その凶悪な魔力を解き放ち3人を吹き飛ばす。

そして魔女は澪の下へと瞬間移動した。
まずは自身の攻撃を防げる澪を消すつもりだ。
律は走り出し、紬は銃を撃つ。

マレフィセント「グラビガ!」

ドン!グシャグシャグシャ!!

一瞬だった。律は間に合わず、紬の弾も外れた。
澪は原形をとどめていない。
そして次は律の方を見る。
徹底して役割を潰す気だ。


しかし紬も律も動揺していなかった。
この城に入った時点で覚悟をしていた。
そして何より

マレフィセント「グフ…キサマ…」

澪はまた立ちあがるから。

澪「私よりも先にまずムギを倒すべきだったな…」

マレフィセント「ただの人間の分際で…レイズだと…」

先に放たれた紬の弾は魔女を狙ったのではない。
弾に魔法を込めて澪を復活させたのだ。

律「終わりだ!」

ズドオン!!


律「さあ行こう!」

紬「今ので力使っちゃって立てないの。先に行ってて。」

律「しょうがねえな。おんぶしてやるよ。」

紬「え、でも…」

律「いいからいから。」

紬「でも…いいの?みおちゃん?」

律「ってそうゆう心配かよ!」

澪「な、なんで私に許可取るんだよ!」

紬「じゃあ、お願いします。」

律「どりゃあ!いくぜ!」


……

唯「ここにあずにゃんが…」

唯は一人で最上階まで来ていた。
最後の部屋の扉を開ける。

すると6人の少女が眠っていた。
その中にはアリスとジャスミンもいる。
いくら呼びかけても起きる気配がない。
憂と同じだ。
この現状を見て梓を心配し急いで部屋の奥へと進む。
そしてそこに眠っている少女がもう一人。

唯「憂!!」

やはり憂も目を覚まさない。
あれ以来ずっと眠っているのだろう。


その娘は心を失っている。

唯「だれ!?」

知らない声に振りかえるがその姿は梓に間違いなかった。

我が名はアンセム。闇の探究者。

そしてついには姿もアンセムに乗っ取られてしまった。

唯「あ、あずにゃんを返して!」

アンセム「ならば貴様もプリンセスの心を渡せ!!」

唯「え?」

アンセム「その娘の心がお前の中に眠っている!」

唯「憂が私の中に…」

アンセムが武器を出現させる。
それは6人プリンセス達の心から作られた特殊な鍵
不完全ゆえに心を求める。

アンセム「この人の心を開く鍵で引きずり出してやろう。」

唯「憂のためなら消えたって構わないよ。でもお前なんかに絶対渡すもんか!
  あずにゃんも憂も私が助ける!行くよギー太!」

アンセム「その決意もすぐに闇へと消える…」


……

律「急げ~!」

澪「最後の扉が見えたぞ!」


律「なんだよこれ…」

そこには今にも崩れ落ちそうな体で、なお立ち向かい続け頑なに心を守る唯がいた。
圧倒的実力差。見ていられなくなった律が紬を置いて走り出す。

唯「来ないで…」

しかし今にも消えそうな声で律を拒む。

唯「私の手で…倒したいんだ…」

そんなの無理だ。その体で何ができる。
しかし澪は律を引きとめた。

澪「信じよう。私らが信じなくてどうするんだ。」

その通りだ。信じる心が運命を切り開く。
唯に拒まれた以上、3人にできることはこれ以外にない。


アンセム「愚か…一人では何もできぬ小さな光よ。
     この娘と同じく実に愚かだ…」

唯「あずにゃんを…ばかにしないで…」

アンセム「撤回しよう…私はプリンセスを救うには貴様か自分が犠牲になればいいと教えた。」
     するといとも簡単に闇へと落ちて行ったよ。
     おかげで私の計画は円滑に進んでいる…実に賢い娘だ。」

唯「どんな思いで闇に進んだか知らないくせに…
  あずにゃんをばかにするなあああああ!!!!!」

唯の中で何かが弾けた。


唯の体が淡く光り出し見る見るうちに回復していく。

律「ムギがやったのか?」

紬「ううん。私はもう使えない。」

それは紛れもなく唯のチカラ。

アンセム「ほう。魔法を使えたのか。
     しかし回復したところで少しの時間稼ぎにしかならない。
     そこが愚かだと言っているんだ。」


しかし唯のチカラは予想を遥かに上回る。
アンセムの視界から唯が消える。
しかしそこから何かしらの思考へ繋がる前に唯の声が聞こえる

唯「こっちだ!」

ザシュ!

アンセムはその一瞬に何が起きたのか理解できない。
痛みが思考を加速させなんとか唯をその視界にとらえることができた。

アンセム「ち…凍れ!!」
唯「凍れええ!!」

ガキン!


アンセム「私の方が…遅いだと…」

動き出した光。闇が止められるはずがない。

唯「もっえろおオオおおおお!!!!!!」

アンセム「ぐあああああああ!!!!」

唯「最後だ!」

バタ…

闇を貫くかに思われたその光は突然失速する。

アンセム「私を凌駕する力…
突発的に溢れだしただけで貴様はそれを使える器ではない…闇に消えろ!」

ついにその鍵が唯の心を解放した。
しかし唯は最後の力を振り絞る

唯「お前も…道連れだ…」

アンセム「闇の私をどこに連れて行こうというのか…」

心の解放とともにその秘められた魔力を爆発させた。
無を有に現し、有を無に帰す力。

アルテマ


ドゴオオオオオオオオオ!!!!!

最大限まで解放された心が放つ魔力は止まることを知らない。
この世界の全てが崩壊し始めた。

アンセム「グガガガガガガ…私を…無に帰そうというのか…!」

仲間の3人は唯の暴走した魔力に巻き込まれ気付くと闇の中にいた。
そして目の前にはアンセムと、大きな扉。
唯はどこにもいない。

アンセム「これがキングダムハーツ…私の求めた闇への扉。
キングダムハーツへの扉が開かれ、大いなる闇が私を現実に引き戻したのだ。
貴様らに大いなる闇の力を見せてやろう。」


私…闇に落ちちゃうのかな…怖いなあ…


えちゃん…お姉ちゃん…


あれ…憂の声が…


まだお姉ちゃんは消えちゃダメだよ。

みんなお姉ちゃんを待ってる。

私も…会いたい…


パアア!


淡い光が闇を照らす。
唯はその光に導かれ進んでいった

唯「…ん。」

目を覚ますと最後の部屋がずいぶんと崩れていた。
そして憂が嬉しそうに飛びつく。
相当泣いたのだろう。目が赤みを帯び頬には涙を伝った跡がたくさんある。。

唯「ありがと。憂!」

憂「今度は私がお姉ちゃんを守る番だから。
今まで私を守ってくれて…ありがとう。」

唯「お姉ちゃんだからね!次はみんなを助けなきゃ」

憂「みんなはあの闇の中にいるよ。」

憂の視線の先には何もない空間に漂う闇の穴があった。

唯「行ってくる!」

穴に入ろうとすると夢に出た闇の住人が話しかけてきた。
その声はあのときと違ってかなり近い。

キミは一度闇に落ちた

もう日は昇らない

キミを守る光はない

唯「大丈夫だよ。」

唯「お待たせ!」

闇の中に入ると満身創痍で戦う3人がいた。
その声を聞いて三人の顔が少しほころぶ。

澪「やっと来たか…」
律「おっせえよ…」
紬「みんな待ってたのよ…」

唯「えへへ。」

アンセム「小さな光が群れたところで何も変わらぬ。    
     全てはこの大いなる闇に溶けるのだから。」

みんな分かってる。
自分がいかにちっぽけで相手がいかに強大かなんて。
それでも唯がいるだけで何となくいける気がする。
唯はその小さな光でみんなとどこまでも大きく輝く。

唯「よし!やろう!」

その唯がなぜかギターとして鍵を構える。
しかし不思議と疑う気は起きない。
4人は楽器を構えた。


私を変えた音楽


そこで出会ったかけがえのない仲間


りっちゃんが元気を振りまく


澪ちゃんが勢いを作る


ムギちゃんが安らぎをくれる


あずにゃんが調和を生む


繋がる心


これが私の光


もう私を守る光はない。
でも大丈夫。ここに私の光があるから


アンセム「ぐあああああ…心が…照らされる…」

唯達の音から光が溢れだす。
どんな闇にも負けることない光。

アンセム「闇が足りぬ…キングダムハーツよ…我に大いなる闇の…」

唯「違うよ!」

唯がアンセムの言葉を遮る。

唯「キングダムハーツはどんな闇も照らすことができる。」


唯「光なんだ!」


パアア!!


さっきまで闇を吐き出していたキングダムハーツ。
しかし唯に答えるかのように光を放つ。

アンセム「なぜ……光が…!」

闇へと繋がる扉。
けどその闇の中にも光がある。

ありがとう。あずにゃん


唯「よし扉を閉めよう!」

澪「うわ!!忘れてたけど…
キングダムハーツを閉めるには2人の勇者が必要だってマーリンさんが言ってたよな」

紬「あ、いってたわ…」

律「へ?マジか!?じゃどーすんだよ!」

唯「大丈夫。もうすぐ来るよ。」

暗くてよく見えないが扉の向こうから人影がやってくる。

すたすた…

梓「ふう、お待たせしました…」

律「あずさ!」

紬「おかえりなさい。」

澪「心配したぞ。」



律「てか梓がキーブレード持ってるのか!?」

唯「持ってるよね。」

梓「そうですけど。まず言わせてください…
みなさん…ただいまです。心配かけたと思います…本当にごめんなさい。」

唯「あずにゃんは可愛いからそんなこと気にしなくていいんだよ~!」

梓「ぐず…ゆいぜんば~い…」ポロポロ

唯「よしよし。また会えたね。」

梓「なんで今日はぞんなにぜんばいらじいんでずが~…」ポロポロ

唯「せ、先輩だからだよ!」

律「今じゃ梓も唯にべったりだな」

紬「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふうっふふ」

澪「む、ムギもどってこーい…」

紬「あ、つい…」


梓「じゃあそろそろ鍵を閉めましょうか。」

梓が再び扉の裏側へと進む。

唯「どこ行くの!?」

梓「KHは表と裏から閉じなくちゃいけないですから…」

律「じゃ世界が元に戻っても梓は帰ってこれないのか!?」

梓「そうゆうことになります…でも大丈夫ですよ。
  また会えますから。」

唯「うん。そうだね。また会えるよ!」



こうしてキングダムハーツの鍵が閉じられ旅の全ての目的を終えた





アンセムレポート7

世界は心強き者に鍵を委ねる

光の勇者は平和をもたらす

闇の覇者は混沌をもたらす

光と闇一つになりしは秩序をもたらす

鍵の名はキーブレード


世界の秩序乱れし時世界の心は扉を現す

世界の行く先を鍵の勇者に委ねる

扉の先は開いた者だけが知る

扉の名はキングダムハーツ


世界の扉を守りしは七つの光

七つの光は鍵となる

光の名はセブンプリンセス




最終更新:2010年03月03日 01:05