ダニー「ジョーイ! ちょっと来てくれないか?」

ジョーイ「どうしたんだい? そんな大声出して」

ダニー「さっき届いたジェシー宛の荷物なんだけど…」

ジョーイ「ん~なになに~? ワオ! 日本からじゃないか!!」

ダニー「そうなんだよ、問題はその品物なんだけど…」

ジョーイ「ちょっと待って当てるから……。分かった日本産のポルノだね」

ジョーイ「ジェシーも隅に置けないね。ブッカケってか」

ジョーイ「僕も後で見せてもらおうかな…」

ダニー「ジョーイ…」

ジョーイ「ごめん、冗談だよ。ダニーがそういう冗談が通じないことも知ってたけど…」

ダニー「むしろそっちの方がマシだったかもしれない…」

ジョーイ「えっ?」

ダニー「女の子のフィギュアなんだ」

ジョーイ「フィギュア? あのジェシーが!? おいおいキミもそんな冗談よして…」

ダニー「僕も冗談であってほしいと思っているよ…」

ジョーイ「本当なの?」

ダニー「ジェシーには悪いと思ったけど、僕も日本からというのでキミと同じ発想をしてしまってね…」

ダニー「子供の教育にも悪いし中をあらためさせてもらったんだ」

ダニー「あらかじめ言っとくけど、決して後で借りようなんて魂胆はないからね」

ジョーイ「そんな事言った方が怪しいよ」

ダニー「ああ…そうか…。で、中を見るとアニメの女の子のフィギュアがあったんだよ」

ジョーイ「へ~。まさかあのジェシーがね~」

ダニー「どうやら日本のけいおん!というアニメのフィギュアらしいんだけど…」

ジョーイ「!? そ、そうなんだ…」

ダニー「まったく…。まさかジェシーがオタクだったなんて…」

ダニー「きっと子どもたちを見る目も変態じみてるに決まってる」

ジョーイ「ち、ちょっと、それは言い過ぎじゃない?」

ダニー「オタクはヘンタイだって相場が決まってるんだよ!」

ジョーイ「そ、そんな。僕だってアニメ好きだけどそんな風に見えるかい?」


ダニー「充分そう見えるけど」

ジョーイ「ヒドイ……」

ダニー「ごめんごめん、冗談だよ」

ダニー「でもジョーイ。キミが言うアニメっていうのはどんなもんなんだい?」

ジョーイ「そりゃ~……トムとジェリーとかポパイとか…かな…」

ダニー「じゃあそのアニメにはこんなハイスクールに通ってる女の子が出てくるかい?」

ジョーイ「……出てこないね」

ダニー「だろ?」

ジョーイ「でもポパイにはオリーブっていうキュートなガールフレンドが出てくるよ」

ダニー「ジョーイ…少なくとも僕はオリーブには性的なものを感じなかったよ」

ジョーイ「それってヒドクない!? 全米1億のオリーブファンに謝ってよ!!」

ダニー「あ~いや、悪かった……ってそんなにいるのかい!?」

ジョーイ「当たり前じゃないか! 世の男性の殆どが初恋の人はオリーブって答えるよ!」

ダニー「信じられないな…」

ジョーイ「日本では999のメーテル、アメリカではオリーブ。これ常識だよ!」

ダニー「そのメーテルってのがよく分からないんだけど、キミの言いたいことはなんとなく分かったよ」

ジョーイ「ホント、勘弁してよね!!」

ダニー「そんなに興奮しなくたって…」

ジョーイ「ああ、ごめん…。自分の好きなもの貶されてつい熱くなっちゃったよ」

ダニー「いや、こっちこそ悪かったと思ってるよ」

ダニー「で、話を戻したいんだけど…」

ジョーイ「オリーブのどこが素晴らしいか?」

ダニー「そうじゃなくて、ジェシーのこのフィギュアのことなんだけど…」

ジョーイ「な~んだ、ガッカリ…」

ダニー「それはまた今度ゆっくり聞こうかな…」

ダニー「その、アニメのフィギィアだけど」

ダニー「明らかにポパイに出てくるオリーブとは違うと思うんだよ」

ダニー「もちろん! オリーブも魅力的だけどね」

ジョーイ「ありがとう。 でもまぁ確かによく出来たフィギュアだよね」

ジョーイ「って!? 何これ!! このフィギュアパンツ履いてるよ!!」

ダニー「そうなんだよ。そこが問題なんだよ」

ジョーイ「こんな短いスカートなのに!? これじゃあ絶対に見ちゃうよね!!」

ジョーイ「うっわ~。へ~。なるほど~ここがこうなって……」

ダニー「ジョーイ」

ジョーイ「悪かったよ」

ダニー「いいから、パンツをこっちに向けないでくれるかい」

ジョーイ「しっかし、ジェシーはこういうものとは関係ない生活を送ってるって思ってたんだけどな~」

ダニー「僕もショックだよ…」

ダニー「きっともうミシェルと話してる時なんか鼻息が荒くなってるに決まってる」

ジョーイ「そんな事ないと思うけど…」

ダニー「いいや! 何かあってからじゃ遅いんだ!」

ジョーイ「そんな大袈裟な…」

ダニー「ところで、そのジェシーはどこに行ってるんだい?」

ジョーイ「確か友達のライブのサポートに行ってるらしいけど…」

ダニー「帰ってきたら色々と聞かないと」


ステフ「ねぇパパ? 話ってなに?」

ダニー「ああ。ジェシーおじさんが帰ってきてからね」

DJ「ちょっとあんたまたなんかやったの? パパの剣幕すごいよ」

ステフ「知らないよ…。あっ!? まさか」

DJ「なに?」

ステフ「パパごめんなさい…。カーペットにこぼしたコーラあれ実は私なの…」

ステフ「ちゃんと拭いたんだけど、色が残っちゃって。そのソファーで隠してたのバレちゃった?」

ダニー「なにそれ!? 初耳だよ!!」

ステフ「えっ!? 違うの!? じゃあ、部屋のカーテンにぶら下がって引きちぎったこと?」

ダニー「…それも初耳だ」

ステフ「……」

ダニー「これとは別にステフにも色々と聞かなきゃいけないことがありそうだね」

DJ「あいかわらずバカね~」

ジェシー「よ~ただいま! どうしたんだ?みんなしてリビングに集まって」

ジェシー「はっは~ん、分かったぞ。みんな俺の今日のライブの話が聞きたくてウズウズしてるって訳だな?」

ジェシー「オッケー!じゃあまずは一曲目からな」

ジェシー「……いや、一曲目は遅刻して演奏に参加できなかったからパスな」

ミシェル「おいたんカッコわる~い」

ジェシー「んん~? そんな事を言うお口はコレか~!」コチョコチョ

ミシェル「おいたんくすぐった~い!!」キャハハハ

ダニー「や、やめてくれジェシー!!」

ジェシー「なんだよ? いつもしてることだろ?」

ダニー「いや、いつもの光景が今日は違って見えるんだよ」

ジェシー「なんだそりゃ…」


ダニー「その原因がコレだよ」

DJ「人形?」

ステフ「私のもってるバービーよりカワイイ」

ミシェル「おにんぎょうたん」

ダニー「これはけいおん!という日本のアニメのフィギュアなんだ」

DJ「アニメ!? そう言えば私のクラスにもこういうの好きな男子がいるわ」

DJ「気持ち悪いったらありゃしないの」

ステフ「私も知ってるよ。そういうのオタクっていうんだよ」

ステフ「こういうのってモテない人が集めてたりするんでしょ?」

ミシェル「あたちの」

ダニー「こらミシェル! 触っちゃダメだよ」


ミシェル「しましま」

DJ「うわっ…この人形パンツまで精巧に…キモチワルッ」

ステフ「私知ってる! こういうの集めてる人ってヘンタイっていうんだよ」

DJ「ほんと信じられない!」

ステフ「こんなの集めてる人の顔が見てみてたいよ」

DJ「きっとスッゴク気持ち悪い人よ!」

ジョーイ「もう、その辺にしといた方が……」

ダニー「これはジェシー宛に送られてきたものなんだ…」

DJ「えっ!?」

ステフ「やっぱりね! そう思ったんだ……ってジェシーおじさんの!?」

ジェシー「……」

ミシェル「おいたんキモ~イ」

ジェシー「!?」

ダニー「けいおん!というアニメは日本のTBS系列で放映されていたんだ」

ダニー「全14話で本編の最終回は12話なんだけど残りの2話は番外編として制作された」

ダニー「主人公の平沢唯という子が今まではなんの目標もなく過ごしたんだけど
    軽音部に入って成長していく姿を描いているんだ」

ダニー「でも、その軽音部ときたら練習はそこそこにいつもお菓子屋お茶をしてばかりの部活でさ」

ダニー「たまの合宿のときも結局は遊びになちゃってホント、もう嫌になっちゃうよね」

ダニー「そんな軽音部だけど学園祭のライブなんかでは結構普通に演奏しちゃったりするんだけど」

ダニー「まぁ、ぶっちゃけ彼女たちの普段の学校生活が見れるだけで満足ってファンもたくさんいると思うよ」

ダニー「そう、女子高校生の生活を覗くような。いわゆる『萌』アニメなんだよ」

ダニー「そんなアニメのフィギュアがコレなんだ」

ダニー「君たちの言う通り、コレはオタクのアイテムなんだよ」

ダニー「そんなオタクのヘンタイ野郎がこのジェシーだったって訳さ」

ダニー「なにか言いたいことはあるかい? ジェシー」

ジェシー「確かにコレを頼んだのはこの俺だ」

ダニー「やっぱり! こんなこと言うのは嫌だけど、オタクが見るようなアニメのフィギュアを集めてる人間と
    一緒に生活できるほど僕は人間ができてないんでね」

ジョーイ「それはちょっと言い過ぎじゃないか!?」

ジェシー「確かに…俺もそんなやつと一緒に暮らしたいとは思わねぇな」

ダニー「自分のことを棚に上げて何言ってんだい」

ジェシー「落ち着けよダニー。俺が頼んだからって俺がコレクションするために買ったとは限らないだろ?」

ダニー「どういうことだい?」

ジェシー「もうすぐミシェルの誕生日だろ?」

ダニー「ん? あ、ああ」

ジェシー「たまたまネットでカワイイ人形を見つけてさ。俺ピーンと来ちまってポチッって押したわけ」

ジェシー「だからまさかスカートの中までこんなに作り込んでるとは考えもつかなかったんだよ」

ジェシー「でも、もしミシェルが気に入らないんだったら捨ててくれても構わね~よ」


ミシェル「これあたちの!?」

ジェシー「そうだぞ~ミシェル。もしかして気に入らないのかな~?」

ミシェル「おいたんありがとう」

ジェシー「どういたしまして。ってミシェルそれは箱だぞ。中身はこっち」

ミシェル「センキュー」スタスタ

ジェシー「来年の誕生日プレゼントは箱だけでいいみたいだな…」

ダニー「ジェシー、本当かい?」

ジェシー「あったりまえだろ? この俺がアニメなんかに興味があるって本気で思ってたのか?」

ダニー「いや…もしかしたらって思っただけだから…」

ダニー「どうやら勘違いをしてたらしい…」

ダニー「ほらミシェル。ジェシーおじさんにもう一度お礼を言って」

ダニー「じゃあ、僕はこれで…」

ジェシー「ちょい待ち! ダニー、あんたやけにそのけいおんってアニメに詳しかったよな?」

ダニー「……」

ジェシー「ちょっと試しにこのカスタネット叩いてみてくれないか?」

ダニー「なんでカスタネットなんか…」

ジェシー「いいから」

ダニー「……」

ダニー「カタカタ」

ジェシー「もっと元気よく」

ダニー「タンタン!」

ジェシー「もっとリズムに乗って!」

ダニー「タン♪タン♪」

ジェシー「さぁさぁノッてきたぞ!!」

ダニー「うんたん♪うんたん♪」

ジェシー「ストップ! えらく楽しそうに叩いてたな?え?」

ダニー「しまった……」


ダニー「違うんだ…」

ジェシー「何が違うって言うんだ?」

ダニー「……ステファニーと…そう、たまたまステフが見てたアニメを一緒に見ててそれがけいおん!だったんだ」

ステフ「私そんなアニメ知らないよ…」

ダニー「うっ……」

ジェシー「人を散々ヘンタイ扱いしてたにも関わらず結局は自分がヘンタイだったってわけだ」

DJ「パパ最ッ低」

ダニー「DJ聞いてくれ……」

ステフ「あれだけ人には嘘つくなって教えてくれたのはパパなんだよ?」

ダニー「ステファニー、パパは……」

ジェシー「ほら、ミシェルこんなヘンタイはほっといておいたんとこの人形で遊ぼうな」

ミシェル「パパキモ~イ」

ダニー「なんてこった……」


ジョーイ「ダニー…気持ちは分かるよ…」

ダニー「ジョーイ…」

ジョーイ「僕もさ学生時代モノマネなんかをやってたら周りの女の子にキモイってよく言われてさ」

ダニー「ジョーイ、いくらなんでもけいおん!とキミのモノマネを比べないで欲しいな!!」

ダニー「キミのモノマネはしょせんそれくらいのものだろうけど」

ダニー「けいおん!は生きがいだよ!!」

ジョーイ「なんだよ! せっかく人が慰めてやってるのに!!」

ジョーイ「もうやめだ! やっぱりヘンタイとは分かち合えないんだね」

ジョーイ「本能に従順忠実なのもいい加減にしたほうがいいと思うよ!!」

ダニー「ああ…ジョーイ……」







ダニー「……まったく」

ダニー「いったい僕は何やってんだか……」




ジェシー自室

ジェシー「ふ~、危ねぇ危ねぇ…」

ジェシー「うっかり今日届くこと忘れちまってたよ」

ジェシー「まぁなんとか誤魔化せたからいいか…」

ジェシー「バレたら子供たちの俺に対するカッコいいジェシーおじさんのイメージがブチ壊しだったからな」

ジェシー「しっかしあの堅物のダニーがまさかオタクだったとは意外だったな」

ジェシー「あれだけ、オタクの事をヘンタイ呼ばわりしといて自分がそうだったなんて笑っちゃうぜ」

ジェシー「……」

ジェシー「俺も打ち明ければ楽になれるかな……?」

ジェシー「いいやダメだ! 俺はこんなキャラじゃないんだよ!!」

ジェシー「……」

ジェシー「あずにゃん……」

ジェシー「でも、あのフィギィアはミシェルにやっちまったし…」

ジェシー「一回くらいペロペロしておきたかったよな…」

ジェシー「こんな時は放課後ティータイムのCDでも聞いて元気出すのが一番だよな!」


ダニー「ジェシーちょっと話を聞いてくれないか?」コンコン

ジェシー「~♪~♪」ヘッドホン

ダニー「返事がないって事は怒ってるって事かい? ジェシーさっきは疑って悪かったよ…」

ジェシー「~♪~♪」

ダニー「……悪いけど入らせてもらうよ」ガチャ

ジェシー「~♪~♪」

ダニー「なんだ…音楽を聴いていたのか」肩トントン

ジェシー「うわっ!? なんだよ! 驚かすなよ!!」

ダニー「なぁジェシー少し話を…」

ジェシー「おいおい!部屋に入ってくるときはノックぐらいしろよ!」

ジェシー「おまえさん、この前も俺がキバッてる時にノックも無しに便所に入ってきただろ」

ダニー「ああ、この前の事も謝るよ。でも今回はしっかりノックしたよ。キミがヘッドホンしてるから…」

ジェシー「ああ、そうか…悪かったよ。で?話ってのはいったい?」

ダニー「さっきのことでキミに謝りたくってね…」


ジェシー「ああ、その事か…」

ダニー「ヘンタイだなんて言って悪かったよ」

ダニー「しかもそのヘンタイはジェシー、キミじゃなくってこの僕だってこともね」

ジェシー「いや…その事はもういいんだ」

ジェシー「誰にだって他人には知られたくない趣味なんてものがあるはずだからな…」

ダニー「ああ…ジェシー…。僕はキミのような人が同居人でよかったよ」

ジェシー「ど、どういたしまして」

ダニー「でも、どうやら子供たちには嫌われてしまったようだね…」

ジェシー「大丈夫だって! 俺がなんとか言ってやるよ!」

ジェシー「オチビちゃん達も突然の事で気が動転してるだけさ」

ジェシー「誰も好きなものを否定することなんてできやしないんだからさ」

ダニー「ジェシー…キミってやつは……本当に……」

ジェシー「分かったから、とりあえず俺のベッドのシーツで鼻をかむのはやめてくれよ」


ジェシー「まぁ俺に任せとけって」

ダニー「ありがとうジェシー」

ダニー「ところでさっきから何の音楽を聴いていたんだい?」

ダニー「えらくノリノリだったようだけど…」

ジェシー「えっ!? いや…その…」

ジェシー「そうアレだよアレ。おまえさんが嫌いな、物をブッ壊したりする音楽だよ」

ダニー「ああ……。でもキミが僕の趣味に理解を示してくれたように
     僕もキミの趣味を理解してやりたいと思ってるよ」

ダニー「たまにはそんな破壊的な音楽も聴いてみたくなるね」

ジェシー「おい!やめろ! そのピンジャックを抜くんじゃねぇぞ…」

ダニー「ははっ! 大丈夫だよ嫌いだからっていきなり倒れて病院送りだなんてことはないから…」ポン

『ふわふわ時間♪ ふわふわ時間♪』

ジェシー「……」

ダニー「これは……!?」


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最終更新:2010年03月11日 01:27