シバ「結成以来30年間四天王の座に君臨し続け、トップは退いたものの今もなお四天王ナンバー2の座にいる!はっきりいって化け物だ!うーはー!」

律「唯!」

唯「うん!そのひとならムギちゃんのこと絶対知ってる!
  オーキド博士が言ってたのはその人なのかな」

梓「早く会いたいですね。行きましょう」

唯「うん。ありがとうございましたシバさん!」

シバ「俺に勝った以上は頑張れよ!うーはー!」

ガチャン ギギギギイイ バタン

キクコ「良く来たね・・・」

唯「え!」

律「あれ!」

梓「キクコさん?」

唯「キクコさんがなんでこんな所に?」

キクコ「あたしは四天王のキクコ・・・言ってなかったかい?」

唯「えええ!キクコさんが四天王!?」

キクコ「そうだよ。あんたたちがここまで来れるとは思ってなかったよ。大した奴らだ」

唯「あ、そうだ、あの事聞かなきゃ!キクコさんってオーキド博士の知り合いですか?」

キクコ「あんたオーキドのジジイを知ってるのかい?」

唯「はい、いろいろお世話になってます」

キクコ「ジジイ昔は強くていい男だった・・・今じゃ見る影もないがね!
    ポケモン図鑑作っているようじゃだめだ!ポケモンは戦わせるものさ!」

律「(やっぱ怖い・・・)」


キクコ「それで?ジジイがどうしたんだい?」

唯「あ、キクコさんにムギちゃん、紬ちゃんのことを聞こうと」

キクコ「・・・」

唯「ムギちゃんのこと知ってますよね?」

キクコ「その名を言うんじゃないよ!!」

唯「え!」ビクッ

キクコ「ああ、もちろん知ってるとも。だが話したくないね」

唯「そんなあ・・・」シュン

キクコ「ふん・・・いいだろう。だったら今からあたしに勝てば話してあげるよ・・・あいつのことを!」

………………

ポケモンリーグ エントランス

唯「負けちゃった・・・」

律「なんだよあのポケモン・・・ノーマル技が全然効かなかったぞ」

梓「初めて見るタイプでしたね」

唯「ふえー。でもキクコさん強かったなあ」

律「四天王だったなんてなー」

唯「言ってくれてもよかったのにね」

梓「私たちを試してたのかもしれないです」

唯「そうなのかなあ・・・ところでりっちゃん」

律「何?」

梓「何じゃないですよ。後で説明してくれるって言ったじゃないですか!
  あのたくさんの技マシン。どうしたんですか?」

律「あれも通りすがりの親切なおじさんに・・・」

唯「さすがにその説明はきついよ。りっちゃん」

律「う・・・」

梓「昨日までは持ってなかったですよね?一体誰にもらったんですか?」

律「そ、それは」

唯「教えてよりっちゃん。友達でしょ?」ウルウル

律「うう・・・」


………………

夜 屋上

バッサバッサ スタッ

澪「お待たせ」

律「・・・」

澪「律・・・?]

律「澪・・・。ごめん!」

澪「え、なに」

唯「おりゃー!」

梓「澪先輩!」

澪「うわ!ゆ、唯!梓!なんで!?」

律「ごめん・・・。技マシンのこと2人に問い詰められちゃってさ・・・」

唯「ひどいよ澪ちゃん!私たち、澪ちゃんのことすごく心配してたんだよ!?」

梓「そうですよ!なのに2人で夜に密会してたなんて!」

律「誤解される言い方するな。これにはな、ちゃんと理由があるんだぞ」

澪「待って・・・私から説明するよ。これは私が頼んだことなんだ。
  律は責めないで」

唯「ううん。責めてなんかいないよ。教えて?」

澪「私と律が再会したのは、半月ほど前だったかな」

梓「その時は確か・・・」

律「私たちがヤマブキから離れ、唯はマサラタウンに向い、梓はエリカのジムに特訓しに行き、私はニビ博物館にジョーカーを見せるためにバラバラになってた時だ」


………………

半月前 ニビ科学博物館


学芸員「なるほど・・・あのコハクからプテラが」

ジョーカー「ギャース!」

律「はい。お陰さまで色々助かりました」

学芸員「君に完全になついてるようだし、ここでそいつを飼う余裕もない。
    そのプテラは正式に君に譲ろう」

律「あ、ありがとうございます!よかったなジョーカー」

ジョーカー「ギャース♪」


律「さてと・・・今日はポケセンで泊まってこうかな。
  明日一応ジムに顔出してから待ち合わせのトキワに行こう」


夜 ポケモンセンター 宿泊施設

「・・・つ!りつ・・・!」

律「う~ん・・・。なんだあ?」パチッ

澪「律!」

律「うひゃあ!み、澪!」

澪「バカ!静かにしろ!」

律「澪、心配してたんだぞ!ロケット団の方は大丈夫なのか?」

澪「今日はそのことで律に頼みがあって来たんだ。みんなは?」

律「いや、今は私だけだ。ポケモンリーグに行く時にトキワシティで集合することになってる」

澪「そう。ちょうど良かった」


律「何なんだ頼みってのは」

澪「前に、ロケット団はセキエイにコネがあるって言っただろ?それを調べてたんだけど、どうやらロケット団の協力者がセキエイにいるらしいんだ・・・」

律「ふうん・・・」

澪「ロケット団の責任として、そいつを見つけてポケモンリーグをちゃんと機能するものにしないといけないからな。だけど私は、幹部の中では一番下だったし、その人物がわからない」

律「それが私への頼みと関係あるのか?」

澪「うん。リーグ本部の役員の所在は全員分かっているから、すべて調べたけど、ロケット団との関係はなかった」

律「ん?じゃあもういいんじゃないのか?」

澪「いや、本部に影響力を持ち、期間外は所在不明の人間が、4人いる。・・・四天王だ。 律たちは四天王と戦うんだろ?奴らの中に一人、ロケット団に協力していた人物がいる・・・四天王に会ったら、どんな感じだったか私に報告してくれないか?」


………………

澪「そういうわけで、律には四天王の中にいるロケット団の元協力者を探す手伝いをしてもらってたんだ」

唯「そうだんだ・・・。でも何で私たちには教えてくれなかったの?」

澪「全員に教えちゃうと、四天王との態度で怪しまれるかもしれないだろ?」

梓「確かに唯先輩は嘘とかつけなそうですけど・・・」

律「ごめんな。敵を騙すにはまず・・・ってやつだよ」

唯「ぶー」

澪「ごめんね、二人とも」

唯「澪ちゃんも一緒に戦ってくれるなら許してあげる」

澪「うーん・・・ちょっとそれは」

唯「なんで?」

澪「相手が私の顔を知らないとは限らないだろ?」

唯「えー。澪ちゃんも戦おうよー」

梓「唯先輩、仕方ないですよ」

澪「・・・わかったよ」

唯「え!戦ってくれるの!?」

澪「いや、一緒に戦うのは無理だ。ごめん。
  でも協力はするよ」


四天王 第一の部屋

ガチャン ギギギギ バタン

カンナ「いらっしゃい。キクコさんに負けたらしいわね」

唯「はい・・・また最初からやり直しです」

カンナ「いいわよ。通って」

唯「はい・・・え?」

カンナ「挑戦者はあなただけじゃないの。一日に何人も来るのよ。
    だからリーグ本部は四天王の負担軽減のために、一度勝った挑戦者は四天王    
    の判断で部屋を通過させることを許可してるわ」

律「そうだったんだ。よかったな唯」

梓「これでかなり楽になりましたよ」

唯「うん。ありがとうカンナさん。行ってきます!」


四天王 第二の部屋

ガチャン ギギギギ バタン

シバ「うーはー、うーはー・・・なんだお前らか」

唯「シバさん、ここも通っていいですか?」

シバ「部屋の通過は、四天王の判断で決めることができる・・・!
   つまり俺が再戦を望めば・・・うーはー」

律「げ・・・」

シバ「うーはー。冗談だ。俺は何も言わん。進んでくれ」

唯「ほっ・・・よかった。行ってきます!」



四天王 第三の部屋

キクコ「また来たんだね。あんたたち」

唯「はい。来ちゃいましたー」

キクコ「そんなにあいつの話が聞きたいのかい・・・まあいい
    行くよ!」


四天王のキクコが勝負を仕掛けてきた!

キクコはゲンガーを繰り出した!

唯「いけえ!ばさ☆ばさ!」

キクコ「!!新しいポケモンを入れたのかい・・・」

唯「ばさ☆ばさ!噛みつく!」

効果は抜群だ!ゲンガーは倒れた!

キクコ「・・・速い!」


キクコ「(それに前にこいつが使ってたポケモンたちよりもかなり鍛えられている・・・)
    ・・・アーボック!」

唯「ばさ☆ばさ、戻れ!・・・行けえ!サイクロン!」

サイクロン「がおー!」

キクコ「相性のいいやつを出せばいいってもんじゃないよ!アーボック!アイアンテール!」

効果は抜群だ!

唯「頑張れサイクロン!地震!」

効果は抜群だ!アーボックは倒れた!

キクコ「行きな!ゴースト!」

唯「サイクロンは弱ってるから交換を・・・」

キクコ「させないよ!くろいまなざし!」

唯「サイクロン!?戻って!」


キクコ「催眠術だ!」

サイクロン「Zzz」

キクコ「・・・夢喰い!」

サイクロンは倒れた!

唯「ああ、サイクロン!」

キクコ「ふん。あんまり調子に乗るんじゃないよ」

唯「・・・ごめん、またお願い!ばさ☆ばさ!」

キクコ「またそいつかい!戻れゴースト!
    ゴルバット行きな!」

ばさ☆ばさの噛みつく!

ゴルバット「キシャウ・・・!」

唯「ばさ☆ばさ!エアスラッシュ!」

律「進化前対進化後!唯が圧倒的有利だ」

キクコ「最初からこいつで倒すつもりはないよ・・・!怪しい光!」

ばさ☆ばさは混乱した!

唯「戻れ、ばさ☆ばさ!ジョーカーお願い!」

ゴルバットのエアカッター!効果はいま一つのようだ

ジョーカーの岩なだれ!効果は抜群だ!ゴルバットは倒れた!

唯「ありがとうジョーカー!」

キクコ「行きなゲンガー。・・・はあ」

唯「どうしたんですか?」

キクコ「この年になると戦闘中にテンションが持たないんだよ。
    若いあんたがうらやましいよまったく・・・」

唯「は、はあ」

キクコ「腰もいたんできたし・・・いたた」

唯「大丈夫ですかあ!マッサージしましょうか?」

キクコ「・・・なんてね!ゲンガー催眠術!」

ジョーカ「Zzz」

唯「ああ!」


律「おい今の卑怯じゃないのか!」

梓「ずるいです!」

キクコ「・・・今だゲンガー!シャドーボ」

唯「あ、キクコさん!腰はもう大丈夫なんですか?」

キクコ「は?」

唯「良かったあ。ぎっくり腰になったのかと思って心配しましたよお」

律「おいおい・・・」

梓「まさか騙されたのに気付いてない・・・?」

キクコ「・・・はあ、どこまでお人よしなんだい。あんたは」

唯「へ?」

キクコ「・・・もういい。私の負けだよ。戻れゲンガー」

唯「え?私の勝ち?」

キクコ「そうだよ。もう本当にやる気がなくなっちまった・・・
    あんたを見てるとあいつを思い出すんだよ」

唯「もしかしてムギちゃんのことですか?」

キクコ「そうだよ・・・約束は約束だから話してやるよ」

律「唯、やったな!」

梓「さすが唯先輩です!」

唯「わ、わたしは何もしてないよう」

キクコ「30年くらい前だったかね。最初のセキエイリーグは・・・
    最初のリーグだけは、今と違ってトーナメント形式でチャンピオンを決めたんだよ。
    予算が掛かり過ぎるから、次の年から今の四天王制になったんだけどね」



キクコ「そして、トーナメントの決勝戦で、あたしと紬が戦ったんだよ・・・」

唯「ムギちゃんとキクコさんが・・・!」

………………

30年前 セキエイ高原 ポケモンリーグ決勝戦


紬「行け!リリィ!」

キクコ「あんたの残りはそのギャロップだけ。私も残り一体!」

紬「ええ。いい勝負ね♪」

キクコ「・・・う!痛い!足が・・・!」

紬「え!どうしたのかしら・・・大丈夫?」アタフタ

キクコ「今だゲンガー!催眠術!」

リリィ「Zzz」

紬「あらあら・・・あ、もう足治ったのね。大したことなくて良かった♪」

キクコ「なんでこんな手に引っ掛かるんだい・・・」

紬「え?」

キクコ「・・・もういい。私の負けだよ」


………………

キクコ「そして紬が優勝し、初代チャンピオンになったのさ」

律「昔からその作戦使ってたんですね・・・」

キクコ「あれはね、対戦相手を怒らせるための作戦なんだよ。
    私のゴーストポケモンは人の憎しみとか負の感情を吸ってパワーアップするからね」

唯「へー」

キクコ「だからこういう、人を憎んだりしない子の相手は嫌なんだよ。
    紬に負けた時はショックだったね・・・
    私と同じか少し下の年齢の子に、
    私がしてきたような戦いとは全く違う戦い方で負けたんだから」

梓「やっぱりムギ先輩はすごいですね」

キクコ「その後、セキエイは準優勝だったあたしを四天王のトップに勧誘してきた。
    最初はくだらないことだと断るつもりだったが、紬に興味が湧いて引き受けることに
    したんだよ私にはない何かをあいつは持っているような気がしてね・・・
    こうして最初の四天王が結成されたんだ」

律「うん・・・でもちょっと待ってください。今聞いた話だと、ムギの名前を出しただけで怒る意味がわからないんだけど・・・」


キクコ「紬は、3年間チャンピオンの座を守り続けた。
あたしも四天王として紬を守り、信頼関係を築いていた。そう思っていたんだけどね・・・」

梓「思っていた・・・?」

キクコ「紬は突然失踪したんだよ・・・あたしに一言もなしにね。
    あたしは裏切られたんだ!」

唯「そんな・・・ムギちゃんは裏切ったりなんて・・・」

キクコ「あたしだってそう思いたいさ・・・友達だと思っていたからね・・・ん?」

唯「?」

キクコ「あんた達さっきから紬のことをムギと呼んでいるが・・・あいつは言っていたな。友達にムギと呼ばれていたって・・・でもあんた達があいつに会ったことあるはずないしね・・・いや、そもそもあんた達はなんで紬のことを知りたがってるんだい?」

唯「りっちゃん・・・」

律「唯が決めてくれ(でもこの人は多分・・・)」

唯「わかった。キクコさんなら大丈夫だよ。話すね・・・
  キクコさん、私たち、ムギちゃんの友達なんです」


………………

キクコ「・・・」

唯「こんな感じです・・・」

キクコ「驚いたね・・・あんた達と紬が違う世界から・・・
    でも通りで雰囲気が似てると思ったよ」

唯「信じてくれるんですか?」


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最終更新:2012年09月26日 23:00