アンセムレポート8

世界中の文献から7つの光の心がKHへの扉を出現させることが分かった

しかし不覚だった。

あの存在しない者の心がハートレスに怯え姉の心に隠れてしまった

このままではキングダムハーツにたどり着けない。

どうにかして姉の心を解き放たねば。

鍵が扉を開くものならば、使い方次第で人の心の扉を開くことだってできるに違いない。

しかし私に鍵を使う力はない。

彼女の姉の体を奪って心を開放させては私まで消えてしまうだろう。

だが不幸中の幸いとでも言うのだろうか。

彼女の仲間にもう一人、鍵を持った少女がいた。

もはや私はそのような運命の下に生まれたのだろう。

ならば、行こう。

闇のその先、未踏の地へ






Reverse story

―ホロウバスティオン―

梓「ん…ここは?他の世界…?」

どうやら他の世界の城の前にたどり着いたようだった。
隣では憂が眠っていた。

梓「うい!」

やはり起きない。
そもそも憂を助けるために世界の扉を開いたのは梓だ。
これからのことを考えていると一人の男が城の方から歩いてきた。

その娘は心を失った…

梓「誰ですか…というかなぜ憂の事を…?」

アンセム「わが名はアンセム…闇の探究者…」

梓「憂の事、なにか知ってるんですか?」

アンセム「その娘の心は姉の中に隠れてしまった…」

梓「じゃあ唯先輩がいれば元に戻るんですか!?」

アンセム「その娘を起こすには姉の心ごと引きずりださねばならない…」

梓「つまり…憂を助けたら先輩がこうなる…ということですか…」

アンセム「そいつは特別だ…心を解放された者の体は消えてなくなる…」

梓「そんな…起きた時に唯先輩がいなかったら憂が…そんなの助けたとは言えません。
  なにか他に方法はないのですか!?」


アンセム「ならばキングダムハーツから心を分けてもらえばいい」

梓「キングダムハーツ…?」

アンセム「KHとは世界の心を納める扉…心とは闇…全ての心は闇から生まれた…」

梓「KHにはどうやって…?」

アンセム「KHへの扉を開くには7人の選ばれし心が必要となる…」

梓「7人も…」

アンセム「だがおまえが7つの心を集めるのは不可能だ…」

梓「な、何でですか。」

アンセム「なぜならその眠っている娘がセブンプリンセスの一人だからだ…」

梓「え…!」

アンセム「だがもう一つの方法がある…おまえがハートレスとなればいい…」

梓「ハートレス…?」

アンセムが腕を振るとあの忌まわしい影が現れた。


梓「あ、あいつらがハートレス…ういを助けるには私があれになるしか…」

アンセム「私もセブンプリンセスを必要としている…
     おまえがその娘を起こせないならば…そいつの姉を…」

梓「唯先輩に手を出したら怒りますよ!」

アンセム「後に答えを聞こう…他のプリンセスが揃うまでに答えを出せ…」

梓「分かりました…」

アンセム「おまえに力を与えよう…」

アンセムが梓に手をかざすと黒い力に包まれた。

梓「力が湧いてくる…」

アンセム「それが闇の力だ…それで世界を渡ることもできる…そして次がこれだ…」

シュイーン!

アンセムが梓の腕を握るとその力は梓の手の中に姿を現した。

梓「む、むったん…!?」

アンセム「それはお前の心が持つ鍵の力、キーブレード…その力を使いこなせ…」

梓「キーブレード…」


憂にアンセムが近づき肩に抱える。

梓「憂に何するんですか!」

アンセム「こいつは預かっておく…」

梓「それは許さないです!!!」

梓は鍵を構えアンセムを睨む。

アンセム「私と戦おうというのか…無駄なことを…」

しかし実力の差は歴然。
アンセムのかざした手から闇の波動が放たれ梓の体は吹き飛んだ。

ドシャア!

梓「う!!」
闇に飲み込まれるな…闇を飲み込む闇となれ…

アンセムは憂を連れて闇に消えていった。

梓「うい!!」


まただ

また憂を守ることができなかった

なんて無力なんだろう

このことは唯先輩には言えない

きっと自らを犠牲にしてでも憂を助けようとするから

唯先輩はそうゆう人だから



私が闇になろう



仲間を守れる闇に



―ハロウィンタウン 広場―

シュン!

梓「うわっと!!」

梓が闇の力でたどり着いた場所は恐怖と絶望の街ハロウィンタウン
年中ハロウィンをしている物好きな世界。

ゆら~ゆら~

梓「ハートレス!」

シュイーン!

突然おばけのハートレスが目の前に現れすかさず武器を出す
しかしなかなか襲ってこない。一定のリズムで左右に揺れているだけだ。

ゆら~ゆら~

梓「お、踊ってるの…?」

梓がおばけを見ていると街の中心で何かが始まった。
何かの予行演習のようだ。


町長「井戸にご注目ください!ご紹介しましょう!」

町長「我が街の主役にして、悪夢と恐怖の王!
   ジャックスケリントン!」

ヒュードロドロドロ…

ボコボコボコ…

井戸から骸骨のような人が徐々に昇ってくる。
そして完全に昇りきったところでキリッとポーズを決めた。

町長「ブラボー!ジャック!これは今までにない見世物ですよ!」

ジャック「嫌ダメだ。心のないハートレスにはゾーッとくる怖さを表現できない…
     恐怖を知らないものに恐怖は表現できないからね!
     そこでフィンケルシュタイン博士に心を作るように頼んだんだ!

心を作る!?それなら憂の心もどうにかできるんじゃ…!
この時梓は気付いた。あいつに言われた以外の方法があるかもしれないと
これがこれからの梓の旅の目的となる。

ジャック「そろそろできたころだろう!博士の所へ行ってくるよ。」

梓「待ってください!」

ジャック「お、今度のハロウィンの出し物のリハーサルをそこで見てた子だね。
     どーしたんだい?」

梓「今心を作るって言ってましたよね!興味があるんです!
  私もその博士の所へ連れてってくれませんか!?」

ジャック「うーん…キミの格好を見たところ…
いまいち恐怖というものが分かってないみたいだね。

梓「恐怖ですか…。」

ジャック「これはトップシークレットなんだ。君には見せられない…。
恐怖というものが分かったらおいで、研究所はすぐそこだから…じゃあね」

梓「ハロウィンの衣装なんてあるわけないよ…
はあ、こんなときにさわこ先生がいたら…使えないなあ…」

さわ子「なんか言った…?」

梓「ひい!な、ななななにも使えないだなんて言ってないですよ!」

さわ子「ひどい…」


さわ子がこの世界で建てた家にあがらせてもらう。
とても立派で大きな家だ。ここは地価や物価が低いのだろうか。
などと梓は考えながら地球がどうなったか語った。

さわ子「そう…地球がなくなっちゃったのね。」

梓「そうです。それで気づいたら私は他の世界にいて憂が…
(あ、これは先輩達に伝わると困るから言わないでおこう)
…なんでもないです。それでそこでワープする方法を教えてもらってさっきここへ」

さわ子「私は目が覚めたらここにいたのよねえ」

梓「ここに軽音部の先輩達はいないんですか?」

さわ子「いないんじゃないかしら?
でもここは楽しいわよ!みんなのハロウィン衣装作ったらおおウケしてね!」

梓「そうだ!私にも作ってください!」

さわ子「あら!梓ちゃんから頼むなんて珍しいじゃない!」

梓「まあ他に頼れる人もいませんからね…」

さわ子「じゃあ張りきって作るわよー!」

梓「あんまり張りきらないでください…」


小一時間くらいして衣装が出来上がった。
梓は早速着替えてみる。

さわ子「やっぱり梓ちゃんは何着てもかわいいわね!」

梓「こ、こんなの…恥ずかしいですよ…///」

さわ子「なんで~?色気もあっていいじゃない!」

梓「色気重視しすぎです!
  おしりなんて…これ…ほとんど見えちゃってるじゃないですか…///」

さわ子「じゃあこっちにする?」

梓「こっちでいいです…頼む人を間違えました…」

さわ子「せっかく作ってあげたのに!」

梓「まあないよりはましです…ありがとうございました。ちょっと行ってきますね。」




―研究所―

ガチャ

梓「し、しつれいします…どうで…しょうか?」

ジャック「すごくいいよ!それにこれはデザイナーさわこの物じゃないか!」

梓「そんなに評価されてるの!?」

ジャック「そりゃそうさ!あんなクレイジーでビューティフルな女性は見たことない。
キミの熱意は伝わったよ。分かってると思うが改めて、僕はジャックだ。」

梓「私は梓です。」

ジャック「ちょうどよかったね。いま心ができたところさ!」

その心とは思えないほど無機質な心はドクンドクンと心臓のように脈打っていた。

梓「これが…こころですか?」

ジャック「ああ!今から試してみるところさ!」



―ブギーの館―

ブギー「あともう少しだ!もう少しハートレスを増やせば
グミブロックの壁を食べるハートレスが出てくるはずだ!
そうすればここの世界の秩序が乱れここの鍵穴がどこかしらに出現するはず…。
そして俺がヴィランズの中で一番に鍵穴にハートレスを送り込んで見せる!」

ロック「ブギー聞いてくれよ!」

ブギー「なんだ!おれは忙しいんだ!」

ショック「そう言わないで聞いてくれよ!」

バレル「ジャックの奴が心を作ったらしい!」

ブギー「なにい!ジャックのやろうが心を作っただと!?
    それがあれば俺様は自分の心を汚さずにハートレスを操れるってわけだ!
    必ずそいつを奪ってこい!」

ラジャー!



研究所―

ジャック「じゃあハートレスに取り付けるよ…」

ロック「どーん!」

なんと実験がこれからという時に3人の子鬼たちが邪魔に入った。
リーダー格の一人がジャックに体当たりする。

ジャック「うわあ!心が!」

手に持っていた心が宙に投げ出されうまいこと女の子鬼の方へ飛んでいく

ショック「こいつはいただくよ!」

梓「それを返しなさい!」

ショック「奪ってみろよ!このケツ出しおばけ!」

ロックショックバレル「あはははははーwwww」

子鬼たちは嵐のように突然やってきて心を奪い去っていった。
一つの傷跡を残して。

ジャック「追いかけなきゃ!梓ちゃんは―」

梓「やってやるです!!」

ジャック「いいね!すごく怖いよ!さあ行こう!きっとブギーが悪さするに違いない!」




―ブギーの館―

バレル「はあ、はあ、持ってきたぜ!」

ブギー「ほう!これが心か!」

ガチャ!

ジャック「心を返せブギー!」

ブギー「少し遅かったな!こいつには俺の心の代わりに働いてもらうぜ!」

ゴク!

心を鷲掴みにするとその大きな口で飲み込んだ

ブギー「さあハートレスよ!奴らをけちらせ!」

ざわざわ…

ハートレスが集まってくる音がする。
しかしそれほど数は多くない。

梓「たった2体…」

ジャック「心は失敗だったみたいだ…」

ブギー「くっそおおお!!!俺をコケにしやがってえええええ!!!!
    ロックショックバレル!こいつらを蹴散らすのを手伝え!」


ジャック「準備はいいかい?」

梓「はい!」

鍵を構え戦闘態勢に入る。
ジャックがブギーを、梓が子鬼たちを相手した。

ザシュザシュ!

梓「はあ、はあ、どうだ!」

ロックショックバレル「うう…」

梓「さあさっきのをあやまって!」

ショック「うるさい!ケツ出しおばけ!」

ピカゴロゴロゴロ…

梓「よく聞こえなかった…」

ロック「うっせえ!ケツ出し胸なしお―」

ドカーン!!!!!!!!

ロックショックバレル「…」ぷしゅう…

梓「誰が胸なしだ!」

なぜか梓は雷の力を手に入れた。


ブギー「ジャックゥ…ハロウィンに浮かれすぎてたんじゃないかあ?」

ジャック「くそ!少しは心が正常に動いてるらしいな…」

ドス!

ブギー「うっ!」

普段ジャックがブギーに負けることはない。
しかし心の働きもあって今回はブギーの方が優勢だった。
調子に乗って次から次へと攻撃を加える。

梓「イカズチよ!」

バチイ!!

そこに役割を終えた梓が参加した。

ブギー「うお!なんだあ?さっきの小娘か?この程度の電撃が俺に聞くとでも」

ブギーにとっては効くはずのない微弱な電流。
しかし様子がおかしかった。


ドクン……ドクン…ドクン、ドクンドクンドクンドクドクドク!!!!

ブギー「な、なんだ…おれの心が…暴れだして…」

梓「弱かったんじゃないです。全身に電気が周るようにしたんです。
  装置にも電気が流れて誤作動を起こしたんじゃないですか?」

ブギー「くそ小娘がああああ!!!!!!」

ドクドク…ドク……ドッカアアアアアアン!!!!!!!!!!

ビチャビチャ!

心が爆発しブギーの内容物が飛び散る。主に虫。
それが梓の顔面にも飛び散る

バタン…

あまりの刺激の強さに梓は意識が飛んだ。

ジャック「梓ちゃん!よく頑張ったよ!街まで僕が運ぶとしよう。


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最終更新:2010年03月03日 01:15