唯「うーん…ぬーん…めーん…」

律「何をそんなに悩んでるんだ?」

唯「何をってりっちゃん今日は7月7日だよ」

律「7月7日?」

澪「七夕だよ」

唯「そう!だからそのお願いを考えてたの」

律「高校生にもなってそんなことやってるのか?」

唯「うん!だって願い事たくさんあるんだもん」

梓「唯先輩らしいですね」

律「そんなの書いたって願いがほんとに叶うわけないだろー現実見ろよ現実」

唯「ちゃんとお願いすれば叶うもん!ねっ、あずにゃん」

梓「まぁ、願い事次第じゃないですか?」

律「でも直接的には効果ないって!ムギもそう思うだろ?」

紬「私は素敵だと思うわ、私も小さい時にお願いしてそれが叶ったもの」

唯「ほんと!ムギちゃんいいなぁ」

紬「唯ちゃんの願い事も心から願えばきっと叶うわよ」

律「わざわざ短冊に書いて笹に吊さなくてもよくないか?」

紬「ううん、私はそうやって気持ちを込めるのが大事だと思うの」

澪「なるほど、確かに文字に書いたりするといいって言うな」

梓「なんだか、そう聞くと願い事書きたくなってきますね」

紬「せっかくだから、みんなで願い事を書きましょう」

澪「楽しそうだな、私も書いてみよう」

律「じゃあ私も書こうかな」

澪「願い事なんて叶わないんじゃなかったのか?」

律「み、みんなが書くんなら私だって書いていいだろ」

唯「そういえばムギちゃんのお願いが叶ったのっていつなの?」

紬「私の願い事が叶ったのは去年よ」


そう、去年の春。
小学校2年生の七夕の時の願い事が叶った


・・・

・・


琴吹紬。小学生2年

教師「みんな明後日7月7日がなんの日か分かるかな?」

「七夕ー!」

教師「そう、よくできました!それでみんなは願い事はあるかな?」

「あるー!いっぱいあるー!」

教師「いっぱいかぁ…欲張りはいけないから1個だけ、みんなが叶えたい願い事を考えてきてください」


教師「それを明後日の七夕の日に短冊に書いて笹に吊します!分かったかな?」

「はーい!わかりましたー!」

教師「はい。では、そろそろ帰りましょう」

「はい、先生さようならー」

教師「さようなら」

紬「わたしの願いごと…」

紬「どんなことお願いすればいいのかな?」


紬(みんなはどんなことお願いするのかな?)

女の子1「ねーねー、お願いなににするの?」

女の子2「わたしはお菓子の家が食べたいかな」

女の子1「へーかわいいね!わたしは世界一周したいなぁ」

紬(お菓子の家…世界一周かぁ…みんないろいろ考えてるんだ)

わたしは願い事を考えながら学校を出る

校門では迎えの斉藤が待っていた

そして、いつものように車に乗りピアノ教室へ向かった


――――――――――

ピアノ教室

先生「紬ちゃん良くできました」

紬「ありがとうございます」

先生「この間のコンクールでも最優秀賞だったし未来はピアニストかしら」

紬「先生のおかげです」

先生「私は少し手助けをしただけ、コンクールで賞を取ったのは紬ちゃんの実力よ」

いつも通り褒められる

確かにわたしは賞をとったけど、才能というよりは恵まれた環境によるものが大きかったと思う

家に良いピアノはあるし、こうやって有名な先生からピアノを教わることができてる

先生「今日はここまで、次は…明日ね。じゃあ、また明日」

紬「はい、先生ありがとうございました」

ピアノ教室を出て再び車に乗り今度は家へ向かう

公園、商店街、河原いろんな景色が右から左へ流れていくのを見ながら願いごとについて考える

私の家はとても裕福だ
家は大豪邸だし世界中に別荘はあるし執事までいる

欲しいと言った物は必ず買ってもらえたし、習いたいと言った事は必ず習わせてもらえた

家族も仲が良く幸せで私にはとくに望むことはなかった


――――――――――

家に帰ると私はすぐに父のところへ行った

紬「お父様ただいま」

父「あぁ、おかえり」

私は父に無理なお願いをしてみた

紬「お父様!わたしお菓子の家が食べたい!」

父「お菓子の家?なるほど、おもしろいな。紬が食べてみたいなら用意してみようか」

簡単に願いは叶ってしまった


紬「お父様やっぱり世界一周がしたい!」

父「世界一周かい?そうだな、小学校はもうすぐ夏休みだし今年は世界一周旅行でもしようか」

紬「う、うん…」

この願いもまた簡単に叶ってしまう

願いが叶うこと。とても幸せなことだけど、簡単に叶ってしまうのは少し寂しかった

その日わたしは寝るまでずっと七夕の願いごとを考えたが良い願いが思いつくことはなかった

――――――――――

学校

次の日の学校もずっと七夕の願いごとを考える

女の子「紬ちゃん願いごと決めた?」

紬「ううん、まだ決まってないわ」

女の子「だよね、私もたくさんあってなかなか1つに決められないよ」

紬「そう、悩むよね…」

みんなもわたしと同じで願いごとを決めるのに悩んでいた

だけど、わたしとみんなでは悩んでる内容は少し違った

みんなは願いごとを決められないことに悩み
わたしは願いごとを見つけられないことに悩む

みんなからしたら私がとても羨ましいのだろうけど、私にはみんながとても羨ましかった

紬「あの…いくら考えても探し物が見つからない時ってどうする?」

女の子「えっ…?急になに?心理テスト?」

紬「違うの、ちょっとした質問なんだけど…どうするのかな?って答え聞きたくて」

女の子「うーん…考えても見つからないなら探しにいくかな」

紬「探しに?」

女の子「うん、考えてダメならいつまでも考えてないで行動する方がいいんじゃないかな」

紬「そうよね!ありがとう!すごく助かったわ」

女の子「う、うん?助けになれたならよかったよ」

紬「そうよね、考えてダメなら探しにいけばいいのよね」


わたしは学校が終わってからすぐに行動に移った

校門ではいつも通り斉藤が待っている。
今日はピアノ教室もあったが、一日だけ許してと小声で言い学校の裏から外へ出た

紬「探しに行くのはいいけど、どこに行きましょうか」

考えた私の頭には最初にいつも車の窓から見る公園が思い浮かんだ

紬「あの公園に行ってみましょう」

毎日のように登下校時に前を通る公園だが、まだ一度も中に入ったことがなかった

なんだか探検のようでとてもわくわくした

――――――――――

公園の中に初めて足を踏み入れる

公園の中は想像していたよりもずっと遊具が少なく閑散としていた

そんな中、砂場で1人で遊ぶ女の子を見つけた

紬「なにしてるの?」

律「砂のお城作ってるの」

紬「すごいね」

律「簡単だよ。一緒につくる?」

紬「いいの?」

律「うん、人数多いほうが助かるもん」


なにかを作ったりするのは得意だった
前に本で見たお城を思い出しながら形作っていく

律「わぁ!うまいね!中世よーろっぱみたいなお城だ!すごーい!」

紬「ありがとう……あっ」

少し離れたところからこっちの様子を見ている女の子が目に入った

私はその子のところへ駆け寄った

紬「一緒に遊びましょう」

澪「あ………えっと……いいの?」

紬「うん!」

私は自分が誘われたのと同じように女の子を誘ってみた


澪「ありがとう」

最初は俯いていたが、遊びに誘うと少し恥ずかしげにながら笑ってくれた

私達は3人で一緒に協力して砂のお城を完成させた

律「本物のお城みたいだね!」

澪「素敵だね」

紬「うん、とっても良くできたわ」

澪「でも、これいつか壊されちゃうんだよね?」

律「みんなの公園だからね、わたしたちのばっかりこのまま残しておけないよ」

澪「なんか悲しいね」

紬「壊れてもまたみんなで作ればいいのよ、私達がいればまたいつでも作れるわ」

澪「そっかぁ、そうだよね」

律「じゃあ今日はそろそろ帰ろうかな、また3人で砂遊びしようね!ばいばい」

紬「うん、さようなら」


澪「わたしももう帰るね、今日は………誘ってくれてありがとう」

紬「うん」

澪「また遊んでね、ばいばい」

満面の笑みで大きく手を振りながら帰っていった

その姿も見えなくなり公園に1人になった私は次に行きたかった場所へと向かう事にした


――――――――――

次にわたしは商店街を歩いていた

紬「いろんなお店があるわ…」

商店街の中を歩いていると突然袖を引かれた

紬「え…?」

振り返ると女の子が私の袖を掴んでにこにこしていた

唯「えへへ」

紬「えっと……どなたですか?」

憂「おねえちゃん何してるの?お友達?」

よく見るととなりには妹らしき子も一緒だった

唯「んーん、髪の毛ぴかぴか!」

紬「う、うん」

憂「おねえちゃん髪の毛触っちゃダメだよ」

唯「一緒に福引きやろう!」

紬「福引き?」

唯「ガラガラ回すの!」

紬「ガラガラ?」

唯「うん!こっちこっち、ついてきて」

紬「うん?」

女の子に袖を引かれながら商店街の中を歩き福引きというのがある場所にきた

唯「あれがほしいの!」

そういって4等という紙の貼られたクリスマスツリーを指差した

唯「あれを当てて短冊を吊り下げるの」

賞品なんだろうけど、すごく季節感がなかった

紬(売れ残りなのかな…)

唯「福引券3回ぶんだから1人1回。まずはわたしからやるね」

女の子がガラガラと音をたてて福引きをする

紬「それでガラガラなのね」

唯「白だー」

「残念!ポケットティッシュねー」

唯「うー…」

憂「次はわたしがやるね」

ガラガラ…

憂「赤だ」

「はい、赤はトイレットペーパーね」

憂「ダメだったよー」


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最終更新:2010年03月12日 02:37