無人発電所
澪「ここの中ならしばらくは安全だ」
シロナ「ここは?」
澪「無人発電所。カントーの電力供給の要です・・・作業は機械化されていて人はめったに立ち入らないから、ロケット団も隠れ家としてたまに利用していました」
唯「へー。こんなところがねえ」
シロナ「とりあえずこの機械の解析を再開しようか」ポンポン
梓「でも・・・ここで再開したからって私たちじゃ・・・」
シロナ「大丈夫よ」
梓「何が大丈夫・・・ってあれ?律先輩がいないです」
唯「りっちゃんなら私を降ろした後どっかに飛んでいったよ」
シロナ「手伝ってくれる人を連れてくるって言ってたわ」
ギュオン!
シロナ「戻ってきたみたいね」
律「おーい!機械に詳しい奴連れてきたぞー!」
スタッ
マサキ「なにすんねん!いきなり家に来たと思ったら強引に連れてきよって・・・」
唯「マサキさん!」
梓「なるほど・・・」
澪「マサキ・・・!?」
マサキ「そう、わいがマサキや・・・なんでロケット団がここに!?」
唯「前に話した澪ちゃんだよー」
マサキ「ああ、君が澪ちゃんか」
澪「あの・・・すいませんでした。ロケット団のせいでマサキさんがひどい目にあって」
マサキ「ええよ。君の事情はこの子らから大体聞いてるし・・・
で、見てほしい機械ってのはどれや?」
シロナ「これなんだけど・・・」
マサキ「えらい強引に持ってきたな・・・ちょっと待ってや。わいのノートパソコンに接続してっと・・・」
カタカタ
マサキ「えーっと・・・第一回大会チャンピオン・・・手持ち・・・これってまさか」
シロナ「殿堂入り用のコンピューターよ」
マサキ「な、なんやてー!ポケモンリーグの最高機密クラスのはずなんやけど・・・」
律「まあ、いろいろあったんだよ」
マサキ「・・・怖いから何があったかは聞かないでおくわ」
梓「それで、すべてのデータを見ることは可能ですか?」
マサキ「わいをなめてもらっちゃ困るで。こんなものちょちょいのちょいで・・・」
カタカタ
マサキ「よし・・・ロックを解除できそうや」
ザッ
シロナ「・・・!待って!誰かいる!」
スッ
ハヤト「そこまでだ」
シロナ「・・・追ってきたのね」
律「全然気付かなかった・・・」
ハヤト「俺は飛行ポケモンのエキスパートだ・・・隠密飛行くらいできるさ」
梓「・・・!」キョロキョロ
ハヤト「安心しろ。抜け出して追ってこれたのは俺だけだ」
マサキ「なんや・・・やばそうな状況やな」
唯「えげげ、見逃してもらえないですかね~?」
ハヤト「そんな言葉で見逃すと思うか?」
唯「えへへ・・・すいません」
ハヤト「それを渡してもらおうか」
シロナ「ハヤト君、どうしても見逃してくれないのなら、あなたを倒すしかない」
律「あ、そういえばこっちにはチャンピオンがいるんだ!ジムリーダーの1人や2人・・・」
澪「律!」
ハヤト「・・・あなたの強さは十分にわかっているつもりだ。
だが俺はジムリーダーとしてあなた達を見逃すわけにはいかないんだ」
シロナ「君はお父さんの後をついで最近就任したのよね?ちょっと気を張りすぎじゃない?」
ハヤト「・・・黙れ!行けっピジョン!」
シロナ「ここは私が!みんな下がって!」
ハヤト「ピジョン!翼で打つだ!」
ピジョン「・・・!」
ハヤト「ピジョン・・・?どうしたんだ!」
梓「怯えてる・・・?」
律「私たちのポケモン達も・・・」
カメ太「・・・」ブルブル
唯「大丈夫?カメ太・・・ゴン太は」
ゴン太「Zzz」
唯「寝てる・・・」
律「激しくデジャヴなんだけど・・・」
梓「ええ・・・」
唯「うん・・・これで3回目かな」
澪「・・・まさか!マサキさん!コンピューターの電源を抜いて!早く!」
マサキ「え?あ。ああ」
シロナ「あなた何か知ってるの?」
澪「ええ・・・ここにはめったに人が来ないと言いましたが・・・
一つは機械が自動化されてるから。でも、もう一つここに人が来ない理由があるんです
梓「理由って・・・?」
澪「ファイヤー、フリーザーと並ぶ伝説のポケモン、サンダー」
律「やっぱりあの2匹の仲間かよ!」
シロナ「カントーの伝説のポケモンに会うのは初めてね」
梓「そんなこと言ってる場合ですか!」
澪「サンダーは数週間に1回電気を吸収しに無人発電所に現れるんだ。 昔はここも普通の発電所だったんだけど、サンダーがあまりにも危険だから無人化されたんだよ」
唯「早く逃げないと~」
シロナ「そうね。行きましょう」
ハヤト「・・・」
シロナ「ハヤト君!?なにやってるの?逃げないと!」
律「今は敵とか言ってる場合じゃないだろ~?」
ハヤト「今はお前たちの事など、どうでもいい・・・
伝説の3体の鳥ポケモン。まさか俺が生きているうちに会うチャンスに恵まれるとは!」
唯「(そんなに珍しかったの?)」
律「(私と唯はもう会うの3匹目なんだけど・・・)」
ハヤト「鳥ポケモン使いとして、サンダーは俺が捕まえてみせる」
澪「無茶ですよ!サンダーはその名の通り電気タイプ!
鳥ポケモンなんて電気で一撃でしょう!」
ハヤト「鳥ポケモンを侮辱するな!」
律「急に熱くなったなこの人」
バッサバッサ
澪「・・・来た!」
サンダー「ギャーオ!!」
唯「うわ!怖い!」
ハヤト「来たなサンダーよ!俺はキキョウジムジムリーダーのハヤト!」
サンダー「ギャーオオ!」
シロナ「私たちは非難しましょう」
唯「え、でもあの人は」
シロナ「残りたいみたいだからそっとしておいてあげよう」
ハヤト「サンダー!!お前は俺が捕まえる!行け!ピジョン!!」
サンダー「ギャオ!」
バチバチバチバチイ!
ピジョン「」
ハヤト「」
サンダー「ギャーオ!」
バッサバッサ
澪「行ったかな。もう大丈夫みたいだ」
シロナ「ありゃー。やっぱやられちゃってるね。トレーナーごと」
律「ひでえ」
シロナ「トレーナをも巻き込む電気攻撃。さすが伝説のポケモンね」
梓「あの人は大丈夫なんですか?」
シロナ「気絶してるだけよ。ちょうど良かった。今のうちに解析しちゃいましょう。マサキさん?」
マサキ「あ、はい」
澪「気の毒に・・・」
ハヤト「」
………………
カタ
マサキ「これで・・・中に入ってる全部のデータが見れるようになったで」
唯「ありがとう!ムギちゃんのデータを見せて!」
マサキ「初代チャンピオンやな・・・お、”チャンピオンになった方へのメッセージ”っていうのがあるな」
律「見てみよう!」
マサキ「映像やな。今再生するわ」
カタ
ザー
紬『・・・』
唯「おお!ムギちゃんだ!」
紬『この映像を見られるということは、新たにチャンピオンになった方だと思います』
律「しゃべった!」
澪「ちょっと静かにしてろ」
紬『チャンピオン就任、おもでとうございます。私は
琴吹紬、初代チャンピオンです。
この映像を撮っている時点では、チャンピオンになって3年になります』
紬『このメッセージは、チャンピオンへのアドバイスとか、そういうものではありません。
チャンピオンになった方への個人的な頼みです』
紬『私は今年でチャンピオンを辞める決意をしました。理由は言えませんが、この地方から離れます。・・・チャンピオンになられた方なら、カントーまたはジョウト中を旅したと思います』
紬『もし、私が今から言う名前を一つでも知っているなら・・・その人をここに連れてきてもらえないでしょうか? 勝手な頼みで申し訳ありません。ですがその人たちは私の大切な友達なんです・・・どうかお願いします。 名前を言いますね』
紬『唯、澪、律、梓・・・憂、和』
唯「うそっ!なんで憂と和ちゃんも!?」
律「唯!画面に聞いても意味ないだろ!」
唯「だって・・・」
紬『その人たちの誰かをここに連れてきてくれたのなら・・・この続きの映像を見せてあげてください。 パスワードをかけてありますが、その人たちならすぐにわかるはずです』
ザー
澪「画面に文字が・・・」
唯律澪梓「!!」
梓「”ホウカゴ”・・・」
マサキ「この映像は終わりやな・・・言ってた通り続きにはロックがかかってるけど、解除するか?」
唯「大丈夫です、これなら」
律「うん・・・今から言う言葉を入力して」
マサキ「お、おお」
唯律澪梓「ティータイム!」
カタカタ
ザー
マサキ「また映像が始まった・・・パスが合ってたみたいやな」
紬『この映像を見ているのが私の知るみんなであることを願います・・・』
唯「ムギちゃん!見てるよ!」
紬『もしかしたら、この世界に来たのは私だけかもしれないけど、念のためメッセージを残します。私はある理由でポケモンリーグを去ることにしました・・・』
紬『私たちがこの世界に来た理由は、ポケモンが原因としか思えません。 みんなも、この世界にいるのなら、ポケモンという存在がいかに不思議なものか分かると思う』
唯「確かに不思議だよね~」
カメ太「?」
紬『私は今まで色々と調べてきました。この世界のことを。 そして、普通のポケモンを遥かに超えた力を持つ、”伝説のポケモン”が各地方で確認されていると知りました』
紬『伝説のポケモンには、実際に目撃翌例があるものや、言い伝えや物語の中にしか確認できないもの、いろいろある。私が旅したカントーにも伝説の3体の鳥ポケモンがいると言われているわ』
紬『でも、どうやらその3体は私たちをこの世界に連れてくるような能力は持っていないみたい・・・』
紬『だから私は他の地方を旅してみようと思う。まずはお隣のジョウト地方へ。
そこには”ときわたりポケモン”の言い伝えがあるから・・・調べてみるわ』
紬『これを見てるのは誰かわからないけど、私がさっきの6人の名を挙げた理由は』
紬『あの時・・・ザザ・・・ユイチャ・・・ザザザザザザ』
律「ちょ、ちょっと!肝心な時に!」
紬『・・・・・・・』
マサキ「・・・だめや。データが破損しててこれ以上再生できん」
唯「そんなあ」シュン
梓「でも、ムギ先輩がこの後どこに行ったかわかったじゃないですか!」
澪「そうだな。ムギがチャンピオンを辞めてからシロナさんに会うまでの空白が少し埋まった」
シロナ「ジョウトに行ってたんだ・・・過去をあまり語ろうとしない人だったから知らなかったわ」
唯「じゃあ私たちももちろんジョウトに行かないとね!」
律「そうだな。ムギの手がかりが見つかるかもしれないし」
梓「ちょっと待ってください。私たちは他の地方に渡れないんじゃないですか?」
唯「あ」
澪「それに関してなんだが、チャンピオンに勝てなかったときのことを考えてある計画を立ててある」
唯「おお!さすが澪ちゃん!」
律「でもあの計画はな・・・」
澪「うん。リスクも高いし、あまり勧められるものじゃない」
唯「やろうよ!ムギちゃんを探すためならなんだってするよ!」
梓「そうですよ!私もやます!」
律「だってさ?」
澪「・・・わかったよ。今、クチバの港にアクア号という船が停泊してる。
近いうちにカントーとジョウトを結ぶ連絡船として運航される予定で、今はテスト航海を何回かやってるんだ」
シロナ「へえ。で、その船をどうするの?」
澪「シロナさん・・・ここまで言ったらわかってますよね?」
シロナ「ふふ♪」
唯「え?なになに!その船がどうしたの?」
梓「あの、まさか・・・」
澪「ジョウトに密航するんだ。アクア号を使って・・・
それが無理なら、アクア号を乗っ取る」
唯「のの、乗っ取り!?」
澪「だから勧められる方法じゃないんだよ」
梓「澪先輩が言うんなら、私はやります!」
律「唯は?」
唯「だ、大丈夫だよ。私もやる」
マサキ「えらいことになってきたな・・・」
シロナ「君たちならきっとできるよ。私は行けないけどね」
唯「え!なんで?」
シロナ「私はジョウト中を旅してきたから、ジョウトには私を知っている人がたくさんいる。
ポケモンリーグと敵対してる今、私は君たちの足をひっぱることになるわ」
律「じゃあどうするの?」
シロナ「しばらくカントーのどこかに身を潜めとくよ。
そういえばマサキさん、あなたは私たちといる所をハヤト君に見られちゃってるけど、どうする? 私と一緒に来る?」
マサキ「は、はいお供させていただきます・・・」
最終更新:2012年09月26日 23:25