してるんすよ」


唯「そうだね、大切なライブだもんね……」



澪「……あ、そうだ!」


聡「どうしたんですか?」

澪「私、ちょっと用事があるの忘れてた……」


澪「悪いけど、しばらく二人でまわってくれないか?」


聡「別にいいですけど、どこへ……?」

澪「ごめん、すぐ戻るから」

唯「……じゃあ戻るときはメールしてね?」


澪「分かった、またメールする」ダッ


唯「行っちゃった……」


唯「…………」


聡「…………」


聡(……気まずい)

―――――――――――――――――――

澪(……せっかく来たんだから、二人きりにしてやらないとな……)

澪(私は他のところを見てまわろう)


聡「あ、あの、唯さん……?」


唯「……なぁに?」


聡「俺たちも、どこか他の場所を見に行きましょうよ」


唯「うん、そだねぇ……」
―――――――――――――――――――

ギター「ふんふふん、ふん♪」

ギター「ちょっとコーヒーでも飲んで休憩しよ~っと」

ギター「………ん?」


ギター「……あれ、あそこにいるのは聡?」

ギター「……それともう一人……女の子?」


ギター「……へぇ、可愛い彼女がいるじゃない」

ギター「…………」

ギター「ふふ……ちょっとイタズラしたくなっちゃうなぁ……」

―――――――――――――――――――

PM 4:00


ドラム「しかし、どこか見るっていってもなぁ……」

ドラム「梓は練習するって言ってるし……」


ドラム「ギターは相変わらずマイペースだし」


ドラム「こんな所を一人でまわる事ほど寂しいことはないな……」

ガサゴソ

ドラム「えぇっと、パンフレットには……」


ドラム「…………」


ドラム「よし、ここに行ってみるか……」


ドラム「『水と音の部屋』」

―――――――――――――――――――

澪「う~ん、しかし一人で見てまわるのは寂しいな……」

澪「でもやっぱり、唯たちはしばらく二人きりにしてあげたいし……」


澪「そうだ、パンフレット……」

ガサゴソ

澪「どこか面白そうなのは、と……」


澪「…………」


澪「『水と音の部屋』……これ、面白そうだな」


澪「……よし、ここに行ってみるか!」


―――――――――――――――――――

PM 6:00


唯「そう言えば、ここって普通のアトラクションとかもあるんだね……?」

聡「ええ……昨日と今日はイベントがメインですけど、他もちゃんと活動してますよ」

聡「ジェットコースターとか、お化け屋敷とか……ボートなんかもありますね」

聡「……ところで唯さん、結構見てまわりましたけど、大丈夫ですか?」

唯「あ、ちょっと休憩したいかも……」

聡「じゃあどこかのベンチで休みましょう」

―――――――――――――――――――

ギター「どこ行くんだろ……?」

ギター「あ、座った。……休憩かぁ」

ギター「さぁて……あの女の子はどうしてあげよっかなぁ……」

ギター「……あ、そうだぁ!」

ギター「さっき手に入れたこれで……クスクス」


聡「あ、俺、飲み物買ってきます」

唯「ありがとー」

―――――――――――――――――――

唯「……ふぅ、落ち着いたぁ」

聡「じゃ、そろそろ行きます?」

唯「うん、次はジェットコースター行ってみようよ!」

聡「いいですね、行ってみましょう」


―――――――――――――――――――

ギター「例えば……」

ギター「例えば、少量の摂取なら……まるで天国に行っちゃったような快感を得られてぇ……」

ギター「……でも大量に飲んじゃうと、文字通り天国に逝っちゃう……」

ギター「……うふふ、もしかしたら地獄かもしれないけど」

ギター「……さて、問題はどうやって飲み物に混入させるか」

―――――――――――――――――――

澪「ここが、『水と音の部屋』かぁ……」


澪「音楽を聞かせることで、美味しくなる水……」

澪「音によって変化する氷の結晶……」


澪「……ウソっぽ」


ブルッ

澪「し、しかし寒いなぁ……?」


澪「……氷が溶けないようにするため、こんなに温度下げてるのか?」

澪「早くまわって出ないと、凍えちまうぞ……」


澪「……ん?」


澪「あ、あれ? あそこにいるのって、もしかして……」

澪「…………確か」


澪「確か、梓のバンドのドラムの人だっけ……?」


澪「練習しなくていいのかな……?」


チラッ


ドラム「…………」



澪「あ、やばっ、目が合った……」

プイッ


澪「あ、あれ……?」


スタ、スタ


澪「あ、そっちは立入禁止区域……」


ドラム「…………」


澪「ま、また目が合った……」


澪「…………私?」


澪「………もしかして、付いて来いってこと……?」

ドラム「…………」


11
最終更新:2010年02月26日 01:22