むかしむかし。と言ってもそこまで昔でもない、江戸時代くらいの話。

日本のどこか。

あるところに、女の子2人で経営している、まったく繁盛しない、

今にもつぶれてしまいそうなうどん屋がありました。

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律「はぁ・・・・・。今日は1人もお客がこなかったな・・・・。」

澪「ここ一月はほとんど客が入ってないからな・・・・」

律「私と澪がこのうどん屋をはじめてもう結構たつけど、流行ったことなんて
  一度もなかった・・・」

律「そろそろ生活も限界になってきた・・・。金がないから新しいダシの研究
  もできない・・・・。」

律「もう店を閉めて別の仕事を探すしかないのかな・・・・」

澪「律・・・・・」


律「ごめんな・・・澪。こんな私についてきてくれて。」

澪「なにいってんだよ、律。私たち幼馴染だろ」

律「澪・・・・ありがとう・・・・」

雨戸「ドンドンドン!!」

さわ子「開けんかい!!ゴルァ!!」ドンドン

澪「ひっ!?」


律「まずい・・・。お役人が来た・・・」

さわ子「居るのはわかっとんじゃい!!ボキャア!!」ドンドン

律「税を取りに来たんだ・・・」

澪「・・・・・」ブルブル

さわ子「ちっ、また来るからな!税を払えなかったらSATSUGAIするぞ!!」

律「・・・・・・」


律「もう行ったみたいだぞ。澪。」

澪「うん・・・・・。」

律「でももう税を払えるだけの余裕もないよ・・・・」

澪「・・・・・・・」

律「これから私たちはどうすればいいんだよ・・・・」


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------翌朝

律「ふぁぁ・・・・。よく寝た」

澪「ZZZ」

律「しっかし今朝はかなり冷えるな・・・・」

律「雨戸をあけるか」

雨戸「がっ、がっ」

律「雨戸の建付けが悪くて、なかなか開かない・・・。
  お役人がいつも雨戸を強く叩きまくるからだな・・・・」

律「ふんっ」ガラガラ

律「あいたあいた」

律「げっ、雪積もってんじゃん。どうりで冷えるわけだ」

律「・・・・・・・」

律「今日も客はこないんだろうな・・・・」

律「はぁ・・・・・」

律「・・・・・・」

律「・・・・ん?」

律「!」

律「あれは・・・・・人?」

うどん屋の近くの雪の上に女の人が倒れていた

律「やっぱり人だ・・・・!」タタタ

律「おい!大丈夫か!?」ユサユサ

女「うぅ・・・・・」

律「よかった。生きてる」

律「家の中に運ぼう」

律「よっこらせ」


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------うどん屋

律「澪!澪!」

澪「ん・・・・。どうした?律」

律「寝てる場合じゃない!道に人が倒れていて、運んできたんだ!」

澪「え!?」

律「とにかく体が冷たいんだ!暖めよう」

澪「わかった!」


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女「うっ・・・・」

律「お!目を覚ましたか」

女「ここは・・・・?」

澪「うどん屋・・・・・。まあ私たちの家だ」

女「私は一体・・・・?」

律「ここの近くの道に倒れていたんだ。慌ててここまで運んだよ」

女「助けてくれたんだ・・・・。ありがとう」

律「へへ!いいってことよ!」


澪「私は澪」

律「律だ」

女「じゃあ、澪ちゃんとりっちゃんだね!」

律「(いきなりりっちゃんかよ)」

澪「名前は?」

女「唯だよ」

律「唯はどこからきたんだ?」

唯「えーとね・・・・・・」


唯「・・・・・・」

澪「どうした?」

唯「・・・・・あれ?」

律「?」

唯「お、思いだせない・・・・」

律「思いだせないって・・・・・?」

唯「ここに来る前のことが思い出せないの・・・・・」

律澪「え!?」

律「思いだせないって・・・・・?」

唯「ここに来る前のことが思い出せないの・・・・・」

律澪「え!?」

唯は雪の上で倒れ、衰弱して、律たちに助けられたが、後遺症で記憶を失っていた。

律「唯・・・・・記憶が・・・」

唯「・・・・・・・」

澪「・・・・・・・」

律「・・・・・・・」

澪「と、とりあえず、今はゆっくり休め」

律「そうだな」

唯「うん・・・・・・」

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-----夜

律「今日も客がこなかった・・・・・」

澪「そうだな・・・・・」

律「・・・・・・・」


澪「唯はどうするんだ?」

律「どうするって?」

澪「唯は私たちに会う以前の記憶がないだろ。だから帰るべき場所がわからない。
  だれか面倒をみる人が必要だと思う・・・・」

律「そうだな・・・・・。でも家じゃあ面倒を見れるだけの余裕もないよ・・・・」

澪「・・・・・・・」

澪「まあ数日様子をみてみよう。もしかしたらなにか思いだすかもしれない」

律「そうだな。このまま外にほっぽり出すのも可哀想だしな。」


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唯「りっちゃん。私お腹すいちゃった」

律「まってろ。いまうどんを作ってやる」

唯「わーい」

澪「昨日も言ったかもしれないけど、私たちはうどん屋をやってるんだ。まったく
  繁盛しないけど・・・・」

律「うどんおまち!」

唯「速!?」

律「うちは速いだけがとりえだからな」

唯「いただきまーす」ズルズル

唯「(微妙かも・・・・)」モグモグ

律「(うわっ・・・・・微妙そうな顔・・・・)」

澪「ところで唯はこれからどうするんだ?」

律「どこか行くあてはあるのか?」


唯「それがね・・・・・・。やっぱりなにも思いだせないんだ・・・・」

澪「そうか・・・・・・」

唯「ここに置いてもらうのはだめかな・・・・・・・・?」

律「唯・・・・・・私たちもここに居させたいのはやまやまなんだが、二人で生活
  するのにももう限界なんだ・・・・・。だから3人は無理なんだ」

唯「そうだよね・・・・・・」ショボン

澪「・・・・・・・・」

律「まあ、とりあえずまだ元気になってないんだから今は休め」

唯「うん・・・・・・・」

律「うし!今日は久しぶりに風呂でも沸かすか!」


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律「風呂沸かすなんて何カ月ぶりだろう」

律「いつもなら垢すって水浴びだもんな」

律「薪代だってばかにならないからな~」

律「フー!フー!」

律「よし。こんなもんだろ」

律「やっぱり客人が先だな」

律「お~い。唯」

律「先に入っていいぞ」


唯「いいの?」

律「大事な客人だからな」

唯「じゃ、じゃあお言葉に甘えて・・・・・」

律「ごゆっくり~」

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-----唯入浴中

唯「はあ・・・・・。私これからどうすればいいんだろう・・・」

唯「・・・・・・」

唯「ていうかすごいお湯が熱い・・・・・」

唯「なんかグツグツいってるし・・・・」

唯「でもせっかく沸かしてくれたんだから我慢してもう少し入ろう」

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唯「も、もう限界・・・・・」ザバァ

唯「ふい~」トテトテ


律「お。あがったか」

唯「いいお湯だったよ~。(すごく熱かったことは言わないでおこう・・・・)」

律「じゃあ私もはいってくるか」

唯「う、うん・・・」

律「お風呂~お風呂~」


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------風呂場

律「よし。入るか」

律「よいしょ」ピチャ

律「てっ、熱ぅ!?」

律「唯よくこんな熱いお湯に入れたな・・・・・・」

律「・・・・・・・・」

律「・・・・・・・ん?」

律「このにおいは・・・・・・」クンクン

律「こ、これは・・・・・!」

律「・・・・・・」ゴクゴク

律は唯が入った後の熱湯を手ですくって飲んでみた

律「なん・・・・・だと・・・・・」


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律「おい!澪!」

澪「どうした?もう風呂はいったのか?」

律「ちょっとこれ食べてみてくれ!」

澪「食べろって、これうどんだろ」

澪「うどんなんて毎日飽きる位たべてるだろ」

律「いいから食ってみろ!」


澪「わかったよ」

澪「・・・・・」ズルズル

澪「・・・・・!」

律「どうだ?」

澪「すごいおいしい・・・・!」

律「だろ!?」

澪「どうしたんだ?これ」

律「ダ、ダシを変えてみたんだ」

澪「へえ。なにでダシをとったんだ?」

律「あ、あの・・・・ゆ、唯で・・・・」

澪「・・・・・・え?」

律「唯の入った風呂のお湯をそのまま使って・・・・・」

澪「な、なんだそりゃ・・・・」

律「そのまんまだよ・・・・。唯の入ったお湯を使ったらそうなったんだ」

澪「なん・・・・・だと・・・・」

律「でもこれを店でだせば・・・・・」

澪「!」

澪「絶対繁盛する!?」

律「期待大だな」

澪「よ、よし・・・・」


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-------翌日

律「もともと客が来ないからこの味を広めようがない・・・・・」

律「・・・・・・・・」

律「あっ、おーーい。そこのお譲ちゃん!」

純「え、私?」

律「ちょっとこっちに来て!」

純「(げ・・・!あんまおいしくないうどん屋だ・・・)」

律「ちょっとこれ食べてみて!」

純「え・・・・でも私お金ない・・・」

律「お金はいいから!」

純「タ、タダならいただきます」

純「(前ここのうどん食べたとき微妙だったからな・・・・・)」ズルズル

純「・・・・・・・!」

律「ど、どうだ?」

純「すごい・・・・・おいしいです・・・」

律「だろ!?」

純「(ホントにおいしい・・・)」

律「そこでタダの代わりにお願いがあるんだ」

純「お願い?」

律「このうどんのおいしさを町のみんなに宣伝してきてほしいんだ」


純「・・・わかりました」

律「ホントか!ありがとな~」

純「じゃあ私はこれで・・・・」

律「ああ!じゃあたのんだぞ!」

純「(ほんとにおいしかったなあ・・・・)」


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律「ふふっ。あとは客を待つだけだ・・・」ニヤニヤ

唯「りっちゃんなんでニヤニヤしてんの~?」

律「ふふっ。いいことがあったんだ」

唯「ふ~ん」

澪「・・・・・・・」

客A「ごめんよ~」

律「さっそくきた!」

律「らっしゃい!」

澪「いらっしゃいませ」

客A「なんかこの店のうどんがおいしくなったて聞いて、きてみたんだけど」

律「(あの子ちゃんと宣伝してくれたんだな)」

律「そりゃあもう!」

客A「じゃあうどんを一杯もらおうか」

律「はいよ!」

澪「(久々の客だ)」

律「おまち!」

客A「速!?」

律「・・・・・・・」ワクワク

澪「・・・・・・」ドキドキ

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最終更新:2010年03月15日 01:30